2008-12-21 06:22:55 echigoya-smwriterの投稿

【コラム】 いい人④

テーマ:営業トークのテクニック

 いい人の条件の四番目は、自分のことを理解してくれている人です。

 営業は、小さなイエスの積み重ねです。大したことの無い小さなイエスを幾つも積み重ねていくことで、最後の大きなイエス、契約するというイエスを得やすい状況ができてくるのです。

 小さなイエスの半分は、相手の言うことにこちらがイエスということです。そして残りの半分は、こちらの言うことに相手がイエスと言ってくれることです。

 相手のことを理解してくれるというのは、この場合、相手がイエスと答えるような言葉をいくつも投げ掛けていくことです。

 でも、そのことが決して易しくないことはお分かりですよね。長年付き合っている友達や配偶者のことだって、そう何でも理解している訳ではありません。まして今知り合ったばかりの人のことなど、分かるはずもありません。

 それでも、相手がイエスと言ってくれなければ、自分のことを理解してくれる人とは思ってくれません。

 どうすればよいのか。要するに、誰にでも当てはまるようなことを言っておけばいいんです。

「うちの子、全然勉強しなくてさ」
「クラブ活動に熱中するタイプなんですか?」

 これは悪い例です。もし言った内容が当たっていたら信用を得られるかもしれませんが、あまり具体的なことに突っ込んでいってしまうと、外れる可能性の方が高くなってしまいます。一つ外すたびに、イエスではなくノーを積み重ねていってしまうことになります。

「うちの子、全然勉強しなくてさ」
「勉強してほしいですよね」

 これでいいんです。たいていの親の場合、これで外れることはありません。もし口先だけで反対のことを言っても、お腹の中で一致していればイエスが加算されます。当たり前の話しかしていませんから大きな得点にはなりませんが、こういう小さい加点でも、数を重ねていくとなかなか馬鹿にできない効果が生じてくるのです。

 相手の欠点を長所に言い換えるというやり方もあります。

「うちの子、ちょっと神経質なところがあってさ」
「細かいところまでよく気の付くお子さんなんですね」

 このやり方はすぐに言い換えてもいいのですが、ちょっと時間差を掛けて、相手が忘れた頃に不意打ちのように褒めるというやり方も、はまると痛快です。

「うちの子、ちょっと神経質なところがあってさ」
「あ、そうなんですか。それはご心配でしょうね。例えば、どんな感じなんですか?」
  (少し会話を回して)
「○○くんのように細かいところまでよく気の付くお子さんの場合、こういうやり方は特に有効なんです」

 このやり方の場合、相手がネガティブタイプかポジティブタイプかを予め見極めておく必要があります。 

 相手がネガティブタイプ、つまり、自分のことや家族のことを、なんでも悲観的に見るタイプのことです。自分のことに対してはポジティブ、子どものことに対して手はネガティブというタイプも居ます。

 ネガティブタイプの場合、褒めてやればやるほど、相手との感情的な亀裂が生じてきます。だからと言って、相手の悪口を言うのも得策とは言えません。差し障りの無い会話でイエスを重ねていくのが無難、ということになります。

 女性の褒め方で、二番目に良いところを褒めろという言い方をすることがありますが、営業トークでもこの手は有効でしょう。

 美人の女の子は、顔立ちは褒められ慣れていますので、顔を褒めてもあまり喜びません。それより、例えば服装のセンスとか、車の運転が上手だとか、あまり褒められ慣れていない長所を探して褒めてやる方が効果が大きいということです。

 営業トークだって同じです。例えば、電話を掛けた相手が学校の先生だとする。頭が良いんですねと褒めても、悪いことはありません。でも、そんなに効果は期待できないと覚悟しておかなければなりません。全然褒めないよりも、一言や二言は褒めておく方が良いという程度で、あまり深追いするポイントではありません。

 それより、会話の中で、勉強以外に得意にしているものを探し出す。

「へえ、そんなものまで自分でお作りになるんですか。料理が得意な人は羨ましいですね」

 逆に、仕事がコックなんて人は、頭が良いとか、スポーツが好きとか、なにかそういうポイントで褒める方が良いんです。料理が上手というのはコックとして当たり前です。下手をすると、馬鹿にしているのかと逆に気を悪くされます。

 表面的なタイプと逆のことを言うというテクニックもあります。ボーイッシュな女性を女性的と言ったり、しっかり者のタイプを甘えん坊と言ってみたり、無口で大人しい人を楽しい人と言ってみたりするのです。

 人間には必ず、相反する二つの性質を持っています。日頃明るいタイプでも四六時中一年三百六十五日、明るいタイプであり続ける訳ではありません。逆に暗いと言われるタイプの人でも、ずっと暗い性格のままで居る訳ではありません。

 でも、表面的に見て、いつも明るく見える人はみんな明るい人と考えます。たまに見せる暗い顔には気が付かれなかったり、気が付いてもらってもすぐに忘れてられたりします。

 そういう人の明るさばかりを褒めても、そこは褒められ慣れていますから大して心は動きません。それよりも、そういう人の落ち着いた一面、物静かな一面に気が付いてやり、そこを口に出して言ってやる、褒めてやると、そんなことは今まで言われたことがありませんからびっくりします。そして、誰も見ていなかった自分の一面を理解してくれたあなたに、深い信頼を置くようになるはずです。

 とまあ、色々なやり方を書き並べましたが、やはり相手にイエスを言ってもらうのは難しいことです。やり方を知ってすぐに活用できるという話ではありませんので、そこは心得ておいてください。


コラムの目次

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