【コラム】 いい人②
テーマ:営業トークのテクニック いい人の条件の二番目は、相手に興味を持つということです。興味を持つというのがどういうことかと言うと、要するに相手に質問をするということです。
もし誰かのことが好きになったとします。相手のことが知りたくなりますよね? 些細なことでも、相手のことが分かると嬉しくなりますよね? つまり、質問することが、相手に対する好意の表明になるわけです。
そういう質問を嫌がる営業マンも居ます。そんな人は、質問だらけの営業手法を「尋問トーク」などと呼んだりします。質問ばかりされているお客は、なんだか尋問されているような気分になってくるというのです。
もしそんな気分にさせてしまったとしたら、それは質問しっぱなしだからです。相手に質問する。答えてくれたことに、反応する。また、質問する。その繰り返しで、相手との距離を縮めていくのです。
「今、自宅でインターネットはなさっているんですか?」
「してるよ」
「プロバイダーはどちらをお使いですか?」
「OCN」
「光通信でなさってるんですか?」
「いや、ADSL」
「まだADSLですか。だったら光に変えたらびっくりするくらい早くなりますよ」
これが、尋問トークです。相手の言葉にちゃんと反応してあげれば、会話の雰囲気がまったく変わってきます。
「今、自宅でインターネットはなさっているんですか?」
「してるよ」
「そうですよね。こんな時代ですものね。プロバイダーはどちらをお使いですか?」
「OCN」
「あ、大手のプロバイダーですね。だったらご安心ですね。光通信でなさってるんですか?」
「いや、ADSL」
「あ、そうなんですか。失礼ですが、ADSLから光に乗り換えなさらないのは、何か特別なご事情でもおありでしょうか?」
雰囲気が、だいぶん違ってきます。最後の言葉を変えたのは、質問で回すトークの感覚でいうと、具体的な話に入る前にもう少し相手のことを知りたいと思うからです。
この会話に、相手の言葉を山彦返しで復唱する、エコーイングを用いるとさらに和やかな会話になっていきます。
「今、自宅でインターネットはなさっているんですか?」
「してるよ」
「あ、していらっしゃいますか。そうですよね。こんな時代ですものね。プロバイダーはどちらをお使いですか?」
「OCN」
「OCNですか。大手のプロバイダーですね。だったらご安心ですね。光通信でなさってるんですか?」
「いや、ADSL」
「ADSLをお使いですか。失礼ですが、ADSLから光に乗り換えなさらないのは、何か特別なご事情でもおありでしょうか?」
こうして相手に質問していく理由は三つあります。一つは表題通り、相手のことを知りたいという姿勢を保ち続けることで、相手にとってのいい人になることです。
二つ目の理由は、情報収集です。この場合なら、相手は今まで光通信に変えることを一度も考えたことが無いのか。一度でも変えようと思ったことがあるのなら、なぜその時に変えなかったのか。相手の状況をしっかり把握していれば、戦略も立てやすくなります。
三つ目の理由は、ちょっと高度な話になるかもしれません。
営業は、客との会話のイニシアチブを常に掴んでいなければなりません。そこでの会話は、常に営業マン主導で展開されなければならないのです。
あまり深く物事を考えない営業マンは、イニシアチブを取ること=自分が話をしていることと考えます。終始自分が話したいことを話し、相手がそれをじっと聞いている状態が、営業主導の会話だと勘違いしているのです。
でも、これは違います。
学生時代を思い出してみてください。教師が一方的に話をしているを聞いている時、聞いた振りをしながら、何か他のことを考えたりしていませんでしたか? 教師の服の染みや伸びた鼻毛なんかを、観察していたりしませんでしたか?
客を一方的な聞き役にさせるということは、その間、客が何を考えているか分からない状態になるということです。一生懸命、唾を飛ばして話をしている営業マンを客が冷めた目で観察しているなんて、絶対にあってはならない状況です。
そうしないためには、相手にも話をしてもらうのが一番です。相手が話をしている間、今度は営業マンが観察者の位置に立つことができます。
もちろん、だからと言って、相手の方が一方的にしゃべって営業マンの方が聞き役に回っている状態もいただけません。この場合、営業マンは終始冷静な観察者でいられますが、会話の流れの主導権を完全に相手に渡してしまっています。
理想的な営業トークは、客と営業マンが半々にしゃべっている状態です。こういう会話の進み方をしている時が、一番契約が取りやすい状態です。
さらに、自分を優位に置くために、営業マンは自分のセールス・トークを覚えてしまいます。頭を使わなくても次の言葉が口をついて出てくるまで、完全に言葉を覚え込んでしまうのです。
セールスマンには頭が二つあるなんて言い方をします。一つの頭で自分の商品を売り込むセールストークをしゃべりながら、もう一つの頭で相手の状態や周りの状況を冷静に観察し、その後の会話の展開を考えていくのです。
電話営業などに女性が多いのは、一つにはそういう事情もあるようです。右脳と左脳が直結している女性の頭脳は、こういう会話の仕方をするのに適しているようなのです。
一方、相手には話に夢中になっていてもらうのが理想です。会話の言葉を一生懸命に探し、聞き役に回っている間も、いつ自分に会話が回されるか分からないという状態で、緊張感を持続させていてもらいたいのです。
そういうことが理想的にできた場合、営業マンは一方的な観察者として客を観察し、会話の主導権も終始自分が持っているという理想的な状態を作り出すことができるのです。
しかも、相手の会話を熱心に聞き、丁寧に受け答えしていくことで、相手の中に営業マンに対する信頼感が生まれてきます。
もちろんこれは、すべてが理想的に進んだ場合ですけれども。
一言ご注意申し上げますが、こういうトークに懐柔されてしまうのは、日ごろご主人やお子さんに話し相手になってもらっていない主婦の方が多いです。電話営業などで高い買い物をしてしまわないように、日ごろから奥さんの愚痴はしっかり聞いておいてあげてください。
コラムの目次
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