2008-10-19 02:59:46 echigoya-smwriterの投稿

【コラム】 エコーイング

テーマ:営業トークのテクニック

 チャネリングの最初はエコーイング。「山びこ返し」をすることです。

 会話を繋いでいく時に、相手の言葉を鸚鵡返しに繰り返す。それだけのことです。

「インターネットって、よく分からないんだよね」
「難しいですよね」
「正月にうちの息子が帰ってきた時に繋いでいってくれて、それから始めたんだけどね」
「いい息子さんですね」
「でも、やっぱり分からなくてね。一応、自分の趣味のゴルフ関係のサイトは覗きに行ったりしているんだけれど」
「それで十分じゃないですか。何か面白いサイトは、見つかりましたか?」

 営業的な会話です。口に出して感情を込めて読めばそんなでもありませんが、文字にしてみると若干冷たい受け答えのような印象を感じます。この会話に、エコーイングを加えてみます。

「インターネットって、よく分からないんだよね」
「よく分からないですよね」
「正月にうちの息子が帰ってきた時に繋いでいってくれて、それから始めたんだけどね」
「息子さんが繋いでくれたんですか。いい息子さんですね」
「でも、やっぱり分からなくてね。一応、自分の趣味のゴルフ関係のサイトは覗きに行ったりしているんだけれど」
「趣味のゴルフのサイトですか。いいなあ。それで十分じゃないですか。何か面白いサイトは、見つかりましたか?」

 文字で読んだだけでも、なんとなく聞き手の誠意みたいなものが滲んできているような気がしませんか? 実は私、自分の小説の中でも時々このエコーイングの手法を使うことがあります。紙に書いてしまうと冷たくなってしまう会話のやり取りを熱っぽくするために。

 実際の会話の中で使うと、もっと効果的です。

「はあ、はあ」「なるほど」などの相槌が続くと、この人は本当に私の話を聞いているのだろうか、相槌だけ打って、本当は別のことを考えているのではないかなどと思ってしまうことがあります。

 エコーイングの一つの効果は、「あなたの話を私は今、一生懸命聞いていますよ」という意思表示になることです。同じ言葉を繰り返すことは、その言葉をしっかり聴いていないとできませんから。

 もう一つの効果は、相手を軽い催眠状態に陥れることができるということです。

 言葉を発する、同じ言葉が繰り返される。また言葉を発する。同じ言葉が繰り返される。この繰り返しの中で、意識は起きているのに思考回路は半分寝ている。そんな状態に落としていくことが可能です。

 電話営業や訪問営業の目的は、顧客に衝動買いをさせることです。頭が働いている時と働いていない時、どちらが衝動買いをしやすいかというと、明らかに頭が寝ているときです。だから営業的に、顧客の頭は寝ていてもらった方が都合がよいのです。

 相手に理解力を必要とする情報を与えたり、相手の考え方を覆すために議論を吹っかけていったりするのは逆効果です。理解しようとするために頭が働き、衝動買いをしにくい精神状態になってしまいます。

 自分の言葉が繰り返されるだけ。そして自分の言葉を受け入れる言葉が返ってくるだけ。この会話の中には、顧客が思考力を働かせなければならない新たな情報はほとんど含まれていません。思考力を働かせる必要無く、自分の世界に陶酔していくことができます。

 こういう精神状態を保っていきながら、顧客と自分との親和的な関係を深めていく訳です。

 エコーイングのもう一つの手法として、相手の口癖を盗むやり方があります。

 相手が頻りに「だろう?」と言うのなら、こちらは「でしょう?」を連発するのです。相手が「なるほど」という言葉を連発するのなら、こちらも「なるほど」を連発するのです。

 この場合、まねの仕方があまり露骨過ぎないように注意が必要です。時によっては、自分が馬鹿にされているような印象を受けることがあるからです。そうなると、逆効果ですから。

 もう一つ、相手の口癖が双方の親和的関係を断ち切るような言葉の場合、まねしない方が無難です。例えば、「違うよ」とか「いや」とか、「そうじゃなくて」とか、そう言った言葉です。

 二つ目のテクニックはちょっと注意を要する、高度なテクニックかもしれません。使いこなせる自信の無い方は、使わない方が良いでしょう。

 まあ、好きな相手の口癖が自然に移ってしまうなんて形で、無意識にエコーイングしていたりはするんですけどね。




コラムの目次

http://echigoya.h.fc2.com/kurumaya/kurumaya.html

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