【コラム】 親和感情
テーマ:営業トークのテクニック 私が電話営業を始めた頃、あちこちのブースでこう教えられました。
「家の主人が出てきたら、間違い電話の振りをして切れ」
電話営業というのは、本来女性を対象にした営業だったのです。トーク理論も、どちらかというと女性心理を前提にして組み立てられています。
でも、最近は電話関係、インターネット関係の電話営業が増えています。主権者も、男性の場合が圧倒的に多い。
それでも、電話営業の基本は変わりません。要するに、男性の中にも女性的な要素があるということですね。でんわえいぎょうで男性客で受注できた場合、その男性の中の女性的な部分が刺激されたということになります。
そんなことを言うと嫌がる男性も多いかと思いますが、どんな男性の体の中にも女性ホルモンは存在している訳ですから、部分的に女性と同じ心の動きがあったとしても、それでその人物は女性的と決め付けるつもりはありませんので、悪しからず。
それでは、男性論理に沿った営業と女性論理に沿った営業がどう違うかという話なのですが。
男性論理に沿った営業の基本は「差別化」です。大して女性論理に沿った営業は、「親和感情」を基本に置きます。
例えば、男性の営業社員が顧客を接待ゴルフに誘います。当然のことながら、接待側のメンバーはわざと負けて、顧客を勝たせます。
「いや、あなたはお上手です。私たちはとても敵いません」
そうやって顧客と接待側の人間を差別化することによって、顧客の優越感を擽るのです。接待マージャンも原理は同じ。女の子の居る店に行けば、顧客だけがモテるように計らいます。
それに対して女性論理の営業の基本は、相手と自分の共通項を強調する、あるいは演出することです。
電車の中などで聞こえてくる、女性同士の話を思い出して下さい。交互に話をしていながら、「そうそう」と相槌を打ちながら、お互いに自分の話ばかりをしています。男性の感覚で言うと、これはまったく会話になっていません。
ところがこれで、ちゃんと親和的な営業トークになっていたりするのです。相手の発言に対して、自分も似たような体験をしている、自分も同じようなことを感じたことがあると例を挙げることで、相手と自分が似たもの同士であることを強調する。これが親和的営業トークなのです。
男性から言うと、これも一種の媚び諂い、相手の好みに同調することで私はあなたに逆らいませんと遜った態度を取る訳だから、これだって差別化じゃないかと思うかもしれません。ですが、これははっきり違うのです。
相手の好みに徹底的に合わせる。相手が好ましいと思うものにYesと言い、嫌いなものにNoと言う。それを積み重ねていくうちに、相手と自分の自我が一つであるような不思議な錯覚が生じてくるのです。これが、親和感情です。
女性は、親和感情でつながれた相手との親和的な関係を崩すのを嫌います。つまり、いったん親和的な関係で結ばれてしまった場合、相手との関係を保持するために、女性の側から積極的に相手に自分を合わせようとし始めるのです。
こうなればしめたものです。相当のことでも、相手はこちらの言いなりになってくれます。こちらの申し出を断ることは、親和的な関係を崩すことになるからです。
はっきり言って、男性論理の営業では、電話営業も訪問営業も成立しません。
差別化の営業というのは、自分が遜ることによって、相手にいったん、生殺与奪の権利を渡してしまいます。その上で、相手をおだてて乗せて、自分の期待する決定をしてもらえるように話を持っていくという手順になります。
ですが、もし訪問営業の営業マンが相手にイニシアチブを渡してしまったとしたら、誰が初対面の人間相手に高額のローンを組んでくれるでしょうか。会ったことも無い相手から、何かを買おうとしてくれるでしょうか。
電話営業と訪問営業を総称して「攻めの営業」と言うのだそうです。客の方からやってきてくれるのを待つのではなくて、こちらから相手の懐に飛び込んでいく。そして相手に購買意欲があるかどうかを言葉の端々から読み取り、まだ熟していない購買意欲を話術で掻き立て熟させて、商談を成立させてしまう。これが「攻めの営業」です。
「攻めの営業」の場合、会話のイニシアチブを終始営業マンが握っていなければなりません。そのためには、客と営業マンが親和的な感情で結ばれていることが必要不可欠なのです。
相手と自分の間に親和的な関係を構築するために、自分の自我を相手の自我に摺り合わせていく作業を「チャネリング」と言います。相手と自分のチャンネルを合わせるという意味です。このチャネリングには、次のような三種類があります。
①エコーイング
②ミラーリング
③チューニング
この三種のテクニックについて、ざっと話をしていきます。
コラムの目次
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