2008-10-19 02:42:46 echigoya-smwriterの投稿

【コラム】 ザ・オナニー(続き)

テーマ:営業トークのテクニック

「乳首のところに当ててみてよ」
「十数える間、じっと当て続けてみて」
「スカートめくって、クリの上に当ててみて」

 監督の指示が、少しずつエスカレートしていきます。女性も感じるに従って大胆になっていき、大胆なことをさせられるに従ってさらに感じていくようです。

 女性の様子がだんだん変わっていきます。ローターを体に当てる瞬間、うっとりと眼を閉じるようになります。体が時々、ピクッ、ピクッ、と震え始めます。息が乱れて、小さな喘ぎ声が洩れ始めます。

 以前見ていた時、この辺で欲求不満になっていました。当の女優さんは感じていて、自分一人の世界に入っていこうとしているのに、監督は知らぬ顔で質問を続けるのです。その度に女性は我に返ってしまいます。

 今風に言うなら、空気読めって感じですね。私は女性の乱れる姿が見たくてビデオを買っている訳で、監督のインタビューが聞きたい訳ではありませんから。画面を見ながら、何度も突っ込みを入れていました。

 女性の方も、だんだんイライラしてきます。監督が話し掛けてもわざと聞こえないふりをしたりします。それでもしつこく語りかけてこられて、ちょっと怒った口調になったりします。画面を見ている私も、監督少し黙ってろと思わず口に出しています。

 でも、考えてみれば、当然なんですね。これはアダルト・ビデオですから。女性が全然服を脱がないで、あっさり感じていってしまいましたでは作品にならないんですね。

 ここから先、監督はこの女性の服を脱がせることに全精力を傾けていきます。

「じゃあ、脱ごうよ」
「お洋服、皺になっちゃうよ。ハンガーに掛けておいてあげるよ。脱ごうよ」
「汗掻いてるじゃない。暑いでしょ。それ脱いで汗拭いたら?」

 しまいには、女性の手からローターを取り上げてしまったりもします。

「それ、邪魔になるでしょ? 持っといてあげるから、とりあえず脱ごうよ」

 オモチャを取り上げられた女性は、しぶしぶ、また一枚、服を脱いでいきます。

 こうして、ローターで感じさせる。邪魔をする。服を脱がせる。また、ローターで感じさせるという駆け引きが、延々と続いていきます。

 面白いのは、ここで二人の立場が逆転してしまっていることです。最初は監督が、なんとか女性にエッチなことをさせよう言わせようとして、女性の方が恥ずかしがってしたがらない、という感じでした。今は監督の方が女性にエッチなことをさせまいとして、女性はエッチなことをするために監督の言うことをきく、という関係に変化してしまっています。

 とうとう女性は、パンティ一枚だけの裸にさせられてしまいました。

「じゃあ、しばらく僕は何も言わないから、自分の世界に入っていってよ」

 そして事実、監督はここからしばらく、黙って女性の自慰を見ています。もう姿勢を保つことができなくなっている女性は横になり、股間にローターを這わせています。時々空いている方の手で乳房を揉んだり、ピクピクと身を震わせて悶えたりしています。

「もうそれじゃ物足りないでしょ? こっち使ってみたら?」

 そう言って監督が取り出したのは、一番初めに拒絶した男根型のバイブレーターです。女性は素直にそれを手に取り、スイッチを入れます。

「パンツ脱がなくてもいいから、下のところだけちょっとずらして、中に挿れてみたら?」

 女性は素直に、言われた通りにします。そうしてしばらくじっとしていたのですが、やがてうっとりとした顔付きのまま、監督の方(カメラの向こうに居て、監督の姿は最後まで見えません)に向かってこう話しかけます。

「なんだか、すごく昂奮してきちゃったみたいです」
「いいよ。思い切り昂奮しちゃってよ」
「乱れてしまって、いいですか?」
「いいよ。色っぽいところ、見せてよ」

 そして女性は、カメラの存在も忘れて本気のオナニーを始めます。さっきまで我慢して見せなかった切なそうな表情を浮かべ、挿入しているバイブをはしたなく出し入れし始めます。

 この作品は、それぞれ九十分のビデオです。作品によって多少構成がことなりますが、人妻編については、最初のインタビューが始ってからこの場面まで、いっさい編集無しの長回しでした。そしてこの場面までで、尺のほとんどを使い切っています。

 この場面で初めて、編集が入ります。次の場面になると、女性はもう、パンティを脱ぎ棄てています。脱いだパンティを片方の足に引っ掛けたまま、女性は恥ずかしい場所をカメラに向けたまま、全身を大きく反らせ、ビクビクビクッ、と全身を激しく震わせています。

「あああっ! い、いくっ! いくっ! いくうっ!」

 一段と激しく体を痙攣させて、本当に女性は、いってしまいます。そしてぐったりと身を沈めます。

 ここで再び編集が入ります。全裸のまま、体を起こした女性に対して、「お疲れ様」「どうだった、これ?」などの質問が入ります。渡されたタオルで体の汗を拭いながら、女性は裸のまま、監督のインタビューに答えています。

「そんなに好かったんなら、これあげるから持って帰りなよ」

 女性はてれ笑いをしながら、

「要りません。……癖になったら、どうしよう」

 あとはもう一度、お疲れ様でしたなんて挨拶があってVが切れるのですが。

 なんだ、結局、一番見たい女性がバイブで悶え狂う場面を切っているのか。そこが一番肝心なところじゃないかと思われるかもしれません。

 でも、監督にしてみれば、カットできる場面はそこしか無かったのです。一番見せたかったのは、恥じらいある女性が、とまどいながら、抵抗しながら、だんだん淫らに乱れていく、そのプロセスだったのです。ですから、そこまでのシーンは一か所も切ることができなかったのです。

 私がこの作品に影響を受けているというのもそこのところです。女性が感じて乱れた後の場面より、多少とも理性を残して葛藤する、そしてけっきょく官能に負けていく、その場面により多くの紙数を割くことの方が多いです。

 この作品、今はもう手に入らないんですかね。もう一度、見てみたいんですが。




コラムの目次

http://echigoya.h.fc2.com/kurumaya/kurumaya.html

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