【コラム】 被虐と嗜虐
テーマ:SM談義 SMと言うと、みんな想像するのが理想のマゾ奴隷です。従順で、飼い主の言うことには絶対服従で、飼い主の言い付けならばどんな辛い責めでも甘んじて受けて、絶対に逆らおうとはしない女。
そんな人間は居ません。それはサディストが産み出した勝手な想像の産物であって、現実のものではありません。
私の乏しい経験の中から言わせていただきますが、被虐性と嗜虐性は一つのものの裏表です。強い被虐性を持っているマゾヒストは、それと同じだけの嗜虐性を持っています。
飼い主の責めを甘んじて受け、牝奴隷として飼い主の前にひれ伏す。それが可能なのは、飼い主と牝奴隷の歯車がうまく噛み合っている時だけです。少しでもそこに齟齬が生じると、牝奴隷は猛然として飼い主に牙を剥きます。
困ったことに、マゾの女性は一般の女性よりも情緒が不安定です。いわゆるドMの女性は一般のM女よりもさらに情緒が不安定です。普通の女性ならどうということも無いことに、ドMの女性は敏感に、あるいは過敏に反応します。
サディストが牝奴隷を所有するというのは、自分の嗜虐的欲望を相手に受け入れさせるということだけではありません。M女性が情緒の安定を欠いた時、発動されるM女の嗜虐的な爆発を身を以って受け止めてやるということです。これができて初めて、M女はSに服従を誓うのです。
はっきり言ってこれは非常に分の悪い勝負です。なぜなら、サディストの行う嗜虐的な責めというのは、基本的にM女が待ち望んでいるプレイだからです。それはむしろ、M女にとって甘い餌でさえあります。
対してM女が嗜虐性を発揮する場合、往々にしてそれはSにとって非常に不愉快な、耐え難い攻撃になります。
ある女王様の言によると、M女には独特の勘が働いていて、何をすればサディストが一番苦しむのか、何をすれば一番傷付くのか、的確に把握して、正確にそのポイントを衝いてくると言うのです。
しかもその攻撃は一度では済みません。M女の精神は繰り返し繰り返し、何度も何度も不安定な時期を迎えます。その度にサディストは、彼の魂を引き裂いてくるマゾヒストの攻撃を受け止めてやらなければならないのです。
その苦行に耐えられる者だけが、M女の意に沿うところも沿わないところも全部含めて受け止めてやれる度量の大きさを持ったサディストだけが、自分だけの個人奴隷を所有する権利を有する訳です。
あなたはパートナーに過激なプレイをしてゆきたいと思っているとします。そうするとあなたは、従順で素直な牝奴隷を所有することを諦めなければなりません。過激なプレイを受け入れられる強い被虐性を持つM女は、同時に強い嗜虐性を持つ女性だからです。
従順で素直な牝奴隷を所有するためには、過激なプレイを諦めなければなりません。従順で素直ということは、嗜虐性が低いということです。ということは、被虐性も低い訳で、過激なプレイは受け入れられないということになります。
いずれにせよ、マゾヒストの方の事情を一切考慮せず、サディストの欲望のみを一方的に満足させるような関係はありえないということです。相手が人間である限りは、何らかの形での歩み寄りは必要になってくるのです。
どうしてもそれはできないという方は、SMの願望は妄想の世界だけにとどめて、現実の女性とのプレイは諦めた方がよいかもしれません。
コラムの目次
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1 ■はじめまして
ペタ、ありがとうございます。
いま、ひとつひとつコラムを読ませていただいております。
大変参考になります。