今週のFOMC、5つの注目点 | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

今週のFOMC、5つの注目点

英国が6月23日の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定したことや米雇用市場が発するまちまちのメッセージを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が26・27日開く連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くことはほぼ確実だ。会合後に記者会見は予定されておらず、新たな経済見通しも公表されないため、9月の利上げの可能性を知るための手掛かりがないか政策声明が精査されるだろう。政策声明は米東部時間27日午後2時(日本時間28日午前3時)に発表される。以下に五つの注目点をまとめる。

1.雇用市場をどう表現するか  
米雇用創出に関する最近の指標は良好だが、ここ数カ月のシグナルは強弱まちまちだ。雇用は年初から減速しており、4-6月期の1カ月当たりの平均の伸びは14万7000人と、1-3月期の19万6000人を下回る。6月のFOMC政策声明は「労働市場の改善ペースが減速した」と指摘し、5月の非農業部門就業者数が前月比1万1000人増にとどまったことを反映した。だが6月には持ち直し、伸びは28万7000人と8カ月ぶりの高水準だった。FOMC委員らが雇用改善の持続に確信を持てたかがうかがえる兆候はないか、雇用情勢についての表現に注目したい。

2.海外動向への注目度はどうか
6月の政策声明は「委員会は引き続きインフレ指標と海外の経済および金融動向を注視する」と明記した。FRB関係者らはブレグジット(英国のEU離脱)決定後などの世界市場の不安定な動きに懸念を抱いていることを公言してはばからない。6月14・15日に開いたFOMCの議事録によると委員らは、景気改善が今後も続くのかや、ブレグジット決定を受けて新たな脅威が浮上しないことを見極めるため、再度の利上げを検討する前に追加のデータを「待つのが賢明」だとの見方でほぼ一致した。とはいえ、英国国民投票以降の発言を聞く限り、FRB関係者らはブレグジット決定の影響は抑えられていると考えているようだ。アトランタ地区連銀のロックハート総裁は7月半ば、市場は「かなり秩序立って」おり、「われわれが見てきた金融市場の混乱は米経済に直接的な打撃を及ぼさなかったようだ」と述べた。FOMCが6月までの声明にあった「注視する」という文言を変えて懸念が後退したことを示唆すれば、9月の利上げに前向きな姿勢を強めたサインと捉えて良いかもしれない。

3.経済成長についての見解は
FOMCは6月の政策声明で4月以降に経済活動の伸びは「上向いた」ようだとしつつも、同時に公表したFRB理事らの経済見通しで2016年と17年の成長率予想を下方修正した。委員らは経済成長が3月の声明で指摘した「まずまずの」ペースに戻ったと考えているのかどうか、7月の声明の文言に注目しよう。FRBのイエレン議長は6月の議会証言で、経済成長が続くとの見通しを示しながらも、「経済見通しにかなりの不確定要素が残っている」と警鐘を鳴らした。米商務省が15日発表した6月の小売売上高が好調だったことを受け、委員らが個人消費の拡大は米経済全般にとって良い前兆だと判断する可能性もある。

4.インフレをどう見ているか
委員らは会合でインフレの先行きについて議論する公算が大きい。FRBのタルーロ理事は6日、基本的なインフレ率が目標の2%に近づいているという「確信を強めたい」とし、最近の物価上昇ペースの加速はエネルギー安の影響が薄れたことが原因のようだと語った。値動きの大きい食品とエネルギーを除くコアの個人消費支出(PCE)価格指数は5月に前年同月比で1.6%上昇したものの、物価全般の指標の伸びはまだ弱い。FRBが重視するインフレ指標であるPCE価格指数は前月比0.2%上昇、前年同月比で0.9%上昇だった。6月の議事録によると、一部の委員は会合で、「超低インフレや海外経済成長低迷に端を発した根強いディスインフレ圧力」が意識されるあまり、インフレ率が中期的にFRBの目標に到達するとの確信が持てないと述べた。政策声明のインフレに関する文言に注目し、委員らが少しでも確信を得たかどうか見極めたい。

5.反対票を投じる委員はいるか
カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は3月と4月のFOMCで利上げを支持し、金利据え置きの政策判断に反対票を投じた。だが6月の会合では他の委員と共に据え置きを支持した。総裁は7月14日のオクラホマシティーでの講演で、国内の景気改善がFRBの緩やかな利上げ継続を促すはずだと述べた。この発言は、7月の会合で他の委員が据え置きを選択した場合に総裁が再び反対する可能性があることを示唆しているかもしれない。