2016年02月12日(金) 15時52分18秒

世界で何が起きているのか−5つの原因とは

テーマ:注目の話題
株式、債券、為替、コモディティー(国際商品)の年初来のボラティリティー(相場変動率)上昇を受け、投資家は何が起きているのか慌てて見極めようとしている。

もっともらしい答えが見つかったかと思うとすぐに市場は反対方向に動き、また説明がつかなくなるといった毎日だ。少し前までは、原油価格の急落が株価指数下落の最大要因のように思えていた。だが今では、S&P500種指数の年初来下落率が業種別指数の「エネルギー」の下げよりも大きく、さらには「金融」がそれ以上に大きな下げ幅を記録している。
 
広く受け入れられるような包括的な理由を見つけるのは難しいことが分かったため、およそ十分とは言えない矛盾した説明が乱立しているありさまだ。それでもアナリストやトレーダーは、前途に待ち受ける相場の山や谷に備えロードマップ(行程表)を作成したい一心で答えを求め続けている。
 
コモンウェルス・フィナンシャル・ネットワークのブラッド・マクミリアン最高投資責任者(CIO)は「投資家の信頼感を大きく揺るがす悪材料が世界中で同時に発生した」とし、「足元のボラティリティーは極めて異例で恐ろしいと受け止められており、そうした側面が問題を悪化させている」と指摘する。
 
では市場の動きを説明する一番の方法は何か。以下に五つの理論を挙げる。

1.動きの速い投資マネー
 
投資家は昨年、預貸利ざや(貸出金利と預金金利の差)が拡大することで銀行の利益が増えると予想していた。ほぼ1年を通じて米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げの構えを見せていたからだ。だが年が明けると、投資家は「より低い金利がいっそう長く続く」との見方に転じた。あと数年は金利が大きく上昇することはないという粛然たる投資家予想を背景に、銀行株は年初から急落している。日本銀行が1月29日に発表したマイナス金利の導入は、すでに足元がふらついていた世界の金融部門に衝撃を与えた。

こうした流れは世界経済に垂れ込める暗雲と、「マクロ(経済)の」主要問題を材料に大きな相場変動に振り回されてきたここ1年の取引を浮き彫りにしている。
 
TCWグループのシニアポートフォリオマネジャー、ダイアン・ジャフィー氏は「動きの速い投資マネーは利上げを見込んで2015年末に銀行(株)へ流入したが、その後逃げ出した」と言う。

2.人民元への懸念
 
現在の市場混乱の発端は中国だとの指摘もある。中国が人民元相場の切り下げを余儀なくされるとみる投資家は多い。そうなれば、少ない輸出収入をめぐり国同士の競争が激化し、世界の景気懸念がいっそう深まる可能性が高い。中国当局は人民元を減価させる考えはないとしているが、一部のヘッジファンドは数十億ドル規模の元売りを仕掛け、切り下げに追い込もうとしている。
 
8月の人民元切り下げが世界株安の引き金となったこともあり、アナリストらはこうした攻防を注意深く見守っている。政府統計の信頼性が長らく疑問視されてきた中国の景気の弱さがいずれ露呈するとの懸念も強い。QSインベスターズのポートフォリオマネジャー、ウェイン・リン氏によると、多くの投資家は(中国の)最近の動向が「ハードランディング(硬着陸)」を意味すると案じている。

3.政府系ファンド(SWF)の売り
 
原油価格が高かったときに産油国は数十億ドルもの資金を投資ファンドに注ぎ込んだ。だがこれらのファンドは現在、当時買った株式の売却を進めており、これが米国株の売りを加速させているとの見方もある。
 
ドイツ銀行のデータによると、産油国投資家の保有比率が特に高い米国株は、証券取引所を運営するナスダック、貴金属・宝飾品大手ティファニー、保険大手アメリカンファミリー生命保険(アフラック)、資産運用大手ブラックロックなどだ。
 
もちろん、実際に株を誰が売って誰が売っていないかが分かるデータはほとんどない。また、これらのファンドがどれほど大規模だからといって本当に米市場に多大な影響を及ぼし得るのか、疑問視するのも一理ある。
 
JPモルガンは、世界のSWFが今年売却を余儀なくされる株式の総額を750兆ドルと予想しているが、米国市場の時価総額は直近で20兆9500ドルだ。
 
JPモルガン・アセット・マネジメントのマルチアセット・ソリューションズ部門グローバルストラテジスト、ベン・マンデル氏は「原油安の長期化が予想されるが、原油収入を原資とするSWFの投資動向が米国株や株式一般にとって致命的な脅威になるとは思わない」と指摘する。

4.米景気減速への不安
 
多くの投資家は、ここ数年にわたり先進国中最も堅調だった米国の経済成長がドル高などのさまざまな世界要因の影響で頓挫する、との不安を抱いている。米サプライ管理協会(ISM)が発表した1月の製造業景況指数が業況の拡大・縮小の境目となる50を4カ月連続で下回ったほか、1月の米雇用統計では非農業部門就業者数の伸びが鈍化したことが明らかとなり、連邦準備制度理事会(FRB)関係者らは懸念を示している。
 
UBSウェルス・マネジメント・アメリカスの株式シニアストラテジスト、デビッド・レフコウィッツ氏は「誰もが実際に気にしている最大のリスクは、新興国が大幅に減速し、その影響が米国に波及することだ」と言う。 

5.需要低迷

2014年6月以来の原油価格の低迷は、原油安をよそに世界の産油国が増産に走ったことによる供給過剰が主な原因だが、最近では需要の鈍化も指摘され始めた。
 
キングスビュー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏は「コモディティー価格全体が低迷した場合、一般的に言えば、それは世界的に需要が弱いということだ」と話す。
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