秋葉原やJR埼京線、タクシー車内から高級住宅地まで、監視カメラが急増している。最近はレジの紙幣の番号まで判別したり、写真を3D化するなど高性能化が進んでいる。監視カメラの最新事情を探った。【岡礼子】

 旧製品は磁気テープによる保存のため、映像がぼやけていた。最近登場したフルハイビジョンのカメラは、画像がくっきりしている。08年12月に発売の三洋電機の製品は、天井に設置してレジまでの距離が2~3メートルの場合、紙幣の番号まではっきり見えるという。値段は29万4000円。別メーカーの従来品が約5000円から買えるのに比べ、かなり割高だ。

 検索技術も進み、大量の映像から、特定の人物が映った画像を選べるようになりつつある。開発中の日立製作所によると、数百万の画像から約1秒で似た画像100件を抽出できる。抽出された人物が一致する割合は約9割という。設置場所などが課題で、実用化の時期は未定だ。

 映った人の特徴を自動的に記録し、検索可能にする技術を開発中なのはNEC。映像から年齢や性別を判別し、「赤い服の女性」「40代の男性」といった説明を自動的に付ける研究を進めている。

 また警視庁と東京都計画調整部は、横顔やうつむいた顔の照合精度を上げるため、写真を3D画像に変換するシステムを開発中で、10年度末に試験運用を始める予定だ。

 設置場所のIT環境やコストの問題から、最新のカメラはまだ少ない。だが秋葉原電気街振興会など4団体が今年度中に設置するカメラは、無線でネットを介してデータを送るなど、高性能タイプは徐々に広まる。

 技術の向上でプライバシー侵害の懸念も高まる。日本弁護士連合会情報問題対策委員会の武藤糾明弁護士は「画素数が上がって、常時クリアなデータが流れ、蓄積できる。個人の行動履歴がネット検索で分かる時代が目の前に来ている」と指摘。「多くの人は『悪いことをしていないなら、なぜ監視カメラが嫌なのか』という感覚」と嘆く。データがハッキングされ公開される恐れもある。

 警視庁によると、防犯カメラはコンビニや交通機関を含め、都内に約8万台(08年)。新宿や渋谷などの繁華街に150台、全国で初めて条例で防犯カメラを届け出制にした杉並区には、官民で約1600台がある。

 防犯カメラに犯罪の抑止効果はあるのか。警視庁の調べでは、歌舞伎町での路上犯罪の認知件数はカメラ設置時の571件(02年)から492件(09年)になったが、上野は151件(06年)から146件(09年)と横ばい。分析は難しい。今年1月に設置した神田末広町会会長の久保勝さんは「犯人が捕まるわけではなくても、抑止力になれば」と期待する。

 作家の平野啓一郎さんは小説「ドーン」で、監視カメラで行動を逐一検索できる世界を描いたが、そんな日は来るのだろうか--。

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