猫の後ろ姿 1146 叔父という存在
榎並和春個展-どこか遠くへ- 6月1日~21日
山口画廊 043-248-1560 10:00~20:00
2013月5月27日の朝日新聞月曜歌壇に次の2首が選ばれていた。
シベリアの四年の月日語らずに老人ホームに四年目の叔父
(半田市)依田良雄
つぎ会いたくば靖国に来よと叔父は言ひし昭和十九年われは十一歳
(長野県)沓掛喜久男
2首に共通する、「叔父」が「伯父」ではないところに意味がある。「伯父」は父母の兄、「叔父」は父母の弟になる。長男は兵役が免除となることがあり、戦場に駆り出されたのは、次男・三男・四男らであった。つまりたくさんの「叔父」たちが戦野に戦い、そして命を失った。
戦場から戻ることができた「叔父」たちは戦争の姿を語ることは少なかった。語りえなかったというべきだろうか。
戦争に駆り出された「叔父」の歌をもう一つ。シベリア抑留を生き抜いた「叔父」の歌である。
「ここより他の場所」を語れば叔父の眼にばうばうとして煙るシベリア
寺山修司