地球上の脊椎(せきつい)動物の個体数が1970年から3割減少するなど、生物多様性の損失に歯止めがかからない深刻な実態を盛り込んだ国連生物多様性条約事務局(カナダ・モントリオール)の報告書が9日、明らかになった。各国政府が02年に合意した「10年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」との世界目標は達成できなかったと結論付けた。10日に公表する。

 報告書「地球規模生物多様性概況第3版」によると、生息地の改変、乱開発、汚染、外来種の侵入、気候変動などで生物多様性が損なわれた。脊椎動物(魚類・両生類・爬虫(はちゅう)類・鳥類・哺乳(ほにゅう)類)の個体数は70~06年に平均で31%減少し、特に熱帯に生息する動物は59%減った。生息地が耕作地や牧草地に転換するため破壊されたことが大きい。両生類は42%の種で個体数が減少し、最も絶滅の危機に直面しているほか、植物の約4分の1は絶滅危惧(きぐ)種と考えられる。

 また、地球温暖化に伴う海の酸性化や海水温の上昇など複合的な原因で熱帯サンゴ礁の生態系破壊が進むと、何億人もの生活や食が脅かされると予測した。

 報告書は、生物多様性は過去1万年にわたり人類の生活を支えてきたが、今後もその恩恵を受けられるかどうかは、今後10~20年の取り組みにかかっていると指摘。温暖化対策との連携や生物多様性保全を政策の中心に据えるよう各国に働きかけるなど、有効な対策を取らないと、二度と多様性を回復させることはできない、と警告した。

 各国は10月に名古屋市で開かれる同条約第10回締約国会議(COP10)で、今回の報告書を踏まえて対策を議論し、新たな世界目標を決める。【足立旬子、江口一】

 ◇<ことば>地球規模生物多様性概況

 国連生物多様性条約事務局が公表する地球の「生物多様性白書」。01年、06年に続き作成された第3版は、世界目標の進行状況を評価するため、各国が提出した報告書をもとに、生物多様性の損失の状況や原因のほか、このまま損失が続いた場合の将来予測を盛り込んだ。

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