映画* ナニー・ダイアリーズ  | 有閑マダムは何を観ているのか? in California

有閑マダムは何を観ているのか? in California

映画に本に音楽。

山に海に庭。

インドア・アウトドア共に楽しみたい私の発見記録です。 

映画の中では俳優さんたちが、さまざまな組み合わせで夫婦やカップルを演じますね。

中には、

どう見ても、しっくりこないよね・・・

という二人もいれば、

むむむ・・・これ、演技だけじゃないのでは?

と思わせられるような、息ぴったりのお似合いカップルもいます。


ローラ・リニーとポール・ジアマティが夫婦 という設定はどうでしょうか。



Paul Giamatti   Laura Linney



いやー!! ダメダメ!!

どう見てもこの取り合わせは似合わない!!


さて、この映画の中で二人はミスター・エックス&ミセス・エックスという夫婦役。

人もうらやむような高級住宅地で、贅沢に暮らす申し分のない生活のように見えるのは表面だけで、実質上すでに破綻しています。

(ほーら、やっぱり!)

金はあるが、愛がない。


ポール・ジアマティ演じるミスター・エックス、これがもう、鼻持ちならないオヤジなんです。

自分勝手で傲慢で女癖が悪い。

人の気持ち、特に妻の気持ちなんかコレッポッチも考えないタイプ。

下手に金を持っているある種の男というのは、人間性に魅力がなかろうが、外見が悪かろうが、必ず寄ってくる女がいるので、自分はモテモテだと勘違いしちゃったりしてタチが悪い。


ミセス・エックスだって、外側ばかり取り繕って肝心なことを全然やらない、偉そうな金持ち夫人のように描写されているのですが、結局彼女がそんな風になってしまったのは、寂しさの裏返しなんですね。

自尊心が高く、社会的なメンツがあるから、壊れた家庭とか、夫に顧みられない自分なんて認めるわけにはいかない。

心の中にビュービュー吹き荒れる木枯らしをなだめるために、間違った方向にばかり力を注いでしまい、夫の自分に対する態度をなぞったかのように使用人に対して接してしまう。


そして、その家庭で一番精神的に負担がかかっているのが、彼らの一人息子。


ここに住み込みの子守=ナニーとして雇われることになったのが、アニー(スカーレット・ヨハンソン)。

大学を卒業したばかりの求職活動中、ふとした行き違いから、ニューヨークのアッパー・イーストサイドに住むエックス家へ。


Nanny Diaries



そう、この映画の主人公はアニー。

お金持ちのエックス家でナニーとして働いたことにより、

自分が一体これからの人生どのように生きたいのか、何をしたいのか、

という方向性を見出す、彼女が大人へと成長する物語


看護婦として働くシングルマザーの母に、贅沢など出来なかったであろう家庭の中で一生懸命に育てられてきた自分の環境と丸っきり違う世界を垣間見たアニー。

幾らお金があっても、必ずしも幸せは手にすることが出来ないという実例を学習します

アニーのお母さんは、娘には自分のような苦労はさせまい、しっかりとした収入を得られるプロフェッショナルの職につかせようとして育てがんばってきたのでしょうね。

でもやっぱり、収入が良いからというだけで興味も持てない職につくよりも、大したお金は稼げないとわかっていても自分の好きな道を選ぶ・・・、そう決断できたのは、アニーにとって大きなステップ。


ところで、この映画。

同じく大学を卒業したホヤホヤの女の子が、ファッション業界で奮闘し成長する「プラダを着た悪魔」と比較されることも多いようです。

主人公にアン・ハサウェイ、業界のやり手である鬼のように厳しいボスにメリル・ストリープが配役され、これを観たとき、私は主人公よりも人生の紆余曲折を経て「今」を手に入れたであろうボスのほうに、断然興味をもってしまいました。


「ナニー・ダイアリー」でもやはり、スカーレット嬢の成長云々よりも、ミセス・エックスのほうがよほど気になってしまう存在でした。

そう、実は彼女も成長するんですよ!

社会的地位を手にしている金持ち夫人が、お尻の青い使用人の忠告で人生を考え直すなんて、なかなか出来ることじゃありません。

聞く耳を持てない人がほとんどでしょうね。

また、たとえ忠告が正しいと認めたところで、行動をおこせるかどうか・・・それもまた大きな難関。


もともと好きな女優さんなので注目してしまう、という部分もあるのですが。

ゴージャスな金持ち夫人ミセス・エックスを演じるローラ・リニーが見事!

彼女を一番最近見たのは、オーストラリアの僻地、ジンダバインに暮らす精神が不安定な主婦役。

おしゃれとは程遠く、ほとんどスッピンのようないでたちだった彼女が、今回のゴージャスでリッチなご夫人役。

180度違う役なのに、どちらもピタリとはまるのですよー。

彼女は映画「The Saveges」の演技で、今回のアカデミー主演女優賞候補にあがっていますよね。

この映画も、期待大です!!



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* 「プラダを着た悪魔」の過去記事リンク


* 「ジンダバイン」の過去記事リンク