- 思春期に入り、周りの友達は次々と身体つきが女らしくなったり、月経を迎えたりし始め、自分もそのうち・・・と思っているのにまるっきりそんな気配のない、主人公・カリオペ。
- ブラの中にティッシュを入れてみたり、初潮があったと母親に告げたりしてごまかしているものの、自分でも何かおかしいと不安が募り始め、ある事件から衝撃の事実が・・・!
ごく普通の男の子・女の子でさえ、十代といえば自分の外見が非常に気になり、友達と比べてああだこうだと心配になったり、コンプレックスを抱えたり。
精神的にもアンバランスな状態になりがちだというのに、カリオペの場合は生まれつきの両性具有だったのです。
赤ちゃんの時には、なかなか判断が難しいことが多いらしく、「女の子」として本人も家族も何の疑いもなく育ってきた子供時代。
その大前提が、14歳で突然根底からそっくりとひっくり返るなんて・・・。
- Jeffrey Eugenides
- Middlesex
物語は、カリオペの祖父と祖母がギリシャの村を戦火から逃がれ、アメリカに移民してくるところから語られます。
カリオペの染色体異常が発生してしまった背景を理解するには、3代遡っていかなくてはならないわけですが、この祖父母~父母の代に渡るお話だけでも、相当な読み応えがあります。
けして口外できない大きな秘密を隠した祖父母の結婚。
当時、自動車産業が興隆していたデトロイトの町の様子、人種問題など。
後半になり、カリオペが親友の女の子に恋心を抱き始めてからの関係と身体に関する悩みが常に陰のように付きまとい始めるころの描写になると、彼女(?)がどうなっていくのか気になって気になって、夢中で読んでしまいました。
そして、自分の身体に関する事実を知り、家出をするくだりになると、52年前に、戦火を逃れて移民してきた祖父母の姿と自分自身の姿が重なってきます。
船に乗って海を渡ってきたわけではないけれど、祖父母がなにもわからない新しい土地で一から生まれ変わったように、カリオペもカルという男として、新しく生まれ変わろうとしているのです。
両性具有、近親相姦といった衝撃的なテーマを題材にしながらも、語り口はあくまでも冷静に淡々と進んでいき、興味本位の下品な覗き趣味的ないやらしさは、全く感じませんでした。
しかも、深刻な話のなかでときどきチラリと入るユーモアには救われます。
ピュリッツアー賞受賞も納得の、大満足の物語でした。
著者、ジェフリー・ユージェニデスは、映画ヴァージン・スーサイズ の原作の作者でもあります。
あの映画を観たときには、濃厚な十代の女の子達をとりまく空気や雰囲気作りのうまさは、監督であるソフィア・コッポラの腕によるものだと思っていたけれど、ミドルセックスを読んで見ると、もともとの脚本にもきっと非常にリアルな女のこの世界が描かれていたのだろうなあ~と想像できます。
大人の男の人が、こんなにリアルな13歳、14歳の女の子達の会話をつくりあげたり、感受性をここまでうまく文章にするなんてどうしてできるのだろう??
日本語訳も出ているようです。
- ジェフリー・ユージェニデス, 佐々田 雅子, Jeffrey Eugenides
- ミドルセックス
あ! 佐々田雅子さんが訳者なんですね!
彼女の 冷血 の訳はなかなか読みやすかったから、きっとこちらも期待が持てそう。
いくつか、「ここは日本語にするとしたら、どう訳すんだろう??」って思ったところがあったので、立ち読みでも出来たらチラチラ覗きたいところです(笑)。





1 ■怖いでしょうね。。
十代の頃というのは、ちょっとした違いなんかでも迷いましたよね。私は初潮が来たことを、3ヶ月ぐらい誰にもいえなかったです。
(おかげでその間生理用品の使い方間違えていたんですが・・・)
この主人公の葛藤は辛いでしょうね。。。
どきどきするストーリー展開が有閑マダムさんのこの記事からも伝わってきます。