泳げタイヤキ君
◆泳げタイヤキ君とピアソラ「フーガの神秘」
SAYAKAの「水色」とアルゼンチン・タンゴの巨匠ピアソラのコード進行共通性を指摘したが、今回はその基礎となるバラード調の定番コード |Ⅵm-Ⅰ|Ⅶm-Ⅲ7| について研究しよう。
これはベースラインがラ→ソ→ファ→ミと下降するマイナー(=短調)曲の王道パターン。
まず、パクリ系で指摘される、「泳げタイヤキ君」とピアソラの「フーガと神秘」。第一小節目が同一メロディであるが、一見異なるコード進行のようだ。
(譜面訂正:タイヤキ君は、|Em-G|Em-G|Am-Em|F#m-B7|ですね。つまり|Ⅵm-Ⅰ|Ⅵm-Ⅰ|Ⅳm-Ⅵm|Ⅶm-Ⅲ7| )
フーガの神秘の2小節目までの進行 |Em-G|F#φ7-B7|(F#φ7はハーフディミニっシュ)は、ローマ数字表記で、
|Ⅵm-Ⅰ|Ⅶm-Ⅲ7| となる。ⅦmはⅣmのサブドミナントマイナー(→スターウォーズ )だから、
|Ⅵm-Ⅰ|Ⅳm-Ⅲ7| 。この第1小節を2回繰り返して、
|Ⅵm-Ⅰ|Ⅵm-Ⅰ|Ⅳm-Ⅲ7| 。3小節目を倍テンにし、ⅣmをⅣ→1バンプ化し、Ⅲ7をツーファイブ(完全5度上昇)化すると、
|Ⅵm-Ⅰ|Ⅵm-Ⅰ|Ⅳm-Ⅰ|Ⅶm-Ⅲ7| 。3小節目ⅠをⅥm代理すれば、
|Ⅵm-Ⅰ|Ⅵm-Ⅰ|Ⅳm-Ⅵm|Ⅶm-Ⅲ7| 。泳げタイヤキ君と同一である証明おわり。
|Ⅵm-Ⅰ|Ⅶm-Ⅲ7| は循環コード|Ⅰ-Ⅵm|Ⅱm-Ⅴ7| と非常に近しい。前者はド→シ下降、その後完全5度上昇を3回繰り返し、代理のドに戻る。後者はドから代理ラに下降、その後完全5度上昇を繰り返す。
とにかくこの完全5度上昇ループも音楽の定番なので、
|Ⅵm-Ⅰ|Ⅴ-Ⅲ7|Ⅳ-Ⅶ7|Ⅲ7| というSAYAKAのコード進行もそのひとつのバリエーションに過ぎないわけだ。本当は、パクリとかそういう次元の話でないのだ。
- アーティスト: アストル・ピアソラ
- タイトル: ブエノスアイレスのマリーア