ものごとにはキッカケがある。
ヒトの思考を形成する為の原点がある。

私の趣味的モーターサイクル生活の原点。
今回は、その話をしようか。

月刊:DUCATI F750 村山SP!

『摺本好作のバイク・イラストレイテッド』 1985年出版

この1冊の本こそが、今の私の礎(いしずえ)となるモノ。
中学生のころ、たまたま親父の寝室で見つけたのがハジマリ。
倉敷中央図書館から借りてきたものなので、じきに返さなければ
ならなかったが、返却後も私は幾度となくこの本をリクエストし
繰り返し繰り返し閲覧し続けた。

何度読み返したか、わからない。


月刊:DUCATI F750 村山SP!

DUCATI マッハ1

初めてドカティというモノを知った、記念すべきページ。
シンプルな構造、セパハン、スリムなシート、低いライト位置。
とにかく、スタイルが良かった。

250ccという排気量も、当時まだ免許を持っていなかった
中学生の私には、大いに親近感を持つ理由になった。
自分が乗るならイエローデスモかな、と思った。


月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!

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■プロローグ 『いつも僕といた表情豊かな仲間(バイク)たち』

ヤツラにもハートがある。

ゴーマル(BMW・R50)は追い越しに注文をつける。
べスパは乗り手の服装にうるさい。
ドカデスモは、早く早くとウォーミングアップをはしょらせる。
ナナゴー(BMW・R75)はもっと荒っぽく扱えと言い、
トラは信号でエンジンを止めろとうるさく言った。

(中略)

いろんなことがあって、僕も半世紀生きた。
ヤツラの姿を見ると、僕の生活が見えてくる。

ヤツラは僕に何を言いたいのかな。
そんなことが中心になったこの本はヤツラが書かせた本です。

よっ、いい仲間
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こんなカンジでこの本は始まる。

1959年から1985年に至るまで、実に36台に及ぶ
個性的なバイクとの付き合いを、著者:摺本好作氏が
イラストと文章で、一台ずつ、丁寧に紹介していく。

ヤツラにもハートがある。

この言葉が、当時まだ免許さえ持たない中学生の私に響いた。
絵や文章をもとに、まだ見ぬこれらの個性的なエキストラを
アタマの中に何度となく思い描いた。

いつか、私もそんなバイクと付き合いたい。

『ハート』を感じる、実車との初めての出会い、
それがべベルの900SS だった。
生き物のように存在を主張するべベルのL型2気筒、
本の中から飛び出してきた、ハートフルな世界。


これが、私の趣味的モーターサイクル生活の原点。
その時の感激をご想像いただきたい。

===

さて。

月日は流れて20年後の現在。
先日、もうひとつの感激と出会う機会を得た。

月刊:DUCATI F750 村山SP!
摺本好作氏を訪ねることが出来たのだ。


月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!
月刊:DUCATI F750 村山SP!

ヒトとバイクの縁は本当に不思議なものだナ、と思う。

すばらしい機会を下さったkaeruさん、アリガトウです。
そして、いつも私という存在を静かに代弁してくれる相棒、
F750村山スペシャルも、ありがとうナ。
 

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車暦(全部ドカティ)

テーマ:


Kenです。
F750 村山SPの相棒です。
ドカティとの付き合いは4台目になります。

車暦を少々。

1台目は92年型400SSでした。
白ホイール、白フレーム、赤のハーフカウル。
このマシンに乗りたくて中型免許を取得したように
記憶しています。ということは、初めてのバイクが
ドカティだった、と。(笑)
11000回転まで、凄まじく上昇するエンジンに
2気筒の先入観が一気に吹き飛びました。

2台目は93年型モンスター900。
「やっぱり900がいいなぁ」というわけで限定解除。
(大阪・光明池で7回目に合格、したときは嬉しかった)
渋滞も狭い峠道もなんのその。アップハンドルで
ドカティとしては信じられないようなライン取りで
916を追いかけていました。
(そしたら、その916がアップハンドルになった。反則。)
一番長い付き合いだったのがこのマシンでした。
乗りやすかったなぁ。

3台目は真打。
「やっぱりベベルがいいなぁ」というわけで
マイク・ヘイルウッド・レプリカ。
しかも手に入れた時点でNCR仕様になってました。
ラッキー。
そりゃもうアナタ、このマシンとの日々は
薔薇色でした。すべてがオーディオ・ヴィジュアル。
凄まじいケッチンも、アフターファイアも、
キャブからの吹き返し(炎付き)も、すべてが
いい思い出です。

TIサーキット・裏ストレート、4速・8000回転。
魅惑のコンチ・サウンドが忘れられません。
本当に。

参照:ベベルの思い出
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ベベルの思い出

テーマ:


私のバイク生活、その原点はベベルです。

中学生の頃、学校の近所にあるバイク屋さんに顔を出していました。BMW・R50、ハーレーディビッドソン、カワサキ・W、ホンダ・CB750などオイルと燃料の香りがする大型バイク達が狭い店内にごろごろと転がっている中に、ある日見慣れないバイクを見つけました。

細長い車体、まっすぐ伸びた排気管、長いタンク、ロケットカウル。そしてエンジンですが、今までに見たことがない奇妙なカタチでした。直立しているのがシリンダーであることは、すぐにわかりましたが前に突き出たこれは...。

「これナニ?」
「それもシリンダーだよ。」
「!!!」

世の中に「Lツイン」というものが存在することをはじめて知りました。前シリンダーが縦、後ろシリンダーが横に深く刻まれたフィン、それぞれに独立したキャブレター、四角いケース、美しいカーヴを描きまっすぐコンチ・マフラーへと伸びていく太いエキゾースト・パイプ。どんなオトがするんだろうネ。

「エンジンのオトが聴きたいです。」
「いいよ。」

なにやら儀式のような動作をして店の主人はキックペダルを踏み下ろす。その瞬間、静寂は破られ、凄まじいオトと共にベベルは目覚めた。
パタパタと弾けるような鼓動。
ひとつひとつ吐き出されるガスのカタマリ。
呼吸するかのようなデロルトの吸気音。
グリグリと回るベベルギアの鳴り。

センタースタンドをかけ、エンジンがアイドリングしている状態なのにこの音響効果はどうだろう。凄まじい存在感!
止めてもいいかい、と聞かれるまで私はそのエンジンの前をいろんな角度から眺めながら聴き入っていました。

「生き物みたいなエンジンがあるんだ」
コレが、ベベルとの最初の出会い。

それから月日は流れ、私はドカティに乗るためだけに免許を取得し400SS、M900モンスターと、順調に(?)ドカティとの付き合いが続きましたがやはり、どうも気になるのです。
あのベベルが。
どこまでもスマートに回転してゆくコグドベルトのエンジン、その重低音も大好きなのですが、やはり、どうも気になるのです。
あの弾けるようなベベル・エンジンが。
現行のドカティに乗りながら、そこにオーヴァーラップさせていたのはいつぞや見たベベルだったようです。

そんな折、TIサーキットのイベントレース、モトルネッサンスでベベルのドカティに出会いました。
丁度エンジンをかけるところ。
「そうそう、この弾けるようなサウンドだよね」
そしてブルブルと振動するべリア・メーターの針を見ていたときに、ふと確信しました。

「やはり、私はベベルに乗ろう。」

さて。
運命というものは不思議なもので、ベベルに乗る決心がついたとたん近所のバイク屋にマイク・ヘイルウッド・レプリカが入荷するとの噂を聞きました。82年型、キック仕様。しかもNCRタイプ。
「アイドリング安定しているよ」

私は迷うことなくモンスターを手放し、ベベルのオーナーになりました。

サッソク、いつもの峠へ。その感想やいかに。
「とんでもないモノを買ってしまった」と驚くのかと思いきや意外なほど違和感なく走ることが出来ました。もちろん、現行モデルに比べると気性が荒く、ラフな扱いは出来ませんがマシンが要求してくる自己主張が明確に感じられて、むしろそれが自然であるかのように感じられました。

18インチの細いタイヤは、それまでの17インチとはまるで違う乗り味なのでかなり戸惑いましたが、慣れてくると、実はそこにとても繊細なコーナリング・ワークが隠されていることに気がつきました。

それまでの17インチの乗り味を
「消しゴムでなぞるような」コーナリングと例えるとすれば、この18インチは「ナイフのエッジを立てるような」感覚になります。

絶対的なグリップ能力は、もちろん17インチラジアルの方が上ですが18インチの場合、しっかりとコーナリングの組み立てを考えてやるとかなりアベレージの高いペースで峠を攻めることができるようです。丁寧に減速し、コーナリングスピードを殺し過ぎない程度にバンクし、アクセルを丁寧に開き、後輪に入力してやる、と。

いつもの周回コース。
走り込んで慣れてくると、いつのまにやら凄まじいペースで駆け抜けることが出来るようになりました。エンジン、車体、タイヤ、気温、路面、その日の体調。いろいろな情報と会話をしながら、決して目を三角にすることなく高速コーナーでおおらかにカーヴを描いていくこの快感。

どんなに高回転でもそこからさらにアクセルをひねるとしっかりと1発1発の爆発が鼓動となってひたすら後輪を蹴飛ばす様子が手にとるように観測できます。

その後、峠道だけでなくTIサーキットも何度となく走りましたが、このマシンはどちらかというとサーキットの方が得意なようです。

とりわけ得意なのが高速コーナー。
ロングホイールベース&18インチを存分に楽しめるトコロ。タイヤが細いので、MOSS-Sなどの高速S字カーブはほんの少しバンク入力を加えてやるだけで、素直にクリア。そしてフルブレーキ。ブレンボの2ポッドキャリパーは非力な為ロックの危険性がなく安心してブレーキ・レバーを握り込むことが出来ます。ナチュラルABS(?)。

飛び込んだコーナーで、なるべくスピードを殺さないように意識しながらバックストレートへの立ち上がり、上手くスピードを乗せてゆく。3速、8000回転まで引っ張る。息の長い加速。シフトアップ。4速、同じく8000回転まで。さらに息の長い加速。アイドリングではアレだけパタパタ言っていたのに、この高回転、ストレスなくさらに伸びていく。キャブは吸気音を高らかに響かせ、コンチマフラーは目一杯エグゾーストノートを歌い上げる。

長い長いストレート。
それはこれら官能的なサウンドを楽しむ為にある。

手に残る振動。耳に残るオト。
カウル越しに見える非現実的な視界とともに
それらの記憶は今でも鮮烈に焼き付いているのです。


そのベベルはその後?
実は残念ながら手放してしまいました。
東京へ出る時に、生活費に化けてしまったのです。

それから5年。
今、新しい相棒としてF750村山SPを選びました。
もちろん、コイツとの付き合いに大変満足しています。

が、そのうち。
トランスポーターを買って、
自分で整備できる環境が出来たら、
いつかはベベルを買い戻すゾ。
そして、レースに出るゾ。

実は、密かに、静かにそう考えているのです。
やっぱり、私のバイク生活の原点は、ベベルなのです。
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