エネルギー代謝に重要なビタミンB群 | 精神科医:みえしん院長

精神科医:みえしん院長

精神科医・産業医のブログ!心理学や精神医学、療養の方法から、障害者の結婚相談など障害者のお役に立てるサービス提供をしています。

おはようございます(こんにちは)。三重心身クリニックの臼井卓士ですニコニコ


三重心身クリニックではこころの病やメンタルヘルス不調に対し、お薬の処方をしたり、カウンセリングでの治療も行っていますが、分子整合栄養医学という学問に基づいた、栄養素による治療も行っております。


前回は、久しぶりの分子整合栄養医学関連の記事を投稿させていただきました(→過去記事 )。


特にビタミンB6を例に挙げ、ビタミンB6の不足から様々な心・身の変調が生じること。そして重要な栄養素だからこそ様々な病態に対しビタミンB6をはじめとするビタミンB群を共通して処方することをお伝えしました。また、これまでは、あまり関係ないと思われていた病気の関連性などが、分子整合栄養医学という視点をもちいることで新しい解釈と治療が可能になりつつあるともお伝えしましたね。


さて、三重心身クリニックの分子整合栄養医学外来(サプリメント外来)は私が精神科専門医ということもあって、他院で「うつ病」「パニック障害」「自律神経失調症」などという診断を下された方が多く受診されます。
当院では栄養カウンセラーが問診をとるのですが、患者さんに共通する症状の一つに、
「どうしようもない疲労感」というものがあります。
精神医学的にはうつ病では「易疲労」という症状が出るので、多くの精神科医療機関では「抗うつ薬を飲んでうつが治れば良くなる」など
と説明されますが、多くの場合、薬が増えるごとに「どうしようもない疲労感」は増える傾向が強いようです。
また疲労感といえば、不登校や引きこもりの方にも多い症状です。


この疲労感という症状にたいして、心理領域では様々な学説や治療法が提案されてきました。私も心理臨床家として、自説もいくつか発表させていただいたことがございます(→拙論はこちら )。


さて、様々な視点から疲労感を分析できることができるのですが分子整合栄養医学の治療を行うことによって疲労感が改善することは非常に多く経験いたします。
今回の記事では、この疲労感を分子整合栄養医学的にエネルギー代謝という側面で書いていきたいと思います。


私たちの身体は脳も含めて、「アデノシン三リン酸」 ( ATP ) というエネルギー物質によって活動しています。ATPは生物が生存したり増殖するための生体エネルギーであり、私は高校時代の生物の先生に「ATP は生体のエネルギー通貨」と教えていただいたことをいまだ印象深く覚えております。ともあれ重要な物質であり、脳を含め身体を疲労させないためには、ATPをどれだけ効率よく産生できるかが重要です。


ATPを作るための3大栄養素は糖質・脂質・タンパク質です。なぜ3大栄養素と呼ばれているかというとこれらの栄養素が、ATPを作る基にな
る栄養素であるからです。

ATPを作るために3大栄養素は、基本的にピルビン酸となり、その後にアセチルCoAという物質に変化します。疲労の大きな原因の一つに「乳酸」があるのですが、乳酸は、このピルビン酸から作られます。


臼井卓士のブログ
つまりピルビン酸の量が増えると乳酸の生成が増えやすくなります

上の図で考えると

ピルビン酸 右矢印 アセチルCoA

という反応が円滑に進まないときに起こります。
酸素が十分存在することも重要ですが、ナイアシンを含めたビタミンB群がこの過程で重要になります。


今日はこのあたりで失礼いたします。

(参考文献)
溝口徹:診たて違いの心の病 ― 実は栄養欠損だった!.第三文明社.2006.

ペタしてね