片頭痛(片頭痛様頭痛)を主症状とする遺伝性疾患が報告されている。


Aautosomal dominant retinal vasculopathy with cerebral leukodystrophy (OMIM #192315)は、常染色体優性遺伝形式で,多発性脳梗塞に網膜障害や腎障害を伴う。

当初、中国系アメリカ人家系においてHERNS (Hereditary endotheliopathy with retinopathy, nephropathy, and stroke)として報告された。


眼底網細血管の脱落とアンジオパチー性毛細管拡張を黄斑浮腫を認め,タンパク尿や血尿などの腎障害をきたす。初発症状は,視力障害と腎機能異常が多い。


多発性脳梗塞による神経障害、片頭痛様頭痛,精神症状,構音障害、片麻痺,失行症などが出現する.神経画像検査では,周辺浮腫を伴う増強効果のある皮質下病巣を認める.


また,これとは独立にオランダの家系で片頭痛とRaynaud現象を伴う遺伝性血管性網膜症(hereditary vascular retinopathy associated with migraine and Raynaud phenomenon)が知られており、HERNSとともに染色体3p21.1-p21.3に連鎖することが示されていた。


2007年に9家系からTREX1遺伝子(3’-5’DNA exonuclease)の変異が同定されて、 Aautosomal dominant retinal vasculopathy with cerebral leukodystrophyとして整理されている。

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遺伝性出血性毛細血管拡張症(Hereditary hemorrhagic telangiectasia; HHT,
Osler-Weber-Rendu disease)は、繰り返す鼻出血,皮膚,粘膜の毛細血管拡張,肺,脳・脊髄,肝,消化管に動静脈瘻や動静脈奇形の発生を主要症候とする遺伝性疾患である。


半数近い患者が前兆のある片頭痛類似の頭痛を併発する.


endoglin,(HHT1,OMIN #187300)と activin receptor-like kinase type I (ALK-1,HHT2,OMIN#600376)の遺伝子異常が同定されている.


いずれもtransforming growth factor-β (TGF-β)のシグナル伝達に関与している。

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片頭痛(片頭痛様頭痛)を主症状とする遺伝性疾患が明らかになってきている。


CADASIL(Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarcts and Leukoencephalopathy:OMIM #125310)は、若年から中年期発症の大脳白質優位な再発性脳梗塞をきたす常染色体優性形式の遺伝性疾患である。


欧米の家系では片頭痛様頭痛を高頻度に合併することで有名で,約半数が片頭痛で発症し,経過とともに片麻痺,失調症などをきたし,てんかん,認知機能障害も併発する.


日本人の報告も集積さてきた。


皮膚生検組織等により血管周囲の顆粒状オスミウム好性物質(GOM)を認める。Notch3遺伝子の変異が同定されている。

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片頭痛の前兆あるいは頭痛発作中に運動障害(脱力)がおこることがある。
前兆のある片頭痛のひとつである。


家族歴があれば家族性片麻痺性片頭痛(Familial Hemiplegic Migraine ,FHM) 、無ければ孤発姓片麻痺性片頭痛とする。


日本の全国医療機関調査による有病率は人口10万人当たり 0.1人と報告されている。


FHMは現在3つの原因遺伝子の異常が同定されている。


最初に見つかったのがP/Q-type Ca2+ channel α1 subunit (CACNA1A)の点変異で1996年にオランダのグループから報告された(FHM1:OMIM #141500)。
FHM 1では 典型的前兆と脳底型の症状を示すことが多く、約3分の1の患者は昏睡や遷延性片麻痺,発熱,錯乱状態などを伴う激しい発作がおこる。また、小脳萎縮と小脳性失調症を併発することが多い。


2003年にはNa-K ATPase, α2(ATP1A2遺伝子)の変異(FHM2:OMIM #602481)が、2005年には神経電位依存性ナトリウムチャンネル,SCN1A遺伝子の変異(FHM3O:MIM#609634)が確認されている。


FHMの変異遺伝子はいずれもイオンチャンネルであることからFHMはチャンネル病(channelopathy)であるとの考えが有力である。