9日間もひきこもっていたせいか、外にまともに出るだけでテンションが上がりきってしまう。
というよりも、夏だからであろう。
出るときに気付いたのだが、去年旅行に行ったときとそっくりそのまんまの格好をしている。
ポロシャツ気味Tシャツ、ショートパンツ、サンダル、スポーツウォッチ、キャップ、サングラス、リブストロング、リュック……。冷静になってみればシンガポールで買ってそのまま実家に送ったジョルダーノのショートパンツと、わざわざ買ったはいいが出発間際に忘れたサンダルに限ってはそのときと違ったが、ご愛嬌である。
ひきこもりのために山病、いや、ここはひねりもなくあえて≪ひきこもり病≫とでもいっておこうか、それにかかり気味だったようにも思う。
それでもホンモノの≪ひきこもり病≫ではないようではあった(そもそも僕の性にはあまり合わない)。
夏だ! 夏だ!
暑苦しい格好をしているものを見ると、おまえらアホか、と思ってしまう。全く身勝手で、思われる人からすると甚だ迷惑のことである。それも、ついこの間まで春物ではなく秋物を着ていた僕が言うのだからもうどうしようもない。
色や素材など、暑苦しい格好をしているおなごを見るとその服を脱がしたくなる。いや、決して変な意味で言うつもりではないのだが、しかし言い訳はできない。
学校でニット帽など被っているものがいると、お前アホかと思ってしまう。今日暑苦しい格好をしているものは全員アホ認定してしまおうか、と思ったが、何とも身勝手で、おまけに心が狭いことこの上ない。しかし、だからこその僕である。
だいたひかるの「どうでもいいですよ~」ではないが、素面ではない。
それでも随分久しぶりに街に出たために、やはり≪ひきこもり病≫にかかっていたようである。見る女(ひと)見る女ものすごく可愛く見える。よっぽどのことがない限りは、カチューシャをしているかヴィトンのバッグを持ったもの以外は。
あれ、今日はもしかして満月なのだろうか、もしそうなら(一応それなりに)納得できるのだが、と思い帰りに見てみたが、多分そうではなかった。曇りまくっていたのでわかりにくかったが。
1ヶ月か2ヶ月か前に、東京でカチューシャが流行っているということを知り、それ以来テレビでも街でも何かと目に付くようになった。しかし残念なことに彼女らの中に可愛い子やきれいな子はいない。絶対にいないと言ってしまいたいぐらいである。
こう言うと誰もが、お前鏡見ろと言うだろうが、生憎僕は鏡が嫌いなのだ。
考えれば、いやそんなことをしないでも反射的にわかるだろうが、彼女らは「流行っているから」という絶対な理由でのみつけているのである。そんなこと、見ればわかる。
それをして可愛い子なら、流行っていようがいまいが可愛いわけである。
ああ、僕がキムタクか福山なら、と思う。
「カチューシャしている女はブスしかいない」と言ってしまえばそれでいいのである。
あるいはエビちゃんなら。毎日鏡を見てその度に自分で自分に惚れるであろう。現代版ナルシスである。これからは「ナルシスト」に取って代わって≪エビシスト≫と言う言葉が出回るであろう。
話が逸れた。
もしくはみのもんたなら、「カチューシャしていると健康なお子さんが産めなくなっちゃいますから、娘さんがカチューシャつけているお母さんは今すぐ~」と言えばいいし、太くても細木数子なら、うんちゃらかんちゃら言った後に「地獄に落ちるわよ!」と言ってしまい、江原か美輪さんなら適当にそれっぽいことを言い、どうにかしてカチューシャの流行をぶっ壊してやるのに。
まあ、そんなことをしたところで次なるカチューシャが出てくるのが早まるだけなのだろうが……。
全く、あんなものを流行らしたのは誰なのだ。やはり噂どおり、ルイス・ガルシアのせいなのだろうか(←ウソ。多分……)。
確かにウイイレではスーパーサブとして、ときには先発として、そしてロッベンを早くに休ませたいときには左サイドとして随分と活躍してもらったが、イケメンだからといって何でもかんでも許されると思ったら大間違いである。いや、ルイス・ガルシアに何の罪もなければとんだ冤罪であるのだが……。
しかしやはり僕は身勝手でかつ都合のいいおとこなのだろう。
30年ほど前のようにサブリナパンツが流行り、おまけにあのぺッタンコのバレエシューズを履いている女学生(この時点でなんとなく古めかしい)を見れば言うに決まっている。
「萌え! 萌え!」