■肥満と肥満症の違い
肥満と肥満症、似ているようで少し異なります。
肥満とは、「脂肪組織が過剰に蓄積した状態」。
現時点では脂肪組織量を正確かつ簡便に測定する方法がないので、体格指数のなかでもよく体脂肪量に相関するとされているBMI(body mass index:体重(Kg)÷身長(m)の2乗)が判定に用いられ、BMI25以上を肥満と判定します。
これに対して肥満症とは、「BMI25以上で肥満と判定され、かつ、肥満に起因あるいは関連する健康被害があるか、健康障害を起こしやすいハイリスク肥満である場合」。
つまり、肥満に起因あるいは関連して生じる健康障害がすでにあるか、将来発生する可能性が高く、医学的に原料治療を行うことでその病態が改善あるいは予防されることができる肥満を肥満症といいます。
つまり肥満症は疾患であり、治療を必要としている肥満を肥満症というのです。肥満症はいろいろば病気を引き起こすことが明らかにされており、なので「メタボ」と問題にされるようになったのです。
■なぜ男性の方が女性より腹囲の基準が厳しいのか?
メタボ健診、男性はウエスト周囲長が85㎝、女性は90㎝。「なぜ男性の方がキビシイのか?」と思ったことはありませんか?
それは女性が皮下脂肪に蓄積しやすいのに対して、男性は内臓脂肪に蓄積しやすいからです。内臓脂肪面積が同じなら女性は皮下脂肪が多く蓄積しているため女性の周囲長を長くしているのです。
内臓脂肪と皮下脂肪、病気と関連が大きいのは内臓脂肪です。皮下脂肪は整形疾患や睡眠時無呼吸症候群との関連の方が大きいようです。
■肥満に関連する病気
- 糖尿病
- 脂質代謝異常(高コレステロール)
- 高血圧
- 高尿酸血症、痛風
- 冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)
- 脳梗塞
- 脂肪肝
- 睡眠時無呼吸症候群
- 整形疾患(変形性関節症、腰椎症)
- 月経異常
- 肥満関連腎臓病
・診断基準に含めないが肥満に関連するとされる疾患
<良性>
- 胆石症
- 静脈血栓症、肺塞栓症
- 気管支ぜんそく
- 皮膚疾患(偽性黒色表皮腫、摩擦疹、汗疹)
<悪性腫瘍>
- 乳癌
- 胆嚢癌
- 大腸癌
- 子宮内膜癌
<肥満診断基準2011を参考に作成>
肥満は病気の予備軍であることを認識することが大切です。