痛み止めを処方される際に、胃薬も一緒に出されることがあります。というのも、痛み止めを飲み過ぎると胃潰瘍になることがあるからです。痛み止めで起こる胃潰瘍には名前がついており、NSAIDs潰瘍といいます。

 

 

NSAIDsとは、非ヒスロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs)のことで、整形疾患の痛み止めや心血管疾患での血栓予防などに用いられます。

今後、ピロリ菌による消化性潰瘍は除菌治療により激減することが予想されているのに対し、高齢化社会の到来により非ステロイド性抗炎症薬であるNSAIDsの使用頻度は上昇しており、痛み止めによる胃潰瘍は増加するものと思われます。


■消化管の粘膜障害をきたすNSAIDs

NSAIDはその副作用として、全消化管に粘膜障害を引き起こす可能性があります。小腸や大腸の粘膜障害をきたすこともありますが、多いのは胃や十二指腸です。特に十二指腸では、出血や穿孔など重篤な合併症を引き起こすことも少なくはありません。


■NSAIDs潰瘍の治療

NSAIDs潰瘍の治療はNSAIDを中止することです。しかし、心血管系の疾患に対して用いている場合は、NSAIDs中止により再出血率が低下したものの、心血管系イベントの発症により生命予後は優位に増悪したという報告があります。

ですので、心血管系の疾患がある場合は、中止は慎重でなければなりません。胃薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用しながらの継続投与を原則とし、中止した場合もできるだけ早期の再開が望まれます。

整形領域などで用いられる解熱鎮痛薬の非アスピリンNSAIDsの選択的COX-2阻害薬(セレコキシブ)は非選択的NSAIDsと比較して潰瘍発症率が定率であり、予防効果が期待でき、変更可能な場合は変更するのもいいでしょう。


■NSAIDsと胃薬の保険適応

潰瘍の既往のある症例に対しての再発抑制(二次予防)でPPIの有効性が確立され、2010年7月から、低用量アスピリンないしNSAIDs投与時の消化性潰瘍再発抑制薬として一部のPPIが保険適応となっています。

NSAIDs投与開始例では、ピロリ菌除菌により潰瘍発生率が低下するため、除菌が勧められています。一方、NSAIDs継続投与例では、除菌による発症予防効果は認められず、除菌は推奨されていません。

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