2011-01-07 00:16:37

狩猟採集とアウトドア①

テーマ:アウトドア


DriftWoodBeach


西表島で働かせてもらっているカヤックショップ「南風見ぱぴよん」の先輩で、夏は海でカヤックガイドをし、冬は山に籠ってイノシシ猟をしている人がいる。



僕は2000年から2001年にかけて西表島に大学を休んで住んでいたことがあるのだが、その時イノシシ猟に同行させてもらったことがある(詳しくはホームページ「bajau trip」の『西表島のカマイ猟』参照)。だけどこの先輩の猟には一度も同行したことがなかった。それは単純に僕が狩猟期間に西表島にいなかったというだけだ。



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西表島の猪狩猟期間は11月15日から翌年の2月15日までと日本各地のイノシシ猟期とさほど変わらない。
ただ、その特徴は「罠」で、こちらでは「台湾式ハネ縄」と呼んでいる(『縄』なのか、『罠』なのかは定かではない)。


本来、西表島にあった猪の狩猟方法は犬と槍を使ったもの、猪が通過した時に頭上の岩が落ちてきて殺すという罠などがあったが、第二次世界大戦あたりに炭鉱夫としてやってきた台湾人によってこの方法が定着し、今に至ると言われている。


島には犬を使って鉄砲で猪を獲る人達もいるが、ほとんどの人が罠を使っている。



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中沢さんが西表島に来たのは6年前。ちょうど僕が最初に西表島でカヤックガイドの見習いになった時だ。西表島東部でも伝統が残る古い集落、古見の名人について修行し、現在は数か所の罠道をローテーションを組んで見回りながら猪を獲っている。



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ちなみに西表島東部では猪の事をカマイ、西部ではカマンと本来呼ぶが、最近は「三線」を「サンシン」と呼ばずに「シャミセン」と内地読みするように、イノシシとか、シシと呼ぶことの方が普通だ。


そのイノシシも、日本本土にいるニホンイノシシより小型の「リュウキュウイノシシ」という亜種で、大きさも本土の物が100kg以上の大物になるのに対し、西表島の物は20~30kgが普通で、大きいものでも50kgくらいだという。昔はそんな大物も多かったが最近は狩猟圧が高く、それほど大きなものは少ないようだ。



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西表島はジャングルの島だと思われているが、沢沿いならともかく、山の山頂付近などは本土の山のように下草の少ない照葉樹林が広がっている。その主だった木はオキナワウラジロガシやイタジイなどのドングリの木である。イノシシの好物はこのドングリで、雑食であるイノシシもこのドングリの季節にはこのドングリばかりを食べるようになる。



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ドングリの実が枝にどれだけついているか。
夏の終わり頃、島の猟友会に入っている人達はそればかりを気にし始める。折しも台風シーズンだ。そうなると台風によってドングリの実が小さいうちに落ちてしまうことをものすごく恐れだす。台風が来た時はその風向きによってその年の猟場が変わってくる。それは、なるべく台風の風から守られた斜面が多い山にイノシシが集中するからだ。



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また、木があって実がなっていればいいというものではない。イノシシも知恵がある。人間の匂い、仲間が罠にかかるところに遭遇する、もしくは自分がかかって運良く逃れられた場合、どんどん知恵がつき、罠にかかりにくくなっていく。


猟師は常にその裏をかいて罠をかけなければならない。


まぁ、それが楽しいのだろう。



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正月、狩猟期間も半ばを過ぎた頃。


ドングリの実はもうほとんどなくなり、イノシシの餌が多様化してきて作戦が立てづらくなる。その上、イノシシ自体にも罠に対する警戒心、知恵がついてきて、頭が良いものばかりが残っていることになる。イノシシ猟のピークを過ぎるか…という時期である。


そんな折、僕は中沢さんの猟に山からイノシシを担ぎ下ろす役として同行したのだ。



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結果から言うと、3頭獲れていた。
これなら僕が同行して良かったというものである…。

西表島東部はちょっと特殊で、イノシシを生かしたまま運び下ろす。それは下ろす途中でダニが人間に付着するのを防ぐという意味と、鮮度を保つためだと言われている。羽交い絞めにされたイノシシは里まで下ろされて各ト殺場で〆られ、解体される。




10年前、初めてイノシシ猟に同行し解体する現場を見た時、僕は思わず「かわいそう」と思ってしまった。
あれだけ魚を釣り、自分の手で殺して内臓も出しているのにも拘らず、四足を殺すことに抵抗し、憐憫さを感じてしまった。

しかしみごとにそのイノシシは解体されていき、気付いたら見覚えのある肉の塊になっている。そしてそれを見た瞬間、今度は美味そうだと感じている自分がいる。


気持ち悪いという感情は僕にはもはやない。


だが、イノシシを殺して眼がまわる瞬間、血が吹き出て断絶魔の悲鳴を聞く。そのような時に「見てはいけないモノ」「聞いてはいけないモノ」を目の当たりにしてしまった気分になる。


しかし本来、それは殺生をしてモノを食べる上では当たり前に見たり、聞いたりする光景だ。


罪がないとわかっている動物を殺さなければならないという人間道徳からすれば矛盾した行為。


食べるためには仕方ないとわかりつつも、本当にこいつを殺さなければならないのかという偽善者の様な考え…。


現代人はあまりにもその殺しの現場を人に任せ過ぎているだけだ。それは魚より、僕らと同じ血の温かい生き物を殺した時に切に理解できる…ということを当時の僕は理解した。



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最近、世間では狩猟本が出回っている。
僕の気のせいかもしれないが、服部文祥さんの「サバイバル登山」を筆頭に、本屋に行くとマタギなども含めて狩猟関係の本をよく目にするようになった。各書籍の内容はここでは置いとくとして、それだけ多くの人がモノを獲って食べる…ということに興味を抱いているのだろう。


興味を抱くことは人として当然だし、そういう興味を満たす知的情報が増えることもいいことだと思う。


だが現実にそのようなことができる環境は本人に相当な意思がなければできないのが現実だろう。
狩猟本は「現代でも狩猟によって生きることはできる」という啓蒙的なものもある。それはそうだろう、不可能ではない。現に中沢さんは兼業とはいえ生計を立てている。


僕はもっと受動的にでも、生き物を殺すという当たり前のことを実践できる環境が増えて、食べるということに誰もが関心を持てればいいのにと思う。


何故なら、それこそが「自然に生きる」ということなのではないか…?と思うからです。


食べるということが一番、自然を理解するのに「自然」だと思うのです。


狩猟が究極のアウトドアだと思うのが、そういうことに関係しているのだと思います。

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