約2ヶ月にわたる連載も、今日で終了。
まぁ、新しい史料見つかれば、追加することは当然あるでしょうけど。

ってことで、統計に見る笞刑の3回目。
史料はアジア歴史資料センターや国立国会図書館の近代デジタルライブラリーの「朝鮮総督府統計年報」から。
今回はまず、10月4日のエントリーで少し述べた、全体の処分に対する笞刑数からみてみたいと思います。
最初は、犯罪即決処分に関する分について。

大正
元年
大正
2年
大正
3年
大正
4年
大正
5年
大正
6年
大正
7年
大正
8年
大正
9年
合計
懲 役 433 234 278 199 261 203 147 139 132 2,026
禁 錮 34 25 38 21 466 33 11 12 10 650
罰 金 5,746 7,211 6,528 6,794 7,965 9,230 10,585 8,747 13,626 76,432
拘 留 1,807 2,310 2,964 4,232 4,226 4,058 4,370 4,652 7,913 36,532
科 料 9,705 16,109 15,936 21,393 28,995 34,421 40,750 23,495 28,775 219,579
笞 刑 18,434 19,959 23,019 26,797 39,226 44,868 38,683 34,833 8,162 253,981
その他 800 327 1,336 935 982 29 94 61 823 5,387
合 計 36,959 46,175 50,099 60,371 82,121 92,842 94,640 71,939 59,441 594,587
割 合 49.88% 43.22% 45.95% 44.39% 47.77% 48.33% 40.87% 48.42% 13.73% 42.72%

つうか、大正元年、縦計いきなり1,000人合わねぇよ・・・。(;´Д`)
ってことで、表中の合計数より計算数優先にしてあります。

基本的に朝鮮人分のみを掲載していますが、大正8年、大正9年については国籍別の数が掲載されていないことから、内地人や外国人も含めた数になっている事に注意。
また、「その他」については、大正元年と大正2年の表を比較するに、無罪を含む実刑を受けなかった者の数と思われます。

続いて、裁判に関する全体の処分に対する笞刑数からみてみたいと思います。

大正
元年
大正
2年
大正
3年
大正
4年
大正
5年
大正
6年
大正
7年
大正
8年
大正
9年
合計
死 刑 66 51 52 50 47 38 46 11 29 390
無 期 53 26 16 30 30 20 16 18 11 220
懲 役 7,708 9,084 9,418 10,115 10,703 11,390 10,755 14,596 11,927 95,696
禁 錮 18 19 75 33 40 10 19 22 23 259
罰 金 1,280 1,532 2,202 3,053 3,497 3,863 6,776 22,203
拘 留 15 24 57 22 29 40 27 30 171 415
科 料 300 366 632 807 702 898 1,035 4,740
笞 刑 4,314 6,217 7,170 8,997 13,320 17,770 18,104 14,718 2,899 93,509
合 計 12,174 15,421 18,368 21,145 27,003 33,128 33,166 34,156 22,871 217,432
割 合 35.44% 40.32% 39.04% 42.55% 49.33% 53.64% 54.59% 43.09% 12.68% 43.01%

「監獄」での執行分の統計を使うと、財産刑の方が分からないので、「裁判」の項の「財産刑執行事件国籍別」と「体刑執行事件国籍別」から数字を拾っています。
ちなみに、財産刑部分については大正2年までは金額のみで集計されていることから、除外しました。

また、数字については、当該年に執行命令が出された中の、朝鮮人の数のみを対象としていますが、大正8年についてはやはり国籍別の数字が出ていない事から、内地人や外国人を含む数字となっております。

途中で笞刑が廃止される事になる大正9年を除けば、即決分も裁判分も、平均すると45%前後が笞刑の宣告になっていますね。

笞刑を除けば、即決処分については罰金や科料といった財産刑の宣告が多く、裁判においては懲役が多い傾向があるようです。
まぁ、収容施設の問題と、即決例の対象犯罪から考えれば、当然っちゃ当然な気もしますが。
即決については、笞刑や収監といった体刑より、財産刑の方が後処理簡単でしょうし。(笑)

で、最後に笞刑の回数に関する統計を。

大正
元年
大正
2年
大正
3年
大正
4年
大正
5年
大正
6年
大正
7年
合計
笞100回 296 6 4 21 17 16 7 367
笞99~90 779 1,273 1,587 2,410 3,441 4,255 4,335 18,080
笞89~80 71 28 55 49 61 293 315 872
笞79~70 30 32 125 160 166 178 151 842
笞69~60 536 831 1,048 1,094 1,914 2,353 2,178 9,954
笞59~50 116 54 80 87 181 340 415 1,273
笞49~40 15 23 37 39 87 103 204 508
笞39~30 247 336 409 327 690 753 597 3,359
笞29~20 48 65 118 148 189 365 376 1,309
笞19~10 5 34 20 17 36 35 48 195
笞9~0 3 4 7
合計 2,143 2,682 3,483 4,352 6,782 8,694 8,630 36,766

大正8年と大正9年については、回数の統計が取られていない事から除外し、大正元年から大正7年までの統計となっております。

大正元年の笞100回が非常に多いですが、これは刑法大全の名残と思われます。

で、全体的に見て「笞99~90」、「笞69~60」、「笞39~30」が多いわけですが、これは懲役や禁錮の3ヶ月(90日間)、2ヶ月(60日間)、1ヶ月(30日間)を振り替えたものが多いためと思われます。

つうか、最高刑の100回って以外に少ないのね。
勿論、財産刑で100円の場合以外には該当せず、先ほども述べたように懲役や禁錮の場合にはどう頑張っても90回が上限ですから、当たり前ではあるんですが。

ってことで、無闇矢鱈と笞打ってたわけではなく、基本刑に対して1日又は1円を笞1に計算するという条文に則して、実行されていたと思われます。
まして、「賭博」がほとんどだし。(笑)

でさ、「わが民族に対して思いのままに笞刑を行った。」って何?
( ´H`)y-~~



取りあえず、笞刑についてのお話は、これでおしまい。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~
笞刑に関する整理(十九) ~裁判所令改正(3)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(1)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(2)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(1)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(2)~
笞刑に関する整理(二十二) ~笞刑廃止と実績~
笞刑に関する整理(二十三) ~統計に見る笞刑(1)~
笞刑に関する整理(二十三) ~統計に見る笞刑(2)~


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統計まとめるの、面倒クサスwww
まぁ、仕方ない話なんですが。

ってことで、笞刑について統計から見てみようという、労力の割に単純な話の第2回目。
前回は、「犯罪即決例」に基づく即決処分の中での笞刑を違反法規別に見てみましたが、今回は監獄で実施された笞刑を、同様に違反法規別に見ていきたいと思います。

今回も史料はアジア歴史資料センターや国立国会図書館の近代デジタルライブラリーの「朝鮮総督府統計年報」を使っていきますので、よろしく。
では早速。

大正
元年
大正
2年
大正
3年
大正
4年
大正
5年
大正
6年
大正
7年
大正
8年
大正
9年
合計


窃盗 1,133 1,254 1,287 1,507 2,327 2,864 2,802 650 13,824
賭博及富籤 395 385 494 719 1,635 2,346 1,932 378 8,284
傷害 189 247 406 591 805 907 827 121 4,093
横領 98 159 261 318 509 578 648 90 2,661
詐欺及恐喝 118 148 188 255 408 510 487 50 2,164
贓物に関す 54 61 98 85 130 161 348 25 962
住居侵入 27 21 37 39 61 96 87 27 395
阿片煙に関す 8 6 15 7 37 59 246 12 390
文書偽造 9 19 17 24 39 79 73 7 267
礼拝所及墳墓に関す 15 68 45 17 28 27 15 9 224
毀棄及隠匿 16 18 21 23 33 46 50 3 210
猥褻姦淫及重婚 15 22 26 24 45 39 24 3 198
騒擾 2 80 12 16 80 190
逮捕及監禁 4 18 9 35 30 45 41 5 187
失火 4 8 13 31 43 27 35 1 162
誣告 7 4 10 15 33 24 44 5 142
涜職 7 14 9 13 16 35 18 8 120
偽証 5 6 4 15 17 23 27 1 98
公務執行妨害 3 3 6 13 18 22 15 1 81
遺棄 2 10 4 12 13 28 8 77
脅迫 2 3 4 4 18 11 14 2 58
信用及業務に対す 1 2 1 4 10 11 19 48
略取及誘拐 7 2 6 14 9 7 45
過失傷害 3 2 8 7 7 8 35
印章偽造 6 3 5 6 5 3 6 34
殺人 4 23 2 29
名誉に対す 2 2 5 2 5 3 4 23
強盗 1 1 19 1 22
溢水及水利に関す 2 2 7 6 5 22
犯人藏匿及証憑煙滅 2 3 1 1 6 4 17
通貨偽造 1 5 5 11
往来を妨害す 2 2 1 2 3 1 11
逃走 2 1 2 2 1 2 10
放火 2 1 1 2 6
背任 6 6
有価証券偽造 1 1 2
飲料水に関す 1 1 2
過失致死 2 2
秘密を侵す 1 1
堕胎 1 1
その他 8 3 11



森林令 57 154 423 334 232 249 408 62 1,919
朝鮮鉱業法規(鉱業令) 5 102 171 55 333
諸税法 4 11 8 147 117 287
銃砲火薬類取締規則 1 12 16 7 17 23 56 15 147
警察犯処罰規則 2 5 11 12 17 18 13 4 82
屠獣規則 3 3 8 24 19 3 5 65
墓地火葬場埋葬及火葬取締規則 5 1 14 17 17 6 60
保安法(保安法規) 1 7 17 18 11 54
薬品及薬品営業取締規則 2 3 8 6 4 8 8 1 40
郵便竝電信法 1 2 7 3 12 7 3 35
度量衡法 4 5 1 6 7 4 2 29
医生規則 1 8 1 6 4 20
狩猟規則 1 1 3 2 5 4 1 17
民籍法 1 3 3 3 3 13
河川取締規則 12 1 13
漁業取締規則(漁業法規) 5 1 5 2 13
紅参専売法 11 1 12
要塞地帯法 3 7 2 12
官営水道給水規則 8 1 9
棉花取締規則 2 4 2 8
遺失物法 4 4 8
砂鉱採取法 7 7
鉄道営業法 3 4 7
土地測量標規則 1 2 1 4
政治犯罪処罰令 4 4
獣疫予防令 2 1 3
煙草税法 2 1 3
宿泊及居住規則 1 1 2
按摩術鍼術灸術営業取締規則 2 2
医師取締規則 2 2
出版法 2 2
商標権侵害 2 2
古物商取締法規 1 1 2
質屋取締法 2 2
諸営業取締規則 1 1 2
酒税令 2 2
寄附金品募集取締規則 1 1
料理屋飲食店営業取締規則 1 1
労動者募集取締規則 1 1
私有林伐採取締規則 1 1
古蹟及遺物保存規則 1 1
寺刹令 1 1
船員法 1 1
外国旅券規則 1 1
外国紙幤偽造 1 1
道路取締規則 1 1
荷車取締規則 1 1
人力車営業取締令 1 1
陸海軍刑法 1 1
合     計 2,219 2,682 3,481 4,352 6,782 8,694 8,630 0,000 1,520 38,360

大正8年については、詳細な違反法令について記載されていません。
刑法犯と特別法犯別の数は出ていますので、恐らく掲載されていないだけだとは思いますが。

また、大正7年、9年については、特別法犯の縦計が合いません。
一応、今回の縦計の積み上げを合計としていますので、10月3日のエントリーでの実績数とは、若干の差異がありますので御了承下さい。

さて、監獄における笞刑については、10月3日のエントリーでも見たとおり刑法犯が主体となるわけですが、やはり「賭博」と「森林令」が多いですね。

まぁ、トップは「窃盗」ですので若干割合は下がりますが、前回の笞刑と合算しても、「賭博及び富籤」だけで166,165人となり、全体の65%を占めます。
これに大きく離れて第2位が「森林令」で18,735人。
第3位が「窃盗」で13,842人となります。

つうか、どんだけバクチ好きやねん!
つうか、悪辣な日帝統治下で賭博ばっかりって何だよ!(笑)

ま、独立運動は勝ちの目が無いから、統計上「賭博」には入ってないと思うしね。(笑)
( ´H`)y-~~



今日はここまで。
次回で笞刑の話は(多分)終わり。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~
笞刑に関する整理(十九) ~裁判所令改正(3)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(1)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(2)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(1)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(2)~
笞刑に関する整理(二十二) ~笞刑廃止と実績~
笞刑に関する整理(二十三) ~統計に見る笞刑(1)~


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さて。
前回一部統計を使用して、笞刑の総数的な部分について見てきましたが、今日は少し詳細な部分の統計を見ていきたいと思います。
史料は、前回同様アジア歴史資料センターや国立国会図書館の近代デジタルライブラリーの「朝鮮総督府統計年報」を使っていきます。

まず今日は、犯罪即決処分に関して。
即決処分を受けた原因についての統計をまとめていきたいと思います。
残念ながら大正2年度以前は、大ざっぱに刑法犯と特別法犯に分けられているだけなので、大正3年度から笞刑令の無くなる大正9年までを見ていきたいと思います。

大正
3年
大正
4年
大正
5年
大正
6年
大正
7年
大正
8年
大正
9年
合計


賭博 17,985 20,225 29,587 33,433 28,957 20,347 7,347 157,881
傷害 403 372 364 312 249 185 19 1,904
名誉に対する 4 1 1 6
猥褻 2 1 2 5



森林令
(森林に関する法規)
1,130 1,151 3,252 4,860 3,991 2,125 307 16,816
警察犯処罰規則 1,002 1,243 1,665 1,826 1,562 2,567 61 9,926
保安法規
(保安法)
7,589 47 7,636
屠獣規則
(屠獣法規)
950 1,382 1,244 994 692 342 25 5,629
墓地火葬場埋葬及火葬取締規則 163 617 783 986 847 482 108 3,986
民籍法 408 215 299 259 272 66 7 1,526
狩猟規則
(狩猟に関する法規)
187 223 242 125 74 57 910
狩猟免状及特別許可に関する件 2
官営水道給水規則 13 35 254 78 218 189 21 808
道路取締規則 137 152 154 144 103 61 1 752
薬品及薬品営業取締令
(薬品及薬品営業取締法規)
81 53 112 188 89 56 4 583
漁業令
(漁業に関する法規)
11 13 79 173 130 95 13 539
漁業令施行規則 5 3
漁業令取締規則 10 7
朝鮮鉱業令
(鉱業に関する法規)
145 199 65 9 11 429
宿泊及居住規則 74 75 95 64 86 33 427
鉄砲火薬類取締令
(鉄砲火薬類取締法規)
26 29 56 91 87 39 44 420
鉄砲火薬類取締令施行規則 34 14
医生規則 17 59 124 87 62 46 2 397
料理屋飲食店営業取締規則 142 137 59 5 343
人力車取締規則 4 22 41 45 136 37 2 287
度量衡法
(度量衡法規)
21 60 63 53 44 15 2 258
獣疫予防令
(獣疫予防に関する法規)
62 84 59 36 10 251
荷車取締規則 15 48 57 37 63 23 1 244
古物商取締法規
(古物商取締に関する件)
7 6 22 61 82 19 4 201
私有林伐採取締規則 132 42 7 181
按摩術鍼術炙術営業取締規則 40 31 43 20 3 137
屠獣場竝獣肉販売営業取締規則 47 32 21 100
伝染病予防令 32 1 4 41 5 92
伝染病予防道令 9
宿屋営業取締規則 46 23 8 5 82
鉄道営業法 21 46 12 1 80
自転車取締規則 76 4 80
酒税法 78 1 79
河川取締規則 7 30 17 5 59
埋葬医師産婆火薬類の制裁に関する件 47 47
医師規則 6 5 5 17 10 1 44
モルヒネ、コカイン注射取締規則 27 8 1 36
煙草税法 4 35
煙草税令 30 1
代書業取締規則 5 13 12 3 33
罌栗栽培取締規則 33 33
諸営業取締規則
(諸営業其の他届出規則)
17 10 27
市場規則 26 26
綿花取締規則 16 7 23
清涼飲料水及氷雪営業取締規則 5 14 3 22
門戸標札規則
(門戸標札掲出規則)
15 2 3 20
朝鮮阿片取締法規 7 10 17
畜犬取締規則 15 2 17
軍港要港規則 15 15
斃獣届出規則 12 1 13
理髪営業取締規則 3 3 5 11
鉄道軽便鉄道軌道営業取締規則 10 10
種痘規則 10 10
懸賞富籤類似
其の他投票募集等取締に関する件
7 1 1 9
蚕種取締規則
(蚕種取締規程)
9 9
肺結核予防規則 4 4 8
貸座敷娼妓取締規則 7 1 8
出版法規
(出版法)
5 3 8
馬車取締規則 2 1 3 1 7
寄附金品募集取締規則 7 7
籾調製取締規則 7 7
汽船汽車旅客検疫規則 6 6
芸妓酌婦芸妓置屋営業取締規則 1 5 6
入歯営業取締規則 3 2 5
質屋取締法規
(質屋取締に関する件)
1 3 4
労働者募集取締規則 4 4
郵便法 4 4
金銀貨幣又は金銀地金輸出取締規則 3 3
保護牛規則 2 1 3
朝鮮人旅行取締規則 2 1 3
開港取締規則 1 1 2
家屋建築規則
(建築規則)
2 2
朝鮮蚕業法規 2 2
外国旅券規則 1 1
布教規則 1 1
爆発物取締規則 1 1
水流に於て蔬菜食品等洗滌取締規則 1 1
会社令 1 1
朝鮮水難救護令 1 1
その他 157 785 432 576 1,950
合    計 23,019 26,797 39,226 44,868 38,683 34,801 08,162 215,556

規則、施行規則の両方がある場合等については、合計で合算してみました。

御覧の通り、「賭博」だけで全体の73.2%。
第2位の「森林令」と合わせると81%。
ベスト5の、「賭博」、「森林令」、「警察犯処罰規則」、「保安法」、「屠獣規則」で、90%を超えますね。

特記しておく事として、「保安法」については、大正8年に大量に即決処分で笞刑にされているわけですが、これは勿論3.1運動の絡みでしょう。
ちなみに、大正8年の保安法違反については、懲役42人、拘留127人、科料141人、笞刑7,589人、その他1人の合計7,900人が即決処分にされています。
笞刑が殆どですが、懲役や拘留、科料もいないわけではなく。
収容施設面から当然笞刑が多くなったと思われますが、単純に笞刑にしたわけでは無いんですね。

で、ここには掲載できていませんが、全体の刑罰を通して見た場合、即決処分の中で笞刑の占める割合は、毎年約48%程度で推移しているようです。

まぁ、全体として笞刑が多いと思うか少ないと思うかは、見る人にお任せします。
ただ、即決処分による笞刑については、極端に多いのは「賭博」だけであるという事は言えるんじゃないかと。
( ´H`)y-~~


今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~
笞刑に関する整理(十九) ~裁判所令改正(3)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(1)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(2)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(1)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(2)~
笞刑に関する整理(二十二) ~笞刑廃止と実績~


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できれば先月中に終わらせたかった「笞刑に関する整理」。
今日は、いよいよ笞刑の廃止の話。

それでは早速、アジア歴史資料センターの『公文類聚・第四十四編・大正九年・第二十八巻・司法・裁判所・執達吏・公証人・民事(民法・戸籍)・刑事/朝鮮笞刑令中廃止制令案(レファレンスコード:A01200192700)』から。
でも、他の史料とか見ても制令番号が分からない・・・。
1920年(大正9年)『朝鮮笞刑令中廃止制令』より。

朝鮮笞刑令は之を廃止す。

附則
本令は、大正9年4月1日より之を施行す。
本令施行前、笞刑に処せられ、又は罰金若は科料を笞刑に換へられ、其の執行終わらざる者に付ては、仍従前の例に依る。


理由
笞刑は、古来朝鮮に於て広く施用せられ、民度に恰適する刑罰なるを以て、明治45年4月、内、鮮、外人に対する刑事法規を整理統一するに該り、暫く旧制を襲踏し、軽微なる犯罪の制裁として之を存置したり。
然れども、本刑の如く肉体に直接の苦痛を与ふるものは、現代文明思想に基く刑罰の性質と背馳する点あるのみならず、近時朝鮮人は著しく向上自覚し、其の民度は復昔日の観にあらざるが故に、笞刑を廃止し、基本刑たる懲役又は罰金を以て之に蒞むも、刑政上毫も支障なしと認めたるに由る。
ということで、笞刑は昔から朝鮮で広く行われ、民度に合う刑罰なので、1912年(明治45年)に刑事法規を整理統一する際に、旧制を踏襲して軽い犯罪の制裁として「存置」した。
うん、「存置」。
何度も言ってますが、「新設」では無いわけで。

で、そうだったけど、笞刑のように肉体に直接苦痛を与える刑罰は、近代的な刑罰の性質と反するだけで無く、最近は朝鮮人も民度が上がってきたので、笞刑を廃止して、基本刑である懲役や罰金でのぞんでも問題無いと認めた事による、と。

んで、これだけで終わるのもあれなんで、一応1911年(大正元年)から1920(大正9年)の笞刑の件数を一覧表で。

大正
元年
大正
2年
大正
3年
大正
4年
大正
5年
大正
6年
大正
7年
大正
8年
大正
9年
合計
犯罪即決事件 刑法犯 16,733 17,111 18,394 20,598 29,952 33,745 29,208 20,533 7,366 193,640
特別法犯 1,638 2,848 4,625 6,199 9,274 11,123 9,475 14,300 796 60,278
合計 18,371 19,959 23,019 26,797 39,226 44,868 38,683 34,833 8,162 253,918
財産刑執行人員 執行人員 1,760 1,580 1,898 2,834 3,860 4,198 3,862 7,811 27,803
完納 1,147 940 1,035 1,663 2,246 2,998 3,015 5,586 18,630
換刑 145 370 537 683 920 1,309 586 424 78 5,052
体刑執行人員 4,314 6,217 7,170 8,997 13,320 17,770 18,104 14,718 2,899 93,509
新受刑者の罪名
刑名及刑期
刑法犯 2,143 2,489 2,998 3,862 6,322 7,991 7,907 5,753 1,404 40,869
特別法犯 76 193 483 490 460 703 739 1,557 124 4,825
合計 2,219 2,682 3,481 4,352 6,782 8,694 8,646 7,310 1,528 45,694

これらは全て、「朝鮮総督府統計年報」から拾った数字。
アジア歴史資料センターにもあるんですが、ちょこちょこ欠けてる年がありますので、国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで「朝鮮総督府統計年報」を検索した方が良いと思われます。

なお、1912年(明治45年・大正元年)の数字については、後の統計数字と何故か誤差があるんですが、笞刑の数が多い方、つまり1912年時の統計上での数字を採用してみてます。

「犯罪即決事件」については、第17の「警察」の部分からの笞刑数。
「財産刑執行人員」、「体刑執行人員」については、第19の「裁判」における換刑と笞刑数。
「新受刑者の罪名刑名及刑期」については、第20の「監獄」における笞刑数となっています。
(大正9年以降は第5編と第6編に分かれます)

まず、犯罪即決事件については、「犯罪即決事件罪名別処断人員」から朝鮮人に対する笞刑数。
このうち、刑法犯に該当するのは、ほぼ100%に近い割合で「賭博」。
特別法犯については結構分散してますが、「森林に関する法令」が結構多い。
まぁ、全体を通しても70%前後が「賭博」。
犯罪即決例の第1条第2号の「3月以下の懲役、又は100円以下の罰金、若は科料の刑に処すべき賭博の罪」ですね。

財産刑執行人員については、「財産刑執行事件国籍別」から、朝鮮人に対する笞刑数。
但し、1917年(大正6年)までは、労役場留置も含んだ数字ですし、換刑の全てが笞刑でも無い雰囲気。
ま、参考程度にしか成りませんが、朝鮮笞刑令の第3条の換刑は、それほど大した数では無かった事が分かります。

体刑執行人員については、「体刑執行事件国籍別」から朝鮮人に対する笞刑数。
ただ、次の「新受刑者の罪名刑名及刑期」の笞刑数と、結構な開きがあるんですよね。
裁判の項と監獄の項の数字ですので、「体刑執行事件国籍別」が判決で出た数で、「新受刑者の罪名刑名及刑期」との差分は、9月21日のエントリーで若干取り上げた、監獄法第1条第3項の「警察官署に附属する留置場は、之を監獄に代用することを得」に基づいて留置場で執行されたか、執行猶予か、他の何らかの統計上の理由によるもの。
恐らく、留置場等の監獄外での執行が殆どだという気はしますが。

新受刑者の罪名刑名及刑期については、そのままの部分から笞刑の数。
大正6年の刑法犯について、表中は「7,990人」となっていますが、縦計していくと「7,991人」の誤りですので、そちらを採用しました。

全体として、大正6年くらいをピークに、笞刑は減少傾向にあるようで。


取りあえず全体的な統計を見た所で、今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~
笞刑に関する整理(十九) ~裁判所令改正(3)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(1)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(2)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(1)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(2)~



今日は、さっさと本題へ。
アジア歴史資料センターの『御署名原本・大正七年・法律第三十九号・共通法(レファレンスコード:A03021124000)』から、前回の続き。

第13条
1の地域に於て罪を犯したる者は、他の地域に於て之を処罰することを得。

第14条
刑事に関し、1の地域に於て他の地域の法令に依ることを定めたる場合に於ては、各地域に於て其の地の法令を適用す。
2以上の地域に於て同一の他の地域の法令に依ることを定めたる場合に於て、其の相互の間亦同じ。
1の地域に於て他の地域の犯罪を処断する場合に於ては、前項の場合を除くの外、犯罪地の法令に依る。
但し、笞刑に関する規定は此の限に在らず。
犯罪地の法令に依り処断する場合に於て、処断地の法令に笞刑に関する規定あるときは、其の規定に依り笞刑の言渡を為すことを得。

第15条
1の地域の法人の役員又は支配人の行為に付定めたる刑罰の規定は、其の地域に於て他の地域の同種の法人の役員又は支配人の為したる行為に之を適用す。
前項の役員には、第8条第2項に掲ぐる者の外、検査役を包含す。

第16条
1箇の刑事事件又は牽連する数箇の刑事事件が、地域を異にする数箇の裁判官庁の管轄に属するときは、刑事訴訟法第27条及第28条の規定を準用す。

第17条
1の地域の検事、検察官又は其の職務を行ふ者、他の地域の管轄裁判官庁に於て事件を審理することを適当と認むるときは、其の地域の検事、検察官又は其の職務を行ふ者に之を送致することを得。
1の地域の予審又は第一審の裁判官庁、他の地域の管轄裁判官庁に於て事件を審理することを適当と認むるときは、検事、検察官又は其の職務を行ふ者の請求に因り、決定を以て其の地域の管轄裁判官庁に之を移送することを得。

第18条
1の地域に於て、刑事の訴訟若は即決処分又は仮出獄に関して為したる裁判、処分、其の他の手続上の行為は、他の地域に於ける法令の適用に関しては、其の地に於て為したるものと同一の効力を有す。
第11条第1項但書の規定は、私訴に之を準用す。

第19条
1の地域に於て為したる刑の執行猶予の言渡、又は仮出獄の処分は、他の地域に於て其の地の法令に依り之を取消すことを得。

附則
本法施行の期日は、勅令を以て之を定む。
但し第3条の規定に付ては、別に其の施行期日を定むることを得。
本法は、本法施行前に生じたる事項に付亦之を適用す。
但し、第11条第1項及第18条第1項の規定の適用に付ては、人の資格に基く既成の効果を妨げず。
本法施行前に宣告したる破産に付ては仍従前の例に依る。
第13条は管轄の問題。
どっかの地域で罪を犯した者は、別の地域で処罰することが出来る、と。

第14条は、法令の適用について。
まぁ、大抵の場合内地の法令に依るんだと思いますが、ある地域で他の地域の法律に依る事を定めた場合には、各地域でその地域の法令を適用する。
例えば、朝鮮刑事令の第1条で日本の各法律に依ることが定められているため、その地域の法律、つまり朝鮮刑事令を適用する。
んー、至って普通。

で、2以上の地域で同じ他の地域の法令による場合、その相互間も同じ。
日本の「爆発物取締規則」は、朝鮮刑事令、関東州裁判事務取扱令、いずれにおいても「依る」こととされているから、それぞれ朝鮮刑事令、関東州裁判事務取扱令を適用。

ある地域で、他の地域の犯罪を処断する場合、前記のような他の地域の法律に依る事になっている場合以外には、犯罪地の法令による。
つまり、日本で爆発物取締規則違反をして朝鮮で処断する場合には、朝鮮刑事令を適用。
日本だけに施行されている法律違反をして朝鮮で処断する場合には、犯罪地、つまり日本の当該法律を適用、と。

ただ、笞刑に関する規定は例外で、犯罪地の法令で処断する場合、処断地の法令に笞刑に関する規定がある場合、その規定によって笞刑の言い渡しができる。

んー、台湾の何かの法律に違反して、朝鮮で処断する場合、朝鮮笞刑令によって笞刑の言い渡しが出来る?
日本の内地人の場合は?
朝鮮笞刑令では「朝鮮人ニ限リ」、台湾の罰金及笞刑処分例では「本島人及清国人ノ犯罪」、関東州罰金及笞刑処分令では「支那人ノ犯罪」と、それぞれ適用対象が決められているわけだけど、その辺どうなってんのかな?

第15条は、法人関係の処罰規定について。
ある地域で、法人の役員や支配人の行為について定めた罰則規定は、その地域で、他の地域の同様の種類の法人の役員や支配人が行った行為について適用する。
良く分からんけど、法的に依用していなくても、類似行為による罰則が規定されていれば、適用できるってことかな?

第16条は、1つの刑事事件や関係する幾つかの刑事事件が、地域を別にするいくつかの裁判所の管轄になる場合、刑事訴訟法の第27条と第28条の規定を準用する、と。

ちなみに、刑事訴訟法の第27条は、「数箇の裁判所の管轄なる場合に於ては、其中にて最初予審又は公判に着手したる裁判所を以て其管轄なりとす。」。
第28条は、第1項が「従犯は正犯を管轄する裁判所を以て其管轄なりとす。
第2項が「数箇の裁判所の管轄に属する正犯数名あるときは、其中にて最初予審又は公判に着手したる裁判所を以て其管轄なりとす。」。

いくつかの県を跨るような事件に対する場合の想定ですね。
これを、内地や外地間に跨る場合にも準用。
朝鮮と関東州の間なんかだと、結構起こりそうな感じですね。

第17条は、ある地域から別の地域への送致や移送の規定。
第1項では、ある地域の検事と検察官とその職務を行う者から、他の地域の検事と検察官とその職務を行う者へ送致できる。
第2項では、ある地域の裁判官庁から、検事と検察官とその職務を行う者の請求に基づく決定で、他の地域の裁判官庁へ移送できる、と。

第18条は、ある地域での訴訟、即決処分、仮出獄について行った裁判、処分、その他手続き上の行為は、他の地域での法令の適用については、その地で行ったものと同一の効力がある、と。
例えば、台湾で裁判の結果有罪になれば、その後朝鮮に行っても前科1犯の取扱になるって事かな?

で、最後の第19条では、ある地域で行った刑の執行猶予の言い渡しや仮出獄処分は、他の地域で、そこの法令によって取り消すことが出来る、と。

附則については、前回も触れた施行期日の話と、法令の施行前後の適用の話。
つうか、「人の資格に基く既成の効果」って何だ?


相変わらず、法律関係だと疑問符が多いのですが、取りあえずここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~
笞刑に関する整理(十九) ~裁判所令改正(3)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(1)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(2)~
笞刑に関する整理(二十一) ~共通法(1)~



今日は、戦後の戸籍・国籍等の関係以外ではあまり触れられない、1918年(大正7年)『法律第39条 共通法』の話。
簡単に言えば、日本、台湾、朝鮮、関東州の各法令(戸籍・法人・民事訴訟・刑事訴訟)に関する連絡統一を図った法律。
いや、見た方が早いか。(笑)

ってことで、アジア歴史資料センターの『御署名原本・大正七年・法律第三十九号・共通法(レファレンスコード:A03021124000)』から。
長いので、半分にぶった切って見ていきます。

法律第39号
共通法

第1条
本法に於て地域と称するは、内地、朝鮮、台湾、関東州を謂ふ。
前項の内地には、樺太を包含す。

第2条
民事に関し1の地域に於て他の地域の法令に依ることを定めたる場合に於ては、各地域に於て其の地の法令を適用す。
以上の地域に於て同一の他の地域の法令に依ることを定めたる場合に於て、其の相互の間亦同じ。
民事に関しては、前項の場合を除くの外、法例を準用す。
此の場合に於ては、各当事者の属する地域の法令を以て其の本国法とす。

第3条
1の地域の法令に依り其の地域の家に入る者は、他の地域の家を去る。
1の地域の法令に依り家を去ることを得ざる者は、他の地域の家に入ることを得ず。
陸海軍の兵籍に在らざる者及兵役に服する義務なきに至りたる者に非ざれば、他の地域の家に入ることを得ず。
但し、徴兵終決処分を経て、第2等国民兵役に在る者は此の限に在らず。

第4条
1の地域に於て成立したる法人は、他の地域に於て其の成立を認む。
前項の法人は、他の地域の法令に依り、同種又は類似の法人の為すことを得ざる事項は、其の地に於て之を為すことを得ず。

第5条
1の地域の法人は、其の事務所若は営業所を他の地域に移転し、又は従たる事務所、若は営業所を他の地域に於て設立することを得。
但し、主たる事務所又は営業所の移転は、移転地に於て設立することを得べき法人と同種の法人に限り之を為すことを得。
前項の移転又は設立に必要なる条件は、各地域の法令の定むる所に依る。

第6条
1の地域の法人が、其の事務所若は営業所を他の地域に移転し、又は従たる事務所若は営業所を他の地域に於て設立したるときは、4週間内に各其の地の法令に依り登記を為すことを要す。
前項の規定は、法人に関し1の地域に於て生じたる事項に付、他の地域に於て登記を為すべき場合に之を準用す。

第7条
1の地域の会社は、他の地域の会社と合併を為すことを得。
此の場合に於ては、前条第1項の規定を準用す。
前項の合併に必要なる条件は、各地域の法令の定むる所に依る。

第8条
1の地域の法人の役員の行為に付定めたる過料の規定は、其の地域に於て他の地域の同種又は類似の法人の役員の為したる行為に之を適用す。
前項の役員とは、発起人、理事、監事及之に準ずへき者竝清算人を謂ふ。

第9条
民事訴訟及非訟事件に付、1の地域内に住所を有せざる者の裁判管轄、又は他の地域の法人の裁判管轄に関しては、民事訴訟法、人事訴訟手続法及非訟事件手続法中、日本に住所を有せざる者又は外国法人の裁判管轄に関する規定を準用す。
前項の規定の適用に付、裁判管轄の指定に関する司法大臣の職務は、朝鮮、台湾、関東州に在りては朝鮮総督、台湾総督、関東都督之を行ふ。

第10条
1の地域に主たる営業所又は住所を有する者に対しては、其の地域に於てのみ破産の宣告を為すことを得。
1の地域に於て為したる破産の宣告の効力は、他の地域に及ぶ。

第11条
1の地域に於て、民事訴訟、非訟事件又は破産事件に関して為したる訴訟行為、裁判、処分、其の他の手続上の行為は、他の地域に於ける法令の適用に関しては、其の地の法令に依り為したるものと同一の効力を有す。
但し、其の地の公の秩序又は善良の風俗に反するときは、此の限に在らず。
前項の規定は、民事争訟調停に付之を準用す。
民事争訟調停に関する規定なき地域に於ては、其の調停は民事訴訟法に依りて為したる和解と同一の効力を有す。

第12条
1の地域に於て作成したる公正証書、其の他法令に依り官署公署の作成したる文書は、他の地域に於て其の地の法令に依り作成したるものと同一の公正の効力を有す。
今回のポイントは第13条以下の刑事に関する事項なんですが、そこに行く前までで一区切り。(笑)

第1条は地域に関する規定。
内地(樺太含む)、朝鮮、台湾、関東州、と。
かなり後になって、南洋群島が追加されたりします。

第2条は民事の法令の適用に関する規定。
ちなみに第2条中「民事に関しては、前項の場合を除くの外、法例を準用す」の「法例」は誤字ではなく、1898年(明治31年)『法律第10号 法例』を指しています。
アジ歴では『御署名原本・明治三十一年・法律第十号・法令制定明治二十三年法律第九十七号法令廃止(レファレンスコード:A03020327600)』で見る事ができます。

つうか、「法令」じゃなく「法例」だぞ、アジ歴。
タイトル、しかも御署名原本のタイトル間違えてんの、恥ずかしすぎだろ。
( ´H`)y-~~


第3条は、地域間の戸籍の異動に関する規定。
ただ、この規定だけは附則に書かれている通り、施行期日が別。
『御署名原本・大正七年・勅令第百四十四号・共通法ノ一部施行ノ件(レファレンスコード:A03021138900)』で、第3条以外は1918年(大正7年)6月1日施行となっていますが、第3条だけは『御署名原本・大正十年・勅令第二百八十三号・共通法第三条ノ規定及大正十年法律第四十八号戸籍法中改正法律施行期日(レファレンスコード:A03021334600)』で、3年後の1921年(大正10年)7月1日施行となっています。
いや、余談。

第4条から第8条は、法人に関する規定。
1910年(明治43年)『制令第13号 会社令』とのからみはどうなるのか、少し調べてみたい気はするけど、それはあまりに脱線し過ぎなので今回は自重。

第9条から第12条は民事訴訟等に関する規定。

ってことで、法令が長いとテキスト起こしでほぼ終われるので楽ができるんですが、笑い所が無いのは困りもの。(笑)


今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~
笞刑に関する整理(十九) ~裁判所令改正(3)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(1)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(2)~



2日に分けるつもりじゃなかったんだけどなぁ・・・。
疑問点、普通にスルーすれば良かった。(笑)
まぁ、1回の長さが長いよりは、短めの方が良い人のが多いようなので、そういう意味じゃあ良かったのかも。

ってことで、前回に引き続き朝鮮刑事令の改正についてです。
大正6年の改正の次の改正は、1919年(大正8年)制令第16号で行われます。
それでは、アジア歴史資料センターの『公文類聚・第四十三編・大正八年・第三十巻・司法二・執達吏・弁護士・公証人・司法代書人・民事・刑事/朝鮮刑事令中改正制令案(レファレンスコード:A01200174200)』から。

朝鮮刑事令中、左の通改正す。

第5条第1項に、左の1号を加ふ。
4 朝鮮総督府道森林主事
附則
本令は、公布の日より之を施行す。


理由
森林保護員に森林犯罪に対する捜査の権限を附与し、国有森林の保護を完うせむが為、今回朝鮮総督府地方官官制改正せられ、新に各道に置くこととなりたる道森林主事を、司法警察官と為すの必要あるに由る。
重要な話でも無いので取り上げませんが、一応参考までに、この時の地方官官制の改正については、『公文類聚・第四十三編・大正八年・第八巻・官職六・官制六(朝鮮総督府)/朝鮮総督府地方官官制中ヲ改正ス(レファレンスコード:A01200156200)』で見る事ができます。

ということで、「左に記載したる官吏は、検事の補佐として其の指揮を受け、司法警察官として犯罪を捜査すべし」に道森林主事も追加。
盗伐や火田なんかの取締りがメインになるのかな?

次が、朝鮮笞刑令の廃止とほぼ同時期の改正。
1920年(大正9年)制令第2号になります。
アジア歴史資料センターの『公文類聚・第四十四編・大正九年・第二十八巻・司法・裁判所・執達吏・公証人・民事(民法・戸籍)・刑事/朝鮮刑事令中改正制令案(レファレンスコード:A01200192600)』から。

朝鮮刑事令中、左の通改正す。

第4条中、「朝鮮総督府警務総長は」を「朝鮮総督府道知事は、各其の管轄地内に於て」に改む。

第5条中、「朝鮮総督府警務部長」を「第三部長たる朝鮮総督府道事務官」に、「朝鮮総督府警視、警部」を「朝鮮総督府道警視、道警部、道警部補」に改む。

附則
本令は、公布の日より之を施行す。


理由
大正8年8月勅令第387号を以て朝鮮総督府警察官署官制廃止せられ、朝鮮総督府警務総長、同警務部長は当然廃官となり、同時に勅令第391号を以て朝鮮総督府地方官官制を改正し、各道知事をして管内の警察事務を管理し、所属官吏の指揮監督せしめ、又新に各道に於て、第三部長たる朝鮮総督府道事務官が、警察事務の執行に関し知事の命を承け部下の警察官吏を指揮監督することとなりたるに付、刑事訴訟法第47条所定の如く、知事は一面司法警察官として犯罪を捜査するに付、地方法院検事と同一の職権を有せしめ、第三部長たる道事務官は、一面検事の補佐として其の指揮を受け、司法警察官として犯罪の捜査を為さしむる必要あるに依る。
ちなみに、警察官署官制の廃止は、『御署名原本・大正八年・勅令第三百八十七号・朝鮮総督府警察官署官制廃止明治四十三年勅令第三百二号(朝鮮総督府警務総長、警務部長、警視、警部ノ任用及分限ニ関スル件)、大正二年勅令第十九号(国境ニ於ケル朝鮮総督府税関出張所在勤ノ監視監吏ノ特別任用ニ関スル件)中改正(レファレンスコード:A03021212700)』。
朝鮮総督府地方官官制の改正は、『公文類聚・第四十三編・大正八年・第八巻・官職六・官制六(朝鮮総督府)/朝鮮総督府地方官官制○朝鮮総督府逓信官署官制中ヲ改正シ○台湾総督府海軍幕僚条例○明治三十六年勅令第二百九十六号台湾ニ台湾守備軍司令官ヲ置クノ件ヲ廃止ス・・・(レファレンスコード:A01200156700)』で見ることができます。

要するに、朝鮮総督府中央にしかなかった警察権が、日本で言う都道府県警のように、各道知事にまで降りてきたわけです。
で、それに伴って朝鮮刑事令も改正された、と。

以上が、朝鮮笞刑令の廃止までの間の刑事令の改正という事になります。


かなり早めですが、今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~
笞刑に関する整理(十九) ~裁判所令改正(3)~
笞刑に関する整理(二十) ~刑事令改正(1)~



さて、前回は朝鮮笞刑令が廃止される事になる1920年(大正9年)までの裁判所令の改正を見ましたが、今回は同じく朝鮮笞刑令が廃止される事になる1920年(大正9年)までの、朝鮮刑事令に関する改正について。
ってことで、前回ほどではありませんが、今回もそれほど重要な話では無いので、興味無い人は飛ばしてオッケーです。(笑)

まず最初の改正は、1917年(大正6年)の制令第3号になるんですが、その分だけが何故かアジ歴では公開されていませんので、nominally氏からもらった官報から見ていきたいと思います。
それでは、1917年(大正6年)『制令第3号 朝鮮刑事令中改正』より。

朝鮮刑事令改正(クリックで拡大)

制令第3号
朝鮮刑事令中、左の通改正す。

第21条中、「第12条」を「第12条、第17条」に改む。

第21条の2
第12条第2項、第17条又は刑事訴訟法第147条の規定に依り司法警察官の為す処分には、立会人を要せず。

第35条第2項に左の但書を加ふ。
但し、上告裁判所の検事の附帯上告は、其の趣意書を上告裁判所に差出すに依りて之を為す。

第41条第2項及び第3項を削る。

附則
本令は、大正6年12月10日より之を施行す。
本令施行前に朝鮮刑事令第41条第2項の罪を犯し、未だ確定判決を経ざる者に付ては、朝鮮刑事令に依り之を処断す。
つうか、最初から意味わかんね・・・。_| ̄|○

朝鮮刑事令の第21条は、9月12日のエントリーで取り扱った「刑事訴訟法第92条の規定は、第12条及前2条の場合に之を準用す。」。
「第12条」を「第12条、第17条」に改むですから、「刑事訴訟法第92条の規定は、第12条、第17条及前2条の場合に之を準用す」となります。

その刑事訴訟法第92条は何かというと、「予審判事臨検、捜索、物件差押又は被告人、証人の訊問を為すには、裁判所書記の立会を必要とす。書記は調書を作り予審判事と共に署名捺印す可し。」「裁判所外に於て、急遽の際書記の立会を得ること能はざるときは、立会人2名あるを要す。但、監獄署に就て被告人を訊問するときは、其監獄署の官吏1名をして立会はしむ可し。」「前項の場合に於ては、予審判事自ら調書を作り之を読聞かせ、立会人と共に署名捺印す可し。書記又は立会人なくして為したる処分は、其効なかる可し。」の3項。

ところが、第21条の2として、「第12条第2項、第17条又は刑事訴訟法第147条の規定に依り司法警察官の為す処分には、立会人を要せず。」が新設されてるわけで。
刑事訴訟法第92条って、まさに立ち会い人の規定ちゃうのん?と。

この部分について、大正6年の『朝鮮総督府施政年報』には、「既往の実験に徴して、同令中訴訟手続に関する規定を改正し、司法警察官に於て現行犯の仮予審処分又は非現行犯の急速処分等を為す場合には立会人を要せず」とされています。
裁判所書記をそれに立ち会わせたり、立会出来ない場合には2人の立会人が必要だったりというのが、運用上困難だったって事ですかね。

でも、やっぱり何で第21条に第17条をわざわざ挿入して、第21条の2で除外するという形になったのか不明。
従来のままで良かったじゃん、と。
単に法令上の整理のためなんかな?
ま、悩んで答えが出るほど法学に詳しいワケでもないんで、疑問だけ提示しとこうっと。

続いての第35条に但し書きを加える方は、簡単な話。
元々第35条では、附帯上告は趣意書を原裁判所に出すと規定されてたわけですが、上告裁判所の検事がこの規定に従うと、原裁判所に趣意書出した後すぐ自分の方に還ってくるわけで、この無意味なワンクッションを省いた、と。

で、次の「第41条第2項及び第3項を削る」が、今回の改正のメインですね。
第41条については、9月14日のエントリーで取り上げています。
第2項では、殺人や強盗傷害等のそれまで絞首刑に該当していたような凶悪犯罪に刑法大全を適用し、第3項では当該罪に類似の物は引用するけど、死刑に該当する事例では引用できないという規定でした。

つまり、刑法大全の残置を規定していた条文を削除した事になります。

これに関して、先ほどの大正6年『朝鮮総督府施政年報』から少し引用してみます。

明治45年朝鮮刑事令の実施と共に、旧韓国刑法大全を廃止し、原則として一般に刑法其の他刑事に関する内地法を引用施行したるも、朝鮮人間に行はるる殺人強盗罪は、犯情極めて兇悪なるもの多きを以て、之に対しては従前の如く特に其の制裁を峻厳にするの必要あるを認め、此の2種の犯罪に関する刑法大全の規定に限り、当分の間除外例として其の效力を存続せしめたり。
然るに、近時時勢の進運に伴ひ、犯情兇悪なるもの著しく減少したるに依り、内地刑法を以て之に臨むも治安保持上何等障害を及ぼさざるものと認め、本年12月制令を以て朝鮮刑事令を改正し、此の除外例を削除して其の刑罰を緩和すると共に、従来内鮮人間に残存せし唯一なる実体法上の区別を撤去し、茲に法規統一の目的を達成せり。
1920年(大正9年)の朝鮮笞刑令の廃止が、3.1運動や外人の圧力で行われたとすれば、刑法大全の残置条項は、何の圧力で廃止されたんでしょうねぇ?(笑)

切っ掛けとなったのは明らかですが、ずっと残すつもりも無かっただろう、と。


ってことで、ちょっと早めですが今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~
笞刑に関する整理(十九) ~裁判所令改正(3)~



以前、9月6日のエントリー9月7日のエントリーで取り上げた事のある裁判所令の改正。
その際には、朝鮮笞刑令のだされた1912年(明治45年・大正元年)までの改正を取り上げましたが、今度は朝鮮笞刑令が廃止される事になる1920年(大正9年)までの改正について、簡単に見ていこうかな、と。

まぁ、大した話でも無いので、今日のエントリーは読み飛ばしてOK。
( ´H`)y-~~


ってことで、まずはアジア歴史資料センターの『公文類聚・第三十七編・大正二年・第十九巻・衛生・人類・獣畜、司法・裁判所・民事・刑事/朝鮮刑事令中改正制令案(レファレンスコード:A01200097600)』から、1913年(大正2年)制令第4号。

朝鮮総督府裁判所令中、左の通改正す。

第20条の2
朝鮮総督府司法官試補より、新に朝鮮総督府判事又は朝鮮総督府検事に任ぜられたる者を補すべき欠位なきときは、朝鮮総督は欠位ある迄、予備判事又は予備検事として地方法院、地方法院支庁又は其の検事局に勤務せしむ。

第20条の3
地方法院長又は検事正は、必要ある場合に於ては、予備判事又は予備検事をして、地方法院又は其の支庁の判事又は検事を代理せしむることを得。

第21条の2
朝鮮総督府裁判所及検事局に朝鮮総督府司法官試補を置く。
司法官試補は、地方法院又は其の支庁の判事又は検事の監督を受け実務を修習す。
司法官試補は、奏任官の待遇とす。

第21条の3
司法官試補は、其の修習を監督する判事の命令あるときは、司法事務を取扱ふことを得。
但し、如何なる場合に於ても、裁判又は登記を為すことを得ず。

第21条の4
朝鮮総督は、司法官試補をして地方法院又は其の支庁の検事の職務を代理せしむることを得。
但し、第4条第1項の各号に掲ぐる事件に付ては、此の限に在らず。

附則
本令は、公布の日より之を施行す。


理由
朝鮮総督府裁判所判事及検事の補充上、内地と同じく司法官試補竝予備判事及予備検事を置くの必要あるに依る。
簡単に言うと、内地同様の判事・検事の見習い制度の導入。
司法事務が委託されてから4年。
韓国併合から3年かぁ。
丁度、新しい司法官試補が出てきた頃なのかもね。

第21条の2を見ると、奏任官待遇だったようです。
割と良い待遇。(笑)

続いての改正は、1920年(大正9年)まで飛びます。
1920年(大正9年)には2度改正が行われているんですが、朝鮮笞刑令が廃止になる1920年(大正9年)4月の段階ではそのうちの一方しか出されていませんので、そちらの方のみ御紹介を。
アジア歴史資料センターの『公文類聚・第四十四編・大正九年・第二十八巻・司法・裁判所・執達吏・公証人・民事(民法・戸籍)・刑事/朝鮮総督府裁判所令中改正制令案(レファレンスコード:A01200192100)』から、1920年(大正9年)制令第3号。

朝鮮総督府裁判所令中、左の通改正す。

第4条中「前2号」を「前3号」に改め、同条第1項第5号の次に左の1号を加ふ。

5の2 短期1年に満たざる有期の懲役若は禁錮又は罰金に該る犯罪事件にして、予審を経たるもの
同条第1項の次に、左の1項を加ふ。

登記事務は、裁判所書記をして之を取扱はしむることを得。
第25条 削除

附則
本令は、公布の日より之を施行す。
本令施行前、地方法院又は其の支庁に於て公判に着手したる第4条第1項第5号の2の事件は、従前の例に依り之を完結す。


理由
1 第4条第1項改正の理由は、短期1年に満たざる有期の懲役若は禁錮又は罰金に該る罪と雖、予審を必要とするが如き事件は、内容錯雑紛糾して事実の真相を捉ふるに困難なるもの多きが故に、合議制に依り慎重に裁判権を行ふの必要あるに由る。
同条第2項追加の理由は、判事に差支を生じ登記事務の取扱に支障を来す場合に処する為にして、殊に地方法院支庁の如き、其の大部分は判事1名を配置せるのみなるを以て、病気、出張、その他の事故に因り判事が事務を執ること能はざる場合に、最も必要を感ずるに由る。

1 第25条を削除する理由は、朝鮮人たる判事、検事の学識技能漸く発達し、之をして内地人又は外国人関係の事件に付裁判事務を取扱はしむるも、毫も裁判の威信を傷くるの虞なしと認むるに由る。
9月7日のエントリーで裁判所令は大幅に変わり、第4条もそのうちの一つでした。
で、第4条では基本的に、地方法院では判事単独で裁判をする事になっているわけですが、その中の例外として3人による合議制で行う事件が規定されたんでしたね。
で、そこに「1年以下の懲役・禁錮や罰金刑に該当する犯罪で、予審をしたもの」というのが加わったわけです。
理由は、予審しなきゃ駄目なような事件は、面倒くさい事件が多いから。(笑)

で、「前2号」が「前3号」に変わってますので、1年以下の懲役・禁錮や罰金刑で予審をした事件の共犯事件も3人による合議制になった、と。

更に、登記事務については、裁判所書記に取り扱わせる事ができるという1文を挿入。
理由は、地方法院支庁なんかは判事が1名しかいない所が殆どであり、何かの理由で判事が事務を執ることができないような状態の場合に不便だから、と。
勿論、直接裁判に係わる事務ではなく、登記事務だけ。
やっぱり、人手は足りないんだろうなぁ・・・。

で、第25条を削除。
8月24日のエントリーの法令本文と9月6日のエントリーでの改正条文から、削除された第25条は、以下のとおりとなります。

第25条
朝鮮人にして判事又は検事たる者は、民事に在りては原告被告とも朝鮮人たる場合、刑事に在りては被告人朝鮮人たる場合に限り其の職務を行ふ。
ということで、「朝鮮人たる判事、検事の学識技能漸く発達」したため、朝鮮人限定でしか仕事できなかったこの条文を解除。
併合から10年にしてやっとという気もしますが。(笑)


ってことで、今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~
笞刑に関する整理(十八) ~警察犯処罰規則~



今日も笞刑に直接関係する話では無いんですが、朝鮮笞刑令による対象拡大には繋がる話。
それが今回の警察犯処罰規則です。
日本内地では警察犯処罰令が出されてたわけですが、その朝鮮版ですね。

しかし、これは「朝鮮総督府令」でして、アジ歴にも制定当時の史料は無く。
ってことで、代わりに『大正13年版 朝鮮法令輯覧(レファレンスコード:A06032017900)』の324画像目を見ていく事にします。
それでは、1912年(明治45年・大正元年)『総令第40号 警察犯処罰規則』より。

警察犯処罰規則
明治45年3月
総令第40号

第1条
左の各号の1に該当する者は、拘留又は科料に処す。

1 故なく人の居住又は看守せざる邸宅、建造物及船舶内に潜伏したる者
2 一定の住居又は生業なくして諸方に徘徊する者
3 密淫売を為し又は其の媒合若は容止を為したる者
4 故なく面会を強請し又は強談、威迫の行為を為したる者
5 合力、寄附を強請し、強て物品の購買を求め又は技芸を演じ若は労力を供給して報酬を求むる者
6 収利の目的を以て強て物品、入場券等を配付したる者
7 乞丐を為し又は為さしめたる者
8 団体加入を強請したる者
9 濫に市場其の他之に類する場所に営業者の出品若は入場を強請し、又は物品売買の委託を強請したる者

10 入札の妨害を為し、共同入札を強請し、落札人に対し其の事業、利益の分配若は金品を強請し又は落札人より故なく之を受けたる者
11 入札者通謀して競争入札の趣旨に反する行為を為したる者
12 財物を売買し又は労力を受給するに当り、不当の代償を請求し若は相当の代償を支払はずして不正の利を図りたる者
13 他人の事業若は私事に関し、新聞紙、雑誌其の他の出版物に掲載せざることを約し、又は新聞紙、雑誌其の他の出版物に虚偽の事実を掲載し、若は掲載することを約して金品を受け、其の他不正の利を図りたる者

14 申込なき新聞紙、雑誌其の他の出版物を配付して、其の代料を請求し、又は強て其の購読の申込を求めたる者
15 申込なき広告を為して其の代料を請求し、又は強て広告の申込を求めたる者
16 誇大又は虚偽の広告を為し、不正の利を図りたる者
17 他人の業務又は其の他の行為に対し、悪戯又は妨害を為したる者
18 故なく他人の金談取引等に関渉し、又は濫に訴訟、争議を勧誘教唆し、其の他紛擾を惹起せしむべき行為を為したる者
19 濫に多衆聚合して官公署に請願又は陳情を為したる者
20 不穏の演説を為し、又は不穏の文書、図画、詩歌の掲示、頒布、朗読若は放吟を為したる者

21 人を誑惑せしむべき流言浮説又は虚報を為したる者
22 妄に吉凶禍福を説き、又は祈祷、符呪等を為し、若は守札類を授与して人を惑はしむべき行為を為したる者
23 病者に対し禁厭、祈祷、符呪又は精神療等を施し又は神符、神水等を与へ医療を妨げたる者
24 濫に催眠術を施したる者
25 故らに虚偽の通訳を為したる者
26 自己又は他人の業務に関し、官許ありと詐称したる者

27 官公職、位記、勲爵、学位、称号を詐り、又は法令の定むる服飾、徽章を僭用し、若は之に類似のものを使用したる者
28 官公署に対し不実の申述を為し、若は其の義務ある者にして故なく申述を肯ぜす、又は情を知りて不実の代書を為したる者
29 本籍、住所、氏名、年齢、身分、職業等を詐称して投宿又は乗船したる者
30 故なく官公署の召喚に応ぜざる者
31 官公署の榜示し、若は官公署の指揮に依り榜示せる禁条を犯し、又は其の設置に係る榜標を汚涜若は撤去したる者
32 警察官署に於て特に指示若は命令したる事項に違反したる者
33 不正の目的を以て人を隠匿したる者

34 徒弟、職工、婢僕、其の他労役者若は被雇者等に対し、故なく其の自由を妨げ又は苛酷の取扱を為したる者
35 濫に他人の身辺に立塞り、又は追随したる者
36 祭事、葬儀、祝儀又は其の行列に対し、悪戯又は妨害を為したる者
37 夜1時後、日出前、濫に歌舞音曲其の他喧噪の行為を為し他人の安眠を妨害したる者
38 劇場、寄席、其の他公衆会同の場所に於て、会衆の妨害を為したる者
39 公衆の自由に交通し得る場所に於て喧噪し、横臥し又は泥酔して徘徊したる者
40 公衆の自由に交通し得る場所に於て、濫に車馬、舟筏、其の他の物件を置き又は交通の妨害と為るべき行為を為したる者
41 公衆の自由に交通し得る場所に於て危険の虞あるとき、点灯其の他予防の装置を為すことを怠りたる者
42 官署の督促を受けて、崩壊の虞ある建造物の修繕又は顛倒の虞ある物件の積換等を怠りたる者
43 雑沓の場所に於て制止を肯ぜず、混雑を増すの行為を為したる者
44 出入を禁止したる場所に濫に出入したる者
45 水火災其の他の事変に際し、制止を肯ぜずして其の現場に立入り、若は其の場所より退去せず、又は官吏より援助の求を受けたるに拘らず故らに之に応ぜざる者
46 街路に於て夜間灯火なくして諸車又は牛馬を使用したる者
47 許可を得ずして路傍又は河岸に露店等を開きたる者
48 制止を肯ぜずして路傍に飲食物其の他の商品を陳列したる者
49 電線の近傍に於て紙鳶を揚げ、其の他電線の障害となるべき行為を為し、又は為さしめたる者
50 石戦其の他危険の遊戯を為し、若は為さしめ、又は街路に於て空気銃吹矢の類を弄び、又は弄ばしめたる者

51 濫に犬其の他の獣類を嗾し又は驚逸せしめたる者
52 猛獣、狂犬又は人を咬傷する癖ある獣畜等の繋鎖を怠りたる者
53 闘犬又は闘雞せしめたる者
54 公衆の目に触るべき場所に於て、牛馬其の他の動物を虐待したる者
55 危険の虞ある精神病者の監護を怠り、屋外に徘徊せしめたる者
56 公衆の目に触るべき場所に於て、袒裼、裸裎し、又は臀部、股部を露はし其の他醜態を為したる者
57 街路に於て屎尿を為し、又は為さしめたる者
58 他人の身体、物件又は之に害を及ぼすべき場所に対し、物件を抛澆し又は放射したる者
59 濫に禽獣の死屍又は汚穢物を棄擲し、又は之が取除を怠りたる者
60 人の飲用に供する浄水を汚穢し、又は其の使用を妨げ、若は其の水路に障碍を為したる者
61 河川、溝渠又は下水路の疏通を妨ぐべき行為を為したる者
62 溝渠、下水路を毀損し、又は官署の督促を受けて其の修繕若は浚渫を怠りたる者
63 官署の督促を受けて道路の掃除若は撒水を為さず、又は制止を肯ぜず、結氷期に於て道路に撒水したる者
64 官署の督促を受けて煙突の改造、修繕又は掃除を怠りたる者

65 濫に他人の標灯又は社寺、道路、公園其の他の公衆用の常灯を消したる者
66 神祠、仏堂、礼拝所、墓所、碑表、形像其の他之に類する物を汚穢したる者
67 濫に他人の家屋其の他工作物を汚涜し、若は之に貼紙、張札等を為し、又は他人の標札、招碑、売貸家札其の他榜標の類を汚涜し、若は撤去したる者
68 濫に他人の田野、囲囿に於て菜果を採摘し、又は花卉等を採折したる者
69 他人の所有又は占有したる土地を冒して工作物を設け、軒楹を出し、牧畜を為し又は耕作其の他現状に変更を来すべき行為ありたる者
70 電柱、橋梁、掲示場其の他の建造物に濫に牛馬を繋ぎたる者

71 橋梁又は堤防を損壊するの虞ある場所に舟筏を繋ぎたる者
72 濫に他人の繋ぎたる牛馬其の他の獣類又は舟筏を解放したる者
73 濫に他人の田圃を通行し、又は之に牛馬諸車を侵入せしめたる者
74 自己占有の場所内に老幼、不具又は疾病の為救助を要する者、若は人の死屍、死胎あることを知りて、速に警察官吏又は其の職務を行ふ者に申告せざる者
前項の死屍、死胎に対し、警察官吏又は其の職務を行ふ者の指揮なきに其の現場を変更したる者
75 人の死屍若は死胎を隠匿し、又は他物に紛はしく擬装したる者
76 許可を得ずして人の死屍若は死胎を解剖し、又は之が保存を為したる者
77 一定の飲食物に他物を混じて不正の利を図りたる者
78 病斃したる禽獣の肉類、又は不熟の果物、腐敗の飲食物其の他健康を害すべき物を飲食物として営利の用に供したる者
79 埋棄したる牛、馬、羊、豚、犬等の死屍を発掘したる者
80 炮煮、洗滌、剥皮等を要せず、其の侭食用に供すべき物に覆蓋を設けず、店頭に陳列し又は行商したる者
81 自己又は他人の身体に刺文したる者
82 家屋其の他の建造物若は引火し易き物の近傍又は山野に於て濫に火を焚きたる者
83 石灰其の他自然発火の虞ある物の取扱を忽にしたる者
84 濫に鉄砲の発射を為し、又は火薬其の他劇発すべき物を玩ひたる者
85 許可を得ずして煙火を製造し、又は販売したる者
86 許可を得ずして劇場其の他の興行場を開きたる者
87 渡船、橋梁其の他の場所に於て、定額以上の通行料を請求し、若は定額の通行料を支払はずして通行し、又は故なく通行を妨げ、若は通船の求に応ぜざる者


第2条
本令に規定したる違反行為を教唆し又は幇助したる者は、前条に照し之を罰す。
但し、情状に依り其の刑を免除することを得。

附則
本令は明治45年4月1日より之を施行す。
長いし、取りあえず読んだままなので解説は無しで。(笑)

ちなみに、太字の部分は日本の1908年(明治41年)『内務省令第16号 警察犯処罰令』に、類似項目が無い部分。

逆に、1908年(明治41年)『内務省令第16号 警察犯処罰令』にはあって、1912年(明治45年・大正元年)『総令第40号 警察犯処罰規則』には無い項目は一つだけ。
開業の医師、産婆、故なく病者又は妊婦、産婦の招きに応ぜざる者」。
まぁ、この頃はまだ、医師免許や産婆免許といった、資格を持っている人自体が少なかったってのもあるんでしょうけど。

で、1912年(明治45年・大正元年)『総令第40号 警察犯処罰規則』では、大雑把に言って不正利得や虚偽申告、公共的概念に関する部分なんかが、大目に増えている事が分かります。

中でも特徴的なのは、「23 病者に対し禁厭、祈祷、符呪又は精神療等を施し又は神符、神水等を与へ医療を妨げたる者」。
まぁ、閔妃の祈祷の話や一昨年の4月30日のエントリーの卜筮巫女が頻繁に出入りする話等、「まじない」に関する話は結構目にするわけで、「そういう世界だから良いんじゃね?」で済めば良いんでしょうけど、村山智順の調査なんかを見ても、伝染病でこれやられたら、たまったもんじゃ無いしねぇ。(笑)

後は、「53 闘犬又は闘雞せしめたる者」かなぁ。
負けた方の犬、補身湯(ポシンタン)にされて喰われたりしないよなぁ、とか思いつつ。(笑)


今日はここまで。



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笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
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笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~
笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(2)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(1)~
笞刑に関する整理(十) ~適用事例(2)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(1)~
笞刑に関する整理(十一) ~裁判所令改正(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(1)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(2)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(3)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(4)~
笞刑に関する整理(十二) ~朝鮮刑事令(5)~
笞刑に関する整理(十三) ~犯罪即決例改正~
笞刑に関する整理(十四) ~朝鮮笞刑令~
笞刑に関する整理(十五) ~朝鮮笞刑令施行規則~
笞刑に関する整理(十六) ~笞刑執行心得~
笞刑に関する整理(十七) ~朝鮮監獄令と司法警察事務並令状執行ニ関スル件~