「陸奥外務大臣と清国公使汪鳳藻との談話概要」で、一回休憩した東学党の乱の連載。
今日からまた頑張ります。

ってことで今日からは、またアジ歴の英文地獄が始まります・・・。
『東学党変乱ノ際韓国保護ニ関スル日清交渉関係一件 第一巻/明治27年6月9日~明治27年6月21日(レファレンスコード:B03030205000)』、12ページ目。
陸奥外務大臣から大鳥公使への、1894年(明治27年)6月16日付『電送第205号』より。

Otori
Seoul

Following is strictly confidential.
I had long interview with Chinese minister 六月十六日 with a view to arrive at some understanding with China for the preservation of peace and order in Corea in future, even if present disturbance be suppressed.
I proposed to Chinese Government a Scheme important points as follows: Japan will act conjunctly with China. 1st to suffers revolt and restore order.
2nd to appoint joint commission from both countries to reform administration and finance.
3rd to organize efficient army for self protection.
In spite of the above proposal you may at any time aid Corea to suppress the revolts if occasion presents itself.

Mutsu
次の事項は極秘。
陸奥は、将来朝鮮の平和と秩序を保護して現在の騒乱を鎮圧するため、清国との間で何らかの合意に達する事を意図して、6月16日に清国公使の汪鳳藻と長時間にわたる会談を持った。
陸奥は以下のような重要な計画を清国政府に提案した。

第一に、朝鮮の反乱を鎮圧して秩序を回復すること。
第二に、日清両国は、合同委員を任命し、行財政を改革すること。
第三に、朝鮮の自衛のために十分な陸軍を組織すること。

上の提案に係わらず、貴下はいつでも反乱鎮圧のために朝鮮を援助する事ができる、かな?
基本的には、「陸奥外務大臣と清国公使汪鳳藻との談話概要」で提議された話について、大鳥へ通知している電報ということになるでしょう。

続いては13~14ページ目。
在英国青木公使から陸奥への1894年(明治27年)6月14日発、同16日着の『電受第248号』から、英文とその訳文を続けて。

Mutsu
Tokio

Minister for Foreign Affairs sent for me to show me telegram from British minister to China to the effect that Chinese troops would be withdrawn from Corea as insurgents had dispersed.
British minister to China requested minister for Foreign Affairs to use his influence with Japan in order that Japanese troops be also with drawn minister for Foreign Affairs, in support of this, said that British Government feared prolonged stay of Japanese troops might reduce complications; besides he repeated what I have already telegraphed it will depend upon your answer whether I may make to you some suggestions.

在英公使


電信訳文

英外務大臣は本使を招き、在清国英公使より受取りたる電信を示せり。
其の大要は
朝鮮の■民已に敗散したるに付、清国は其の兵を撤回せんとす。
依て、日本も同じく其の兵を撤回する様閣下(英外務大臣を指す)に於て御斡旋を願ふ。
外務大臣は、右電信の意を受け本使に告げて曰く、英政府は日本軍隊にして長く朝鮮に滞在せば、葛藤を生ずべきを畏るると。
貴大臣より御返電の模様に依り、本使の或は意見をも申進することあるべし。
イギリスの外務大臣が青木公使を招いて、在清国のイギリス公使からの電報を見せた、と。
その大要は、朝鮮の乱民は既に敗れ散ったため、清国は撤兵しようと思う。
従って、日本も同じく撤兵するよう、イギリス外務大臣の斡旋をお願いしたい。

イギリス外務大臣はその電報の意図を受け、青木に向かって、イギリス政府は日本軍が長く朝鮮に滞在すれば、対立が生じる事を恐れると述べた。
陸奥からの返電の内容により、もしかしたら青木からも意見を申し述べる事があるかも知れない、と。
イギリスが介入するかしないかは、重要な問題ですな。( ´H`)y-~~

次は15~16ページ目。
天津の荒川領事から陸奥への、1894年(明治27年)6月16日発『電受第250号』より。
これまた邦訳がついているので、そちらも続けて。

Mutsu
Tokio

六月十六日 by 李鴻章 I am desired to inform you it is true according to the report of 葉提督.
全州 has been replaced by Corean Government and that 李鴻章 is willing to immediately withdraw Chinese army if Japanese Government do so at the same time.
葉 has been ordered not to move to any place from 牙山.

Arakawa


電信訳文

6月16日、李鴻章は左之事を貴大臣へ発電方本官へ依頼せり。
葉提督の報知に拠れば、朝鮮政府に於て全州を恢復せしは事実なり。
日本政府に於て同時に其の兵を撤回するに於ては、清兵は直に撤回すべし。
葉提督へは、牙山の外に出でざる様命令し置けり。
6月16日、李鴻章は次の事を陸奥へ電報するよう依頼してきた。
葉提督の報告によれば、朝鮮政府が全州を回復したのは事実だ。
日本政府が同時に日本軍を撤収させるなら、清国も直ちに撤兵する。
そして葉提督には、牙山の外へ出ないように命令しておいた、と。

つうか、英国からの話といい今回の話といい、清国政府も動いてきましたね。
勿論、「陸奥外務大臣と清国公使汪鳳藻との談話概要」の中身は、まだ伝わって無いんでしょうけど。


ってことで、今日はここまで。



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