回顧録のせいで、途中でぶった切られちゃいましたが、10月27日のエントリー10月29日のエントリーでやった、荻原警部の復命書の続きを見ていきたいと思います。

前回までで、結局全州と金溝以外はそんなに被害が無いってとこまで分かりました。
まぁ、10月27日のエントリーで内田領事が言ってたとおりですな。
ってことで、早速続きを。

以上の経過地、即ち全州・泰仁・古阜・扶安・金堤・金溝の地は、民擾に重なる関係を有する地にして、多少紛擾の存するあらんと考ひ詳細に調査したるも、今日に至りては何等の認むべきなく、一旦東徒に加はりたる輩も各其郷に帰り、農事に従事し、官府亦追跡せざる事なれば、先づ静定に帰したるには相違なく、只残党各地に出没するが如く風説あるのみ。
ってことで、全州・泰仁・古阜・扶安・金堤・金溝ってのは東学党の乱の主な舞台なわけで、多少紛擾が残ってるんじゃないかと思って詳細に調査したけど、現在では何も見受けられず、一度は東学党の乱に加わった者も故郷に帰って農業して、役所とかもその追跡をしないため、平穏になったのには違いなく、ただ残党が各地に出没するという噂があるだけ、と。

つうか結局、役人の不正→騒擾→役人交代→騒擾治まる→騒擾起こしたヤツ不問っていうサイクルを繰り返してるんだよね。
不正への対処ってのは役人の交代だけ。
騒擾起こしても不問。
ガス抜きが行われてるだけで、進歩はしないという。
現代韓国で言うと「ろうそくデモ」みたいなもん?(笑)

察する処、初め東徒に入りたるものの中、正業なきの輩は敗走後と雖ども他に生活の途なければ、矢張各処に在りて盜賊其他不正の業為を以てし、東学党と自称し横行。
旅行者又は良民を害するあらんかと考へらるるも、東徒が再発に至らさるべしとの点を挙ぐれば、巡回地方各処農事には一も故障なく、農民は総て豊年を祝し居ること。
已に兵器の使用すべきもの乏しく、比較上官兵は利器を有し居りしを覚りたる事。
東学党は、夭術を以てし銃丸も傷くる能ずとの感は、全州の一戦其効なく、大に元気を損じたること。
地方官吏中、出来事に懲り将来互に戒慎すること。
是等の事実は、彼等の再発すまじと推測し得べき点にして、今後地方官が自己の損失を回復せんと私慾を逞するに至らば、或は災の起らんも計り難しと雖も、彼等の胸中も亦重大の心算あるにあらず、到底一部の地方官を苦しむるに止まるべきのみ。
推察するに、東学党の乱参加者のうち、まともな職にも就いてない連中は、敗走後でも他に生活する方法が無いので、やっぱりあちこちで盗賊等の不正な行為をして、東学党と自称して横行しており、旅行者や一般ピープルに害を加える事もあるんじゃないかと思う。

ただ、巡廻した地方の農業には少しも差し障りがなく、農民はみんな豊年を祝している事。
すでに武器で使用するものが乏しく、比較の上では官軍はそれに勝る武器を持っている事を悟った事。
東学党は妖術を使い、鉄砲でも傷つけられないっていうイメージは、全州の一戦では効果がなかったので、非常に元気がなくなった事。
地方官吏の中で、東学党の乱に懲りて将来互いに戒慎する事。

こういった事実は、東学党の乱は再発しないだろうって推測できる点であり、今後地方官が自分の損失を回復しようとして私利私欲を追うようになれば、また災いが起きるかも知れないけど、彼らの胸中にもまた重大な心づもりがあるわけじゃなく、つまるところ一部の地方官を苦しめる事ができるくらいだろう、と。

んじゃ、続き。

別紙は監司の暁諭文にて、金堤に於て得たるものなり。
右の如く必要地の状況を視察し、帰途公州に至りたるに、清兵2,000名程聶之に将として同地にあり。
依て直ちに電報せんと考へ、高嶋留学生電報局に至る途中彼等の暴行に遭ひ、到底発電するを得ず。
又、韓人に托し電報せんとすれば、漢文を用ゆべしとの事にて、暗号を使用する能はず。
且、朝鮮電信局は清人の専有に帰し、遂に我々の使用し得べからざるに立至りたりと察し、其儘に打過ぎたり。
別紙は監司の暁諭文で、金堤で得たもの。
この別紙については、この後すぐ。

で、各地の状況を視察して、帰り道に公州に来たら、清兵2,000名程度が聶を将軍として居た。
ってことで、すぐに電報を送ろうと思って高嶋留学生を電報局に向かわせる途中、清国兵の暴行にあって発電できず。
で、韓国人に託して電報しようとすれば、「漢文使うアル!( `八´)」と言われて暗号電文を使えず。

しかも朝鮮電信局は清国人の専有状態になっており、結局荻原等が使用できないだろうってことで、そのままに帰ってきた、と。

清国人がこういう事すると、日本に電信線引く言い分が立っちゃうよなぁ・・・。(笑)
んじゃ、続いて別紙の暁諭文等について見てみましょう。

甘結 金堤
雖昨日梗化若今日帰化則是赤子也自完解散意誦各帰安業近見各邑所報則一様惹擾邑村釈軽云故成出暁諭文以送自本邑招致各店幕各洞里解事人等各給此暁諭文一通店幕則掲付壁上洞里則逐戸暁諭使居者行者無有不聞不知之弊宣当者
甲午五月十九日
都巡使


曉諭文

爾等之自完散去也意謂釈当帰農各復旧業矣今聞幾処余党猶復不釈兵器所在屯結云此何故也
綸旨屢下
徳意懇惻可以孚豚魚感木石到界之日飜閲各邑使之揭付坊曲暁諭爾等尚或未之見乎見之而猶復如此則真豚魚木石之不若尚未及見則是道臣不能宣布我
聖上若保之至意致使爾等終有疑懼之情也思之及此若恫右已茲遣軍官李容仁更慕真心実情爾等明聴此言母相将疑母相懐劫各帰郷里此爾田宅復爲平民則有全生安業之楽免陥則抵辟之患豈非大事乎爾等立
列聖朝五百年化育中物耳既具彝性寧有終是執迷冥頑不化之理乎爰将後録幾條与爾等約使豈誑爾若誑爾則昨徒陥赤子於死地寔孤負我
聖上委界之重爾等一々知悉尚或無疑
一.弊政之爲害於民者已有所面承
聖教者一切矯華固不待爾等之言而小者自営革罷大者方啓聞請革事
一.朝廷既許爾帰化営門亦然則爾等還帰之日即平民而已若隣里以旧怨指目若官吏以前事侵索則非徒爾等蹤跡之■■安有朝廷許爾之本意乎営門当另飭痛禁期使爾等安堵乃已而爾等所居面里各置執綱如有爾等冤鬱之可言者該執綱具由訴営以待公決事
一.爾等兵器是勢窮自衛之計也宜即消詳開録各約於所在郡縣事
一.兵器還約之外凡係財穀等件雖有欲推之民訴今日以前付之之乎赦前以永々勿論之意自営門茲発関各邑事
一.爾等既失農又蕩産分離帰家無以資治今年戸役与各項公納当一々蠲除事
一.使爾等帰化之日使之安業楽生責在於使諸般商務次第施措而今不可一々枚挙事
前段の部分を簡単に言えば、東学党の乱後は各々郷里に帰って正業に就くと思ってたのに、最近各邑の報告を見ればまだ騒擾起こしてるようなんで、暁諭文送るから掲示しろ、と。

んで、後段の暁諭文。
君らの解散後、てっきり武装を解き、郷里に帰って農業にすると思ってたら、まだ残党が武器をおかずにあちこちに駐屯してるって言うけど、これってどうよ?
もしかして綸旨見てないのかな?かな?

今、軍官の李容仁を派遣したので、君ら良く考えて、それぞれ郷里に帰って欲しい。
いくつかの条文を君らと約束するし、嘘つかないから信じてよ、と。

で、その条文。
一つ目は、弊政は改革することにした。

二つ目は、帰化した後は平民に戻るんで、隣のヤツや役人が東学党の乱を根拠にいじめたりしないから安心汁。
君らの住んでる各面里に執綱を置いたんで、もし君らの中で何か言いたい事あれば、執綱が事由を書いて営に訴えて公正な審理するし、と。
・・・巷間の、執綱所が農民の自治機構とか二重権力とかって、何の話だ?(笑)

三つ目が、武器返しとけ、と。

四つ目が、武器返却の誓約以外に、財穀については今日以前の民訴に対しては赦してやるって趣旨を、営門から各邑に出させるから、と。

五つ目。
君らは農業も失い家財も無くして、家に帰っても生活する金が無いだろうから、今年の戸役と公納は免除してやるよ。

最後の六つ目が、君らを帰化させるのは、正業について楽な生活をさせるための責任は地方官にあり、諸般の商務は徐々に施行されてくから、一々列挙できないよ、かな?

以上で10月27日のエントリーからやってきた1894年(明治27年)7月11日付『公信第405号』はお終い。
思わぬ所から「執綱」の話が出てきたなぁ。(笑)


ってところで、非常に長くなりましたが今日はここまで。



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