前回は、1894年(明治27年)6月27日に閣議決定を受けた、朝鮮に対する日本の勧告に関する大鳥公使への訓令の前半部分を見ました。
今日はその後半部分を見ていきます。

ってことで、今日もアジア歴史資料センターの『東学党変乱ノ際韓国保護ニ関スル日清交渉関係一件 第一巻/7 明治27年6月13日から1894〔明治27〕年6月30日(レファレンスコード:B03050308100)』から。
41画像目。
1894年(明治27年)6月27日『親展送第76号』の続きより。

即ち、

官司の職守云々の項に付ては

朝鮮国情弊の多き因循の久き政令横に出で、官紀序を失ひ、衙署有司の設ありと雖ども徒に其職に充て、其缺を補はしむるのみ。
此の如くにして、安ぞ能く吏治を整頓することを得んや。
故に宜く此時に当りて、各其分掌の事務を明らかにし、以て其責守を曠からしめざることを期せさるべからず。
まずは、「官司の職守を明かにし、地方官吏の情弊を矯正する事」について。

朝鮮では、悪弊の多い旧習に従った政令が気ままに出され、官吏の守るべき規律や秩序は失われ、役所や役人の制度はあるけど、単に欠員補充するだけ。
この有様で、どうして地方官の施政を整理できようか。
ってことで、まずはそれぞれの分掌事務を明確にして、それによって職責を疎かにしないように期しなければならない。

まぁ、東学党の乱の発端自体が地方官による虐政なわけで。
誰が何の仕事をし、どういう責任があるのかも明確じゃなかったんでしょうねぇ。

んじゃ続き。

外国交渉の事宜云々の項に付ては

之を従来の経験に徴するに、彼我交渉事件の起るに際し、権閥の橫議は常に当局者の談を左右し、朝には之を是とするも夕には之を非とし、昨は之を議するも今は之を肯せず、泛々茫々、強ひて其言質を捉へて之に迫る事あるときは、忽ち当局者の辞職転任となり、竟に外国使臣をして該国政府定見の在るところを知るに迷ひ、隨て信を当局者の言語に措く事能はざらしむるに至る故に、向後は宜く外務当局者の職守を重くし、其一言一語は常に該国政府を代表するものたることを明確にせさるべからず。
続いては、「外国交渉の事宜を重じ、職守其人を択ぶ事」について。

これまでの経験から、外交交渉事件が起きた際には、権閥の横やりは常に外交当局者の発言を左右し、朝にはオッケーしたのに夕には駄目だとし、昨日は相談したのに今日は聞き入れず、軽々しくてハッキリしない。
強いてその言質を捉えて詰め寄ると、忽ち外交当局者の辞職や転任となり、遂に外国の外交官は朝鮮政府の定見がどこにあるのか分からず、外交当局者の発言を信用できないものにしているので、今後は外務当局者の職責を重くして、その一言一句は常に朝鮮政府を代表するものだということを明確にしなければならない。

勧告も糞も、至って当たり前の話。
つうか、こういう言を左右にする態度自体が、開国時からずっと続く朝鮮の悪癖であると共に、自身を追い詰めてた元凶なわけで。
いや、この後も併合の時まで変わらんわけですが。(笑)

よく、条約違反等であるにも係わらず、「~を口実として」なんて記述を良く見ますが、違反は違反だから、と。(笑)
ぶっちゃけ、開国期からこれをちゃんとしてるだけで、歴史大きく変わってたと思うよ。
( ´H`)y-~~

裁判云々の項に付ては

該国現在の裁判制度に依るときは、地方長官に於て訟件を受理し、其判決を以て終審となし、更に控訴上告の道なく、動もすれば理非曲直其処を失し往々冤枉に屈し、更に補伸の道を得ざるより、延て外交上事端を滋すに至る故に、宜く訟廷を公開し務めて審理公平を期すべし。
且つ、成るべくは此際裁判制度を設備し、裁判官を常置し、裁判所の階級を画定し、以て控訴上告の道を開通するを可とす。
次は「裁判を公正にする事」。

現在の朝鮮の裁判制度は、地方長官で訴訟を受理して、その地方官の判決で結審となり、控訴や上告もできない。
その事がややもすれば物事の是非を失わせ、往々冤罪が起き、それを更正する事もできないため、ひいては外交上の事件の発端を増やすに至るため、裁判を公開してなるべく公平な審理を心掛けること。

かつ、なるべくこの際裁判制度を整え、裁判官を常置して裁判所の階級を画定し、控訴上告の道を開くのが良いだろう、と。

司法と行政が分かれてないため、地方官はやりたい放題なわけで。
上告等も無くそれで結審してしまうので、地方官の思うがまま。
それを直せ、と。

多分、「延て外交上事端を滋すに至る故」は要チェックの文言。
内政干渉との兼ね合いで。(笑)

会計出納云々の一項に付ては

貢租賦税の実を調査し、国庫の歳出入を明かにし、貪官汚吏をして其侵蝕を恣にすることを得ざらしむべし。
「会計出納を厳正にする事」について。

土地調査事業でも触れましたが、政府が収穫量がどれくらいあって、税収がどれくらいあるという事を全く把握してないんですね。
で、会計もどんぶり勘定。
予算は勿論無し。
だから、兵士への給料遅配どころか、外国人顧問への給料さえ遅配する状態になるわけで。
そんな状態で近代国家としての一歩を踏み出せよう筈もなく。

ってことで、税収どんくらいあるのか調査して、歳出・歳入を明確にし、貪官汚吏が欲しいままに横領できないようにしろよ、と。

まぁ、驛屯土なんかで地方官が自分で官費調達する状態から改善しないと駄目だったり、そもそも税収を計算するために土地調査等も行わなければならないわけで、割と大事業なんですが。
少なくとも歳入と歳出を把握して、予算立てるだけで大幅に違いますわな。

つうか、そんな事もできてないのに300万も借りに来る金玉均、バカスwwwww

兵制警察云々の一項に付ては

必要の兵備を設けて以て国安を保持するは、独立国当然の措置に属すれば、宜く精鋭を訓練して以て護国の実を挙ぐべし。
又、常に国内の公安秩序を維持し、擾乱を未発に防がんとするには、宜く警察の制を設て以て機を察し微を識ることを期すべし。
「兵制を改良し、及警察の制を設くる事」について。

必要な軍備を用意して国の安全を保持するのは、独立国として当然の措置であり、精鋭を訓練して国防の実効を挙げろ。
また、国内の公安秩序を維持し、擾乱を未然に防止するためには、警察制度を完備して機微を把握しろよ、と。

軍制がしっかりして警察制度があれば、東学党の乱は起こらなかったか、起こっても清国に救援頼む有様にはなりませんし。
つうか、東学党の乱の清国への救援依頼について言えば、袁世凱の横やりと、閔泳駿と高宗がビビりのせいだという見方もありますが。(笑)
まぁ、しっかり国内蹂躙されてますし、問題起きないような行政の整備とは別に、軍備や警察制度が必要というのも当然の事ですがね。


ってところで、残りは2項目なんですが、ちょっと今日はここまで。(笑)



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