前回のラストでは、日本が独立国として朝鮮を公認してきた事と内政等への干渉に対する不都合や、諸外国の妨害を避けるため、朝鮮政府と保護条約を結んで、内治外交に干渉することが重要といってました。
今日はその続き。

京城領事の内田定槌から陸奥への、1894年(明治27年)6月26日付『機密第26号』。
アジア歴史資料センター『韓国内政改革ニ関スル交渉雑件 第一巻/2 明治27年6月20日から1894〔明治27〕年7月12日(レファレンスコード:B03050308200)』の14画像目の右から3行目から見ていきます。

然りと雖ども、朝鮮国をして我日本帝国の保護を受けしむるの条約を締結せんとするも、当国政府は果して之を承諾するや否や、又清国政府を始め他の諸外国政府より故障を申出づるもの無之や否や等の懸念も御座候処、帝国政府に於ては既に数千の大兵を京仁両地の間に屯在せしめ居る事にて候得ば、我外交官たる者の掛合方如何によりては意外にも容易に当国政府の承諾を得らるべくと存候。
尤も、かかる場合に臨みては、清国政府よりの故障は勿論可有之義に付、我帝国政府は右の目的を達する為め今後当地に於て清国と決戦を試むるの御覚悟有之度きものに御座候。
しかし、朝鮮に日本の保護を受けさせる条約を締結しようとしても、朝鮮がそれを承諾するかどうかや、清国を始めとする諸外国から異議申し立てされる懸念もあるけど、日本は既に数千の大軍を京城・仁川に駐留させてるんだから、外交官の交渉次第で意外に簡単に朝鮮の承諾を得られるだろう、と。
約束守る国相手なら良いんだけどね。
( ´H`)y-~~

で、そういった場合には、清国からの異議申し立ては当然あるだろうから、日本はその目的を達するために、今後朝鮮で清国を決戦する覚悟がほしいものだ、と。
そうだねぇ、同じ戦うなら、そっちの方が良いかもねぇ・・・。
まぁ、対清関係だけで済む話じゃないんで、そう上手くはいかないんですが。

んじゃ、続き。

然るに、之れが為め我国が他の諸外国と兵端を開くに至るべきや否やと云ふに、当国の成行に関し、最も利害を感ずるものは日清両国の外英露の2国に御座候処、若し英国にして清国の応援をなさんとすれば、露国に於て之が抵抗を試むる可く、又露国にして或口実を設け当国へ出兵せんとすれば、英国に於て之に抵抗すべしと雖ども、目下英露両国の状勢并に其関係を案ずるに、未だ当地に於て如此衝突を生ずべしとも思はれず。
従て、互に出兵を差控へ可きを以て、此両国は左迄意に介するに足らざる儀と存候。
又、米独仏の3国は、仮ひ一時其居留人保護の為め、仁川より水兵を上陸せしむる位の事は可有之と存候得共、我国と衝突を惹起する如き愚策を執らざるものと相信候。
そのために日本が諸外国と戦争すべきかどうかについては、朝鮮情勢に関係する国は、日清両国のほかにはイギリスとロシアがあるけど、もしイギリスが清国の応援をしようとすればロシアが抵抗するだろうし、ロシアが口実を作って朝鮮へ出兵すればイギリスが抵抗するだろうけど、現在のイギリスとロシアの状勢や関係を考えると、朝鮮でこのような衝突を起こすとも思えない。
ってことで、双方出兵は差し控えるだろうから、この両国はそれほど気にしなくて良いと思う。

また、アメリカ・ドイツ・フランスの3国は、居留民保護のために一時的に仁川から水兵を上陸させるくらいの事はするかもしれないけど、日本と衝突を起こすような愚策はとらないものと信じている、と。

「戦後」を考えなければそうかも知れませんがねぇ・・・。
ちょっと見通しが甘い気もする。

而して、我国が清国と交戦することは、朝鮮を以て我保護国となすの條約を締結するに付き、其妨害を除去するが為め最も必要なる而已ならず、従来清国政府が当国政府の当路者を自国に懐くるには、常に自国の強大を誇り、日本の小弱にして恃むに足らざるを説き、且つ不幸にして往時壬甲の役并に明治17年の変乱には、恰も日本兵が支那兵の為め討ち退けられたる如き形迹を現はしたるを以て、当国官民は自然清国に結托すれば日本は恐るるに足らざるものと誤認致居候に付、若し今般日清両国共に兵を当国に出したる後、一回も交戦することなくして互に兵を引揚ぐることにも相成候得ば、彼清国人は当国人に向ひ例の大言を吐き、日本兵は中国兵の威を恐れて終に本国へ帰れりなどと言触らすことなしとも計られず。
果して然らば、益々我国威を毀損する次第に付、此好機に臨み痛く彼清兵を打破り、当国人をして親しく我帝国の威風を目撃せしめ、以て清国の将来恃むに足らざるを知らしむること目下の必要と存候。
しかし、日本が清国と交戦することは、朝鮮を日本の保護国とする条約を締結するために、その妨害を除去するために最も必要な措置だ、と。

それだけでなく、これまで清国が朝鮮の当路者を自国に懐けるためには、常に清国の強大を誇り、日本が弱小で頼むに足りない事を説き、しかも壬午事変や甲申事変では、まるで日本兵が清国兵によって討ち退けられたかのように見え、自然と朝鮮の官民は清国と結託すれば日本は恐るるに足らないと誤認している。

もし今回日清両国が兵を朝鮮に出した後、一回も交戦せずにお互い軍を引き揚げる事になれば、清国人は朝鮮人に対していつもの大言を吐き、「日本兵は中国兵の威を恐れて終に日本に帰ったアル!」なんて言いふらすかも知れない。
もしそうなら、ますます日本の国威を毀損するわけで、この好機に臨んで痛烈に清国兵を打ち破り、朝鮮人に日本の威風を目撃させ、清国が将来頼むに足らない事を知らしめるのが、目下必要の事だと思う、と。

言う清国・信じる朝鮮。
そういう奴らを相手にしなきゃ駄目ってのが悲惨よねぇ・・・。(笑)

之を要するに、今回我国より如此大軍を当地へ御派遣相成候上は、此好機会を失ふ事なく、帝国公使館、領事館并に居留帝国臣民を御保護相成候外に、尚ほ一歩を進め、当朝鮮国を以て我日本帝国の保護を受けしむるの条約を締結し、自今我帝国政府に於て当国の内治外交に干与し、其進歩改良を図りて之を富強の域に導き、一は以て我帝国の藩屏を強固にし、一は以て当国に於ける我帝国の勢力を拡張し、併せて帝国商民の利益を増進するの御政策を執られ度きものと存候。
右及上申候也。
要約すれば、今回日本は大軍を朝鮮に派遣したんだから、このチャンスを逃さずに、公館及び居留民保護から更に一歩を進めて朝鮮に日本の保護を受けさせる条約を締結し、以後日本が朝鮮の内政・外交に関与して、その進歩・改良を行って富強の域に導き、一つには日本の防備を固くし、一つには朝鮮での日本の勢力を拡張し、併せて日本商民の利益を増進する政策をとって欲しい、と。

朝鮮半島は、緩衝地帯として安定してて貰わないと困るというのが前提なんだろうなぁ。
で、そのためには独立国としての意思と能力が必要なんですが、どっちも無い。
でも独立国認定しちゃってる。
だからこういう対応を提案することになったんでしょうけど、陸奥辺りはその辺どう考えてたのかなぁ。

ちょっと長くなりますが、次の16画像目の同じく内田から陸奥への1894年(明治27年)6月26日付『機密第27号』もやっておきたいと思います。

本日附機密第26号を以て及上申■■対韓政策に関する小官の意見は、為念大鳥特命全権公使の供一覧置候間、左様御承知■■度、此段申置候。
敬具
ってことで、大鳥公使にも念のため見せとくよ、と。


ってところで、今日はここまで。



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