温泉最高!
ひゃっほう!

・・・。
さて。
外務大臣陸奥宗光と駐日ロシア公使ヒトロヴォの会談の様子の続きを。

前回は、日清両国委員による朝鮮政府への勧告の話と、日本側としては清国政府にこの提議するに当たって、日本政府は敢えて朝鮮の内政に関与する意思があったわけではないという話までをお伝えしました。
ここでヒトロヴォが口を挟みます。

ってことで、前回に引き続き、アジア歴史資料センターの『東学党変乱ノ際韓国保護ニ関スル日清交渉関係一件 第一巻/6 明治二七年六月二十五日外務省二於テ外務大臣ト露国公使ヒトロヴォー氏ト対話概要(レファレンスコード:B03030205200)』の続きを。

(是に於て露国公使が、右改革に関する両国委員任命の必要如何を問ひたるに答て外務大臣)
朝鮮の改革を為すに、日清両国に於て協同委員を設ざるべからざるの理由如何と云ふに、従来日本政府より清国政府に向ひ、朝鮮国に関しては協同の行動を為さんと謀りたるに、清国政府は常に全然同意を公言するにも拘はらず、未だ嘗て其公言を実行せざるのみならず、現に之に反対の意志あるが如く察せらるるを以て、日清両国間に於て判然確定する所あるに非ざれば、日本政府より朝鮮に向ひ一方の改革を勧告しつつあるに際し、清国政府は之に正反対の措置を勧告するが如き感なき能はず。
故に今回は、日本政府は双方一致の意志を以て朝鮮施政の改良を謀らんと決したり。
然れども、清国政府は断然日本政府の提案を拒みたるを以て、日本政府は已むを得ず独力を以て朝鮮政府に向ひ、日本と朝鮮との関係上将来安心し得るに足るの改革を施さんことを勧告せんとす。
尤も、日本政府の意志は、徹頭徹尾平和と友誼を以て朝鮮国の改良を謀るにあるなり。
ヒトロヴォが口を挟んで、改革に関する両国委員任命の必要性を問うわけです。
それに対して陸奥は、朝鮮の改革を行うのに、日清両国で共同委員を設けなければならない理由については、これまで日本政府から清国に向かって朝鮮について協調行動をしようと謀り、清国政府はいつも全く同意すると公言しながら、これまでその公言を実行した事が無いだけでなく、実際にはこれと反対の意志があるように見えるので、日清両国の間でハッキリと確定しなければ、日本が朝鮮に向かって一つの勧告をしているのに、清国政府はそれと正反対の措置を勧告するような事も無いとは言えない。

だから今回日本政府は、双方一致の意思によって朝鮮の施政改良を謀ろうと決めた。
しかし、清国政府は日本の提議を断然拒否したので、日本政府としてはやむを得ず単独で朝鮮政府に向かって、日本と朝鮮の関係上将来安心しうるに十分な改革を行う事を勧告しようとしている。
もっとも、日本政府の意志は、徹頭徹尾平和と友誼をもって朝鮮国の改良を図る事にある、と。

んじゃ続き。

露国公使
若し清国にして撤兵するときは、日本政府に於ても撤兵することに不同意なきや。
果して然らば、之を日本外務大臣の諾言として本国政府に通報して苦しからずや。
もし清国が撤兵するときは、日本政府も撤兵する事に不同意は無いか?
もしそうなら、それを日本外務大臣の承諾の言葉として、ロシア政府に伝えても良いか?と。

日本の一番の泣き所キタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━!!!!!!!!!! (笑)
暴動鎮圧のために来た清国が撤兵する=暴動鎮圧ですから、天津条約に則って日本も撤兵しなければならないわけで。
出兵して何も得ることなく撤兵となると、今度は日本の国内問題として、兵力出兵の予算浪費等について議会とかマスコミに攻撃されちゃうわけですね。
逆に、何らかの成果が得られれば、日清戦争に至らなかった気はしないでも無いんですけどね。
さて、このピンチに対して陸奥は何と答えるんでしょうか。(笑)

外務大臣
其議は大体の主義に於ては異議なきが如しと雖ども、両国相対峙するの場合に於ては彼我互に猜疑を起し易く、而して其一たび起るときは之を解く事頗る難きは、独り日清両国に於けるのみならず、欧洲各強国に於ても往々亦た然りとす。
況んや、近来の歴史に徴すれば、右の如き猜疑は全く理由なきに非ざること判然なるに於てをや。
朝鮮の関係上、清国の信実如何に付ては、日本をして猜疑を抱かざるを得ざらしむるの事実甚だ多しとす。
清国は嘗て、軍艦を朝鮮に派出して強ひて其国王の父を捕へ、之を清国に送致せり。
又た清国は嘗て、朝鮮の内政に干与する爲め其革命を謀てんとしたるの風聞あり。
現に朝鮮王妃の親戚なる閔泳翊は、右の謀に与りたるを以て逃亡して香港に在るも亦事実なり。
又明治17年に於て清国は、日本兵の寡少なるに乗じて多数の兵を以て之を襲撃したるも事実なり。
且つ又今日に於ても、清国政府は日本に向ひ撤兵を促しつつあるにも拘はらず、現に朝鮮に2,000有余の兵を駐在せしむるの外、李鴻章麾下の兵5,500人は既に出師の準備を整へ、昨今続々之を派遣し、且つ丁汝昌は其艦隊を率ひて仁川に着したるも事実なり。
此等の事実あるを以て、清国は今単に撤兵するも、以て日本が一たび撤兵するに於ては、直ちに復た其兵を派出して朝鮮を其隷属たらしめむるの目的を達せんとするの野心なきを保するに足らざるなり。
而して、清国より出兵するには僅に13、4時を要するに過ぎざれども、日本より出兵するには40時間以上を費さざるを得ず。
故に、将来朝鮮の平和と秩序とを維持し、其独立国たるの体面を全ふせしむる為めには、勿論清国が撤兵したる上左の條件あるに於ては、日本も亦た均しく撤兵すべし。

第一 清国政府に於て、日清協同して朝鮮改革の完結を担当する事に同意したる場合

又は

第二 清国政府に於て若し其何等の理由の為め、右改革の処置に関し日本と協同することを拒むときは、日本が其独力を以て朝鮮の独立を維持し、及び其施政を改良せんと勉むるに当り、清国政府は直接にも間接にも之に干渉せざるとの保証を与へたる場合
清国が撤兵したら撤兵という事について、大体は異論は無いといえども、両国が対峙している場合にはお互いに猜疑が起きやすく、一回何か起きればそれを解く事が難しいのは、日清間だけでなくヨーロッパでもそうでしょ?と。
言うまでもなく、最近の歴史を見ても、そういった猜疑は全く理由がないわけではない事も判然としているし。
しかも、朝鮮との関係上において、清国が信じられるかどうかといえば、日本に猜疑を抱かせても仕方ない事実が甚だ多い。

清国は、壬午事変で大院君を捕縛して清国へ送った。
また、清国はかつて朝鮮の内政に関与するために、その革命を企てたという風聞もあった。
現に閔妃の親戚である閔泳翊は、その謀に参与したということで逃亡し、香港にいるのも事実だ、と。
閔泳翊云々って事は、甲午事変後の清国撤兵に閔泳翊が異を唱えた話の関係かな?
良く分からんけど、それと甲申事変でも清国は日本兵が少ない事に乗じて、多数の兵によってこれを襲撃したのも事実だ、と。

更に現在でも、清国は日本に向かって撤兵を促しつつあるにも係わらず、現に朝鮮に2,000名余りの兵を駐留させているほか、李鴻章配下の兵5,500名は既に出兵の準備を整え、昨今続々とこれを派遣し、かつ丁汝昌が艦隊を率いて仁川に到着したのも事実だ。
いや、実はまだ5,500人は出発してないんですが。(笑)

こういった事実があるため、清国は今単純に撤兵したとしても、日本が一度撤兵すれば直ぐにまた兵を派遣して朝鮮を隷属させる目的を達しようという野心が無い事を保証するのに不充分だ、と。
この辺、言い訳っぽい。(笑)

しかし、清国から出兵するには13~14時間もあれば到着するに過ぎないが、日本から出兵するには40時間以上かかる。
だから、将来の朝鮮の平和と秩序を維持し、朝鮮の独立国としての体面を全うさせるには、勿論清国が撤兵した上で、左の条件があれば、日本もまた同様に撤兵するだろう、と。
その条件は、清国政府が日清共同で朝鮮改革の完結を担当する事に同意した場合。
または、清国がもし何らかの理由によってその処置について日本との協同を拒否する場合には、日本が単独で朝鮮の独立維持や施政改良をしようと努力するに当たって、清国政府は直接的にも間接的にも干渉しないという保証を与えた場合の二つ。

おお、話が変わってきた。(笑)
いや、単純に清国政府が先に撤兵して、天津条約に基づいて日本も撤兵汁!と言われるのを避けようとしてるんでしょうけどね。

露国公使
日清間の談判に関する件は、今に暫く措き、露国も亦た朝鮮近隣の国なれば此迄既に協議に与かりて然るべきものなりと思考す。
DANGER!DANGER!
と、頭の中に、RAINBOWの"KILL THE KING"の歌い出しが流れるくらい危険。(笑)
ま、ロシアにとっては当然の要求ですが、日清共にそれだけは避けたいお話で。

外務大臣
朝鮮の独立に関しては、清国を除く外、他に異議ある国なしと信じ、且つ露国政府も全く日本の意見に同感なることは露国公使に於て従来屡々確言せられたりと記臆するを以て、日本政府は露国政府に協議するの必要なしと思考せり。
終に当り、露国公使に左の2件を確言す。

第一 日本政府は朝鮮に対し、其條約中に包含する同国独立を維持し、且つ同国の平和安寧を確実ならしめんとするの希望より生する意向の外、他の意向あることなし

第二 清国政府に於て何等の挙動あるも、日本政府は自ら交戦を挑まざるべし。
若し不幸にして交戦するに至りたるときは、日本は止むを得ず此に至りたるものと知るべし
朝鮮の独立について、清国以外には異議のある国は無いものと信じ、かつロシア政府も日本の意見に同感な事は、ヒトロヴォがこれまで屡々確言してきたと記憶するので、日本政府はロシア政府に協議する必要は無いと思考する。
無理矢理気味にロシアの攻撃をかわす陸奥。(笑)

で、最後にヒトロヴォに向かって確言。
一つは、日本政府は条約中に含まれている朝鮮独立を指示し、かつ朝鮮の平和安寧を確実にさせようという希望から生じる意向以外、他に意向は無い。
もう一つは、清国政府がどのような挙動をしても、日本政府は自分から交戦を挑むことは無い。
もし不幸にして交戦するに至った時は、日本はやむを得ず交戦するに至ったものと弁えて欲しい、と。


前回に続いてかなり長くなりましたが、今日はここまで。



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