前回のお話で状況一変。
袁世凱と閔泳駿の関係が切れ、且つ閔泳駿がヒッキーになっちゃいました。
これからどうなって行くのでしょうねぇ。

ってことで、今日からは23日の史料に。
まずは、李鴻章の電報→袁世凱→朝鮮政府という経路を辿る事になる話から。
『駐韓日本公使館記録1』から。

李鴻章より袁世凱宛電報

此電報に拠り、別紙の通り袁より朝鮮政府に照会せり。

総署電韓自全城克復後敗匪若干究竟何往迄無的信此時韓畏倭如虎転置剿賊正事於不計倭之藉口助兵為韓不辨賊也今首要一名不獲余匪去向不知以擾及両省之賊匪一朝査無踪跡誰実信之無論倭更有詞断不遽退即同撤之後賊燼復燃又当如何為今之計宜飾袁不必促倭退兵惟催韓剿匪但能将匪事辨有切実頭緖俾外人共見彼時約倭同撤当致順乎此時倭之不敢遽謀呑韓人所共知而藉口駐兵恐不免好事駐與不駐我均有前事可循相時辨去亦不慮無以応之葉已派隊前往探捕袁応亦催韓趕速進兵剿匪必眞粛清乃可報賊平也


陰5月20日(我6月23日)
袁世凱より統署を経て議政府への照会

敬密啓者今夜奉総理衙門北洋大臣電開韓自全城収復敗匪若究竟何往迄無的信韓転置剿賊正事於不計今而首要不獲余匪去向不知以擾及両道之賊衆一旦査無踪跡誰実信之無惑他国有所藉口宜飭袁道催韓趕速進剿竝飭葉聶相機助剿必真粛清乃可報賊平也等因奉此除転電葉軍門聶鎮台遵照酌辨竝隨時面催往来各官外特請貴政府迅飭通兵前往剿捕必須真実清始可報称匪乎以抒中朝之憂顧而杜他人之藉口是所盼切専此布頌勛祺維希電照不既

右に付採報する所に拠れば、議政府は賊匪已に平定したるに付、清国援軍の進撃を願はざる旨を以て回答したりと云ふ。
最初の文が、李鴻章から袁世凱への電報で、それを元に次の文で朝鮮政府に照会した形なわけですが・・・。
袁世凱フィルター発動(笑)
今之計宜飾袁不必促倭退兵惟催韓剿匪」は袁世凱への指示だろうから兎も角、「此時倭之不敢遽謀呑韓人所共知」って、意図的に抜かしただろ。www
そこ重要なのに。(笑)

大体の概略は、韓国が自ら全州城を回復した後、敗れた匪賊達は結局どこへ行ったのか。
今、首謀者の一人も捕らえず、残りの匪賊はどこへ行ったか分からず、全羅・忠清の両道で騒擾を起こした匪賊が痕跡もなく居なくなったと誰が信じられるだろうか。
だから日本人達は何を言っても撤退しないのだろう。
撤退した後に、賊の残党がまた騒擾起こしたらどうすんのよ?
ってことで、袁世凱に日本に撤兵を迫るのではなく、韓国に匪賊を剿滅しろって言え、と。

そん時には、外人にも一緒に見せとけ。
日本は同時撤兵に当たって順当に行うと約束した。
その時日本は韓国を併呑する陰謀を敢行できないのは、みんな知ってる事だ、と。
いや、知らない人達も居ましてね・・・。(笑)

葉志超には已に軍を向かわせて賊を探索、捕縛するように言ってあるし、袁世凱も韓国に早く兵を出させて匪賊剿滅して平定報告しろや、と。

割と、日本側の言い分が通じてるかのような、清国側の電報。
日本の駐留理由を無くそうとしているのか、逆に日本と同じ言い分で駐留しようとしてるのか。
いや、他国に救援依頼するまでになってる民乱が、首謀者の捕縛も無しに一度の敗戦で匪賊が消滅して、それでお終いって、あり得ないと思うのが普通だとは思うんですけどね。(笑)

さて。
3月7日のエントリー等で、清国の追加派兵と日清衝突不可避の見解が陸奥から伝えられましたが、これを受けて大鳥も動きます。
『駐韓日本公使館記録1』から、1894年(明治27年)6月23日付『機密第101号(能勢二等領事)、機密第102号(室田総領事)、機密第103号(上野二等領事)、機密第104号(京城 内田二等領事)』。

今般我国より出兵相成候に付、或は支那兵と衝突を生ずるも難計。
依て外国人等に対しては、談話の際隠に其意思を表示し、彼等をして我挙を賛成せしむる事は必要と存し候に付、御心得迄別紙趣意書差進め候間、時機を見計ひ雑談の中に打混じ公然となく該意を示し相成候様致度、此段内々申進候也。
今回日本から出兵したため、あるいは清国兵と衝突を生じるかも知れない。
従って、外国人等に対しては、談話の時に密かにその意思を表し、彼等に日本の挙を賛成させる事は必要だと思われるので、心得までに別紙の趣意書を渡しとくので、時機を見計らって雑談の中に織り交ぜ、それとなくその意を示すようにしたいので内々に言っておくよ、と。

で、別紙。



此度我政府は軍兵を朝鮮に入れたる事は、先般来朝鮮に民乱興り、之が為め外援を請ひたる等の事実有之候に付、日朝両国の條約を照遵し、警備の為め派遣したるものにして決して他意あるにあらず。
然るに支那の軍兵は、本と朝鮮を援助して民乱を鎮定せんとして派遣せしものなれば、民乱既に平定したる後は直ちに之を撤回すべきに、仍ほ依然之を留陣せしむるは甚だ不審且つ不当なり。
加之、昨日天津の電報に拠れば支那は更に5,500の兵を発遣せんとせりと云へり。
何故に重て斯の如き大兵を発遣するや、実に不審の極なり。
我国は、御承知の通り最初より朝鮮の独立を認め其事実を挙げしめんと勉め居る事なれば、万一或る大国は若し此国を属邦視し、其君主権を行はんとする事実あるときは、我国は余儀なく之と衝突を生ずる場合あるも計り難し。
乍去、我国は可成丈衝突を避く可く務むるなり。
貴国は我国と同様に朝鮮の独立を認められ、且つ朝鮮を以て或大国に附属せしむる事は貴国の利益にも背く可ければ、無論我と同様の意見を有せられ、且つ我が目的を賛成せらる可しと確信せり云々。
今回日本が朝鮮に出兵したのは、先般来朝鮮で東学党の乱が起こり、そのために外国の救援を願った等の事実があったため、済物浦条約に照らして警備のために派遣したものであり、決して他意があるわけではない。
しかし清国軍は、元々朝鮮を援助して民乱を鎮定しようとして派遣したのだから、民乱が既に平定した後はすぐに撤兵すべきであるのに、依然として駐留しているのは甚だ不審であり、且つ不当である。
これに加えて、昨日天津からの電報によれば、清国は更に5,500人の派兵をしようとしていると言ってきている。
何故重ねてこのような大軍を出兵させるのか、実に不審の極みである。
まぁ、その通りで。(笑)

何度も言いますが、清国が撤退して「民乱の鎮圧に成功して清国は撤退したんだから、日本も天津条約に基づいて早期撤退を」と言ってくれば、日本としても抗弁できないわけで。
それなのに追加派兵って、「やる気」か?と。(笑)

で、日本は御承知のとおり、最初から朝鮮の独立を認めて、その実効を挙げようと努力しているわけで、万一ある大国が朝鮮を属邦視し、その君主権を行おうとする事実があれば、日本は余儀なくこれと衝突を生じる場合もあるかも知れない。
しかしながら、日本はなるべく衝突を避けるように努力する。
貴方の国も日本と同様に朝鮮の独立を認めており、かつ朝鮮をある大国に附属させる事は貴国の利益にも背くだろうから、無論日本と同様の意見を持っており、かつ日本の目的に賛成するだろうと確信している、と。
この辺は「保護属邦」絡みでチクッと刺しておく、と。(笑)

これまでの日本の言い分そのままを整理した感じですね。


ってところで、今日はここまで。



日清戦争開戦まで(一)
日清戦争開戦まで(二)
日清戦争開戦まで(三)
日清戦争開戦まで(四)
日清戦争開戦まで(五)
日清戦争開戦まで(六)
日清戦争開戦まで(七)
日清戦争開戦まで(八)
日清戦争開戦まで(九)
日清戦争開戦まで(十)
日清戦争開戦まで(十一)
日清戦争開戦まで(十二)
日清戦争開戦まで(十三)
日清戦争開戦まで(十四)
日清戦争開戦まで(十五)
日清戦争開戦まで(十六)
日清戦争開戦まで(十七)
日清戦争開戦まで(十八)
日清戦争開戦まで(十九)
日清戦争開戦まで(二十)
日清戦争開戦まで(二十一)
日清戦争開戦まで(二十二)
日清戦争開戦まで(二十三)


AD