土地調査事業と笞刑に明け暮れた月。
法令ばっかりって、実は結構疲れる。
何故なら、笑える場所が少ないから。(笑)


< 2007年6月のエントリー >
何故か取り上げることとなってしまった土地調査事業については、ロングランへ変貌。
漢字ハングル混じり文に漢字カナ交じりルビは、激しくウザイ。(笑)

外業員處務規程(四)

外業員処務規定の最終回。
服務規程なんかを見て、「ニヤッ」とは出来るんだけど、「笑える」まではいかない。(笑)


土地調査令(一)

調査令については何とか見つけたものの、施行令も細則やら規則やら心得やらも見あたらないので、かなり投げやりな気分で書いてたエントリー。(笑)
しかも、大韓帝国時代の「土地調査法」と「土地調査法施行規則」を踏襲しているので、内容的にも新味が無いし・・・。


土地調査令(二)

「所有者」の他に、「占有者」という概念も導入された部分と、損害補償の部分が面白い。
他は、法的権限を裏付ける条項が加わったくらいで、これまでとほぼ同じ。


土地調査令(三)

新しい条文がそれなりにあるものの、恐らくは運用上では既にやっていたと思われるほど、当然な内容。
土地調査法」や「土地調査法施行規則」を見た人にとっては、あまり面白いエントリーではない。


朝鮮総督府臨時土地調査局職員特別任用令

何故使わない法令をテキストに起こすのか。
そこに法令があるから。(笑)
ってことで、別に見なくても良いエントリー。


朝鮮総督府高等土地調査委員会官制

査定を行う臨時土地調査局総裁と、その査定への不服申し立てを裁決する高等土地調査委員会委員長が同一人物って、やっぱりまずいよねぇ。(笑)


朝鮮総督府道地方土地調査委員会官制

法令コレクションの一環。
見る価値はあまりなし。


笞刑に関する整理(一) ~序~

唐突に始めた笞刑の話。
いや、前から整理はしたいと思ってたんですが、中々切っ掛けが無く。
初回は、大明律から刑法大全の直前までのお話。


笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~

刑法大全の出された当初の全文を、官報画像で。
後から「無駄なことしたなぁ」と後悔することしきり。(笑)


笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~

この回からしばらくは、1908年(明治41年・隆熙2年)7月23日法律第19号での改正後の刑法大全の条文中から、「笞」の字が見えるものをピックアップしてお届けしています。
初回が一番面白いのかな?
笞の形状、回数規定、収贖の話など。


笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~

この回も、刑法大全の「笞」の字のある条文の解説。
前半戦は割と官吏に関する罪が多いですね。


笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~

この回も刑法大全の「笞」の字のある条文の解説。
つまらないかと思いきや、素手や道具使って人を傷つけるより、髪や髭抜いた方が重罪な事に笑った。(笑)
まぁ、kimuraお兄さんには関係の無い部分ですが。( ´H`)y-~~


笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~

この回も刑法大全の「笞」の字のある条文の解説。
自分でも「面白くないなぁ」と思いながら書いてるんですけど、見返すと同姓不婚は単なる慣習では無く、刑罰付きの罪だったんだなぁとか、それなりに面白い部分もあったりします。
まぁ、読む人次第だなぁ、と。


笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~

刑法大全の解説のラスト。
「祖父母、父母、夫の祖父母、父母に対して罵ったら終身刑」には衝撃。
そして、最後の最後に「やっちゃ駄目な事をやったら笞40回で、非常に不道理な場合は笞80回」という、凄ぇアバウトな刑法にも衝撃。(笑)


笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~

1909年(隆煕3年)3月4日『法律第8号 民籍法』の解説。
この回は、第1條の解説しか出来ていません。
このエントリーで喜んだのは、xiaoke氏だけかも知れない・・・。(笑)


笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~

第6条
第1条の申告を怠る者は、50以下の笞刑又は5円以下の罰金に処す。
詐欺の申告を為したる者は、6ヶ月以下の懲役笞刑又は100円以下の罰金に処す。
これだけのために、2日もかけたボク。( ´H`)y-~~


民籍法と民籍法執行心得

前日と前々日のエントリーを、創氏改名用にまとめ直したエントリー。
条文はコピペで解釈はリンクなので、ちゃんと見たい人は笞刑に関する整理(三)を見た方が良いと思われ。(笑)
ただ、「殊に女子は妻となりたる後、尚人に名を呼ばるを以て無上の恥辱とし、婚姻の時より幼名を廃するの慣習なり。」という一文は、かなり面白い一文だと思います。


笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~

大韓帝国の司法・監獄事務が日本に委託される事になる、1909年(明治42年・隆煕3年)7月12日の『覚書』について。
取りあえず重要な部分は、「在韓国日本裁判所は、協約又は法令に特別の規定あるものの外、韓国臣民に対しては韓国法規を適用すること。」なんですが、ボク的には「彼に在て為し得べからざる事項を我に委托せしめ」という伊藤の言葉の方が重要。(笑)


笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~

えー。
面白くはありません。
以上。(笑)


笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~

何で取り上げたのか、今でも良く分からないエントリー。(笑)
多分、第1条の「韓国人に対しては韓国法規を適用す」が言いたかったんだろうなぁ、俺。


笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~

笞刑に付ては韓国法規。
それ以外の監獄事務は日本法規。
さて、朝鮮笞刑令の第13条は、「差別」なんでしょうか、と。(笑)


笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~

悪名高い犯罪即決例の元となった、1909年(明治42年)10月16日『勅令第240号 韓国ニ於ケル犯罪即決令』の解説。
道端でいきなり「生意気なやつだっ!お前は有罪で笞刑だっ!喰らえっ!(ビシッ!ビシッ!)」というイメージだったんですが、そういうわけでもないようで。(笑)
無罪もありますし、正式な裁判への移行もありますが、どのように「彼らには即決処分権がありわが民族に対し思いのままに笞刑を行なった。」のでしょうね、と。


笞刑に関する整理(九) ~犯罪即決例(1)~

上記「犯罪即決令」が、「犯罪即決例」へと姿を変えます。
この回のエントリーは、期せずしてその内の第1条だけの解説になりました。_| ̄|○
即決例が適用される条件についてということになります。


今月は法令関係ばっかりだね。
つうか、法律関係は面倒くさい。
第一、笑い所が少ない。(笑)



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さて、1909年(明治42年)の司法及び監獄事務の委託を受けて制定された司法関連の法令は、前回までのもの以外は官制や給与に関するものなので省略。
ってことで、今回は併合時の法令に飛んで、1911年(明治44年)1月1日『制令第10号 犯罪即決例』について。

え、前回やったじゃん、という声が聞こえてきそうですが、前回のは正確には『明治42年勅令第240号 韓国ニ於ケル犯罪即決令』。
今回のは、『明治43年制令第10号 犯罪即決例』という事になります。

さて、犯罪即決例については、1912年(明治45年)制令第12号での改正後の条文しかアジ歴で見つける事ができず、アジア歴史資料センターの『犯罪即決例、民事争訟調停ニ関スル件及弁護士規則ヲ定ム(レファレンスコード:A01200064000)』の16画像目からでお茶を濁そうと思ってたんですが、今回連載する切っ掛けになった韓国人ID:nominallyが、犯罪即決例の載った1910(明治43年)12月15日付の朝鮮総督府官報第90号をくれたので、それを元に進めていきます。

犯罪即決例(クリックで拡大)

分割しながら見ていきます。

制令第10号
犯罪即決例

第1条
警察署長又は其の職務を取扱ふ者は、其の管轄区域内に於ける左の犯罪を即決することを得。

1 拘留、笞刑又は科料の刑に該るべき罪
2 3月以下の懲役、又は100円以下の罰金、若は科料の刑に処すべき賭博の罪、及拘留又は科料の刑に処すべき刑法第208条の罪
3 区裁判所の裁判権に属する事件にして、3月以下の懲役の刑に処すべき、刑法大全第5編第9章第17節及び、第20節の罪。
4 区裁判所の裁判権に属する事件にして、3月以下の懲役、禁錮、禁獄若は拘留、笞刑又は100円以下の罰金若は科料の刑に処すべき行政法規違反の罪
前回の1909年(明治42年)10月16日『勅令第240号 韓国ニ於ケル犯罪即決令』と比較して、変更があった点について触れていきたいと思います。

まずは第1条ですが、統監府から総督府に変わったことによる語句整理が行われています。
で、第1号については、「拘留又は科料」だったものが「拘留、笞刑又は科料」と、笞刑が以前の第2項から移ってきました。
勿論「笞刑」に該当する量刑を受けるのは韓国人だけですので、実質的には区分されてるわけです。
ってことで、日本人を含む外国人の場合には「拘留・科料」、朝鮮人の場合には「拘留・笞刑・科料」の罪の時に、即決できるという事になりました。

んで、第2号に来たのが、3ヶ月以下の懲役・100円以下の罰金・科料の刑に処すべき賭博罪と、拘留や科料に処すべき暴行罪ということになります。
ちなみに、刑法第208条は以下のとおり。

第208条
暴行を加へたる者、人を傷害するに至らざるときは、1年以下の懲役若くは50円以下の罰金又は拘留若くは科料に処す。
前項の罪は、告訴を待て之を論ず。
量刑こそ違うものの、現在の刑法でも第208条は暴行罪になっています。
第2項は親告罪の規定ですね。
で、そのうちの「又は拘留若くは科料」程度の軽いもの、と。
これは、日本人を含む外国人も朝鮮人も変わらず適用されるものと思われます。

第3号と第4号の「区裁判所の裁判権」とは、統監府裁判所令の第3条と第4条の事。
で、第3号は3年以下の懲役に処すべき、刑法大全第5編第9章第17節と第20節の罪。
第17節は「闘殴傷人律」で第511条から第518条、第20節は「殴傷親属律」で第526条から第532条になります。
8月16日のエントリー8月17日のエントリー辺りの話ですね。
感覚的には、刑法大全上の一般的傷害罪と考えて良さそうです。
勿論、刑法大全の適用を受けるのは朝鮮人だけですので、朝鮮人専用の条文という事になります。

第4号は、3月以下の懲役・禁錮・禁獄・拘留・笞刑、100円以下の罰金・科料の刑に処すべき行政法規違反。
行政法規違反なので、民籍法の違反なんかはこちらに含まれるのかな?
これは、当該行政法規の内容次第で、日本人を含む外国人にも適用されるのか、朝鮮人だけに適用されるのかが変わってくると思われます。
つうか、懲役6ヶ月とかでなければ、大概即決できそう。(笑)

後は、罰金刑が30円以下から100円以下になってるってとこが変更点ですかね?
即決できる罰金刑の上限を引きあげるとは、悪辣な日帝ですね。(笑)


ってことで、ちょっと早めですが今日はここまで。
っつうか、また第1条だけで終わった・・・。_| ̄|○



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~
笞刑に関する整理(八) ~犯罪即決令~


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ようやくメジャーな法令の登場です。(笑)
犯罪即決令。
笞刑と共に語られ、韓国の教科書なんかでは「彼らには即決処分権がありわが民族に対し思いのままに笞刑を行なった。」とされてるらしい部分ですね。

ってことで、アジア歴史資料センターの『御署名原本・明治四十二年・勅令第二百四十号・韓国ニ於ケル犯罪即決令(レファレンスコード:A03020810800)』から。
1909年(明治42年)10月16日『勅令第240号 韓国ニ於ケル犯罪即決令』。

明治42年勅令第240号
韓国に於ける犯罪即決令

第1条
統監府警視又は統監府警部にして、韓国の警察署長、分署長たる職務を有する者又は其の代理を為す者は、其の警察署又は分署の管轄区域内に於ける左の犯罪を即決することを得。

1 拘留又は科料の刑に処すべき罪
2 韓国法規に依り、笞刑、拘留又は30円以下の罰金の刑に処すべき罪
第2条
即決は、裁判の正式を用いず、被告人の陳述を聴き証憑を取調べ、直に其の言渡を為すべし。
被告人を呼出すの必要なきとき、又は之を呼出すも出頭せざるときは、直に其の言渡書の謄本を本人又は其の住所に送達することを得。

第3条
即決の言渡を受けたる者之に服せざるときは、管轄裁判所に正式の裁判を請求することを得。

第4条
正式の裁判を請求する者は、即決の言渡を為したる官署に申立書を差出すべし。
其の期間は、第2条第1項の場合に於ては、言渡ありたる日より3日、同条第2項の場合に於ては送達ありたる日より5日とす。
前項の期間内に正式の裁判を請求せざるときは、即決の言渡は確定したるものとす。

第5条
前条の申立を受けたる官署は、速に訴訟に関する一切の書類を管轄裁判所検事に送致すべし。

第6条
拘留の言渡を為したる場合に於て必要と認むるときは、第4条に定めたる期間内被告人を留置することを得。
但し、刑期に相当する日数を超ゆることを得ず。
科料又は罰金の言渡を為したるときは、其の金額を仮納せしむべし。
若納めざるときは、第4条に定めたる期間内、被告人を留置することを得。
前項留置の期間は、1円を1日に折算したる日数を超ゆることを得ず。
但し、1円未満の端数は1日に折算す。

第7条
前条第1項の留置期間は拘留の刑期に之を通算し、同条第2項の留置期間は其の折算したる金額を以て、科料又は罰金の金額に算入す。

第8条
留置せられたる者正式の裁判を請求し、呼出状の送達ありたるときは、直に其の留置を解くべし。

附則
本令は、明治42年11月1日より之を施行す。
第1条は、即決権者(って言って良いのか?w)に関する規定。
統監府の警視・警部で韓国の警察署長・分署長の地位にある者、又はその代理者は、その警察署や分署の管轄区域内での以下2点の犯罪について即決できる、と。

で、第1号は拘留、科料の刑に処すべき罪。
第2号が韓国法規で笞刑、拘留、30円以下の罰金の刑に処すべき罪。
上段は単に「拘留、科料」に該当する場合。
下段は、「韓国法規で」ですので、韓国人に対する場合ですね。
つまり、日本人を含む外国人の場合には「拘留・科料」の場合に即決でき、韓国人の場合には「拘留・科料・笞刑・30円以下の罰金」の場合に即決できる、と。

で、韓国法規ってのは基本的に刑法大全になると思われますが、その場合にはどういった犯罪行為が為されたかが分かれば、笞の回数・拘留期間は自動的に決まるわけです。
ま、民籍法のように、上限だけが決められ、刑罰についても選択する必要がある場合は、そこまで簡単ではないですけど。

第2条は、即決は正式な裁判を行わずに、被告人の陳述と証拠を調べて、直接言い渡しを行う。
で、被告人を呼び出す必要のない時や、呼び出したのに出頭しない時には、直接その言渡書の謄本を、本人又はその住所に送る事が出来る、と。

第3条は即決の言い渡しを受けた者が不服の場合、管轄裁判所に正式な裁判を請求できる。
続いての第4条は、正式な裁判を請求する場合には、即決の言い渡しを行った所に申立書を差し出すこと、と。
第2条第1項、つまり日本人や外国人に対する場合には、言い渡しのあった日から3日以内。
第2条第2項、つまり韓国人の場合には、送達のあった日から5日以内。
その請求を行わない場合には、即決の言い渡しが確定したものとする、と。

初日不算入の原則って、この頃からあったのかな?
つうか、条文で「言渡」と「送達」に分けられているわけですが、韓国人の場合には第2条の言渡書が必ず送られたのかなぁ?
請求期限といい、言い渡しといい、これ何て差別?(笑)

で、国会図書館のデジタルアーカイブから朝鮮総督府編『最近朝鮮事情要覧』の290コマ目を見ると、明治44年1月から6月の半年間に、犯罪即決総件数は4,709件であり、有罪が4,513件で無罪が196件。
23件については正式な裁判が請求されており、うち8件が無罪、と。

ってことで、無罪もありますし、正式な裁判への移行もありますが、どのように「彼らには即決処分権がありわが民族に対し思いのままに笞刑を行なった。」のでしょうねぇ?
それとも、無罪や正式な裁判に至ったのは、日本人と外国人だけなんでしょうか?(笑)

第5条は、正式な裁判の請求を受けた官署は、すぐに訴訟に関する総ての書類を管轄裁判所の検事に送ること。

第6条では、拘留の言い渡しをした場合、必要と認めれば3日或いは5日の期間内で被告人を留置できる。
但し、刑期に相当する日数を超過できない。
拘留2日なんて刑がもしあれば、それ以上は留置できないって事で。
いや、当然なんだけど。

第2項は、科料や罰金の言い渡しをした場合には、その金額を仮に収めさせる事。
もし収めなければ、3日或いは5日の期間内で被告人を留置できる。

第3項では、第2項の期間は、科料や罰金の1円を1日に換算した日(端数切り上げ)を超える事が出来ない。
罰金1円という刑なら、1日しか留置できないんですね。

で、第7条では、第6条の第1項の留置期間は拘留の刑期に含め、第2項の留置期間は換算した分の金額を、科料や罰金の金額に算入する。
留置期間も刑の執行に入れるんですね。

最後の第8条では、留置されている者が正式の裁判を請求して、呼出状が送達されてきたら、直ぐに留置を解くこと、と。

つうか、「彼らには即決処分権がありわが民族に対し思いのままに笞刑を行なった。」なんて言ってるんで、てっきり道端でいきなり「生意気なやつだっ!お前は有罪で笞刑だっ!喰らえっ!(ビシッ!ビシッ!)」って感じなのかと思ったらそういうわけでもないようで。(笑)

どちらかというと、イメージ的には現代の即決裁判手続きに近い。
いや、当時でも違刑罪即決例(明治18年布告第31号)っていう、そっくりの規定が日本にもあったんですけどね。

まぁ、司法が介入していないという重大な欠点はあるわけですが、それを出来るような司法制度や施設があれば、そもそも司法・監獄事務の委託はされてませんし、治外法権の撤廃で悩まずに済むわけで。(笑)

イメージ先行って怖いですね。( ´H`)y-~~


長くなりましたが、今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~
笞刑に関する整理(七) ~統監府監獄事務取扱ニ関スル件~


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ここ最近、かなり長いエントリーが続いてましたが、今日は短めに。

ってことで、勅令第238号までいきましたので、次は勅令239号ですね。
アジア歴史資料センターの『御署名原本・明治四十二年・勅令第二百三十九号・統監府監獄事務取扱ニ関スル件(レファレンスコード:A03020810700)』から。
1909年(明治42年)10月16日『勅令第239号 統監府監獄事務取扱ニ関スル件』。

勅令第239号

第1条
統監府監獄に於ける事務の取扱に関しては、普通監獄に於ける例に依る。
但し、笞刑に付ては韓国法規に依る。

第2条
監獄事務に関し、司法大臣に属する職務は統監之を行ふ。

第3条
韓国法規に定めたる刑は、左の対照に依り其の刑名を刑法の刑名と看做す。

韓国法規の刑 刑法ノ刑
死刑 死刑
流刑 禁錮
懲役 懲役
禁獄 禁錮
拘留 拘留
第4条
韓国人に対する死刑は、韓国の国忌慶節日には之を執行せず。

附則
本令は、明治42年11月1日より之を施行す。
第1条がいきなり笞刑に関する部分ですね。
この「普通監獄に於ける例」ってのは、日本の1908年(明治41年)『法律第28条 監獄法』の事かな?
それに基づいて事務を行う、と。
で、笞刑については韓国法規による。

第2条は、司法大臣から統監への読み替え規定。

第3条は、韓国法規の刑名から日本の刑法の刑名へのみなし規定。
流刑と禁獄が禁錮とみなされて、他は同じ。
ま、実際流刑って言っても島流しでもありませんし、実質的には変わらないのでしょう。

最後の第4条は、韓国人の死刑は、韓国の国忌慶節日には執行しない、と。
国忌は、日本だと先帝の崩御日、国慶節は今の中国だと建国記念日なんですが、さて、朝鮮ではどうだったんでしょうねぇ。
まぁ、国家的な記念日には死刑執行しないってことで。

ということで、笞刑については韓国法規によることになったわけです。
いや、「韓国人に対しては、特別の規定がある場合を除いて韓国法規を適用」なので、当たり前っちゃ当たり前なんですが。(笑)

いや、笞刑令につなげる話としては、逆に笞刑以外の監獄事務が日本の監獄法によるという部分の方が大事なのかな?


ってことで、今日はもの凄く早めに、ここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~
笞刑に関する整理(六) ~韓国人ニ係ル司法ニ関スル件~



さて、前回は1909年(明治42年)10月16日『勅令第236号 統監府裁判所令』について取り上げました。
順番的には1909年(明治42年)10月16日『勅令第237号 統監府裁判所司法事務取扱令』が次の勅令になるわけですが、こちらは特に取り上げる部分も無いので、今回は省略。
ということで、次の勅令。

アジア歴史資料センターの『御署名原本・明治四十二年・勅令第二百三十八号・韓国人ニ係ル司法ニ関スル件(レファレンスコード:A03020810600)』から。
1909年(明治42年)10月16日『勅令第238号 韓国人ニ係ル司法ニ関スル件』。

勅令第238号

第1条
統監府裁判所は、本令其の他の法令に特別の規定ある場合を除くの外、韓国人に対しては韓国法規を適用す。

第2条
韓国人と韓国人に非ざる者との間の民事事件に付ては、左の変更を以て日本法規を適用す。
但し、韓国人に対する裁判の執行は、韓国法規に依る。

1 原告又は被告口頭弁論の期日に出頭せざる場合に於ては、裁判所適当なりと思料したるときに限り、申立に依り又は職権を以て闕席判決を為すことを得。
2 民事訴訟法第111条第2項第3項、第210条、第246条乃至第248条、第2編第2章第2節、第428条及第429条の規定は之を適用せず。
第3条
検事又は司法警察官は、統監の許可を受け韓国の親任官又は勅任官を逮捕することを得。
但し、急速を要するときは直に之を逮捕し、報告を為すべし。

第4条
仮出獄に関する規定は、韓国法規に依り処刑せられたる者に亦之を適用す。

附則
本令は明治42年11月1日より之を施行す。
まずは第1条。
韓国人に対しては、特別の規定がある場合を除いて韓国法規を適用、と。
8月23日のエントリーでは、覚書として「第3条 在韓国日本裁判所は、協約又は法令に特別の規定あるものの外、韓国臣民に対しては韓国法規を適用すること。」が記されていましたが、ここで法令上も担保された形になります。

続いて第2条。
韓国人に対する裁判の場合には、第1条のとおり韓国法規によるものの、韓国人と韓国人以外の間の民事事件については、変更点が2点あるものの、日本法規を適用、と。
まずは、原告又は被告が口頭弁論の日に出頭しなかった場合、裁判所が妥当と考えれば欠席判決を出すことができる、と。

もう一つは、民事訴訟法の7つの条文を適用しない事。
具体的に見てみます。

第111条の第2項は、「明かに争はざる事実は、原告若くは被告の他の陳述より之を争はんとする意思が顕はれざるときは自白したるものと看做す。」。
同条第3項は、「不知の陳述は、原告若くは被告の自己の行為に非ず、又、自己の実験したるものにも非ざる事実に限り之を許す。此場合に於て、不知を以て答えたる事実は、争ひたるものと看做す。」。
相手方の主張に対して、第2項が擬制自白で、第3項は否認という事らしい。
韓国人には韓国法規が適用されるわけで、この条項が韓国人以外に何故適用されないのかが分かりませんが・・・。

第210条は、「被告より時機に後れて提出したる防禦の方法は、裁判所が之を許すに於ては訴訟を遅延す可く、且被告は訴訟を遅延せしめんとする故意を以て、又は甚しき怠慢に因り早く之を提出せざりしことの心証を得たるときは、申立に因り之を却下することを得。」。
反訴や抗弁等の防禦の方法に対する却下ができる条項。
外国人が被告の場合という事になりますが、現地人でないから準備に時間がかかる事を考慮に入れて、適用しないのかな?

第246条が、「原告若くは被告、口頭弁論の期日に出頭せざる場合に於ては、出頭したる相手方の申立に因り欠席判決を為す。」。
第247条が、「出頭せざる一方が原告なるときは、裁判所は欠席判決を以て其訴の却下を言渡す可し。」。
第248条が、「出頭せざる一方が被告なるときは、被告が原告の事実上の口頭供述を自白したるものと看做し、原告の請求を正当と為すときは、欠席判決を以て被告の敗訴を言渡し、又其請求を正当と為さざるときは、其訴の却下を言渡す可し。」。
いづれも欠席判決に関する条項なわけですが、これは今回の『韓国人ニ係ル司法ニ関スル件』の第2条第1項で簡略化されているからでしょうね。

第428条は、「控訴人が口頭弁論の期日に出頭せざるときは、出頭したる被控訴人の申立に因り欠席判決を以て、控訴の棄却を言渡す可し。」。
第429条は、「「被控訴人が口頭弁論の期日に出頭せざる場合に於て、出頭したる控訴人より欠席判決の申立を為すときは、第一審裁判の証拠と為りたるものに抵触せざる控訴人の事実上の供述は、被控訴人之を自白したるものと看做し、且第一審裁判所の事実上の確定を補充し、若くは弁駁する為め控訴人の申立てたる適法の証拠調は既に之を為し、及び其結果を得たるものと看做し、欠席判決を為す。」。
これも『韓国人ニ係ル司法ニ関スル件』の第2条第1項で簡略化されていると考えて良いのかなぁ・・・。
控訴の場合だから、違う気がしないでも無い。

兎も角、以上7つの条文は適用しないんですね。

で、第3条は、検事または司法警察官は、統監の許可を受けて韓国の親任官や勅任官を逮捕できる。
但し、緊急の場合にはすぐに逮捕して報告すること、と。
司法権が委任されたとはいえ、韓国官吏に対して執行する場合には、やはり手順が必要なんですねぇ。

最後が第4条。
仮出獄については、韓国法規で処刑された者にも適用する、と。
死んだら仮出獄も糞も無いわけで、ここでの「処刑」は、そのまま刑に処されたの意でしょうね。
つうか、これで韓国人も仮出獄できるようになったのかな?

あれ?
笞刑出てこねぇや。
何で取り上げたんだっけ?(笑)


ってことで、何で取り上げたのか忘れたまま、今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~
笞刑に関する整理(五) ~統監府裁判所令~



今回の話は、笞刑に関する整理と言っても、どうってことも無い話。
今後も使うかどうかは不明。
じゃあ止めろよ、と。(笑)

でもサガなのでやっちゃいますが、読み飛ばしたい人は読み飛ばし可。
どうせ大した事は書いてません。(笑)

ってことで、前回の覚書を受けて、様々な法令が出されるんですが、今回の統監府裁判所令もその一つ。
アジア歴史資料センターの『御署名原本・明治四十二年・勅令第二百三十六号・統監府裁判所令制定統監府法務院官制廃止(レファレンスコード:A03020810400)』から。
1909年(明治42年)10月16日『勅令第236号 統監府裁判所令』。

勅令第236号
統監府裁判所令

第1条
統監府裁判所は統監に直属し、韓国に於ける民事刑事の裁判及非訟事件に関する事務を掌る。

第2条
統監府裁判所を分ちて、区裁判所、地方裁判所、控訴院及高等法院とす。
統監府裁判所の設置、廃止及管轄区域は、統監之を定む。
統監府裁判所に統監府判事を置く。
判事は勅任又は奏任とす。

第3条
区裁判所は裁判所構成法に定めたる区裁判所、地方裁判所は同法に定めたる地方裁判所の職務を行ふ。
控訴院は地方裁判所の裁判に対する控訴及抗告、高等法院は地方裁判所又は控訴院の第二審の判決に対する上告及控訴院の裁判に対する抗告に付、裁判を行ふ。
高等法院は前項の外、裁判所構成法に定めたる大審院の特別権限に属する職務及第一審且終審として韓国皇族の犯したる罪にして、禁錮以上又は韓国法規に依り禁錮以上の刑に処すべきものの裁判を行ふ。

第4条
区裁判所は前条第1項の外、韓国人の犯したる罪にして、左の各号の1に該るものの裁判を行ふ。

1 韓国法規に依り一年以下の懲役、禁獄、罰金、笞刑又は拘留の刑に該る罪
2 韓国刑法大全第592条、第595条、第596条、第601条乃至第603条、第616条及第617条の罪
3 前号の罪の贓を分ち又は買得、受寄したる罪
4 韓国刑法大全第644条の罪
前項第1号の罪に付ては、再犯以上として処分すべき場合と雖、区裁判所其の裁判を行ふ。

第5条
統監は地方裁判所の事務の一部を取扱はしむる為、管轄区域内の区裁判所に地方裁判所の支部を設置することを得。
支部の職員は、支部を設置したる区裁判所の職員を以て之に充つ。

第6条
統監は、地方裁判所の管轄区域内の一の区裁判所に属する裁判事務の全部又は一部を、其の地方裁判所の管轄区域内の他の区裁判所をして取扱はしむることを得。

第7条
区裁判所は判事単独にして裁判を為し、地方裁判所及控訴院は3人の判事、高等法院は5人の判事を以て組織したる部に於て合議して裁判を為す。
高等法院の或部に於て上告を審問したる後、従来の判決例に異りたる意見を有するときは、其の部は之を高等法院長に報告し、高等法院長は各部を聯合して更に之を審問し、且其の裁判を為さしむ。
前項の場合に於ては、判事の3分の2以上列席することを要す。

第8条
統監は地方裁判所又は其の支部の判事の1人又は数人に、其の裁判所又は支部の裁判権に属する刑事の予審を為すことを命ず。
高等法院長は、第3条第3項の予審を為すべき各別の場合に付、其の院の判事又は下級裁判所の判事に之を為すことを命ず。

第9条
統監府裁判所に検事局を竝置す。
検事局は統監の管理に属し、韓国に於ける検察事務を掌る。
検事局の管轄区域は、之を並置したる裁判所の管轄区域に同じ。
検事局に統監府検事を置く。
検事は勅任又は奏任とす。
検事は、検察事務に付上官の命令に従ふべし。

第10条
統監府裁判所に書記を置く。
書記は判任とす。
書記は裁判所及検事局に附属す。

第11条
統監府裁判所に通訳官又は通訳生を置く。
通訳官は奏任、通訳生は判任とす。
通訳官及通訳生は、裁判所及検事局に附属す。

第12条
高等法院に高等法院長を置く。
高等法院長は、統監の指揮監督を承け其の院の行政事務を掌理す。

第13条
控訴院に控訴院長を置く。
控訴院長は統監の指揮監督を承け、其の院の行政事務を掌理し、管轄区域内下級裁判所の行政事務を指揮監督す。

第14条
地方裁判所に地方裁判所長を置く。
地方裁判所長は、其の裁判所の行政事務を掌理し、管轄区域内区裁判所の行政事務を指揮監督す。

第15条
区裁判所の判事は、其の裁判所の行政事務を掌理す。
判事2人以上あるときは、上席の判事前項の職務を行ふ。

第16条
高等法院、控訴院及地方裁判所の各部に部長を置く。
部長は各其の長官の命を承け、部の事務を掌る。

第17条
高等法院検事局に高等法院検事長を置く。
高等法院検事長は統監の指揮監督を承け、其の局の事務を掌理し、下級検事局を指揮監督す。

第18条
控訴院検事局に控訴院検事長を置く。
控訴院検事長は其の局の事務を掌理し、管轄区域内下級検事局を指揮監督す。

第19条
地方裁判所検事局に地方裁判所検事正を置く。
地方裁判所検事正は其の局の事務を掌理し、管轄区域内区裁判所検事局を指揮監督す。

第20条
区裁判所の検事は、其の裁判所検事局の事務を掌理す。
検事2人以上あるときは、上席の検事前項の職務を行ふ。

第21条
高等法院及控訴院に書記長を置く。
書記長は奏任とす。
書記長は、院長及検事長の命を承け庶務を掌る。

第22条
書記は上官の指揮を承け庶務に従事す。

第23条
通訳官及通訳生は上官の指揮を承け翻訳及通弁に従事ず。

第24条
統監府裁判所及検事局職員の定員は、各裁判所及検事局を通じて左の如し。

判事   329人
検事   85人
書記長 4人
通訳官 4人
書記   368人
通訳生 187人
第25条
韓国人にして判事又は検事たる者は、民事に在りては原告被告とも韓国人たる場合、刑事に在りては被告人韓国人たる場合に限り其の職務を行ふ。

第26条
区裁判所検事の職務は、統監府警視、統監府警部又は統監府裁判所書記をして之を行はしむることを得。

第27条
統監府裁判所及検事局の事務処理に関する規程は、統監之を定む。


附則

第28条
本令は、明治42年11月1日より之を施行す。
統監府法務院官制は之を廃止す。

第29条
本令施行前、理事庁又は韓国の区裁判所、郡衙若は地方裁判所に於て受理したる訴訟事件及非訟事件は現在の侭、理事庁に係るものに在りては、管轄に関する規定に従ひ相当の区裁判所又は地方裁判所に、韓国の区裁判所又は郡衙に係るものに在りては、其の所在地を管轄する区裁判所に、韓国地方裁判所に係るものに在りては、其の所在地を管轄する地方裁判所に移るものとし、既に為したる裁判は、第一審及第二審の区別に従ひ各其の区裁判所又は地方裁判所之を為したるものと看做す。

第30条
本令施行前、統監府法務院又は韓国の控訴院に於て受理したる訴訟事件及非訟事件は、現在の侭其の所在地を管轄する控訴院に移るものとす。
統監府法務院の既に為したる裁判は高等法院、韓国の控訴院の既に為したる裁判は前項の控訴院之を為したるものと看做す。
本令施行前、韓国の大審院に於て受理したる訴訟事件及非訟事件は、現在の侭高等法院に移るものとし、既に為したる裁判は高等法院之を為したるものと看做す。
李朝~大韓帝国の裁判制度は、2審制。
特別法院ってのがありますが、これは皇(王)族に関する裁判制度で、最高裁とはちょっと違う。
んで、この『統監府裁判所令』で3審制になったわけですな。

第3条に見られる『裁判所構成法』ってのは、勿論日本の1890年(明治23年)『法律第6号 裁判所構成法』の事。

で、第4条が今回のポイントである、韓国人に対してのみ適用される部分。
「韓国法規に依り一年以下の懲役、禁獄、罰金、笞刑又は拘留の刑に該る罪」、「韓国刑法大全第592条、第595条、第596条、第601条乃至第603条、第616条及第617条の罪」、「前号の罪の贓を分ち又は買得、受寄したる罪」、「韓国刑法大全第644条の罪」の4つですね。

刑法大全の第592条は常人が係官の財産を盗んだ場合。
第595条は窃盗。
第596条は、人の墳墓の石物を盗んだ場合。
第601条は、人の栽培物や器物、他人が積み集めておいた柴草や木や石を盗んだ場合。
第602条と第603条は8月17日のエントリーで取り上げましたが、それぞれ公有地の樹木の盗んだり斫ったりした時と、他人の禁養する樹木を斫ったり伐った時。
第616条と第617条は8月18日のエントリーで取り上げた部分で、窃盗と、強盗を企図して窃盗になった場合。
ってことで、第2号は全体として韓国人窃盗犯は区裁判所で取り扱う事になるのかな?

で、第3号は前述の窃盗行為による盗品を分配したり、買ったり、受け取った場合。
最後の第644条は、逸失物を自分のものにした場合。

ま、詳しくやってはみたものの、実は1912年(明治45年)3月の改正で条文が一新されて、笞刑の項目も無くなっちゃうんですけどね。(笑)

後、面白いのは第25条かな?
韓国人判事、韓国人検事は、民事の場合原告も被告も韓国人の場合に。
刑事の場合には被告人が韓国人の場合に限り職務を行う、と。
ま、練習は韓国人で。(笑)


条文のせいで長くなりましたが、今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~
笞刑に関する整理(四) ~韓国司法及監獄事務委託~



さて、今日からは再び笞刑に関する整理に話を戻します。
ってことで、「韓国司法及監獄事務委託」のお話。

この話、元々は1907年(明治40年・光武11年)7月24日の所謂『第三次日韓協約』とその『覚書』が基本になっています。
っつうか、あまりに当たり前過ぎて、これまでウチのブログでちゃんと取り上げて無ぇ・・・。(笑)
ま、取りあえず条文は東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室の『日韓協約』の部分でもご覧になって下さい。

で、その流れを受けて、1909年(明治42年・隆煕3年)7月12日の覚書によって、韓国の司法と監獄事務が日本に委託される事になります。
そんでは、アジア歴史資料センターの『枢密院文書・議事・明治二十一年~昭和四十五年/七十七 日韓覚書(司法監獄)報告ノ件附覚書写(レファレンスコード:A06050090200)』の5画像目から。

覚書

日本国政府及韓国政府は、韓国司法及監獄事務を改善して韓国臣民并に在韓国外国臣民及人民の生命財産の保護を確実にするの目的と、韓国財政の基礎を鞏固にするの目的を以て、左の条款を約定せり。

第1条
韓国の司法及監獄事務の完備したることを認むる時迄、韓国政府は司法及監獄事務を日本国政府に委托すること。

第2条
日本国政府は、一定の資格を有する日本人及韓国人を在韓国日本裁判所及監獄の官吏に任用すること。

第3条
在韓国日本裁判所は、協約又は法令に特別の規定あるものの外、韓国臣民に対しては韓国法規を適用すること。

第4条
韓国地方官庁及公吏は、各其の職務に応じ、司法及監獄の事務に付在韓国日本当該官庁の指揮命令を受け、又は其の補助を為すこと。

第5条
日本国政府は、韓国の司法及監獄に関する一切の経費を負担すること。

右各其の本国政府の委任を承け、覚書日韓文各2通を作り之を交換し、後日の証とする為記名調印するものなり

明治42年7月12日
統監子爵 曽禰荒助

隆煕3年7月12日
内閣総理大臣 李完用
まずは前文。
韓国の司法と監獄事務を改善して、韓国臣民と在韓外国臣民と人民の生命財産の保護を確実にする目的と、韓国財政の基礎を強固にする目的から、左の條款を約定する、と。
在韓外国人について、政体によって「臣民」と「人民」が呼び分けられてるんでしょうね。

第1条は、韓国の司法事務と監獄事務が完備したと認められるまで、韓国政府は司法と監獄事務を日本国政府に委託する、と。
wikipediaの第三次日韓協約の項なんかを見ても、「また非公開の取り決めで、韓国軍の解散・司法権と警察権の委任が定められた。」なんて書かれてますが、これは厳密に言えば間違いで、実質的な掌握はしているものの、委任されたのは今回の「覚書」以降ということになります。
1909年10月まで法部大臣は居ますしね。

ま、どっちにしろ「韓国の司法事務と監獄事務が完備したと認められる」前に併合になっちゃうんですが。

で、第2条では、日本国政府は一定の資格を有する日本人か韓国人を、在韓国の日本裁判所及び監獄の官吏に任用すること、と。
司法事務と監獄事務が委託されましたので、任用も日本政府が行い、施設は在韓国「日本」裁判所及び監獄という括りになるわけです。

第3条が今回のポイントですね。
在韓国日本裁判所は、協約又は法令に特別の規定あるものの外、韓国臣民に対しては韓国法規を適用すること。、と。
ここで、日本への司法権委任後も、韓国人には刑法大全を始めとする韓国法規が適用されることが謳われるわけです。

第4条。
勿論、司法権が委任されたと言っても、単独では執行していくことは不可能なわけで、韓国政府側の協力が必要となりますね。
ってことで、韓国の地方官庁や公吏は、それぞれの職務に応じて司法・監獄事務に関して在韓国日本当該官庁の指揮命令を受けたり、補助すること、と。

最後の第5条では、前文の「韓国財政の基礎を鞏固にするの目的」も踏まえて、韓国の司法及び監獄に関する一切の経費は日本政府側の負担、と。

韓国軍解散(二)」のときに、韓国軍解散詔勅にも触れました。
朕惟ふに、国事多難なる時に値り、極めて冗費を節略し、利用厚生の業に応用するは今日の急務なり。窃に惟ふに、我現在軍隊は傭兵を以て組織せるが故に、未だ以て上下一致、国家完全の防衛と為すに足らず。」という、要するに歳出削減しなきゃ駄目なんだから、居ても無駄なだけの旧式軍隊を飼ってる暇は無ぇという、ある意味酷い詔勅なわけですが、これを司法制度に当てはめれば、「朕惟ふに、国事多難なる時に値り、極めて冗費を節略し、利用厚生の業に応用するは今日の急務なり。窃に惟ふに、我現在司法制度は前近代的であるが故に、未だ以て治外法権の撤廃を為すに足らず。」ってとこかな。(笑)

ついでですんで、ここでこの覚書に関して、当時の韓国統監であった伊藤博文の具状を見てみましょう。
アジア歴史資料センターの『公文別録・韓国併合ニ関スル書類・明治四十二年~明治四十三年・第一巻・明治四十二年~明治四十三年/韓国司法事務ノ委托〇監獄事務ノ委托〇司法及監獄事務費ノ負担ニ付公爵伊藤博文具状ノ件(レファレンスコード:A03023677200)』の5画像目より。

韓国財政及経済上の状況を熟察するに、全然帝国政府の補助を要せざる時期に到達するには、尚ほ数多の歳月を要すべし。
然らば、両国の為め最有益なりと認むる事項に付、年々相当の補助を為すの外なし。
即ち、両国将来の便宜し、慮り、彼に在て為し得べからざる事項を我に委托せしめ、我に於ても亦彼を保護するに必要なる責務を負担することとし、我力の及ぶ限りを盡して以て扶植誘発の途を講ぜざるべからず。
左に此見地に基き、愚見を披瀝すると共に、別紙協約案を起草し、敢て廟議の採納を乞はんとす。

一 司法事務の委托
韓国保護政策を貫徹し、其効力を普及せんと欲せば、到底治外法権を撤去せざるべからず。
然らば、今日の急務は韓国の司法事務を改良し、先づ韓国臣民及在韓外国人の生命財産の保護を確実にするの方法を講じ、以て条約改正の準備に供せざるべからず。
然るに、韓国に在て積年政治紊乱の主因たる法治の欠点を補はんが為めには、一面法官を養成し、一面国民の法治的習慣を馴致せざるべからずと雖、是一朝一夕の能くする所に非らず、■くも一生期の歳月を俟たざるべからず。
然るに、韓国統治上の一大障礙たる治外法権の撤去を数十年間遷延し、之を等閑に付せば、或は形勢の変移に依り、終に其の目的を達し能はざるに至るやも未だ■■るべからず。
故に、寧ろ今日に於て司法に関する事務を挙て、韓国政府より帝国政府に委托せしめ、純然たる帝国政府の責務として、着々之が改善を図り、一日も速に条約改正の準備を完成せざるべからず。

二 監獄事務の委托
司法事務の改善、予期の如く成功すと雖、監獄の制度之に伴って完備するに非ざれば、未だ以て文明国民をして甘じて韓国に於ける日本の裁判に服従せしむるに足らず。
故に、所謂画龍不点晴の憾なからしめんと欲せば、監獄事務の委托は、我に於て啻に不得已のみならず、寧ろ当然の要求と云はざるを得ず。

三 司法監獄事務費の負担
去る明治40年度以来、帝国政府は6ヶ年に亘り金1,960余万円(内、経常費に属するもの初年度に於て150万円、次年度より年々300万円、臨時費に属するもの最初3年間に合計310余万円)を韓国政府に無利息無期限にて貸与す。
是れ、韓国財政の現状に顧み、保護の目的を達する上に於て実に不得已に出づ。
而して、其貸借の形式を採れるは、単に手続上の便宜に基くが為めにして、事実は即ち同国政府に対する交付金に外ならず。
而して、此貸与金は、明治45年度に至れば契約の期限に達すべしと雖、韓国財政・経済の状況は、今後暫くは到底我補助金を全廃する能はざるが故に、結局補助の必要ありとせば、寧ろ進で本協約に依て帝国政府に委托せしめたる司法監獄に関する経費を帝国自ら負担し、在韓国の裁判所を名実共に日本裁判所と為すに如かず。
韓国の現状を見れば、日本の援助無しにやっていくには、更に相当の歳月を要するという前提で、司法事務の委託と監獄事務の委託と、それら経費に関する意見。
つうか、「彼に在て為し得べからざる事項」って。(笑)

司法事務については、治外法権の撤廃を主眼に司法事務の改良を訴え、法官の養成と国民に法治的な習慣を身につけさせる事を指摘し、でもそれには長い年月がかかる。
しかし、そんなに長い期間かけれないから、寧ろ司法事務を日本に委託させて、日本の責務として改善して、一日も早い条約改正の準備を完成させなければならない、と。

で、監獄事務については、司法事務が改善したとしても監獄制度が伴っていなければ意味無いわけで、やむを得ないというより当然の話、と。

最後に、日本は明治40年から6ヶ年にわたって1,960万円あまりを韓国政府に無利息無期限で貸与してる。
これは手続きの便宜上賃借の形式を採ってるけど、実際には韓国政府に対する交付金だ、と。
で、明治40年から6年間ですので、明治45年になればその期限になるわけだけど、現状の韓国財政や経済の状況じゃ、補助金打ち切るのは無理なわけで、結局補助の必要があるなら、日本に委託しさせた司法監獄に関する経費は日本が負担し、在韓国の裁判所を日本裁判所にしちゃった方が良いでそ、と。

ま、この史料はこの史料で、他との関連で結構面白い史料なんですが、取りあえず今回御紹介しておきます。
兎も角、こうして司法・監獄事務が委託され、韓国人には刑法大全を始めとする韓国法規が適用される事になったわけですね。


おまけのせいで長くなりましたが、今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(2)~


民籍法と民籍法執行心得

テーマ:

前々回前回に民籍法について解説しましたが、創氏改名にも朝鮮戸籍令への繋がりとして関係してくるかもしれませんので、一応創氏改名の方にもエントリーしておきます。

ってことで、アジア歴史資料センターの『韓国警察報告資料巻の2(レファレンスコード:A05020350400)』の146画像目から160画像目までの、『民籍法の説明 附同執行心得』から、1909年(隆煕3年)3月4日『法律第8号 民籍法』。

民籍法(隆煕3年3月4日 法律第8号)

第1条
左記各号の一に該当する場合に於ては、其事実発生の日より10日以内に、本籍地所轄面長に申告すべし。
但し、事実の発生を知ること能はざるときは、事実を知りたる日より起算す。

1 出生
2 死亡
3 戸主変更
4 婚姻
5 離婚
6 養子
7 罷養
8 分家
9 一家創立
10 入家
11 廃家
12 廃絶家再興
13 附籍
14 移居
15 改名
前項の事実にして2面以上の所轄に渉るときは、申告書各通を作り、申告義務者の所在地所轄面長に之を申告すべし。

第2条
第1条の申告義務者は左の如し。

1.出生、戸主変更、分家、一家創立、廃家、改名及移居の場合は当該戸主
2.養子及罷養の場合は養家の戸主
3.婚姻及離婚の場合は婚家の戸主
4.入家の場合は入家せしめたる戸主
5.附籍の場合は附籍せしめたる戸主
前項の場合に於て、戸主が申告を行ふこと能はざるときは、戸主に代はるべき主宰者、主宰者なきときは家族又は親族、家族又は親族なきときは事実発生の場所又は建物等を管理する者、若は隣家より之を為す可し。

第3条
婚姻、離婚、養子及罷養の申告は、実家の戸主の連署を以て之を為すべし。
但し、連署を得ること能はざるときは、申告書に其旨を附記すべし。

第4条
第2条の申告義務者は、本籍地以外に居住する場合に於ては、其居住地所轄面長に申告することを得。

第5条
民籍に関する申告は、書面を以て之を為すべし。
但し、当分の内口頭を以てするを得。

第6条
第1条の申告を怠る者は、50以下の笞刑又は5円以下の罰金に処す。
詐欺の申告を為したる者は、6ヶ月以下の懲役笞刑又は100円以下の罰金に処す。

第7条
本法に依る申告は、面長なき地に於ては面長に準ずべき者に之を為し、漢城府に於ては所轄警察官署に之を為すべし。

第8条
本法施行に要する規程は、内部大臣之を定む。

附則
本法は、隆煕3年4月1日より之を施行す。
建陽元年勅令第61号戸籍調査規則は、本法施行の日より之を廃止す。
まぁ、解説は前々回前回を見て欲しいと思います。
ええ、手抜きです。(笑)

創氏改名に特に関係ありそうな部分としては、第1条の15号、改名の部分の解説の一文ですね。

殊に女子は妻となりたる後、尚人に名を呼ばるを以て無上の恥辱とし、婚姻の時より幼名を廃するの慣習なり。
良く言われる「朝鮮には女性に名が無い」事について、女性がないがしろにされて名前が無かったというわけではなく、元々、妻となった後にも名前を呼ばれる事を、女性自身が「無上の恥辱」と考える習慣があった、と。
で、この生ぬるい対応は、昨年の9月27日のエントリーで取り上げたように、創氏改名の時も「金氏、韓姓女等の称呼を有する女子の属する家に氏設定せられ、姓を朱抹したる場合、右「氏」、「姓女」等の処置如何。」という質疑に対して、「其の儘と為し置くの外なし。」というように継続されてたりします。(笑)

で、これだけだと新しくエントリーたてる意味も薄いので、民籍法の第8条に定められた、内部大臣が定めるとされている規程と思われる、1909年(隆煕3年)3月20日『内部訓令第39号 民籍法執行心得』を。

第1条
民籍に関する事項を記載する為め、警察署、警察分署及巡査駐在所に民籍簿を備ふ。
民籍法第1条各号の事実発生に依り民籍簿より除きたるものは、面別に編綴して除籍簿とす。

第2条
民籍には、地名及戸番号を付すべし。

第3条
民籍記載の順位は左の如し。
1 戸主
2 戸主の直系尊属
3 戸主の配偶者
4 戸主の直系卑属及其配偶者
5 戸主の傍系親及其配偶者
6 戸主の親族にあらざる者
妾は妻に準ず。

第4条
棄兒発見の場合には、一家創立として取扱ふ可し。
但し、養子として収養せんとする者あるときは、一家創立の上養子の取扱を為し、又扶養者あるときは其附籍として取扱ふべし。

第5条
一家絶滅したる場合は、其旨を記載して除籍すべし。

第6条
附籍者の民籍は、一家族毎に別紙を以て編成し、附籍主民籍の末尾に編綴すべし。
附籍者の民籍には、附籍主の姓名及其附籍なる旨を欄外に記載し置くべし。

第7条
面長は常に部内の民籍異動に注意し、申告を怠る者あるときは之が催告を為すべし。
面長は口頭を以て民籍に関する申告を受けたるときは、口頭申告書に記載すべし。

第8条
面長は民籍法第1条の申告書を取纏め、其月分を翌月15日迄に所轄警察官署に送致すべし。

第9条
警察官署に於て受けたる申告書中、他管に係るものは、所轄警察官署に送致すべし。

第10条
民籍簿は甲号様式、口頭申告書は乙号様式に依り調製すべし。
あれ?
書面で届け出るための様式は?(笑)

で、更に民籍法の趣旨について書かれている部分が面白いというか、それまでの戸籍取扱いの経緯が分かりますので、ついでにテキスト化しておきます。

当国の戸籍取扱に付ては、今を去る427年前李朝第9成世宗康靖王の世に於て、式年なる制を定められたるに始まり、毎3年1回調査編籍したるものにして、爾来413年の間其制を遵守せり。
而て、第26世皇帝建陽元年(今を去る14年前)之を戸籍調査規則と改め、毎年1回新に調査編籍することとなり、其事務は府尹、郡守の主管に属せしも、之が実地調査は主として面長(面長なき地は之に準ずべき者)、洞長等の手に由りたるものなり。
其後光武11年(今を去る3年前)、丸山警務顧問の時代に於て臨時戸口調査を行ひしが、調査期日甚だ遷延したるを以て、諸島嶼竝に江原、咸鏡、平安各道に於ける僻陬の地は、遂に実地の調査を経ずして計上したるにも拘らず、其数実に980万人を称へたり。
然るに、当時内部に於ける調査数は580万人に止まり、其差実に400万人の多きを見る。
戸籍取扱の整頓せざる、戸口統計の杜撰なる、以て之を推知するに足る。
隆煕2年1月内部官制制定に際し、当時の実情に鑑み、身分戸口の整理は警察機関に待つの外なく、之を地方局より移して警務局の主管とせられたり。
爾来当局に於て諸種の研究を為し、民籍制定の必要を認め、今回茲に民籍法の発布を見るに至れり。
凡そ身分戸口の異動に関する現象多様なりと雖も、本法に於ては出生乃至改名に至る15の事項を挙げ、不完全ながらも以て民籍上必要なる諸現象を網羅せんことを期したり。
此等各事項の異動に就ては、人民に申告の義務を負はせたりと雖も、素より之のみに依りて其実蹟を挙げんこと予期すべからず。
而して此陥欠を補ふものは、1に警察官の戸口実査に在り。
殊に民籍法に於ては、本籍者のみを支配し、非本籍者即ち寄留者又は一時の滞留者に付ては、之を警察上の戸口実査に委せられたり。
戸口の実査たる警務施行の必要より、人民異動の事実を確かむるに在りと雖も、此に依りて一面民籍簿の整理を為すの制にして、盖し民籍法施行心得並に戸口実査規則に於て此意を酌まれたる所以なり。
以下、民籍法の逐條に付て、単簡なる説明を為し、以て執務者の参考に資せんとす。
敢えて解説はしません。
ただ、冒頭の「第9成世宗康靖王」は、「第9世成宗康靖王」の間違いと思われます。


ってことで、民籍法と民籍法執行心得についてはお終い。



朝鮮民事令と第11条の第1回改正
朝鮮民事令第11条の第2回改正
朝鮮民事令第11条の第3回改正(一)
朝鮮民事令第11条の第3回改正(二)
朝鮮民事令第11条の第3回改正(三)
朝鮮民事令第11条の第3回改正(四)
朝鮮民事令第11条の第3回改正(五)
朝鮮総督府編『朝鮮の姓』より
朝鮮人の氏名に関する件
高元勳
朝鮮戸籍及寄留例規(一)
朝鮮戸籍及寄留例規(二)
朝鮮戸籍及寄留例規(三)
朝鮮戸籍及寄留例規(四)
朝鮮戸籍及寄留例規(五)
朝鮮戸籍及寄留例規(六)



前回は、笞刑どころか第1条までしか進みませんでした。
ってことで、さっさと先に進んでいきたいと思います。
1909年(隆煕3年)3月4日『法律第8号 民籍法』について、アジア歴史資料センターの『韓国警察報告資料巻の2(レファレンスコード:A05020350400)』の146画像目から160画像目までの、『民籍法の説明 附同執行心得』より。

第2条
第1条の申告義務者は左の如し。

1.出生、戸主変更、分家、一家創立、廃家、改名及移居の場合は当該戸主
2.養子及罷養の場合は養家の戸主
3.婚姻及離婚の場合は婚家の戸主
4.入家の場合は入家せしめたる戸主
5.附籍の場合は附籍せしめたる戸主
前項の場合に於て、戸主が申告を行ふこと能はざるときは、戸主に代はるべき主宰者、主宰者なきときは家族又は親族、家族又は親族なきときは事実発生の場所又は建物等を管理する者、若は隣家より之を為す可し。
前回の第1条の各号ごとに、その申告の義務者を定める規定ですね。
養家の戸主ってのは、養子をとる側の戸主。
婚家の戸主は、要するに夫の家の戸主。
後はそのままですね。

で、戸主が申告できない場合には、戸主に代わる主宰者。
主宰者が居なければ家族や親族。
家族や親族が居なければ、申告すべき事実が発生した場所や建物の管理者、若しくはお隣の家から申告すること、と。
ま、こんだけ指定しとけば、誰かが申告義務者に該当するでしょうな。(笑)

第3条
婚姻、離婚、養子及罷養の申告は、実家の戸主の連署を以て之を為すべし。
但し、連署を得ること能はざるときは、申告書に其旨を附記すべし。
婚姻、離婚、養子、罷養のように相手方がある場合には、他の申告とは違って申告に実家の戸主の連署が必要。
勿論、後日の紛議を避けるため、と。
本人が知らないウチに、結婚してたとか、離婚してたとか。(笑)

で、但し書きは例外規定で、もし何か事情があって連署がもらえなかった時に、その旨を申告書に附記する、と。

第4条
第2条の申告義務者は、本籍地以外に居住する場合に於ては、其居住地所轄面長に申告することを得。
申告場所の例外規定ですね。
第1条では「本籍地所轄面長に申告すべし」ということで本籍地の面長に申告する事とされていましたが、勿論本籍地から居住地を移している場合も多いわけです。
当時の地方の状況も割とそのような人口流動があったようで、それを参酌して、申告義務者が本籍地以外に住んでいる場合には、居住地の面長に申告する事ができるようにした、と。

第5条
民籍に関する申告は、書面を以て之を為すべし。
但し、当分の内口頭を以てするを得。
書面による申告を基本としながら、当分の間は口頭による申告でオッケー。
つうか、民籍、土地調査、創氏改名。
申告主義は根付いたのだろうか?(笑)

第6条
第1条の申告を怠る者は、50以下の笞刑又は5円以下の罰金に処す。
詐欺の申告を為したる者は、6ヶ月以下の懲役笞刑又は100円以下の罰金に処す。
ようやく本題の「笞刑」に関する部分。
申告しなかったら50回以下の笞刑か、5円以下の罰金。
虚偽申告は、6ヶ月以下の懲役、笞刑又は100円以下の罰金。
っつうか、笞刑の回数書かれて無ぇ。(笑)
勿論、これは誤植ではなくて、元々の官報にも書かれて無い部分。

民籍法1(クリックで拡大)

何でだろ?

第7条
本法に依る申告は、面長なき地に於ては面長に準ずべき者に之を為し、漢城府に於ては所轄警察官署に之を為すべし。
どうも1909年でも行政区画の名称が統一されていたわけでも無いようで、「面」と言わずに「社」や「坊」と言う地方があったようで、そういう所では社長や坊長に申告するようにした、と。
マジですか?(笑)

で、京城では坊長があるけど、直接警察官署に申告するように規定した、と。

第8条
本法施行に要する規程は、内部大臣之を定む。

附則
本法は、隆煕3年4月1日より之を施行す。
建陽元年勅令第61号戸籍調査規則は、本法施行の日より之を廃止す。
この辺は解説不要ですね。

ってことで、刑法以外の個別法令に「笞刑」が規定されている具体例ということで、覚えておいて下さい。


ちょっと早めですが、今日はここまで。



笞刑に関する整理(一) ~序~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(1)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(2)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(3)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(4)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(5)~
笞刑に関する整理(二) ~刑法大全(6)~
笞刑に関する整理(三) ~民籍法(1)~



アジ歴で、「朝鮮総督府刊行物」の階層が出来ました。
「朝鮮土地調査事業報告書追録」やら、「朝鮮の小作慣習」やら、「朝鮮ノ土地制度及地税制度調査報告書」やら、「韓国に関する条約及び法令」やら、「現行朝鮮総督府法規提要」やら、非常に楽しみな簿冊がずらっと並んでいるわけですが、まだ画像は公開されておらず・・・。
まぁ、のんびり待ちたいと思います。

さて、前回までで笞刑に関して大明律から刑法大全までの流れを見ました。
で、今日は標題の『民籍法』について。

「何で笞刑に関する整理なのに民籍法なのよ?創氏改名じゃねーの?」と疑問に思う向きもあるかもしれませんが、個別法令中に笞刑の規定がある法令の代表として、これを取り上げてみようと思った次第。
勿論、今回の条文や解説を援用して、そのうち創氏改名のカテゴリーでもう一回民籍法のエントリーを挙げたいと思います。

さて、民籍法。
1909年(隆煕3年)3月6日『官報第4318号』で公布された『法律第8号 民籍法』ですね。
まずは、その官報画像から。

民籍法2民籍法1
(各クリックで拡大)

相変わらず漢字ハングル混淆文は読む気にならないので、必死になって訳文を探してみます。
見つかりました。
アジア歴史資料センターの『韓国警察報告資料巻の2(レファレンスコード:A05020350400)』の146画像目から160画像目までの、『民籍法の説明 附同執行心得』を使っていく事にしたいと思います。
条文をメインで取り上げ、それ以外の部分については参考にして解説する感じで進めて行きたいと思います。
では、早速。

民籍法(隆煕3年3月4日 法律第8号)

第1条
左記各号の一に該当する場合に於ては、其事実発生の日より10日以内に、本籍地所轄面長に申告すべし。
但し、事実の発生を知ること能はざるときは、事実を知りたる日より起算す。

1 出生
2 死亡
3 戸主変更
4 婚姻
5 離婚
6 養子
7 罷養
8 分家
9 一家創立
10 入家
11 廃家
12 廃絶家再興
13 附籍
14 移居
15 改名
前項の事実にして2面以上の所轄に渉るときは、申告書各通を作り、申告義務者の所在地所轄面長に之を申告すべし。
1号から15号までの事実が発生したら、その発生した日から10日以内に本籍地の面長に申告する事。
次の「但し、事実の発生を知ること能はざるときは、事実を知りたる日より起算す。」というのは申告期間の例外を示すもの。
事実が発生したけど、申告義務者が遠隔地にいる等何らかの事情でその事実を知ることが出来ない場合に、起算日を知った日として10日以内に申告する事、と。

で、まず1号は出生で、嫡出子、庶子、私生児等を問わず、総て胎児が母体から分離した時。
2号は死亡で、解説は要らないよね。(笑)
3号は戸主の変更で、朝鮮では隠居の慣習が無いため、戸主死亡の時にだけ発生するようだ、と。
4号は婚姻で、夫が他家の女性を妻とする一般的な結婚と、招婿、改嫁の3種類がある、と。
招婿は、日本で言うところの婿養子。
改嫁は、日本で言うところの入夫婚姻で、女戸主である妻の家に夫が入る結婚。
5号は離婚で、これも解説不要だと思います。

6号は養子。
養子には普通の養子と収養子がある、と。
普通の養子の方は、養親も養子も同姓同本の親族で、養子の方は親等が養親より常に1等下位にいる者。
朝鮮の慣習では、養子は養親の甥に相当する者に限るようだ、と。
収養子の方は、昨年の6月20日のエントリーでも結構詳しく触れましたが、普通の養子の方の原則によらない他人の子供を収養する場合。
んで、やはり捨て子を収養子として養子にする実例は多い、と。
つうか、もう去年の話になっちゃってるのか・・・。(;´H`)y-~~

7号は罷養で、養子縁組の解除、つまり親子関係の消滅を言う。
8号は分家で、ある一家から分かれて他に一家を創る事で、当然それによって本家と分家の関係を生じる。
勿論、元は同じ一家なので同姓同本。
戸主の弟やその他の家族が、戸主とは別に同系の一家を創る事を言う、と。
9号は一家創立で、新しく独立した一家を創る事を言い、捨て子等が婚姻や養子縁組で他の家に入ったけど、離婚や罷養によって実家に帰る事になったのに、その実家が廃絶していたりで元の籍に戻れない時や、戸主を失った家族が新しく一家を創って戸主になる時や、従来自分の家が無く、他の家に雇傭されていたり寄食していた者が、新しく一家を創って戸主になる時を言う、と。

10号は入家。
戸主や家族の親族が、婚姻や養子縁組をしないで籍に入る事を入家と言う。
例を挙げれば、戸主の甥で他家にいる者が養子縁組をしないで籍に入ったり、妻の連れ子が婚家に入る場合や、妾として夫の家に入る場合、と。
ちなみに、備考として妾についての話が載っています。
妾は、古来の慣習によれば単純な所謂不倫関係ではなく、夫の家族としての関係を認めたもので、妾は夫と同居するのが常態であり、夫に対して一種の義務を負い、総て夫の支配関係に服従する。
しかし、妾の産んだ男子は、正妻に男子が居ない場合には当然家督相続権を有している。
妾の産んだ子がいても、他の親族間で養子とすべき者が居る時には、養子にするなどして相続者とする場合もあるが、妾の産んだ子でも家督相続権があることは疑い無い、と。
有名なところでは、李完用、李允用兄弟が妾腹ですね。

11号は廃家で、生活に困った戸主がその家を廃して、他人の家族となっちゃう場合等に行われる、と。
同様な物に絶家があるけど、そっちは家督を相続する者が居ない等で、自然と家が無くなる事。
勿論、届け出る者が居るはずも無いので、第1条の届出規定には書かれて無いわけですな。
12号は廃絶家再興で、一旦廃家・絶家となった家の家名を襲名する事。
例えば、貧乏で一回廃家して他人の家に入ったけど、時機を得てその家名を復活させた時など、と。
勿論、他人による家名再興は不可。

13号は附籍。
所謂奴婢として主家に使役されている者や、自分の籍が無くて他家に寄食する者について、民籍整理の都合上籍を与え、主家の籍の下に置く事を言う。

この備考欄も面白いので、一応取り上げておきます。
朝鮮の社会組織は昔から数多くの変遷があったけど、要するに両班、常民、奴婢の3階級は常に存在していた。
両班は色んな理由から上級の班を占め、普通人民とは異なり、生まれながらにして官職を得、納税の義務が無い等の特権を有していた。
常民とは、農業、商業、工業、白丁を言い、白丁は常民の最下級に位置する賤民、僧尼、伶人などを言う、と。
この伶人は、楽人とか役者とかの意味で良いのかな?

で、奴婢は人間として生まれたものの、社会上は人として対等の取扱いを受けず、恰も一つの物件のように見なされ、売買、交換、譲与されて主家のもとで使役され、何の人格も認められない者だった。
従って、このような奴婢やそれに近い寄食者は、普通の人と同等な社会上の権利・義務の主体となれる能力が無い者と見なされ、独立の民籍を持っていなかったため、今回特にそれに独立籍を与えることにしたけど、まだ付籍者として取り扱う事になった。
取扱いの便宜や知識の程度や旧慣を参酌し、その身分・戸口の異動による総ての申告は、その主家の義務とした。
ってことで、付籍者で後日独立の生活をするようになった時には、普通の民籍を編成するべきであることは論を待たない、と。

14号は移居で、本籍を他に移す事。
ただ、家族全部が移る場合を移居というのであり、戸主だけが移ったり、家族の何人かが移っただけであれば、移居とは言わない、と。

15号は改名。
古来男子は、婚姻したときを成人したものとして必ず幼名を改め、特に女性は妻となった後にまだ名を呼ばれる事を無上の恥辱とし、婚姻後に幼名を廃する習慣がある。
民籍法では、男女どちらでも必ず1人に1つの名を付ける主旨ではあるけど、別に強制する力があるわけでもないため、その幼名を改名しない限りは必ず幼名を継続して呼称させ、もし改名したらその申告をさせるという意図がある、と。

で、第2項は第1項の各号について2面以上の所轄に跨るときは、申告義務者の所在地の所轄面長に申告すること。

んー、第1条しか終われなかった・・・。(;´H`)y-~~


今日はここまで。



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