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2007年12月12日(水)

JOAスコアとオステオパシースコア

テーマ:エビデンス(科学的根拠)

【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・⑦】


整形外科的な身体機能の判定基準としてJOAスコアがあります。

これは日本整形外科学会が制定した機能判定基準で、身体状態を数値的に評価しようとするものです。

腰・肩・股関節・膝など部位毎のJOAスコアがあります。参考JOAスコア・股関節機能判定基準


数値(100点満点)を施術前・施術後で比較すれば、改善状況(治療効果)を数値的に評価することが出来ます。

 例:1回目の施術前40点が、施術後60点

    2回目の施術前50点が、施術後70点


数値評価が必要な理由は、その治療法が有効であることを証明するには100症例とか200症例とかの治療データを客観的に表せる数値として治験し、、統計学的に処理する必要があるからです。

その統計処理により、治療法が効果があったのかを判断するのです。


さて、オステオパシーの評価方法は独自のものがあり、

 静止位での目視検査

 椎骨可動性検査

 頭蓋骨の歪みや可動制限

 仙骨の歪みや可動制限

 頭蓋仙骨リズムの質

などがありますが、その改善状況を数値化し統計処理しても、その検査法自体を医学界が認知していないのであれば、徒労に終わってしまいます。

したがって、オステオパシー手技療法の効果を広く医学界にも知らしめるためには、整形外科で多用されるこの『JOAスコア』にリンクした評価方法を採用する必要があると思います。


現在オステオパシースコアと呼ばれるものがあるわけではありませんが、統一した評価基準として『オステオパシー的なスコア=OSTスコア(仮称)』を制定する必要があると考えています。

OSTスコアの中にJOAスコアを含ませるのか?

OSTスコアとJOAスコアをダブルチェックするのか?

VAS(ビジュアル・アナログ・スケール)などの評価をどのように含めるのか?

それは、今後の検討事案となります。


ところで、このようなエビデンス(科学的根拠)の検証をして行かねばならないという考えが、日本のオステオパシー界でコンセンサス(合意)がとられているわけでもありませんし、もちろんオステオパシーの団体からオーソライズ(権限委譲)されているわけでもありません。


しかし、そういう考え方をしていかねばならないということを広めていくと共に、独自のOSTスコアになっても基準を定め、当方の卒業生(フェローと呼んでいます)や仲間内からでもデータを取り貯め、将来のために検証を進めて行きたいと考えています。


今回で長らくかかってしまった、このシリーズの最終回です。

まだまだ日本では周知されていないオステオパシーは、一般的には「手技療法であり日本で言うところの広義の整体に類似するもの」ということすらご存じない方が多いのが現状です。

普及できない要因として、業界の閉鎖性があるのかもしれませんし、比較的わかり難いオステオパシー用語(オステオパシーという名称すらカイロプラクティックより日本人には発音しにくいのかも?)にもあるのかもしれません。

現在、用語(テクニックの名称など)を感覚的にイメージしやすいものにしていきたいと考えています。

そして、安全なテクニックをより習得しやすい形式でオープンすることでオステオパシーの普及を図り、健康福祉で社会貢献出来ればと願っています。


【このテーマの主な参考・引用書籍】

アメリカ医師会がガイドする「代替療法の医学的根拠」

    米国医師会編  山梨医科大学教授 田村康二 訳

対談「代替医療のすすめ」

    廣瀬輝夫 秀明大学医療経営学科主任教授

    渥美和彦 日本代替・相補・伝統医療連合会議理事長・東大名誉教授

真の癒しを求めて

    加藤豊広 (現)新潟リハビリテーション大学院大学准教授


~take care~

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2007年11月14日(水)

治験対象(テクニック)の検討

テーマ:エビデンス(科学的根拠)

【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・⑥】


薬などでは対象薬個別の治験を行うのでしょうが、手技療法となると個別のテクニック毎に治験を行うことは事実上困難なのだと思います。


オステオパシーのテクニックには・・・

 筋膜リリース

 ストレイン・カウンターストレイン

 筋エネルギーテクニック(マッスル・エナジー・テクニック)

 神経・筋テクニック(ノイラー・マッスル・テクニック)

 H.V.L.A.(高速低振幅=スラストテクニック)

 L.V.M.A.(低速中振幅=スプリンギングテクニック)

 頭蓋仙骨療法(クラニオ・サクラル・セラピー又はクレニオ・セイクラル・セラピー)

 内臓マニピュレーション

 スティル・テクニック

 靭帯性関節ストレイン

などがありますが、臨床の現場では個別のテクニックだけを使用するのではなく、的確に使い分けて体性機能障害の改善を図るのです。

個別のテクニック毎の効果を検証する為には、治験者(患者)に協力を仰ぎ、検査者(施術者)が個々のテクニックを実施した後に検証していくことが必要です。


ところが、前記したように我々は「臨床家」であり「研究者」ではありません。

医師のように「臨床医」、「研究医」がいるわけではありませんので、個々のテクニック検証の実質的時間と協力者の確保には無理があると思います。


それ以前の問題として、たとえば腰椎の変位(スパイナル・リージョン)が痛みの原因だと推測される場合でも、その矯正を『ストレイン・カウンターストレイン』で即行える事はあまりありませんし、行ったとしても効果は期待が薄いものとなってしまいます。

椎骨変位を引き起こす原因となる深部の『回旋筋』より先に、表在筋である『広背筋や脊柱起立筋群』の緊張・拘縮を先に開放(リリース)しておかなければならないからですが、この時には『筋膜リリース』を主に使います。

その後に椎骨変位の矯正(回旋筋のリリース)をストレイン・カウンターストレインにより行うのです。

すなわち、テクニックは複合して初めて効果が期待できるものです。


しかし、ある程度は系統を限定して治験を行わないといけないとも考えられます。

オステオパシーのテクニックは、『筋骨格神経系』『硬膜系』『内臓系』に大きく分類することが出来ますので、その系統毎に治験するのが合理的なのだと思います。


後発のテクニックである『頭蓋仙骨療法』と『内臓マニピュレーション』は、オステオパシーのテクニックに含めないと考える向きもあります。

また、頭蓋仙骨療法などで『エネルギー領域・精神領域』の治療法もありますが、まずはメカニカル(構造的)な体性機能システムに対してのテクニックの検証から入らなければ、エビデンスにつながらないと思います。


よって、治験テクニックの分類は、

【①筋骨格神経系テクニック】

 筋膜リリース、ストレイン・カウンターストレイン、筋エネルギーテクニック、神経・筋テクニック、

 場合によりH.V.L.A.・L.V.M.A

【②硬膜系テクニック】

 頭蓋仙骨療法

 ただし、脳脊髄液循環リズム(第一呼吸メカニズム)の改善に限定し、ソマトエモーショナル・リコール

 &リリースおよびVスプレッドなどのエネルギー指向テクニックを除外する。

【③内臓系テクニック】

 内臓マニピュレーション


あくまで、私見ですが上記分類に拠って検証に入ることが合理的だと考えます。

事項で述べますが整形外科の分野の評価スコア(JOAスコア)とリンクさせたデータ採取をしなければ、医学会でも認知は難しいと思うからです。(現在においてはエネルギー領域・精神領域の検証方法がありません)


~take care~

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2007年11月06日(火)

痛みの強さ(主観)の評価方法

テーマ:エビデンス(科学的根拠)

【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・⑤】


施術前と施術後の改善状況を比較する為には、主観的な不調を数値で表す必要があります。

そうしないと、患者自身にしか改善状況がわかりません。 

不調には種々あります。

痛み・だるさ・しびれ等、どのような不調なのかを口頭で聞くことはもちろん必要です。

その上で、『痛み』であればそれがどの程度なのかを数値として表していきます。


評価スケールには数種類あります。(ここでは痛みとして説明します)

ビジュアルアナログスケール(VAS:Visual Analogue Scale)=視覚的アナログスケール

  100mmの線を引き、左端は無痛(no pain)・・・右端は最悪の痛み(the worst pain I ever felt)として、感じている痛みがどの程度なのかを「記入」してもらいます。(左から長さで強度表現する)

 VASには2種類の評価方法があります。

  1.左端からポイントまでの長さを測定し痛みの数値とする。(100段階評価)

    [-------------------------------------------------------]

  痛みなし                                  想像できる最高の痛み

  2.線を10等分し、痛みがどの領域にあるかを示す。(10段階評価)

    [-----|-----|-----|-----|-----|-----|-----|-----|-----|-----]

    0     1     2     3     4     5     6     7     8     9     10


数値的評価スケール(NRS:Numerical Rating Scale)

 NRSは①の2.と似通ったものになりますが、患者に「10を最大の痛みとして、現在の痛みを「口頭」で答えてもらい痛みの強度とします。(“0=痛みなし”~10の整数での11段階評価)

    [-----|-----|-----|-----|-----|-----|-----|-----|-----|-----]

    0     1     2     3     4     5     6     7     8     9     10


口頭式評価スケール(VRS:Verbal Rating Scale)=カテゴリースケールということもあります。

 VRSは、痛みの強度を指定の言葉で「口頭」で答えてもらいます。(表現の仕方は種々あり)

    [-------------|-------------|--------------|-------------]

   痛みなし 軽度の痛み  中度の痛み  強度の痛み  最悪の痛み

                          ※表示フォントによりグラフと文字が均等に表示されないことがあります。

フェイススケール(FRS:Face Rating Scale)=スマイルスケールということもあります。

 FRSは小児などに使用するビジュアルアナログスケールと考えれば良いのですが、顔などのイラストで痛みの強度を示してもらいます。顔の表情は気分やその他の症状を含んでしまう場合があるので取り扱いには注意が必要です。

フェイススケール

どの評価スケールでも良いのですが、「施術前の痛みの強度/施術後の痛みの強度」を比較できるように数値化することが大切です。

通常は『ビジュアルアナログスケールでの10段階評価』が使いやすいと考えます。


これは痛みや不調の度合いの『主観的』表し方ですので、その他に『客観的』検査(骨格の左右の高低差、回旋・側屈・屈曲・伸展などのねじれ、関節可動域、筋肉硬度、筋力テストなど)を行い、それをトータルして『総合的評価スコア』として、身体の状態を数値化します。


~take care~


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2007年09月02日(日)

プラシーボ効果

テーマ:エビデンス(科学的根拠)

【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・④】


プラシーボ(Placebo)とは、薬などの臨床試験を行うときに用いられる「薬効の無い薬」のことで『擬似薬』とも呼ばれます。

ラテン語の「I shall please」(自らを喜ばせる)を語源にしているということですが、「効果の無い薬でも利くと思って飲めば治る」こともしばしばあります。

手技療法などでは、『暗示』などと呼ばれます。

すなわち暗示作用が働いて、身体を良くしてくれることもあるのです。

「病は気から・・・」と言います。心がけが身体を悪くしたり、回復を遅らせたりすることもあります。


「疑似薬=暗示」をプラシーボ(またはプラセボ)、

「それによる効果」をプラシーボ効果と呼びます。

少しでも理論付けると、

「先入観や暗示(他動的なものも自己暗示もあります)により、自然治癒力(Spontaneous cure=生物が本来持っているケガや病気を治す能力で“自己治癒力”とも呼ぶ)が働き、身体が良くなる」

とも考えられているのです。

(風邪の総合感冒薬なども、症状を和らげるだけであって、風邪自体を治すのは自己治癒力です。)


自然治癒力には、「自己再生機能」と「自己防衛機能(免疫)」がありますが、共同して働き身体を治してくれます。

オステオパシーでも、自然治癒力を回復させ、恒常性の維持(ホメオスターシスHomeostasis=自然治癒力が最大限に発揮される人間本来の状態)をすること目指して施術を行います。

カイロプラクティックには「第一頚椎(アトラス)・第二頚椎(アキシス)を矯正すれば、後は“イネイト(身体の内にある修復力”が身体を治してくれる」という考え方により、第一・第二頚椎の矯正のみを行う流派もあります。


このプラシーボ(疑似薬・暗示)が臨床試験ではバイアス(偏り)になってしまいますので、それを排除するために無作為管理臨床試験RCTなどがあるのです。

薬の臨床試験などではRCTにより、プラシーボ効果(暗示による効果)を術者・被験者・評価者それぞれに対してブラインド(盲検)することにより完全に排除出来ます。

手術などの臨床試験では、被験者(患者)に対してインフォームドコンセント(納得できる説明)を行わないわけにはいきませんので、ダブルブラインド(二重盲検、実際にはトリプルブラインド)では無く、評価者のみをブラインド(シングルブラインド)する方法が採られます。


手技療法の場合は、

来院した時点で「せっかく来たんだから、きっと良くなる!」

手を当てただけでも「何かしてくれたんだから、良くなっているに違いない!」

という暗示からのプラシーボ効果も考えられるのです。

修行時代は個人宅を訪問して施術していましたが、それより遠距離でも来訪してもらった方が、「せっかくわざわざ来たんだから良くなるに違いない」と暗示効果が働く場合もあるように思います。


施術業は実業であり、研究・学問ではありませんので、プラシーボ効果であれなんであれ「クライアント(患者)が良くなればそれで良い!」のですが、科学的根拠を示してゆこうとするとこのプラシーボを排除し、客観性があるデータを採ってゆく必要があります。


しかし、我々限界があります。

クライアントは研究材料ではありませんので、切羽詰って来訪されるクライアントに対して何がしかの協力を依頼するのもはばかられます。

施術中も、一つ一つどこがどうだから何をしているのかを説明しながら進めないと、クライアントに安心してもらえません。

必然的に「研究の為の臨床試験としてでは無く」、通常の業務の中で的確なデータを残す方法を採らざるを得ません。


ブラインドが無い状態でも、術前・術後を比較検証するしかありません。

 痛みや不調の主観的評価の比較。

 関節稼働域などの他動的(客観的)評価の比較。

 姿勢などのビジュアル的(客観的)評価の比較。

などが考えられます。

 

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2007年08月29日(水)

手技療法検証の難しさ

テーマ:エビデンス(科学的根拠)

【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・③】



手技療法の検証は非常に難しいとされています。


まず、“手技”は施術者(セラピスト)の技量により、効果が大きく変わってきます。

薬であれば、誰が投薬しようが、注射しようが、まず差異はないと考えられます。(症状・投薬時期などの医師の判断能力による差異はありえる)

手術的治療であれば医師の技量による差異は考えられますが、たとえば患部の摘出・レーザー照射など何を施術したかははっきり提示できます。



もちろん、施術者による技量の差は、高度手術ではありえます。

“匠の手”と呼ばれる上山医師は、

「難しい手術はあっても、出来ない手術は無い・・・。出来ないというのは医師の怠慢であり、勉強不足である」と仰います。

しかし、上山医師がどこかの手術室で突然「手術しろ・・・」といわれても、高度な手術が出来るわけでは無いのです。

上山流の高度手術には、上山先生がオリジナルで開発したメスなどや手術用の顕微鏡などのが無ければならないそうです。

“神の手”と呼ばれる福島医師も、緻密なオリジナル器具を開発しており、それが無くて普通の器具であれば神の手も発揮できないそうです。



ところが、オステオパシー手技療法ではこの“器具”となるものが“手”そのものですから、個人差は当然現れます。

施術者の習熟度で効果は大きな差異が発生してしまうのです。


たとえば、基礎テクニックとなる“筋膜リリース”での拇指押圧(親指の腹で持続的な圧をかける)のテクニックでも、熟達者と初心者では全くの違いが現れます。

何せ器具となるのは"手”そのものですから、その器具(手)の性能の差は歴然と現れるのです。


「同じテクニックを使用しても、施術者の技量により効果に差異が生じる事がある。」

「誰が施術しても同じ効果が出るわけではない。」


となれば、おのずと熟達者の施術による臨床と結果の検証が必要になります。


検証にしても、薬などの効果のように血液検査などのように数値検証できるわけではない痛みや不調などの主観などの事の方が多いので、クライアント(患者)の主観(痛みなどの主観を数値的にあらわす必要があることは後に述べますが、ビジュアル・アナログ・スケールで表します)の他に、熟達者のモーション・パルペーション(可動検査法)などで検証する必要があります。



我々は、研究者ではなく臨床家です。

ほとんどの手技療法の臨床家は、一人で業務(施術)を行っています。

必然的に、施術と検証は同一人物が行うようになるでしょう。

「それで、客観性が保たれるのか?」


また、医師でない(日本の医師ではオステオパシーの熟達者はほとんどいません)オステオパシーのセラピストが取りまとめた臨床データが信頼されるのか?

オステオパシーに関わる者の希望的主観が臨床結果を誘導しないか?(中立性が保たれるか?)

これらが、大きな問題です。



アメリカでは国立衛生研究所(National Institute of Health=NIH)の国立相補代替医療研究センター(National Center for Complementary and Alternative Medicine=NCCAM)が、「カイロプラクターを医療士として認めるかどうか」、「カイロプラクティックの効果と安全性・危険性など」を検討し政府に報告することになっています。

ところが、NCCAMからカイロプラクティックを評価するために研究費を受けているのが、カイロプラクティックの大学であるパーマー大学病院です。

カイロプラクティックの大学がカイロプラクティックについて否定的な報告を出すわけがありませんから、中立性に対して疑問視されているのです。



薬などの臨床試験では『無作為管理臨床試験Randomized Controlled Trial=RCT』という試験手法が最も信用性があるとされています。

RCTを簡単に言うと、

薬が入ったカプセルと、入っていないカプセル(疑似薬)を作り、

 「患者を治療群と非治療群に無作為(ランダム)に振り分け・・・」

 「治療者(薬を渡す者)もどちらのカプセルかわからない状態で・・・」

 「患者もどちらのカプセルかわからない状態で・・・」

治療者も患者も本物の薬かどうかを知らない状態(二重盲検Double Blind)で行う試験です。

実際には、結果を調べる研究者も何を調べているか知らされずに検査をしますので、"三重盲検”になります。



二重盲検(ダブルブラインド)が必要なのは、

治療者側の「この人は疑似薬だから症状が改善しないはずだ」といった思いこみ・・・

患者側の「この薬は本物のはずだから症状が良くなるはずだ」といった思いこみ(プラシーボ効果)・・・

による先入観(バイアス)を排除し、客観的な研究結果を出すためです。



しかし、我々が日常行う業務の中では"無作為管理”は行うすべが無く、来院するクライアントは施術を受けに来るのですし、何を行うかインフォームド・コンセントをするのですから、"二重盲検”になりようがありません。


そこで、PROBE法(Prospective Randomized Open Blinded-Endpoint method)と呼ばれる手法があることを知りました。

「手術の2つの術式でどちらが有効かを決める際には、二重盲検法をとることは事実上不可能であるので、このような場合、結果を検証する評価者に治療内容を知らせず盲検(ブラインド)に保つことにより、先入観(バイアス)を排除することができる」としたものです。

「二重盲検法がとられていることはその臨床試験が優れているこを保証するものではなく、先入観(バイアス)を減らす一手段がなされているということを意味するのみだ」と考えるからです。



やはりそれでも通常一人で業務(施術)を行う施術院では、他にブラインドを保った評価者がいるわけではありません。(当方ではアシスタントはいますので、これを行えないわけではありませんが・・・)

したがって、「施術者が自分で検証する(ブラインドが保てない)ことになる状態では、臨床データを取りまとめても実証度・信頼度ともに低く、医学界では相手にされない」と思っていました。



ところが、先般の東洋オステオパシー協会幹部会でリハビリテーション大学院大学で助手を勤めておられる先生(医科大学大学院在籍)から、

「ブラインドが保たれなくとも、きちんと臨床データを集積し取りまとめたものは研究データとして実証度はある。臨床データを取った者が誰であろうと(非医師であろうと)信頼性を疑われるものではない・・・」といった趣旨のお話を伺いました。

これで、展望が開けた気がしました。

(それを伺ったことが、この記事を書こうと思ったきっかけです。)



協会には医師の方もいらっしゃいます。

個人個人が臨床データを集積し、その方々とデータを精査し体系的に取りまとめて行けば、RCTで言うところのコントロール(管理)された臨床試験でなくともエビデンスにはつながると思われますし、臨床データを集積することは日本でのオステオパシーの将来のためには有意義だと思うのです。

    

~take care~

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2007年08月24日(金)

医師から見た手技療法

テーマ:エビデンス(科学的根拠)

【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・②】


医師が手技療法(あるいは徒手治療)に無理解あるいは批判的な理由をあげると・・・

固定観念:医師以外の者が行う医業類似行為に効果があるわけがない。


特権意識:治療や治療に類似する行為(医業類似行為)は医師しか行ってはいけない。(日本では理学療法士・看護師などは医業従属職であり、医師の指示の元に治療を補助する者である)


 アメリカでは医療士と認めらる資格(認可は各州の判断によるもので、全州一律ではない)として、自然療法士(Naturopathy)・脊椎整形士(Chiopractor)・按摩士(Masseur)・診療看護士(Nurse Practitioner)・補助医師(Assistant Physician)・中医(Traditional Chinese Medecine)などがあり、"準医師”と位置づけられるものもあります。

また、「コ・メディカル」と呼ばれる医師以外で医療に“独自の立場”で業務を遂行する職種として、理学療法士・作業療法士・視能訓練士・栄養士・臨床心理士・医療ソーシャルワーカーなどがおり、ある意味では医師と同等の発言権を有しています。

内反足の手術なども手がけるカイロポディスト(足趾治療士)やパラ・メディック(医師の指示の下に、電気的除細動・気管内挿管・輸液などの高度な救急処理を行う医療専門職)などもあります。


知識不足:日本での医学教育で、オステオパシーでいうところの体性機能障害(主に筋肉異常による身体の不調)という概念などの教育は受けておらず、筋肉異常などは不調の原因とみなしていない。

すなわち筋肉異常の検査もしないし、治療法も身につけていない。

もちろん筋肉異常を見つけることは出来ないので、「自分たちにわからないことが、医師以外のものにわかるわけがない」となってしまう。

(脳脊髄液の循環リズムをチェックしたり整えるのはもっと高度な技術が必要ですので、もちろん医師に行えることではありません)


権威主義:若い医師が先進的で柔軟な考え方手技療法などの代替医療に興味を持っても、権威や権限を持つ目上の者からの圧力でそれを取り入れるわけにはいかない。


上記などが考えられます。


さて、昨今は、西洋医学の中でも『エビデンス』のないもの認めがたいという風潮になってきていますが、「医療行為における治療法の選択などにあたっては、理論や経験や権威者の判断ではなく、確固とした疫学的証拠に基づき、科学的に最良の判断をすべきであるという考え方をする」ということです。



改めてエビデンスの概念を記述しますと・・・

「すべての医療行為は医学的判断に基づいて行われる。

従来、この判断は多くの部分を医療者の経験や権威者の提言、あるいは生理学的原則・知識に基づいた判断に従って下されており、治療者や国によって治療法が違うのも当然である、といった状況が長く続いてきた。

 権威がものをいう例としては「この治療法はこの病院で100例以上の実績があって良好な成績を収めた」、「有名人の誰それがこのダイエット法で10kg痩せた」といった判断がある。また、生理学的判断の例としては、「緑茶は実験室にて抗菌作用や抗酸化作用が示されたため健康に良い」「カルシウムを多く含む食品を多く食べることで骨が丈夫になり骨折のリスクが減らせる」といったものがある。この程度の「理由付け」による価値判断は、マスコミや一般向けウェブサイトに溢れている。また従来、医療従事者にとっての価値判断もこのようなものでしかなかった。

 しかし1990年代より、治療法などの選択となる根拠については、正当性が厳格にコントロールされた(=研究手法が正確である)実験結果で示すべきであるという議論が高まってきた。カナダで始まり世界に広がったこの動きはEBM(Evidence-based Medicine)と呼ばれ、日本では根拠に基づいた医療と訳される。」

とされています。



「正統医療=西洋医学においてもエビデンス(疫学的根拠)を重要視するようになっているのに、根拠のない経験則や伝承などに拠る手技療法を含む代替医療などは認め難い」



それが大多数の医師のとらえ方なのだと思います。

正統医療の中でエビデンスのあるものは20~30%位でしかない現状の中で、手技療法のエビデンスは望むべくもないのかもしれませんが、それを示して行くことが、患者のための統合医療実現につながるのでしょう。



日本では海外(特にアメリカ)で検証されたEBMをそのまま取り入れ、国内で再検証していることなどほとんどありません。根拠はその後の研究や検証によって覆されるものも多数あります。ある調査では、「100件のエビデンスのうち23件が2年以内に覆され、そのうち7件は出版された時点で既に覆されていた」とされています。

各国において、継続した検証が必要ともいえるのだと思います。



~take care~

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2007年08月04日(土)

代替医療とは何か?

テーマ:エビデンス(科学的根拠)

【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・①】


Evidence based Osteopathic Therapie(根拠に基づいたオステオパシー療法)の話に入る前に、書いておかなければならないことが、「代替医療」という言葉についてです。


「代替医療」という言葉は、外科医である廣瀬輝夫教授が論文の中で「Alternative Medicine(オルタナティブ・メディスン」をこのように訳したことにはじまります。


「正統医療(西洋医学=アロパシー)」に対して、それに替わるその他の医学を総称した言葉として使われています。

「Complementary & Alternative Medicine=CAM:相補・代替医療」という言葉が使われる事もあります。

(個人的には日本ではオステパシーも医師が用いるわけではありませんので、現状では「補完療法」と言った方が良いと思うのですが・・・)


廣瀬教授によれば、代替医療は3つに分けられるとされ・・・

①伝統医学(古代インド医学:アーユルヴェーダ、アラブ伝統医学:ユナニ、中国伝統医学:漢方、など)

②民族医学(ギリシャ、アイヌ、インドネシア、チベットなど様々な民族に特有の医学。タラソテラピー:海洋療法、アロマテラピー:香料療法、オーラソーマ:色覚療法、などがあります)

③新興医学(ホメオパシー:同種療法、カイロプラクティック:脊椎矯正、ナチュロパシー:自然療法、オステオパシー:整骨療法、バイオフィードバック:暗示療法、など)


アメリカのハーバード大学アイゼンバーグ教授は1993年に代替医療を・・・

「アメリカの伝統的な医学校で教えられない療法」

「病院によって供給されている基準の医学的治療の一部ではない療法」

「アメリカの多くの生命保険会社によって償還されていない療法」

と定義付けています。


代替医療という言葉のイメージはわかって頂けましたか?

従来の西洋医学の枠を超えたところにあるモノですが、この中にオステオパシーも含まれます。


さて、オステオパシーはアメリカでは、オステオパシー医科大学で正規の医師教育に付加して手技医学を学ぶものであり、現在では医療として認知されたものです。

しかしながら、全州にオステオパシー医科大学があるわけではなく、未だに一部の医師からは異端視されています。

アメリカでは、ナチュロパシー・オステオパシー・カイロプラクティックを「三大異端医学」と呼ぶこともあるようです。

残念ながら従来の西洋医学を「正統」と捉える医師からは、「異端の医学」にしか映らないのでしょう。

(何が正統で、何が異端なのか?・・・、キリスト教を正統とする欧米の国からするとイスラム教も仏教も儒教も異端です!)


患者本位の医療を目指すならば、従来の枠を超え正統医療と代替医療が一体となった「統合医療」が求められています。(患者には正統も代替も関係ありません、治れば良いのです!)

しかし、古い考えの持ち主がいます。個人個人は先進的考えでも組織となると硬直していることもあります。

未だに日本の大病院は「白い巨塔」そのものであったり、医学会の古い体質は変わり難いのでしょう。


先日東洋オステオパシー協会の幹部会において、医科大学の脳神経外科医師の方から「統合医療実現に向けて」というレクチャーをいただきましたが、その中で・・・

「統合医療実現の為には、正統医療(医師)の側からは手技療法などを軽視する考え方を改めなければならない・・・、代替医療の側からは効果の科学的根拠を示していかなければならない。

統合医療の中でオステオパシー手技を使う為には、日本のより多くの医師に認知してもらう為に『オステオパシーの手技は副作用が無く、効果があるという科学的根拠(エビデンス)を示していかなければならない』」

ということを伺いました。


医学で言うエビデンスとは、EBM: Evidence-based Medicineのことであり、「根拠に基づいた医療 」を言います。

昨今医学界では医療に科学的手法を取り入れようとする運動が始まっています。

医療を経験や勘による職人の世界から、検証可能な科学の世界へ移行させようという試みともいえます。


我々オステオパシーを民間療法の範疇で行なうセラピストからすると、「別に頭の固い医学界に認知されなくても、わかってくれているドクターやクライアントは一杯いる・・・」とも思いますし、早瀬先生も常々「治してなんぼ・・・」とおっしゃいます。

科学的根拠(エビデンス)が無いもの(あるいは現在証明されていないもの)が全く無効だとは言えませんが、現実に困っている患者の事を考えても、50年先・100年先の医学界と手技療法界のことを考えても、オステオパシーの科学的根拠を示しておく事は非常に有意義だと思うのです。


どのように科学的根拠を示していくのか?

そして、後進のために何ができるのか?

現実的な内容が示せればと考えています。


~take care~

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