あわせて読みたい なかのひと
2005年05月29日(日)

母と子のオステオパシー

テーマ:子供の身体があぶない!

子供の施術で難しいことは、子供に”回復感”や”満足感”を得てもらう事はもちろんですが、保護者にもそれを感じてもらわなければならない場合があるという事。


こんなことがありました・・・


小学5年生で剣道をしている男の子が”右肩の痛み”で来院しました。

もう3週間くらい痛みが続いていて、整形外科でレントゲン撮影もして「異常なし・・・」。整骨院に1日おきに通院しても状態は変わっていないとのこと。

身体の状態をチェックしていくと・・・・・・肩も首も背部も・・・全身「カチカチ」です!。

「右ひじが真っ直ぐ伸びません!」・・・「腕が真上まで上がりません!」

肩の四周筋(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋=肩関節を安定させる筋肉群:別名ローテータ・カフ)に問題が起こっているようです。

上腕二頭筋(力コブになる筋肉)が「カチカチ」・・・それでひじが伸びないのです。

剣道は基本的に”ひじを伸ばす”動作をしますので、上腕三頭筋(上腕二頭筋の反対側=力コブの裏側の筋肉)の方に問題は起きやすいと思うのですが・・・。

聞いてみると「剣道は1日おきに練習があり、”小柄で腕力が無いのだから”と練習が無い日はハードな筋肉トレーニングを命じられている」との事です。

整骨院に通う間も「それを続けていた・・・」


明らかなオーバーユース(使い過ぎ)です!


”右の肩・腕”を中心として時間内に出来る範囲は施術しました。

施術後・・・ほとんどひじは伸びるようになり、腕も上がり、痛みも軽減・・・


「とりあえず今日はここまで改善されているようですが、特に肩四周筋・・・それも肩甲下筋と言う筋肉が硬く縮こまっているようです。この筋肉は肩甲骨の裏側に張り付いている筋肉でプロ野球ロッテの黒木投手が傷めて長らく復帰出来ないでいた原因となった筋肉で、非常に厄介な所です・・・

明日か明後日、もう一度は来てください。状態をもう少し整えて、ケアーの為の運動方法をやりますから・・・」

母親「明日は練習がありますから、明後日には・・・」

「当分休ませないとダメだと思いますよ、いつまで経ってもこのままだと困るでしょう」

「でも休ませると大会に出してもらえないので・・・」

「大会に出るために本当に肩を壊してもよいのですか?・・・そんなことより大切なことが・・・・・・」

「とりあえず”明日は休ませます”」と、明後日の予約を取られました。

「それから今は右ですけど、左も悪いですよ・・・」と。


そして、次の日・・・

 

すごい剣幕でその母親から電話が掛かりました。

「子供が”左肩が痛くて仕方が無い”と言っている!・・・どういうことですか?今まで痛くなかったのに!・・・昨日やってもらった事で余計に悪くなったんじゃないか?」と言うものでした。

「昨日申し上げたように、悪くなっているのは”左”もです・・・”右”の痛みを感じなくなったんで”左”を感じ始めたんじゃないですか?・・・もしくは、今まで動かせなかった範囲まで可動域が広がったんで、使えてなかった筋肉を使えるようになって、その筋肉が疲労してしまったのかも?・・・今日は何か肩を使うようなことしましたか?」

「・・・少しだけトレーニングをさせました・・・でも、そちらに何か原因があるんじゃないんですか?」

「そうおっしゃるなら、これからでもいらっしゃいますか?・・・」

 

夜の9時ですが、来院してもらいました・・・

 

オステオパシーのソフト系テクニックは非常に安全なモノばかりです。もしもその施術で効果がなかったとしても副作用の心配はありえないとも言われています。

 

人間の身体は精密ですが、痛みとかをそれぞれ厳密に全てを感じるわけではない場合が多いのです。

一番痛いところはよく分かるが、それ以外はあまり感じない場合があり、一番痛いところが良くなると二番目、三番目を感じるようになる場合も多いし、良くなっていく段階で可動域があがるなどして使えていなかった筋肉とかも使えるようになり、そこが一時的に不調を感じる場合もあります。(好転反応と言います)


そういう説明をもう一度し、状態をチェックすると昨日より確実に良い様に思われます・・・

ウチの臨床室は個室ですので、子供の場合は保護者も同室してもらいます(希望ならば)。

以後のやり取りを母親も聞いています。


「○○君、右はどう?」

「あんまり痛とうない・・・」

「こっち・・・左は?」

「少し痛い・・・」

「動く範囲は広がってるよね・・・ここまで動かしても大丈夫かな~?」

「痛とうない・・・」

「じゃあ、これは?」

「大丈夫・・・」

「ここまですると痛い?」

「うん、少し・・・」

 

そして、施術をしながら・・・

 

「こっち(左)が痛いことは今までぜんぜんなかったかな~?」

「たまには痛かったけど・・・右の方が痛かった・・・」

「そうかぁ~・・・○○君剣道好きなんかなあ?」

「まあまあ・・・」

「そうかぁ~・・・あのな、練習は休めんのかな~」

「休んでもええけど・・・お母さんが・・・」

「そうかぁ~」


施術が終わり、痛みは大体取れてきています。


そして、ケアーの運動を親子に説明していきます。子供だけでは理解できなかったり、協力してもらう方がやりやすい運動もありますしね。

終わる頃には、母親の剣幕も納まっています。 

 

そして・・・

「お母さん、ちょっとここに座ってみてもらえますか?・・・」

施術ベットに座った母親の肩を触ってみます・・・とってもコリコリ!・・・首もコリコリ!・・・

「○○君、10分ほど待ってくれるかな~・・・お母さん肩コリコリじゃから・・・ええかな~?」

「ええよ・・・」

遠慮する母親に仰向けに寝てもらい『頭蓋底(後頭骨と第1頸椎の間)のリリース』に掛かります。これはコチラの指の上に頭を乗せた感じです・・・非常に気持ちよいし、頭蓋仙骨療法の基本です・・・全身のリラックスにもつながります。

 

子供の施術の時に見ていますので、不安はないようですが目がきょろきょろしています。

「お母さん、少し目を閉じてみましょうか・・・」

目を閉じても眼球が激しく動いています・・・精神的緊張が強いようですね・・・。

「○○君、お母さんの手を握ってあげて・・・」

 

そして、約5分後・・・

「すゥ~すゥ~すゥ~・・・・」

「先生・・・お母さん、眠たん?」

「し~・・・ちょっとこのまま眠かせてあげようか・・・」


そして、10分後・・・

母親を起こしました・・・眠ってしまった自分にびっくりしているようです。

「何かスッキリして肩が楽な気がします・・・」

子供は笑っています。
「お母さん、寝てしもーたなァ~」

「うん・・・」

 

「お母さん・・・あんまりがんばらなくていいですよ・・・いろんなことがあるんでしょうけどね・・・。

お子さんも良くなったらいくらでも練習できるんですから、今は少し休ませてあげたらどうですか?。」

「はい・・・そうします・・・」

そして、帰っていかれました。


『親思う心にまさる、親心』と言います。

「親が子供を愛し心配する気持ちは、子供が親を慕う気持ちよりずっと大きい」と言った意味ですよね。

でも、子供を思うあまりに行き過ぎもあったり・・・親の精神状態を子供は敏感に感じているようです。

だから親の期待に応えようとする・・・。


休息も必要です。いろんな意味でね・・・。

後日談もありますが・・・ここまでにしましょうね。


~take care~

いいね!した人  |  コメント(5)  |  リブログ(0)

dreamさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントをする]

5 ■整骨院は・・・

>styleさん 
トラウマになってますか?・・・僕も同様の経験してます・・・(涙)
そもそも整骨院は保険取扱協定の中で「打撲、捻挫、挫傷。医師の同意があれば骨折、脱臼の施術が出来る」となっています。
慢性的な肩コリ・腰痛・ハードワークによる疲労性の筋肉異常などは業務範囲に入りません。
法解釈の仕方により、やってもかまわないという考え方もありますが、専門家ではないということ・・・。誰にでも同じ手順で同じ物理療法をしても良くなりません。
おじいちゃん・おばあちゃんが毎日整骨院に通い、「慢性腰痛を”腰椎捻挫”とごまかして保険請求する・・・患者さんの為でもこれは違法行為です。医療保険制度の破綻の一つの要因です。
>Tenさん
昔はスポ根、バリバリ指導でしたよね・・・うさぎ跳びで石段上がり・・・膝が痛くなりました。整骨院へ膝の治療に行けと・・・鍼や温熱療法で膝の治療。良くなりませんでした・・・違いますよね。まず「大腿四頭筋」ですよね。(ケースバイケースですが・・・)

4 ■無題

押し付けるだけの無神経な指導者というのは見ているだけで非常に腹が立ちますね。
(武術の稽古の時等、隣りで他の団体の子供の教室をやってる時があって、見ていつもいらいらしてます。)

uptownstyleさんの行かれた接骨院みたいに相手の反応を見ないで一方的にやる治療院も多いので、これまた困りもんです。ま、コレに付いては時代性もあり、昔はそんな(無知で不勉強な)人が殆どでしたが。

3 ■小学生の頃、

かなりハードなバレーボールチームに入部してました。故障(特に腰)するたびに、半ば強制的に監督に連れられ接骨院へ。柔道の腰ヒモで無理矢理引っ張られたり骨をボキボキッと鳴らされることが嫌でたまりませんでした。そして、本音を言うと通院したところでちっとも良くなりませんでした。なにより、接骨院の先生が「ストップ」を絶対にかけてはくれませんでした。↑の方のご意見もありますが、指導者が理解しようとしてくれない・・・
身体が悲鳴を上げて限界に近い子供達、それを正確に大人に伝えられない、また大人に無理強いさせられて「NO」が言えない子供達が沢山いると思います。
先生のように、正しい診断をしてくださる方にあの頃出会っていれば・・私の未だに夢に見る、バレーボールへの恐怖心は植えつけられなかったんだろうな・・なんて、ブログを読みながら昔を思い出してしまいました。スイマセンー!長文になってしまいました。(汗)

2 ■指導者は・・・

技術や鍛えることを教えるだけではダメだと思います。
「練習やトレーニング自体」より、疲労を残さないケアーの仕方や効率よくパワーを発揮できる身体を作る事に目を向けなければ・・・。
Tenさんコメントありがとうございました。

1 ■無題

すばらしい対応、お母さんも気持ちが落ち着いてよおかったですね。

剣道ってそもそも無理があるスポーツですが、指導者がまたそれを理解していないことが多いから難しいです。

コメント投稿