心療内科医が現代日本の病理を斬る!~心のケアのあり方から震災後の日本社会について考える~

東日本大震災によって心の傷を負った方、それを支援する方のために、心の傷を治すために必要な行動や心の持ち方を紹介しています。
また、心のケアの在り方を通して、文学・民俗学・経済学など幅広い視点から、現代日本が抱える病理について論じていきたいと思います。


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皆さんこんばんは、珠下なぎです。

急に寒くなったせいか風邪をひいてしまいました。

睡眠時間が確保しにくいせいもあってなかなか治りません。

皆さんもどうぞお気を付け下さいね。


さて、先日から紹介している「里山資本主義」です。

読み物としては大変面白く、田舎でお金を使わず楽しく消費する方法がたくさん紹介されており、期待感を高める作りとなっています。


しかし、それで本当にうまくいくのか?

と疑念を持つ人も多いと思います。


それでは少し角度を変えて、「里山資本主義」にもリスクがあることを考察していきたいと思います。


・リスク①「お金を介さず、自然とダイレクトに繋がる経済は自然の打撃も受けやすい」

 

 これはあえて解説するまでもないでしょう。

 せっかく頑張って自家用野菜を家庭菜園で全てまかなっていたとしても、たとえば水害や台風で甚大な被害を受けたら?そうまでいかなくても、猛暑や水不足で収穫が落ちたら?


 予測できない自然のきまぐれに、生活が振り回されることになります。

 

 投機マネーの温床として批判されている「先物取引」も、もともとは、「農作物の出来不出来に関わらず一定の価格で買い取る」ことを前提にして、自然災害などによって一気に生産地が貧困に陥るリスクを回避する目的もあった、ということも忘れてはなりません。



・リスク②「他地域の影響を受けない分、他地域にリスクを引き取ってもらうこともできない」


 マネー資本主義はインフレやデフレといったマネーのリスクをまともに受けます。

 しかし、それは、遠くの地域のリスクを引き受けるという側面がある一方で、自分のリスクを遠くに分散することができるという面も持ちます。

 ①とも関連しますが、たとえ農産物が不出来などといった不利益を生じても、マネーを介することで、価格の上昇、先物取引による補完などで、不利益を緩和させることができる、といった面もあるということです。


 しかし、マネー資本主義の影響を受けないための「地域循環型」経済には、マネー資本主義の弊害を減らせる反面、マネー資本主義に自分たちのリスクを引き取らせることもまた難しくなる、といった側面もあることは認識すべきでしょう。


・リスク③「人間関係がリスクになる」

 

 里山資本主義の極意は、「手間返し」と書かれています。

 これは、ある人がしてくれたことに対し、手間で返し、またそれに対して手間で返す。

 たとえば、となりのおじいさんが作ってくれた野菜をプレゼントしてくれたら、畑の草抜きを手伝う。

 お向かいのおばあさんがつくりすぎた料理を分けてくれたら、おかえしに自分が川で釣ってきた魚を返す。

 こういった「手間返し」の連鎖が、人々をつなげ、地域社会の「お金によらない」経済を回し、社会を活性化する。というものです。


「人間関係のつながり」が社会のインフラと位置づけられているのです。


 しかし、人間だれしも良い人ではありません(笑)。

 いえ、良い人ばかりだとしても、価値観はそれぞれであり、言葉の誤解を生じることもあるのです。


 人間関係がうまくいっている間はいいのですが、もし何かの行き違いで、それが断ち切れてしまったら。あるいは、いじめの構造のように、一人が孤立する社会ができてしまったら。


 生活物資を「地域社会で回る」システムに依存していると、生活にまともに打撃を受けます。

 かつて、「村八分」というのは、地域社会での制裁でしたが、相互に生活物資を融通し合い、人と人とのつながりが「インフラ」であった時代には、制裁を受けた家にとってはまさに死活問題だったでしょう。だからこそ制裁としての意味をなしたともいえます。


 こういった人間関係の煩わしさが時としてプライバシーの侵害や過度のストレスとなり、かつて若者を都会に向かわせた要因のひとつであった時代があったことも、また私たちは認識しておかなければならないでしょう。





批判ばかり並べましたが、私は「里山資本主義」を否定しているわけではありません。

21世紀に必要なシステムだからこそ、そのリスク面をも、ちゃんと認識しておく必要があるといっているのです。


では、これらのリスクについてはどう考えるのか?

長くなってきたので、こちらは次の記事に譲りたいと思います。



里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)/KADOKAWA / 角川書店

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初めての方は目次をご参照ください

http://ameblo.jp/dr-nagi/theme-10069952155.html

今までのまとめ記事をお読みになりたい方はこちらへどうぞ★


第1部「心のケアのあり方」についてのまとめ 

第2部「心のケアから現代社会を考える」のまとめ1 

第2部「心のケアから現代社会を考える」のまとめ2 

第2部「心のケアから現代社会を考える」のまとめ3 

「第3部 現代社会への処方箋~持続可能な社会の実現に向けて… 

第3部 現代社会への処方箋~持続可能な社会の実現に向けての… 

「第3部 現代社会への処方箋~持続可能な社会の実現に向けて… 

「第4部『陰』を殺した近代社会」のまとめ1 

第4部『陰』を殺した近代社会」のまとめ2 

第4部『陰』を殺した近代社会」のまとめ3 

第4部『陰』を殺した近代社会」のまとめ4

最後までお読みくださってありがとうございました。



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