遠くのような近くのような、そんな感覚が最近私の付近に漂う。
今は冬だが、永遠に私にとっては冬のような。
私は、自分の考えを彼のように人に打ち明けることができない。
また、おしゃべりの好きな彼女のように、的を外れたことを辺りかまわずぶちまけるのも得意ではないのだ。
話せる人は近くにいるのだけれども、なんだか話そうとはできない。
昔の話。
彼は、とても親しくしていた友人に相談を持ちかけられた。
その相談というのは、友人の身の上のことで、近く諸々の事情で遠方へ引っ越すが一緒に来ないかということ。
彼には、親しくしていた人はたくさんいた。
しかし、自分のことを包み隠さず話せるのはその友人だけだったのであった。
彼には職があったが、その時の相談がきっかけでやめようと決意した。
それから半年、彼は越した地で職をやっとのことで見つけた。
その頃とほぼ同じくらいに、友人は亡くなったのだ。
彼は、なぜそうなったのか最後までわからなかった。
友人は、結局大事なことは何一つ自分に話してくれなかったのだと、
そのときに分かったのである。
あの時、職が見つかった喜びを友人に話したとしても、友人は喜んでくれたろうか。
冬の寒いショッピングモールのテラスで、コーヒーを飲みながら、
行きかう人々のざわめきとともに、こんなことを考えた。


