情太郎

-Snufkin-

dr-joutarouの投稿
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遠くのような近くのような、そんな感覚が最近私の付近に漂う。

今は冬だが、永遠に私にとっては冬のような。

私は、自分の考えを彼のように人に打ち明けることができない。

また、おしゃべりの好きな彼女のように、的を外れたことを辺りかまわずぶちまけるのも得意ではないのだ。

話せる人は近くにいるのだけれども、なんだか話そうとはできない。


昔の話。

彼は、とても親しくしていた友人に相談を持ちかけられた。

その相談というのは、友人の身の上のことで、近く諸々の事情で遠方へ引っ越すが一緒に来ないかということ。

彼には、親しくしていた人はたくさんいた。

しかし、自分のことを包み隠さず話せるのはその友人だけだったのであった。

彼には職があったが、その時の相談がきっかけでやめようと決意した。

それから半年、彼は越した地で職をやっとのことで見つけた。

その頃とほぼ同じくらいに、友人は亡くなったのだ。


彼は、なぜそうなったのか最後までわからなかった。

友人は、結局大事なことは何一つ自分に話してくれなかったのだと、

そのときに分かったのである。


あの時、職が見つかった喜びを友人に話したとしても、友人は喜んでくれたろうか。


冬の寒いショッピングモールのテラスで、コーヒーを飲みながら、

行きかう人々のざわめきとともに、こんなことを考えた。
dr-joutarouの投稿
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ある男に出会った。

その男は大柄で、赤色のネルシャツに大きなジーンズを身にまとっていた。

偶然同じ駅で列車を降りた。

ホームの端のエスカレータがあるほうへ、同じ歩を進めた。

私はある予測をした。

この巨体、歩くのにもけっこうなエネルギーがいりそうなデブ。

この男は絶対に、エスカレータに乗るだろう。

しかも、右側に立って、決してエスカレータを上ろうとはしないだろう。

私は、その予測が的中するのを見届けるために、エスカレータの手前まで男の背後を歩いた。

しかし、予想外のことが起こった。


そのデブは、エスカレータに乗る気配すら見せず、エスカレータの隣の階段を上り始めた。

私は一瞬、いらっとした。

と、同時に言いようのない威圧感を受けた。

一瞬だが、この男には何をやっても負けてしまうのではないかと考えた。

前者は、おそらく自分の予測が外れたことに対して発したものだ。

しかし、後者については、今考えてもよく分からない。

そのようなことはありえないのだが、その瞬間の直感のようなものだったのだろうか。


私は、その男の背中を呆然と眺めながら、エスカレータに乗った。

そして、決して歩いて上ろうとはせず、右側に立った。

上っている間も、その男の背中をじっと見つめていた。

恥ずかしい話、上がりきるまでの刹那に、ちょうど男の隣を上っていたミニスカートのギャルのチラリズムがあったことも、

まぎれもない事実の為、書かねばなるまい。


エスカレータを上りきった後、自分の小ささに吐き気を催した。
dr-joutarouの投稿
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もし、夢がかなうなら僕はこの世から消えてしまいたい。

もしくは、僕以外のすべての人間を消して欲しい。

カーリーはそんなことを考えながら、寒い冬の川を独り、ボートに揺られながら。


欲という教育に縛られ、親の期待に背かないように生きてきた彼は、

いつしか、自分というものを切り離して考える癖をみにつけてしまった。

どんな考えも「一般論」と「本音」が正反対になってしまい、苦悩していた。

今は、本当に誰もいない森の中で、自給自足という生活を営んでいる。

しかし、家に帰ればネットがあり、人が作った家具、電話がある。

人がどこかに住むには必ずその責任として、何らかの許可がいる世界。


ボートは何も力を加えなくても、勝手に進む。

それは自然の摂理だ。

水は低きに流れる。

重力もまた、低きに働く。

人はどこに向かっているのだろう。


金を得て、人の信頼も得て、それでどうする。

こんな森の中で、誰からの干渉も受けず生きて、どうする。

結局、「死」までの自己満足にしか思えて仕方がない。


夜も深くなり、ボートの進みが鈍くなったことが、川の水の凍結が始まったことを伝える。



冬の空はきれいだ。

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