小説指原莉乃.AKB愛詩~散り急ぐ桜の花びらたち

小説家を目指しています。AKB9期推し 京都地元大好き 鴨川のせせらぎと清水寺の鐘の音の聞こえるところに住んでいます。


才能があるんか私にはわからへん そやからそんな煙みたいなもんは当てにせえへん 汗を人の何倍も流して認めてもらう 有無を言わせぬ努力の力   それを私は選ぶんや   ~リトルマナ

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読者の皆様、お久しぶりです。実家の大阪に帰っていたので久々の更新になります。
帰省された方々、故郷は如何でしたでしょうか?変わらぬ笑顔を見せてくれたでしょうか?

 

変わりゆく友、変わりゆく故郷、そのなかで毎年、変わらないものを見つけて安心する、

友の笑顔、母の料理等々。 来年は一体、どんな顔を見せてくれるのか。

 

負けずに返せる、そんな笑顔を作れるよう、これから一年、私も頑張っていきたいと思います。読者の皆様、2016後半戦、宜しくお願いします。

 

 リトルマナ~

 

 

 

1970年代~それは若者が最も自分らしく生きれた時代、言葉を換えれば飾ることのない自分を素直に受け入れてくれた仲間がいた時。毎日、友の為に泣き、友と共に笑えていた、輝く眩いばかりの蒼い時を、今一度、振り返ってみる、AKB48とともに。

前回までのあらすじ

1976年、東京近郊の大学に通う麻友、ゆきりん、彩、美音達は同じアパートに下宿する女子大生。それぞれのお互いの悩みを共有しながら彼女達は東京という街を生き抜いていく。

柏木由紀はクラブ活動で挫折を味わい、自殺するところを指原莉乃という学生運動家に助けられる。向井地美音は映画監督志望。カメラを仲間に向けているうちに違う夢を見つけていく。

ギターと音楽が命の山本彩。渡辺麻友が作った歌でメジャーデビューを目指す彼女。けれど、共に歩もうと決めた麻友はもう側にはいない。麻友の復活を信じ、さしこと共に大人達に挑んだ山本彩は再び夢の階段を上り始める

 

 

 

 

章~母は島崎百合、でも私は私、島崎遥香

 

いったいこの子はさっきからずっと何を見ているんだろう。投げかける視線の向こうには暮れゆく夏の夕暮れと行き違うように昇ってくる仄かに光る十六夜の月しか見えないはずなのに。

 

「聞いてみたら?」

 

岡田奈々の声に誘われるように私の足が自然に動く。お盆休みの大学は人影もまばらで学生の姿はなく、近所の子供たちやお年寄りの憩いの場になっていた。

大学に入って3回目の終戦記念日、いつも大阪の実家に帰っていたけど、今年は訳あって帰れていない。
きっと、あの子も、空の向こうの故郷に想いを馳せている、
そんな想いが私にあったのかも知れない。

 

「島崎遥香よ、その子」

後ろから、奈々が小さく叫ぶ。

聞こえたのだろうか、空を見上げていた、彼女の視線がわずかに私のほうに振れる。

ドキッとした。吸い込まれそうな大きな黒い瞳が私の足を止める。

もうそれ以上は来ないで 無言のオーラに息をのむ。

 

小さな水玉模様がプリントされた真っ白なノースリーブのワンピースに真っ白なスニーカー。肩まで伸びた黒髪が夕陽を浴びて栗色に輝いていた。  まるで映画のワンシーンを見るように。

 

「この子が・・・」

 

島崎遥香

 

―なんかすごい子が演劇部に入ったみたいだから行ってみない?

そう岡田奈々から言われたのはつい先ほどの事。

 

大学ではその手の話は良く聞く。たいていが身内の自作自演、話題集めの為にわたし達も一年生の頃によくやらされた思い出がある。誰かをスターに仕立てて噂を煽り部を盛り上げる、子供だましのようだけど、それもまたサークルの生き残りを賭けた私達の戦い。

 

「でも、今回は違うみたいよ。だってその子のお姉さん、女優らしいから」

 

「女優、島崎?」

 

「うん、まぁ、どうせ聞いても知らない名前なんでしょうけどね」

 

「ちょっと待って奈々。島崎って、それって、もしかして島崎百合?」

 

「誰、それ?」


島崎百合、今、彼女の顔や名前をテレビをはじめとするマスメディアで見ない日はないだろう。 歳の離れた妹が、どうも彼女の娘らしい、憶測が憶測を呼び、各社各局のスクープ合戦が連日続いていた。どちらにしても、おそらくこの昭和の日本人なら彼女を知らないものはいない、国民的女優。

「奈々、あんた、ほんまに日本人なんか?」

 

「どういう意味よ、さや姉」

 

気が付けば、先ほどまで青空が残っていた西の空は、もう、綺麗な薄紅色を帯びて、奥多摩の山々を覆い始めていた。暮れなずむキャンパス、夕日に染まる楡の木の下で一人たたずむ島崎遥香。

私にひと時投げかけられていた視線も、もう前を向いていた。

黄昏ている風でもない、焦点が定まらない様子もない、彼女は明らかに何かをしっかりと見ていた。

 

「階段がね、見える時があるの」

 

誰に話すともなく、風に囁くように、島崎遥香はそう言った。

彼女が見上げる空を再び見つめる。

折り重なるように続く黒い稜線に縁どられた夕焼け空は先ほどと何も変わらない。

 

 

「ふふっ、大丈夫ですよ、あぶない子じゃないから」

 

距離を詰めないでいる私の心を見透かすように言葉が飛ぶ。

 

なんだろう、このすべてを持っていかれるような不思議な吸引力は。

少しかすれたような声は意外だったけれど、逆にそれが彼女の魅力を特別なものにしているように思えた。

 

「さや姉さん?ですか?」

 

「・・・?」

 

「なんで知ってるのって、思ってます? 

有名ですよ、もう学内では。

あの一件を美音も学内新聞に載せるって言ってたし」

 

「言ってた、言ってた。警察沙汰にならない程度にやるって」

いつの間にか後ろに奈々が張り付いていた。私の顔の横からいつもの人なつっこい笑顔を覗かせる。

 

「中文専攻の奈々です。軽音でさや姉さんの舎弟やってます」

 

「敬礼はいらんやろ、奈々」

 

「だって・・」

 

二人のやりとりに思わず笑みがこぼれる島崎遥香。

「ふふっ、仏文の二年、遥香です」

「同級なんだ、てっきり年上だと思ってた」

「年は上だよ、ひとつだけ」

「えっ、ダブってるの、遥香さんは?」

「奈々!」

 

「いいんですよ、さや姉さん」

彼女の手が私の肩に触れる。仄かなバラの香りが鼻をかすめる。
シャネルのサムサラの匂い。それは私達にとっては特別な、麻友さんの匂い。

「サムサラ?」

「えっ、ああ、母のがついちゃったのかな」

「えっ、お姉さんのじゃないの」

奈々が言う。

「母なんです」

 

語尾が少し強く感じた。か弱そうでいて、自分の意思を強調したいときは突然、目力が強くなる。
「姉ではなく、母」 初対面の私たちに彼女は確かにそう言った。
奈々はもうそれ以上は聞かなかった。何も知らないはずなのに、そういうところはいつもこの子はあきれるほどに勘が鋭い。

「ぱるる~」
校舎の中から彼女を呼ぶ声が聞こえた。

「行かなくちゃ」

一瞬、奈々と目が合う。奈々も分かったようだった、彼女が何かに身構えるような表情に変わったことを。

「最後にひとつだけ、聞いてもええかな、島崎さん」

ぱるる~~、彼女を呼ぶ声が次第に大きくなる。
「さや姉、もう彼女行かないと」

「初めての私らになんで言うてくれたんや、お姉さんのこと、いやお母さんのこと」

十秒、いや二十秒はあっただろうか、長い沈黙が続く。家路へ急ぐカラスの声だけが月明かりのキャンパスに響く。

 

「あんなことをした人達だから・・」

「え・・」

「敵なんでしょ、大人は、さや姉さんたちにとって。だから私は・・・」

─ぱるる~~何やってんの~はやく~
一段と高い叫び声にぱるるの言葉は闇へと流れていく。

 

「あれが母です」

 

「お母さん?島崎百合さん?」

 

もう夜の戸張はすっかり下りていて暗闇の中、声の主はどこにいるのかさえ分からない。

ただ言われてみれば、そのよく通る声は私たちが知る女優島崎百合そのものだった。

 

「理事長さんに挨拶するって、いいって言ったのに」

 

「いいお母さんじゃない」

奈々が言う

 

「これも仕事のひとつだから、あの人にとっては」

わたしのことなんか・・、そのあとは思い直したように言うのをやめた。

 

「普段はこんなに喋らないんだけど」

「けど?なに?」

「二人のやり取りになんか和んじゃって」

奈々の嗅覚がまだ働いているようだった。彼女の顔を覗き込みながら、しきりに私に目でサインを送って来る。
─泣いてるみたい─奈々の口の動きはそう見てとれた。


─軽音の部室、そのうち覗きますね─
そんな言葉とサムサラのバラの香りを残しながら島崎遥香は真っ暗になったキャンパスを月明かりだけを頼りに闇のなかへと姿を消した。

「なんか不思議な子だね」

「うん」

「ぱるるっていうんだ」

「うん」

「もう学内でファンクラブできたらしいって」

「・・・」

 

「階段って、なんの階段なんだろ」

 

「・・・」

「さや姉」

「うん?」

「聞いてんの、私の言うこと!」

思い出していた。私の足を止めたあの鋭い目の輝きを。近寄りがたい、けれど愛おしさを感じずにはいられないあの大きくて黒い瞳を。

 

「夢への階段にきまってるやろ、ほかにどんな階段があるんや」

 

「見えるのかな、遥香さんには、それが」

 

「わからんけど、うちらには見えへんもんが、あの子にはいっぱい見えてるように思う。

ちょっと話しただけやけど、彼女とうちらが見てるもんは違う、そんな気がする。」

 

「一緒だよ、さや姉」

 

「えっ?」

 

「あの子は同じなんだよ、私たちと、さや姉」

 

「奈々・・」

 

「だって、自分のお母さんをお母さんと呼べないんでしょ

それで泣いてたんだよ、遥香さんは

 

だったら私たちと一緒じゃん、なんにも違わない

私もお母さんを想って泣くことがあるよ

 

布団の中で泣くよ、さや姉 」

 

彼女の感性は時として人と同化する。他人の苦しみや悲しみをまるでわがことのように想い、涙し、自分の心に重ね合わせてしまう岡田奈々。
もしかしたら島崎遥香は私に話しかけているように見えて、本当は奈々に語りかけていたのかも知れない。

この先、私達は彼女の為にこんな涙を幾度となく流すことになる。
笑ったことも多かったけれど、やっぱり泣いた記憶の方がはるかに多い。
ぱるるがぱるるで在る為に、彼女の存在はやはり世の大人達にとってはとても難解なもののように思う。
そう、それはいつの時代においても・・

 

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そして時を超えて、ぱるるを思う。ぱるるにもう少し○○○があったのなら。
もしかしたら、AKB内におけるぱるるの存在価値は他を圧倒するほどに突き抜けていたのかもしれない。

彼女が一番輝かなければいけない時期、上へ上へと"見えない階段"を登っていかなければならない時に欠如していたもの。
─みんなやめればいいのに、みんないなくなってしまえばいいのに
こんなぱるるの言葉に、おそらく多くの大人達は眉をしかめる。なんて自分勝手で、なんてわがままな子なんだと。
でも私達はこの言葉に涙する。
─お前の代わりなんていくらでもいる
そんな大人達にぱるるが、その小さな胸から搾り出すように出した答えだから

神様は圧倒的な美貌と数多の才能をぱるるに与えておきながら、人生における○○○を与えはしなかった。

1972に生きるぱるるもこのような十字架を背負いながら、同じ道を歩みます。
大人達はすべて自分の敵、目に見えるものすべてが自分をおとしめるように感じる、そんな追い詰められたなかで彼女は自分探しをはじめていきます。さや姉にさしこに奈々に。そして渡辺麻友に見守られながら。

 

 

~to be continue 

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