AKB愛詩~散り急ぐ桜の花びらたち (小説.翼はいらない.小説指原莉乃)

小説家を目指しています。AKB9期推し 京都地元大好き 鴨川のせせらぎと清水寺の鐘の音の聞こえるところに住んでいます。


才能があるんか私にはわからへん そやからそんな煙みたいなもんは当てにせえへん 汗を人の何倍も流して認めてもらう 有無を言わせぬ努力の力   それを私は選ぶんや   ~リトルマナ


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~あの日

 

周りがみんな大人に見えた。

 

なんでこんなところへ来てしまったんだろう。何をしに来たんだろう。

 

目の前にある、まるで焦点が合わない色のついていない世界をただ遠い眼で眺めた。

 

ママもいない、いつも歌を聴いてくれる、シェリーやダーナもいない。

 

帰りたい、来なければよかった。

 

もうその時、私の心は出口を探していたのかもしれない。

 

もし誰かにすこしでも背中を押されたら秒速ウンメートルの速さで出口へとダッシュを決めていたに違いない。

 

あの日あの時、私は確かに秋葉原にいた

 

 

 

 

 

 

2016年9月26日

 

「七年間、夢を共にした我々に対してもそしてファンの人たちに対してもそれなりの礼節を示してから出ていく、それが、あたりまえのことじゃないんですか?そう思いませんか、秋元先生」

 

先生は彼女のことになるとどうして・・・、そのあとの言葉を彼らは飲み込んだ。

 

そんなスタッフの総意として委ねられた企画書が私の手の中にある。それは3月30日、埼玉スーパーアリーナでのコンサート。彼女がAKBで行う最後の生誕コンサート、すなわち卒業コンサートを意味していた。

 

 

 

 

ちょうど七年前の今日、AKB48、9期生オーディション最終面接

 

「カラオケは行かないの」

 

その日、誰にも一言も質問しなかった私が初めて口を開いたことに、

「秋元先生はこの子なんだ」みんながそう思ったらしい 

 

何も歌わないで終わる、彼女のそれからのことを思った。

一生悔いるような思い出を彼女に持ち帰らせたくなかった

そう言ったら、きれいごとすぎるだろうか。

 

多感な時期、人生が左右されるような状況の中での一言は限りなく重い。

それは夢へといざなう魔法の言葉ともなり、地獄へ突き落す悪魔の囁きともなる。

彼女に声をかけたこと、ミスを単なる過ちで終わらさない、それは若い子達をしたり顔で振るい落としている私の贖罪のようなもの。

 

ただその時の彼女が私のなかで特別なものだったことだけは認めざる得ない。

あの時に感じた言いようもない衝撃は、その前後を遡っても下っても私のなかの何処にも見当たらない。

 

歌って踊れて話せること、AKBのオーディションにおいて、それがどれほどの意味を持つことなのか、彼女たちの有様を十年も見続けてきた私でさえ今もってわからない。

 

指原だって、横山だって、そして前田敦子でさえ、きちんとした採点で点数化して入ればAKBでの彼女達の存在自体が疑わしい。

 

ただ、自分の感じたままの人間を何も考えずに合格させる、そんな野性的な暴挙に及んだことはあの一回きりだった、誤解のないようにそのことだけはここに告白しておく。

 

 

 

 

~Better

 

久しぶりに会うぱるる、部屋に入るとソファーの上にもう座っていた。

立ち上がろうとする彼女を手で制して私もデスクの前に腰を降ろす。

 

稽古の途中なのだろう、白のパーカーのセットアップにコンバースのスニーカー、髪は無造作に後ろに束ねられている。

ノーメイクの白い肌は相変わらず透き通るようで、じっと見ていられないほどの眩しさを感じる。

そんなぱるるを午後の日差しは柔らかにたおやかに愛おしむように包む。

 

 

 

最近どう? 変わらないです。 体調は? どうとも。

 

かみ合わない他愛のない会話が続く。

 

この子と二人きりで話すなんて、初めてかもしれない。そう思うと余計に言葉が見つからない。

 

女子との会話に詰まったときは、「とりあえず髪の毛と着てるものさえ褒めときゃいい。」そんな指原の言葉が頭をかすめる。おそらくこの子は私が喋らないと明日の朝までその大きな黒い瞳をなんの疑いもなくこちらに向けたまま、その口を開くことはないだろう。島崎遥香とはそういう子だ。

 

仕方がない、茅野でも呼ぶか

 

そう思い始めた時、ガラス越しの窓の向こうに一羽の小鳥がとまる。シジュウカラだろうかカケスだろうか

 

どちらにしてもここはビルの34階、普通に上がって来られる高さではない。

 

おそらく群れからはぐれたのだろう、しきりにあたりを見回しながら小さな鳴き声をあたりに響かせる。

 

そんな小鳥には悪いけど、私は内心ほっとする。とりあえずこれで話は持ちそうだ。

 

高層ビルに迷子の小鳥、話を繋いで行くには十分なきっかけだ。

 

はぐれちゃったんだな?こんなとこで 精一杯にこやかな表情をたくわえて言ってみる。

 

けれど彼女の視線はずっと小鳥に引き寄せられたまま、私の声は彼女のその白い肌に溶け込むように消えていく。

 

二分、三分、五分、まるでことばを忘れたような沈黙が続く。

おいおい、俺より小鳥かお前は・・・

 

口に人差し指を当てる仕草が私の言葉を止める

あんたが誰だかしらない

何の話かも知らない、けど私には今はこの小さな命のほうがなにより大切。

そう言っているように思えた、というより怒っているようにも見えた、何かに対して。

 

そんな私の時の流れを無視するように、窓のほうへと体は吸い寄せられていく島崎遥香

彼女の動きに反応して窓の縁をチョンチョン歩きで移動を始める小鳥。

良く見れば、カラスにでもやられたのか片方の羽が半分以上むしりとらえていた。

 

高層マンション、窓は開けれない。上空ではそのカラスたちが飛び交っている。

飛び立たなければもうこの子の命はないかもしれない、そんな命をぱるるはじっと見つめている。

カラスの影が心なしか大きく見え始める。

 

「だめだな、もうこの子は。もう下に落ちるしか・・・」

 

「黙ってて、言ってるでしょ!」

 

こちらを振り向きもしないで、彼女はそう叫んだ。

でもすぐに、自分のあまりにその大きな声に気づいたのか

見ていてください、そう静かに祈るような口調に言い直した

 

 

 

 

これが島崎遥香、思わず私は心の中で三回そう繰り返してしまった。

 

なんでも平らな目で見てしまうんだ、この子は。 等分にみる平衡感覚が備わっている。その時々で何が一番大切なのか、それをはっきり感じてしまう。お前の物差しは常に変わらない、大人のさじかげげんでその目先が狂うことなんてない。それは私たちの世界ではもしかしたら致命的なことなのかもしれない。険しい坂道をのぼることになるのかもしれない。

 

そして、そんなぱるるの心配をよそに小鳥は毛繕いを始める。むしり取られた羽毛を一本一本啄んでは出す作業を根気よく繰り返す。すると驚いたことに、みるみる失われたその翼が蘇っていく。そこにはもうおどおどしたカラスに怯える小鳥の姿はなかった。小さな翼をばたつかせながら周りを威嚇して見せる。

 

飛んで!

 

彼女の声はもう必要はなかった。

もう私はいつでも飛べる、小さな小さな体が誇らしく、雄々しく見えた。

そして、彼はその翼を大きく広げると暮れなずむ夕日を背に受けながら仲間の待つ雲間  へと姿を消した。

 

 

 

 

「おまえはいつ飛ぶんだ、島崎」

 

「飛んでるつもりですよ、これでも」

 

「なるほど」


 

そんなお前を俺はずっとみてきたはずなのに。いつも俺たちの期待はお前の枠組みを超えてしまう。あらぬ妄想を抱いてしまう。大人たちの期待と夢にお前はその微笑み一つで立ち向かってきた。それがどれほどのものなのか。それを理解しようとしなかった。

それも私たちの、いや・・俺の贖罪。

島崎遥香、おまえはおまえのはずなのに。ばかだよなぁ、大人は。というより俺は・・・

 

目の前に置いてある企画書が薄っぺらいただの紙切れに見えた。

ぱるるはもうさよならを言っている

その存在で別れを告げている。俺にも、みんなにも。

自分の別れの形は自分自身で決める。それがぱるる。

 

12月31日まで。お前がそう決めたのなら、俺のなかでもそれが正解だ。

AKBは常に答はひとつじゃない。大人の事情を横目で睨んで押し通る、

そんなお前が俺にとっては唯一無二だったのかもしれない 

 

 

 

「島崎・・」

 

出口に向かいかけたその足が止まる

少し視線を床に落とした後、見事にシェイプアップされたバックラインはそのままに顔だけをこちらに向けた。

 

「なんですか?秋元先生」

 

「まだカラオケは行ってないのか?」

 

えくぼが背中越しに見えた。

でも奥底にある表情は読めない、いつもの島崎遥香

 

「行きましたよ」

 

「なるほど」

 

意識的に語尾を上げていったのが気に入らないのか、彼女は少しだけ首を横に振って口を尖らせて見せる。

 

「行っても、歌ったことはないですから・・」

 

そう言ってぱるるは静かにドアを閉めた

 

わたしはしばらくそのドアを見つめながら、微笑みの中にいた

 

 

  君がもっとしあわせになるならいい

 

今日の悲しみはいつか忘れられるよ

 

僕が守れたらよかったのに

 

君が君らしく生きられるならいい

 

君がいつまでも変わらないように 

 

 

きみへ送るエール そして私自身へのレクイエム それがわたしのぱるるへの贖罪なのかもしれない

 

 

 

 

~その日

 

 

誰かが私を見つめている。控室の隅の方からずっと感じている視線

 

私のなかには磁石みたいなものがあって、私と同じ匂いのする人を引き付けてしまう。

そんな特技というか習性みたいなものが小さい時から備わっていた。

 

どちらから近付いたのかは覚えていない、気がつけば彼女は私の横にいた。

 

 

「あんた島崎さんだよね」

 

「うん、でも、なんで・・」

 

「知ってるのって?有名だよ、あんた

あっ、有名はおかしいかな、私のなかでは有名・・

うん?、おんなじか・・ 」

 

「ふふっ」

 

「あっ、笑ってくれた、おもしろい私?」

 

「うん」

 

「じゃあ・・言っちゃおうかな、言っていい?」

 

「なに?」

 

「あんたさぁ、ずっと出口の方見てたよね」

 

「・・・」

 

「いいのよ、私もそうだから。もうやめよって、思ってたの、私もついさっきまで。

みんな綺麗だし、顔小さいし、脚長いし。こんな場違い、出ていこうって,ブルブル震えてたの」

 

「・・・」

 

「でもね、ほら、見える?壁際でやたら無駄に汗を流してる子」

 

「うん」

 

「あの子、京都から来てるんだって。

でね、もし受かったらどうすんのって聞いたら、夜行バスで通うって、そういうのよあの子。

信じられる?高校やめれないから週末通ってくるって言うのよ

それにマックでバイトもしてるって。

それ聞いたらなんか負けれないなって 

いい話過ぎてヤバいと思った訳じゃないよ、感激感動なんかする人じゃないから、わたしは。

ただみんな頑張ってんだ、そう思ったら、なんか急に怖くなくなってきちゃって

わかるかな、こんな気持ち?」

 

「わかる、すっごくわかる」

 

「そっ、良かった」

 

そうなんだ、みんな怖いんだ、そう思った。
何かが胸のなかにストンと落ちて急に周りの景色が近くに見えた。

 

「名前は?」

 

「私?永尾まりや」

 

「私は島崎遥香」

 

「だから知ってるって、でも、よろしくね。受かったらだけど、ふふっ」

 

 

その時のまりやぎの笑顔は今でも忘れられない

そして横山由依がこちらを向いて不思議そうに笑っていたことはもっと忘れられない

 

2009年9月26日 九期が生まれた日 絆が繋がった日 

その日、私は確かに秋葉原にいたんだ

 

~to be continue~

 

 

 

 

 

 

 

 


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