菊と龍 10059

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菊と龍―祖国への栄光の戦い (光人社NF文庫)/相良 俊輔





本書は、大東亜戦争の際、敵将である蒋介石からあまりの勇猛さに、


「逆感状」に輝く、「菊」と「龍」という師団による拉孟での戦いを描いた戦記。


金光隊長から、玉砕する直前に、拉孟での日本軍将兵の戦いぶりを上司に


伝えるため脱出せよと命令を受け、功績名簿・戦闘日誌・最後の手紙等を


持ち、中国兵の服を来て変装し、脱出行をした木下昌巳大尉のお話を直接


聞ける貴重な機会を頂いたため、本書を読み事前勉強とする。


木下大尉は現在88歳で、戦史上に不朽の名をとどめた拉孟での実戦を戦い、


命令により壮絶な脱出行を経験された方で、現在唯一の生存者の方である。


蒋介石を、英米ソなどが援助するルートである通称「援蒋ルート」を遮断


するため、1,300人(うち300人が負傷兵)の日本軍 対 48,000人の中国兵との


戦いで100日間も交戦するという勇猛さを見せ、その勇猛さを讃え「逆感状」


に輝く戦史上に残る戦いで、お話を聞く限り壮絶なものだ。


特に脱出行は、昼間は隠れ、夜に数メートル毎に中国兵がいる中を


逃げ、攻撃を受けながらも数日かけて逃げ切るというシーンはまさに


インディージョーンズのリアル版であり、筆舌に尽くしがたい。


この木下大尉の貴重なお話を、5歳の息子にも聞かせたが、息子が戦争で


戦った人の話を直接聞ける最後の世代となるだろう。


平和の尊さ、戦争の残虐さを肌身を持って感じることが出来たと言えよう。


最後に、木下大尉に我々世代に伝えたいことをお聞きすると、


「こんな日本をつくってしまった私が偉そうに言えることは何もないが、


貴重な命を失った上に今があることを忘れずに、日本のため、家族のため、


将来のためを考えて、生きて欲しい」、とおっしゃった。


「今だけ、自分だけ」しか考えない大人が増えてしまった現在の日本だが、


木下大尉の思いを受け継ぎ、先人から受け取ったバトンを少しでも磨いて


息子や孫の世代に渡せるよう、微力ながら貢献しようと決意した。
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