秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして


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しばし呆然とした。何かまずいことを口走ったっけ。
とりあえずコーヒーでも入れようとお湯を沸かしてついでにシャワーを浴びる。
たかしはすぐに帰ってきて「まず喰おぅ」コンビニの弁当を私に突き出した。当たり前のことだけれど、ひどく不味くて飲み込むのがやっとだった。私がもそもそ食べていると、たかしはさっさと食べ終えて
「さっきの話だけどさ、五年もずっと無しだったの」
「そうだね、4年となんか月かな~、その前もそんなに無かったし。」
「ふうん、なんで」
「知らない、私はしたかったんだけどね、それに別れてから結構経っているよ」
たかしはしばらく考えて
「わかった」といって私を抱きしめた。
「前にいったことはある?」
頷いた。それは遠い遠い記憶の彼方だった。でも確かに存在していた。
「俺は…doorはとても体の感覚が楽しめる人だと思うよ。覚えてる?コーヒーこぼした時に来ていたセーター」
「アルパカのやつでしょう」
「そうそれ、doorはこれをクリーニングに出したらこのヌメっとした肌触りがなくなるって言ったんだ。俺それ聞いてなんてやらしいことを言うんだろうって思ったよ」
「あら、そうだった?」確かにそのセーターは私のお気に入りでその暖かく冷たい感触を楽しんで着ている。
「そういう人はそんなに居ない、あなたの服はいつもそうだ。シルク、麻、皮、全部感触を楽しんでるみたいだ」
よく見ていた。考えてみれば元アパレル関係にいた彼、当たり前のことかもしれない。
「私ってやらしい人だったのかしら」
「やらしいっていうか……なんて言うんだっけ、官能的?だからそんな人が何年もしていないって聞いてびっくりした」
「さっき怒っていたみたいだから」
「凄く妬けた。そんなに…しないでも君が一緒にそいつといられたってことが」
たかしはそっぽを向いて応えた。私に表情を見られたくなかったらしい。
「そんなこと言われても…子どもも居たし、結局別れたわけだし」
「ん~ごめん。だけどもう俺のことだけ考えて、今のことだけ、気持ちいいことだけ考えて」
「うん、でもいまだってたかしのことしか考えてなかったよ」
「わかった、大丈夫だから」
優しいキスは次第に激しくなり再び私達は愛しあったがやはりダメだった。
たかしは相当自信があったらしく、悔しそうにしていた。

結果的にその後何回か肌を重ねてたかしの努力は報われることになる。その後にはたかしも私も初めての経験が待っていた。いずれにしてもセックスの奥は深かった。いや、まだまだこれからなのかもしれない。そんなわけで一日をベッドで過ごしてしまう時もある。
私はそんなに男性経験が豊富な方ではないので、あまりいろいろ比べることもできないのだが
  井の中の蛙 大海を知らず されど天の高さを知る
ようにちょっとは成れたのかなと思っている。
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しばらくして少し落ち着き彼の腕にくっついた頬にたかしの体温を感じる。彼もまた熱かった。表面上は静かにしてたけれど彼の鼓動も伝わってくるようだ。ふとカーブで振られて私の膝が逃げるとたかしの左手が浴衣の裾にすっと入って右腿を掴んだ。なに?驚いて彼の顔をちらっと盗み見ると涼しげにしている。キスの余韻がやっと消えたかと思ったらこれだった。今度は腿を中心にして全身が総毛立った。手は移動するでもなく、掴んだ指の先だけが、そっと動いている。たかしの肩に頭を預けながら恥ずかしくて顔も上げられなかった。

ようやく私の部屋について愛し合った。二人とも熱狂していたにもかかわらず、それは静かに甘く優しかった。けれど私はどうしても最後の波に乗ることが出来なかった。かなり良いところまで行くのに、その先はどうしてもダメだった。

「ごめんなさい、私ダメみたい」
「結構感じているよね」
「うん、とっても気持ちいいんだけど、あんまり久しぶりでどうすればいいのか、忘れちゃったみたい」
たかしは体を放して背中から私を抱きしめて囁く。
「初めてだから優しくした方が良いと思ったんだけど、激しい方が好きなの?」
つい笑ってしまう。
「そういうわけじゃないんだけど…妊娠してから初めてだし五年振りぐらいだからほとんど処女みたいなもので」
「……!」たかしの表情は死角になって見えない。
「わたしはいいから…」
「なにそれ、ちゃんと話して」
いつになくつよい語調に私が口籠っているとたかしはさっさと服を着て
「ちょっとまって、腹減ったからなんか買ってくる」と出ていった。


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ここの花火大会は板橋の花火と戸田の花火が一緒になって結構な量だった。華やかで鮮やかだった。
二人で何を話していたのだろう、きっとたわいもない話。いつの間にか私はFさんではなくたかしと呼んでいた。たかしも私を名前で呼ぶ。花火はクライマックスを迎え次はナイアガラというときに突然たかしはもう帰ろうと言い出した。
「遅くまでいるとまた電車が混むから、少し早いけど。」雨は降ったり止んだり不安定だった。今すぐざっと降ってきても不思議じゃない。ナイアガラに心を引かれながら来た道を戻り始めると背後でひときわ大きな音が聞こえた。驚いて上を見上げると突然たかしにキスをされた。長い長いキスだった。頭の先から足の先まで細胞が泡立つようだった。ババッババババとナイアガラの音も聞こえる。また続いてドーンドーンと響く。それは私の中でも同じことだった。閉じた目の中で閃光が走っていく。もう立っていられなくてしがみつくと彼のにおいがして完全にたかしに酔ってしまっていた。

足が鼻緒で擦れて痛かった。念のため、バンドエイドで予防していたのに。気が付くといつの間にか来た道をそれ、大きな通りに突き当たった。信号を渡りたかしはタクシーを拾った。頭はぼうっとしていてもう何も考えられないくらいドキドキしている。理性は皮膚一枚の薄さしか残っていなかった。たかしは運転手と花火の話を始める。「お姉さんは酔っちゃったのかな~」とドライバーにからかわれて、恥ずかしくて死にたいぐらいだった。もう、このままどうなってもいいや。このまま、酔ったままずっとこのままで漂っていたい。


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さて待ちに待った花火大会の日、外は雨空だった。シトシトと降ったり止んだりを繰り返し、おまけにとんでもなく蒸していた。中止の発表はなかったので、とりあえず出かけることにした。傘を持って花火大会に行くなんて。
この間と同じようにホームで待ち合わせる。私の気合いの入った浴衣姿にたかしの目が輝くのが嬉しい。
「お姉さん粋だねぇ」
「お兄さんも浴衣にすればいいのに」
「俺着れないよ」
「花火やるのかなぁ、やらないのかなぁ」
「もしかしたら乗り換えの巣鴨で分かるかもしれない」
「そう、ずいぶん前に巣鴨でとっても美味しいたこ焼きやさんがあったんだよ,しょうゆ味の」
「それ喰いて~旨そう」
「屋台だからどうなっているかなぁ」
巣鴨で乗り換えると地下鉄は浴衣姿の人が多かった。たかしは相変わらずのタンクトップ。人の波に揺られながら離ればなれにならないようにたかしの腕が私の肩を抱く。そんなんじゃ心臓のドキドキが伝わっちゃうよ。久しぶりに誰かに抱き寄せられる感じがとても安心できた。
地下鉄を降りてからの道はよく分からなかったが人波に任せてブラブラとそぞろ歩く。時折ドーンドーンという花火の音がおなかに響いていい感じだ。これは花火をしますという合図だろう。あんまり暑かったので、たかしはビール、私はペットボトルのお茶を買った。
まだ雨もぱらついたりして、傘も差しながら最後はぬかるんだ土手を上っていく。慣れない下駄で滑りそうになる私をたかしはしっかり支えてくれた。
花火は久しぶりだった。最後に見たのは何年前だったか忘れるくらい。あれは綱島の方で友達の家の物置の上で見たのではなかったか。なぜ和也と一緒ではなかったんだろう。


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「どしたの、じっと見つめて」
「ようやくたかしの顔になれてきたなぁと思って」
「えっ?」(笑)
「まえはただ綺麗だなぁとしか思わなかった」
「そう?」
「最近は表情で何考えているのかなって、普通に思う」
「あぁ、そう。変なこと言うね」
「こうやって日常になっていくのかな」
「なって行くんだろうね」
「ちょっとつまんない」

「最近doorも変わってきたよね」
「そう?」
「前はなんて言うか危うい感じがしてた」
「ふふっ、今は?」
「自信が出てきたって言うか、安定してきた」
「それって図々しくなってきたってこと?」
「はは…そうとも言えるなぁ。でもその方が良いよ」
「なんか褒められている気がしない」
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「何歳だとか、結婚していたとかもうどうでも良いんだ。確かに俺もいろんな女の子とつき合ったよ。年上の人、年下、うんと綺麗なモデルのこもいた。性格の良い子もたくさんいた。だけど何か違うんだ。なんていうんだろ、変な意味じゃ無くて、変な意味でも良いんだけど君の中に入ってみたいんだ。そんな風に思うのは、初めてなんだ。……上手く言えないけど」
とても上手い言い方だと思った。そんな風に口説かれるのは、私も初めてだった。車の方向を変えて帰路につく。しばらく黙って運転していた。
「私、もう電話はかかってこないと思っていたわ」
「えへ~そう?」
「花火大会楽しみにしていたから嬉しかった」
「そうだねぇ~楽しみだねぇ。もう帰るの?」
「明日の朝早いから、Fさんも明日仕事でしょ」
「うん、ねぇ今かかっている曲なんて曲?」
「曲名は知らない、Kind of Biue ってアルバム。マイルス・デイビス」
「ふーん」なぜか青い夜だった。


たかしのアパートの前に車を止めキスの予感があったのでサイドミラーで後ろを見る振りをしながらやり過ごす。まだ気恥ずかしかった。車を降りたたかしは運転席の脇までくると私に話しかけた。仕方なくウインドウを下げると私の頬に手をやりニヤリと笑った。目をつぶって待っていると唇はかすりもせずおでこにキスをして帰っていった。お主、やるな(笑)駆け引きもまた楽しい。


アーティスト: Miles Davis
タイトル  : Kind of Blue

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この間私がどんな想いでいたか想像がつくだろう。ばかみたいにはしゃいでいた自分がひたすら惨めだった。やっぱりと言う思いと、もしかしたらまだと期待する気持ちと、未練たらしくそんな期待をする自分が哀れで情けなかった。買ってきた浴衣も恨めしかった。当日までそのままにしておけば返品も出来たのに、一人で盛り上がって何回も着る練習をしていたからもはや返せる状態ではなかった。こんなものもう着る機会もないのに。
考えてみればハッキリ自分の年令を言っておけば良かったのだ。たかしの笑い声が耳に蘇る。あの声をもう一度聞きたい。彼が好き。

だから改めて電話があった時は妙な言い方だが、助かったと思った。でももう一度たかしの気持ちを確認したい。花火大会の夜、華やかな場所でごめんとかそんな悲しいことを言われるのは真っ平だった。
「Fさん、これからちょっと会えないかしら」電話でできる話ではなかった。
「えっ、これから逢ってくれるの?嬉しいな~」
「 わたし車で出かけるからFさんの家の近くのファミレスかなんかで良いかしら」
S通りにあるファミレスに着くとたかしは壁際の席にもたれて私を見つけると手を挙げて合図した。
夜11時を回ったファミレスはもうそんなに混んではいないと思ったのだけれど、ティーンエイジャーがバカ話で盛り上がっていてうるさかった。ヘビースモーカーのたかしと一緒だと喫煙席のど真ん中で騒いでいる彼らから逃れることは出来なかった。
「ここうるさいから他行こう」
2人で車に乗り込みあてもなく発進させた。
「俺さ~doorさんって、俺より3つか4つくらい上なだけだと思っていたんだ」たかしは自分から口火を切った。彼は、私が言いたかったことを完全に理解して、しかも切り出しづらいことを自分から言ってくれる。そういうところに、彼の優しさを感じるのだ。
「うん」
「だからこの間は正直ショックだった」
「うん、別に隠していたわけじゃないんだけどね」
「ところでどこへ行くの、この車」
「どこか…ちょっとドライブってことで」郊外に向かって走らせていた。運転しながらだと目を合わさずにすむし、2人の間の距離感がちょうど良かった。
「俺も30過ぎだからいい加減な付き合いはしたくないんだよね、もう」
「うん」
「あれからdoorさんとのことずっと考えていたんだ」
「うん」
「3つか4つ上が、6つや7つ上でもあんまり変わらないような気がしてきた」
「それは違うよ」
「違ってもなんでもdoorさんが好きなんだ」
なんと応えて良いのか分からなかった。
「……普通に考えてあなたみたいによりどりみどり女の子が放っておかなそうな人が、どうしてわたしなんかとつき合いたいと思っているのか理解できないわ」
「でもなんていうかあなた自身が好きなんだ。なんて言うんだろ、う~ん……生き方って言うか、魂の色って言うか…」
「魂の色…」そんな日本語は初めて聞いた。それは私の中でとても美しく新鮮に響いた。私の魂の色は何色なのだろう。


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今日は外でデートのはずだったのに何だか気が乗らなくて早々に引き上げる。
たかしはちょっと不満そう。3日ほど前に、とうとう隠しきれなくなって秘密の扉を開けて見せた。
「お願いだから全部吐き出させて、そうでないと前へ進めない」たかしは自分のことが書かれているのはイヤそう。
「いったいどこまで書くつもり」
「良いじゃない、私だって知らない誰かにしかのろけられないもの」
「友達にのろければいいじゃないか」
「友達に言えないことも書いてみたい♪」
「おまえなぁ」
「だって、たかしの記事を入れなかったら悲惨すぎてどうしようもなくなっちゃう。結婚のことだけ書いていくのは私も辛い。絶対誰にも分からないようになっているから」
結婚の記事を私にプリントアウトさせてたかしは何度も読みながら泣いた。ここにまだ載せていない下書きも読んだ。詳しいことはまだ彼にも話していなかった。今私たちは書きながら泣き読みながら泣きを繰り返している。

2週間前にあった生理がまたさっき来た。更年期という言葉が頭をよぎる。もうそうなっても不思議じゃないらしい。本当に時間は残されて居ないみたいだ。もっと早く出会いたかった。
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水面をわたる風向きと木陰を探して、たかしは器用にボートを進めた。今日は黒のタンクトップでボート漕ぎ。きっと誇示しているに違いない。良いよ、もう落ちたから。
「子どもの頃K公園の近くに住んでいてよく親父と乗ったんだ」
「あら?そうなの。私も高校の頃よくK公園でデートしていたわ。すれ違っているかもしれないわね。」
「いや、いれ違っているね、俺中学で引っ越したから」
「そんなこと無いわよ、Fさん、今31でしょう」
「えっ、doorさんいくつ」
「37」
「そんなに上なの!」たかしの目が吃驚していた。
たかしは私の年を知らなかったらしい。頭から鳩尾に冷たいものが走る。そうか、彼は勘違いしていたんだ。私は童顔のせいかいつも若干若く見られる。
これでもうきっと電話がかかってくることはないだろう。はしゃいで3万円の浴衣なんて買うんじゃなかった。なんてバカなんだろう。
「もうすぐ誕生日が来て38よ」自分にとどめを刺した。
「doorさん若く見えるね」たかしの言葉が痛かった。
「そうでしょ、21の時に煙草吸ってたら中学生と間違えられて補導されそうになった」
「あはは、そりゃ凄い」
「でしょ」言葉とは裏腹に空気は冷えていく。こんなに暑いのに。

2、3日して来ないと思っていた電話が鳴った。
「Fです。土曜日に板橋で花火大会があるみたいなんで予定明けておいて下さい」


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うんと朝寝して洗濯と食事と読書をしたあと、歩いていけるほどの公園にジーンズにTシャツで出かける。暑い、暑すぎる!
ボート乗り場の前で待ち合わせ。あぁなんてバカなんだろう。これだったら映画館の方が良かったかも。
あわてて走らなくても良いように、化粧直しも出来るように15分も早く着いた。はぁ、いったい私こんなところで何をやって居るんだろう。そもそも私は彼のことが好きなのか。うーんかなり惹かれている。もう好きといっても良いかもしれない。とても思いやりのある男性だ。それに何だかやたらに色気がある。素直で、率直でかなり天然な所がある割に、重要なポイントはしっかり捉えられる。それにあの笑い声。何がおかしいのか分からなくてもつい釣り込まれて笑ってしまう。
ふと昔、年上の友人が言っていたことを思いだした。
「こ~んな綺麗な男とセックスできるんだったらどんなアホでも良いわ~~!って思った」彼女は大学の助教授である。そして私は当時の彼女の年齢に近づきつつあり、何だか人生の半分近くまで来ているので、もう2度と無いチャンスのような気がした。
自分のこれからの人生を考える。再婚は--しない。もはや結婚には興味がなかった。だから子どもも持たない。では彼とつき合ってもなんの問題ないはず。遊ばれて捨てられても良いじゃないか。もう充分傷ついているのだし、失うものすら持っていない。
「ごーめん待った?」
「今来たところ」
「ボート乗ろ、ボート」
チケットを買って、楽しそうに桟橋をどんどん進むたかしの後ろ姿を見ながら心の中で白旗を掲げる。もう悩むまい。


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