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2008-08-08 18:54:24

秘密予算

テーマ:戦争を考える

 


 前回のマンハッタン計画の続き。最後、読者に考えてもらうためにこんな問題を用意した。


 「当時、20億ドルというのは、確かに巨額な金額のように思える。では、この20億ドルの研究費用を無駄にしないために、広島に原爆が落とされたのか」


 さて、回答していくが難しかったであろうか。実はこの問題はまだまだ序の口であったりする。今回は戦争を考えるというテーマでやっていくので、まだまだ問題を出す予定である。そして、その考えた回答こそが、戦後、自分たちが受けてきた原爆への教育を全く違う方向へと転換させることに繋がると思われる。


 Receipts and Outlays of the Federal Government, 1789–2008



 これは米連邦政府の歳入と歳出の表である。1798-2008


 (in millions of dollars)

Year Total On-budget1
Receipts Outlays Surplus or
deficit (–)
Receipts Outlays Surplus or
deficit (–)
1789–1849 $1,160 $1,090 $70 $1,160 $1,090 $70
1850–1900 14,462 15,453 –991 14,462 15,453 –991
1905 544 567 –23 544 567 –23
1910 676 694 –18 676 694 –18
1915 683 746 –63 683 746 –63
1920 6,649 6,358 291 6,649 6,358 291
1925 3,641 2,924 717 3,641 2,924 717
1930 4,058 3,320 738 4,058 3,320 738
1935 3,609 6,412 –2,803 3,609 6,412 –2,803
1940 6,548 9,468 –2,920 5,998 9,482 –3,484
1945 45,159 92,712 –47,553 43,849 92,569 –48,720
1950 39,443 42,562 –3,119 37,336 42,038 –4,702
1955 65,451 68,444 –2,933 60,370 64,461 –4,091
1960 92,492 92,191 301 81,851 81,341 510
1965 116,817 118,228 –1,411 100,094 101,699 –1,605
1970 192,807 195,649 –2,842 159,348 168,042 –8,694
1975 279,090 332,332 –53,242 216,633 271,892 –55,260
1980 517,112 590,947 –73,835 403,903 476,618 –72,715
1985 734,088 946,423 –212,334 547,918 769,615 –221,698
1990 1,032,094 1,253,130 –221,036 750,439 1,028,065 –277,626
1995 1,351,932 1,515,884 –163,952 1,000,853 1,227,220 –226,367
2000 2,025,457 1,789,216 236,241 1,544,873 1,458,451 86,422
2001 1,991,426 1,863,190 128,236 1,483,907 1,516,352 –32,445
2002 1,853,395 2,011,153 –157,758 1,338,074 1,655,491 –317,417
2003 1,782,532 2,160,117 –377,585 1,258,690 1,797,108 –538,418
2004 1,880,279 2,293,006 –412,727 1,345,534 1,913,495 –567,961
2005 2,153,859 2,472,205 –318,346 1,576,383 2,069,994 –493,611
2006 2,407,254 2,655,435 –248,181 1,798,872 2,233,366 –434,494
20072 2,540,096 2,784,267 –244,171 1,905,966 2,332,984 –427,018
20082 2,662,474 2,901,861 –239,387 1,988,389 2,439,334 –450,945

 NOTES: 1789–1842: federal fiscal year ended Dec. 31; 1844–1976: June 30; 1977–present: Sept. 30.
1. Excludes the Social Security surplus. For years prior to 1933, on-budget surplus was not calculated separately.
2. Estimated.
Source: The Budget for Fiscal Year 2008.

 この表を見ていただきたい。


 まあ、たいしてデータを見るだけで難しいわけではないが、私のブログのスタンスは中学生でも理解できる内容を目指している。単語の意味を説明しよう。こういうの英語のデータが読み取れるようになると、歴史は格段に理解しやすくなる。

 

Year Total On-budget1
Receipts Outlays Surplus or
deficit (–)
Receipts Outlays Surplus or
deficit (–)


year  これは年代。つまり、1798年から2008年を示す。

receipt 収入 歳入

outlays 支出 歳出

surplus 余り、余剰、または収入が黒字

deficit 不足 、赤字

total  総計、総額

budget 予算

単位は百万ドル


 まあ、これだけわかれば読み取れるはず。さて、どこに注目すればいいかわかるだろうか。マンハッタン計画がいつ頃行われたかを思い出して欲しい。すなわち、1940-1945のデータである。それまでは総額と予算の赤字ではあるが、一致していた。しかし、1940-1945年を取り出してみると・・・。


1940 6,548 9,468 –2,920 5,998 9,482 –3,484
1945 45,159 92,712 –47,553 43,849 92,569 –48,720


 総額と予算が一致していない。予算のほうがなぜか大きい赤字になっているのに気付くと思う。


 1945年は、451億5900ドルの歳入に対して927億1200万ドルの歳出だった。475億5300万ドルの赤字である。さて、マンハッタン計画の予算は19億5千万ドルであった。確かに大きな額ではあるが、政治問題化するような額ではないことがわかる。それに戦時中の額を見ればわかると思うが、20億ドル増えたところで、たいした額にはなってない。しかも、マンハッタン計画は極秘の行われていた。

 

 これが秘密予算であり、米議会と国民に知らせる前に敵国政府に秘密予算の使途を教えることが政治問題だった。20億ドルというのは、原爆投下決断の一要素にも成り得ないのはこれで明白であろう。だいたい、新兵器の原子爆弾を本番のヒロシマ原爆投下が成功する保障はどこにもなかった。


 つまり、広島平和記念資料館の投下理由は偽りである。


 さて、ここでロバート・H・ファレルが、『トルーマンと原爆、文書から見た歴史』の第7章、ポツダム宣言7月26日で興味深い指摘をしている。


 7月26日、アメリカ大統領、チャーチル首相、蒋介石中国国民党総統の共同署名により、宣言が発効した。それは結果として、前日ハンディ将軍からスパーツ将軍に対して行われた指示よりも、さらに運命的である。少なくともそれ以下ではない。ポツダム宣言を受け取る側、すなわち日本政府が、大統領や首相の要請している降伏をもし受け入れるものとすれば、前日の指示は実行されなかったのである。

 
残念なことに、宣言の中ではアメリカがすでに核爆弾を保有しそれを日本に対して使用することが警告として明瞭に書かれていなかった。トルーマンはそのことを明瞭にしたくなかったのである。というのは、米国議会はこれまで、20億ドル近い費用のかかる計画がいったい何なのか知らされず、寛大に認めていた。ところが、実際金を払っている立法府に知らせないまま、敵国政府に先にその情報を提供することに議会が異議を唱えるかも知れないからだ。

 おそらくは警告が一般的な内容だったためだろう、日本政府はやや侮蔑に近い反応を返してきた。日本の首相は「宣言を無視」という選択をした。

 

 その時使った言葉は、多義性をもった言葉「mokusatsu(黙殺)」であり、字義通り訳せば「黙って殺す」と言うことになる。しかし実際ははっきりしないニュアンスをもった言葉だった。



 東京ラジオは、日本政府は宣言を「mokusatsu」し、戦争を続行する、と放送した。英語の翻訳は「拒否」(reject)となった。そこでトルーマン大統領は、好意の申し出をはねつけられた、と取ったのである。



 後年トルーマンはこの時のことを回想して、「ポツダムで、降伏してはどうか、と聞いたのに(ask)、日本側の返事は実にすげないものだった。私のとらまえ方は、ウーン・・・。要するに彼らは私に地獄へ堕ちてしまえ(go to hell)、と云ったわけだよ。実に効果的な言葉だったね。」


 国民にも知らせていないことを、ポツダム宣言に取り入れて降伏させるのは議会が異議を唱えるかもしれない。なるほど。確かにその通りである。

 


 では、一つ考えてもらおう。


 「なぜ、日本はポツダム宣言を受け入れることを拒んだのか・・・・」


 これも難しくはない。詳しく説明すると大変だが・・・。


 ずいぶん長くなったが、次回はポツダム宣言を見ていきたいと思う。


 続きは→ポツダム宣言


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