固変分解 | 暗記不要の簿記独学講座【簿記革命】

固変分解

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固変分解についてお伝えします。

固変分解

直接原価計算CVP分析(損益分岐点分析)では、原価を変動費と固定費に分けて計算する必要があります。
原価の分類(操業度との関連による分類)で変動費と固定費がどのようなものかについてはすでに学習しましたが、現実問題として全ての費用を変動費と固定費に完璧に分類するのは簡単ではありません(というより不可能です)。

完全なる変動費や完全なる固定費ばかりではないからです。
電気代や水道代、電話代は変動費のように見えますが、固定費も存在しています。
その固定費も一定ではなく、使用量によって変わってきます。

消耗品も完全な変動費のようですが、全く使わなくても消耗していく部品もあります。

現実には「これは変動費、これは固定費…」というように完全に分類することが不可能なのです。
そこで、簡便に変動費と固定費に分解する方法がいくつかあります。

原価分解方法

費目別精査法(勘定科目精査法)

費目別精査法(勘定科目精査法)では、過去の経験に基づいて費目ごと(勘定科目ごと)に一つ一つ変動費と固定費に分解していきます。
「これくらい操業度が変わればこれくらい金額が変わる」という過去の経験から分解します。
手間はかかりますし、変動費と固定費の分解が客観的ではないですが、直感的に最も納得しやすい方法なのでよく使われます。

高低点法

高低点法過去の実績データのうち、最も多い操業度のときのデータと最も少ない操業度のときのデータから1次関数のグラフを求めるように変動費率と固定費を求めます
1次関数でいう傾きが変動費率、切片が固定費になります。

暗記不要の簿記独学講座-高低点法

高低点法では最も多い操業度のときのデータと最も少ない操業度のときのデータを全く考えないため、正確性に欠けるという欠点がありますが、客観的かつ簡単に変動費率と固定費を求めることができます。

スキャッター・チャート法

原価の過去の実績データをグラフに記入し、それらのデータの中心を通る直線を何となく目分量で引いて1次関数のグラフを求めるように変動費率と固定費を求めます。
1次関数でいう傾きが変動費率、切片が固定費になります。

暗記不要の簿記独学講座-スキャッター・チャート法

スキャッター・チャート法では計算を行わず感覚で直線を引くので客観的ではないですが、高低点法よりも正確になることが多いと言われています。

最小自乗法

原価の過去の実績データをグラフに記入し、それらのデータと直線との距離の合計が最も小さくなるような直線を求める方法です。
高低点法と同じように客観的に変動費率と固定費を求めることができます。

暗記不要の簿記独学講座-最小自乗法

高低点法と比べると最も多い操業度のときのデータと最も少ない操業度のときのデータ以外のデータもきちんと考えるため誤差が小さくなる傾向がありますが、計算そのものは複雑になります。
エクセルなどを使うと計算そのものは自分では行わないため楽ですが、手で計算するのは本当に大変です。

これらの原価分解方法の中で簿記2級で出題されるのは高低点法です。
高低点法を使って変動費率と切片を求める方法を身につけることが重要です。

これらの方法で求めた直線は製造間接費予算の公式法変動予算で学習したシュラッター図のように使います。

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