2006年10月03日 23時11分33秒

出世魚

テーマ:自然科学教育

 スズキ、などという苗字を持っていると、魚の「鱸(すずき)」 と比較されることがある。子供の頃、大人と呼び名の違う魚の「すずき」である。


 これは私の独断なのだが、同じような宿命を持ったものに、「一次関数の傾き」があると思っている。つまり、y=ax+bの「a」である。


 この「a」には実に多くの呼び名がある。


 中一時代:比例定数
 中二時代:変化の割合・直線の傾き(勾配)
 高一時代:(二次関数の)接線の傾き
 高二時代:二次関数を微分したときの一次変数の係数


 いずれの場合も「x方向の変化に対するのy方向の変化量の割合」を示しているのだが、比例反比例・一次関数・二次関数・微分積分と学習内容が進むにつれて「同じことを示す」のではあるが呼び名が異なってくる。


 もちろん、学年が進んで呼び名が変わったところでその性質が変わることは無いのだが・・・。


 中一で「比例定数」を習うときに、『実はこいつは高校で習う微分に結びつくのだ』と説明したところで子供たちの理解は得られないであろうし、数学嫌いを増やしてしまう嫌いはある。しかし、「同じものを示すのに呼び名がいろいろ」では混乱を助長することもあろう。


 魚の「すずき」だって、呼び名がいろいろではなければもっと親しまれるかもしれない。鈴木姓に生まれたことが果たして幸せだったのだろうか。疑問が解決することは無いだろうな。難しい命題である。ではそういうことで。

 

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2006年08月12日 10時58分39秒

たこさん・いかさん・かもめさん

テーマ:自然科学教育

 夏休み企画として近所の児童館で「科学教室」が行われているのだが、実は私もその講師として委嘱され先日、中学生ばかり30人ほどのクラスで授業を行ってきた。


 私の専門は水系の環境であるが依頼されたお題は「電圧と電流」つまりオームの法則である。自分自身電気は苦手なのであるが、それでもそれなりに克服してきたことなので自分の経験を元に話をすればそれなりの効果は得られるだろうと思った。


 自分自身が電気が苦手だった最大の理由は、「電気が流れている」ということが目に見えないからではないか、と思う。私は学生時代に「電気の流れ」を自分なりに可視化して理解をしてきたことがあったので、まずそのあたりの話から始めた。


 バケツの水を雨どいに流す。


 流れ下る水の勢いが電圧であり、水の量が電流である。雨どいの勾配を急にすれば電圧が増加したことと同じで、雨どいを平行に何本も並べれば一度に流せる水量が増えるから電流が増えることになる。原理原則はたったこれだけである。これだけで電圧や電流が理解できるとは思えないが、目に見えない電流を目に見える水流に換えることで、発揮しなければならない想像力が減少する。


 もちろん回路中の電球は「水車」、スイッチは「水門(バルブ)」、電池を直列にするなら雨どいを急勾配に、回路を並列にするなら雨どいを途中で二股に分岐させればよい。で、実際に水を流して水車を回してみせる。


 終わってから児童館の先生が、「来年は流しそうめんで教えましょう」と次なるアドバイスをくれた。いただきである。


 さてこれらの作業で一通りの学習内容はOKであるが、このあとオームの法則を理解させる課程が残っている。これは、実際に実験をやって、電流・電圧・抵抗の関係を求めるのが王道なのであるが、時間の短い「講習」では勢い、「公式を覚えてもらう」しか手がない。


 高校生相手だったら、こんな語呂あわせで教えることができる。


 いいわ 愛ある
  E= IR


 電圧=電流×抵抗。これを元にI=とかR=も変形できる。


 中学生ではこれは少し厳しいと思った。そこで、こんなのを披露してみた。


 たこさん・いかさん・かもめさん


 である。


 まずタコはその形からΩ。お弁当に入っているウインナーのタコさんを連想すればΩの形は導き出せる。次はイカさん。ちょっと形が違うが、胴体の部分がとがっているのを連想させてA。これらは海の中にいる。空にはかもめが舞っている。その姿をVと表現してみる。



   V
 ─┬─
 Ω│A


 海の中にはタコとイカ、上空にかもめが舞っている。


 V=Ω×A、Ω=V/A、A=V/Ω


 つまり、単位の相互関係を図案化したものだ。子供たちは大喜びでメモしていた。


 こんな教え方したら中学理科の先生に怒られるかもしれないが、暗記できなくて悶々としているよりはこれで一発で覚えて理科好きになってもらったほうが良い。児童館の先生も「いただき!」って顔していた。お互い様である。


 苦情は受け付けない(苦笑)。ではそういうことで。 

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2006年07月06日 17時00分35秒

ひこ星

テーマ:自然科学教育

 本日付の日刊工業新聞のコラム「産業春秋」は、枕草子の『星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし・・・』を引用して、「ビール片手に夏の夜空を見上げていると文学者の気分になる」と記していた。天気さえ良ければ、ビール片手の天体観測は楽しい。


 一般的に「ひこ星」といえば、牽牛。いわゆる「わし座のアルタイル」だ。天の川を隔てて対岸にあるのが「おりひめ星」、いわゆる「こと座のベガ」だ。どちらも、夏の夜の主役の星だ(はくちょう座のデネブと三つ巴で「夏の大三角形」とも言いますね)。


 でもへそ曲がりな私は、「ひこ星」というのはオリオン星座ではないか、思っている。


 そう、真冬の星、オリオン座。ギリシャ神話に出てくる勇者オリオンは海の神ポセイドンの子供。月の女神アルティメスとのロマンスの話(私の場合子供心に結構強烈な印象で読んだ記憶)があったりする、私はその話がギリシャから東に伝わり「たなばた」のロマンス話に繋がったのかもしれない、と考えている。


 さて私はオリオン星座の形が漢字の「彦」に見えてならないのだ、子供の頃から今までずっと。少し見難いが、下図を参照して欲しい。


 ひこ星


 彦の「彡」という部分は、いわゆる馬頭星雲なんかがある、「オリオン星雲」といわれているあたり。ちょっと無理が漂うのだが、実はその星雲群が彡に見えたりするのも事実である。


 だから私にとってどうしても「ひこ星」は冬のイメージが付きまとう(苦笑)。


 ちなみに30年前に亡くなった静岡の祖父は私の話を聞いて「彦よりも参に見えるぞ」と言ったことがあるから血筋は争えない。でも祖父の言うことは間違いでもなく、オリオン座の真ん中の三つ星、いわゆる「オリオンの腰ベルト」のことを中国では「参」と呼んでいるそうだ(中国から来た学生に教えていただいた)。また、オリオン座が「数字の3」の形の起源、という説もあるそうだから興味を持った方は調べてみたらどうだろうか。


 余分なことだが、ウルトラマンの生誕地、M78星雲もオリオン座にあるぞ!


 さて清少納言のいう「ゆうづつ」。これを産業春秋では「宵の明星」と解説していた。はっきり言おう、これは「カシオペア座」のことである。星が5個でWの形をしている、あの星座である。またまた冬の星座である。このW形、だが、私には七夕の「夕」という字に見えてならないのだ。「づつ」、つまり「つ」が二つ、それが「夕(ゆう)」の字を構成している、つまり「ゆうづつ」。


 ついでに言うと、七夕の「七」は北斗七星であろう。「7つの星で柄杓漢字の七を構成」している。


 さらに言おう。11月に「七五三」ってのがあるが、この時期は、夜の早い時間に、「北斗七星(=七)」「カシオペア座(=五)」「オリオン座(=三)」が全部一緒に見えるぞ。


 そんな風なことを考えながら星空を眺めるのも一興かもしれない。


 今日あたり自宅に帰ると笹が置いてあったり短冊の準備がしてあるんだろうなあ。お願い事、何て書こうかなぁ。ではそういうことで。

 


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2006年06月19日 15時42分05秒

2進数

テーマ:自然科学教育

 中1の娘が初の「定期試験」に遭遇している。1年1学期は中間テストが無くて期末テストから、ということで、初体験な訳だ。

 塾に行っているお友達は「過去問」とかを持っているらしくて結構余裕で定期試験に臨んでいるようだが、塾嫌いな娘はあくまでも「独立独歩」「自学自習」。私は私で、「学校の授業だけで充分。点数が取れないのなら塾に行かせなかった親の責任ではなくて学校の先生の教え方が悪い」などと自分の無責任を他に擦り付ける悪行。

 それでもついに彼女もギブアップした。判らんから教えてくれ、と。手にしているのは数学の教科書。やばいじゃないか、私の一番嫌いなジャンルだ!でも、そこは一応父親の威厳にも関わるから、一応話を聞いてみた。

 2進数

 だそうだ。なぜだ、サルでも判るぞ(←訂正:サルでは無理だ)。2進数のどこが問題なのか聞くと、

 微妙に

 と。私、人の質問に「微妙」と答える最近の大学生が大嫌いであるのだが、ついに娘もこの単語を日常的に口にするようになったのか、とひざが震えだした。ま、そんなことはどうでも良い。

 彼女の理解を知るために、2進数-10進数の変換、をやらせてみた。どんな風にやるのか。あいやさ、こいつができないのか。

 2進数でも10進数でも、結局は「位取り」の概念が必要である。小四算数「大きな数」という単元で習う、億だの兆だの、10を掛けたり割ったりすると桁が一つずつずれる、あれである。

 ※以下、上付き下付き文字を多用しているので、ケータイでご覧の皆さんには正しく表示されない、すみません。

 まず10進数の位。

千  百  十  一 



105 104 103 102 101 100
A B C D E F

 A~Fはそれぞれ0~9(10個)の数字であるとすると、
 十万(105)がA個、
 一万(104)がB個、
 千(103)がC個、
 百(102)がD個、
 十(101)がE個、
 一(100)がF個、
 これを全部足して「ABCDEF(10)」という数になる。


 小学校ではこの概念をもとにして、繰り上がりや繰り下がりを考えていくのだと思うがそこは省略。そして例えば104を「万」等と便宜上呼び方を決めているわけで、これは10進数だけの特徴である。
 

 次に2進数の位。

25 24 23 22 21 20
A B C D E F

 A~Fはそれぞれ0~1(2個)の数字であるとすると、
 25がA個、
 24がB個、
 23がC個、
 22がD個、
 21がE個、
 20がF個、
 これを全部足して「ABCDEF(2)」という数になる。

 つまり、「位」というのは、「底のべき乗」なのであるぞ。10進数なら10づつ・2進数なら2づつ変わるのよ。一番右側はゼロ乗でこいつは1なのね、そこだけ注意。


 「・・・っていうことは」とは娘。「1101(2)というものは1×23+1×22+0×21+1×20=8+4+1=13(10)なわけか。」


 そ、だから3進法とか16進法とかであっても考え方は同じ。


 「じゃあ10進数を2進数に変換するのは、こうかなあ・・・」とノートに計算を始めた。

 13は24より小さくて23より大きい。だから23の位にが入る。
 13-23=5。5は23より小さくて22より大きい。だから22の位にが入る。
 5-22=1。1は22より小さいし21よりも小さい。だから、21の位はで20の位は
 だから、1101(2)なのね・・・なんか面倒だなあ。私引き算は苦手なのね。


 そこで、裏技(って中学校でこの方法教えないのですかねえ?)を教えてあげることにした。

 10進数を2で切り出していけば、おのずと2進数化はできる。例えば彼女の示した13(10)を例にすると、


  13(10)を2で割って
 13÷2=6余り
  商の6を2で割って
 6÷2=3余り
  商の3を2で割って
 3÷2=余り


 これで、1101(2)が求まるというわけだ。つまり、これ以上割れなくなるまで2でその十進数(と商)を割り続けていけば良いのである。最後の商とその余りを逆順に積み上げていけば良いわけだね。2進数でわかりにくければ10進数で考えればよい。10進数を単純に10で除していけば、割るたびに発生する余りは、一の位から順に発生する「その位の値」なのであることは一目瞭然だ。


 わぁ、パパって天才!


 じゃぁ、今までは何だと思っていたのか(苦笑)。そんなことより彼女の試験での善戦を祈りたい。ではそういうことで。

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2006年05月01日 15時51分07秒

サイエンティスト オブザ イヤー

テーマ:自然科学教育

国立科学博物館・本館


 上京した折にちょっとした展示会を見てきた。上野の国立科学博物館で開催している、文部科学省付属科学技術政策研究所(NISTEP)主催のの「ナイスステップな研究者展」である。


 何気なくネットサーフィンして展示会の告知を見てしまって、どうしてもこの展示会に行って勉強したい衝動に駆られたのだが、そんなときに偶然別件の出張予定が入り、運よく「ついで」ではあったが立ち寄ることができた、というわけだ。


 パネル展示ではあるが、2005年度に『科学技術分野で注目すべき業績を挙げ、経済・社会に貢献したり、国民に夢を与えたりした方』、『理数離れ対策で顕著な貢献をした方』の業績すなわち「Scientist of the year」を紹介しているのだが、宇宙飛行士の野口さんなどに混じって、高校生が紹介されている。


 秋田県立大館鳳鳴高校理数科の教師とその生徒さんの「クマムシの研究」。彼らの研究はその内容もさることながら、「プレゼンテーション能力」も高く評価されている。


 あるいは山梨大学鳥養教授らが進めてきた「女子高校生夏の学校 科学技術者のたまごたちへ」という『理工系に興味のある女子高校生たちのネットワーク作り』への支援の試みの紹介。


 実は、私が一番見たかったのはこれら部分。


 もちろん、野口飛行士もニュートリノも勉強にはなるが、これからの日本を背負って立つ高校生世代への科学技術教育について、私は興味を持っているからである。大学の関係者でありながら「高校」というキーワードに弱い(苦笑)。


 ついでに常設展や、特別展の「湯川秀樹・素粒子の世界」まで見てきてしまった・・・。


 あと一週間は上記展示をしていると思うので、GW中に上野周辺でお時間ができたらちろっと立ち寄ってみることを薦める。


 パネル展だから、極度な期待は厳禁。ではそういうことで。

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2006年03月06日 23時46分15秒

数学的帰納法

テーマ:自然科学教育

 最近『論文の捏造』の話題が多いので、実験データの証明にラボノート(アメリカの研究所などでは古くから取り入れられている研究用の記録簿)の取り入れの必要がある、等と先生方と話をしているうちに、自分の研究成果の証明の方法の話から派生して、高校数学の「数学的帰納法」の話題になった。


 ご存知の方は多いと思うが、数学的帰納法とは、自然数nにかかわる命題において・・・


 n=1 が成り立つことを証明
 n=k が成り立つと仮定したときにn=n+1が成り立つことを証明


 ・・・することによって、全てのnについてその命題が成り立つことを証明する手法、なのである。


 私はこれが好きである。数学らしくないが、とても数学的で、数学的思考がないと解けない、興味深い問題である。いや、これほど「解き方が自明」な証明問題はない、といっても過言ではない。


 この問題は、「答えから逆算して解く」ととても簡単にできる、という、とても面白い性質があるのだ。だからこの問題が解けない、ということは少ない。いや、どんな問題でも、コツさえ判れば解ける。


 教科書に載ってはいないが、こうやると解けるのだ。


 n=1が成り立つことを証明
 命題のnにk+1を代入し
 それを、n=kのときと比較し同じ形に変形
 その形になるようにするには元の式をどのように変形すればよいかを考え
 具体的にn=k+1を代入した両辺を変形


 つまり、「最初に最終形を求めたあと、その形になるようにもとの式を変形」すれば良いのだ。


 言い方を変えると、「結果から経過を類推する」ということになる。


 これが『証明』といえるかどうかはいささか疑問ではあるが、必ず解けるので気持ちは楽だ。


 なにしろ、最終形がわかっているから、高次方程式の因数分解なんか屁の河童でできてしまう。これはやってみた人でないとわからないかもしれないけれど。


 数学はどのセクションでも同じことが言えるが、食わず嫌いなところは多くないだろうか。三角関数も指数対数も、微分も積分も、ベクトルも数列も、何かの弾みでマスターしてしまうことが多い。その際たるものが、「数学的帰納法」ではないだろうか。


 研究成果においては、


 初日の結果が正しいことを証明
 任意の日の結果が正しいと仮定してその翌日の結果が正しく導くことができれば

 最初から最後まで全ての研究が正しい


 とはなかなかいえないところがミソなのかもしれない。ではそういうことで。

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2006年02月09日 18時55分58秒

シグマとラムダ

テーマ:自然科学教育

#今回は長文である。ケータイでご覧の読者はパケ代にご注意を!


 自動車会社に勤める某友人S君。子供の名前は「鈴木歩人(あると)君」と「鈴木圭(Kei)君」である。いかにも自動車メーカーに勤めている方の子供さんの名前だが実際は、彼らのお父さん(=私の友人のS氏)はS社ではなくてM社にお勤め。S社には何の関係もない。ただし、そこんちの犬の名前が「シグマ」と「ラムダ」のヨークシャテリア。子供の命名に上司からいやみを言われまくり(いや、下の子の圭君ってのは、S社がその名前の車を発表するかなり前に生まれていたようだから文句言われる筋合いは無い?)、せめてペットの名前には『愛社精神満点』の命名をと考えたそうだ。会社勤めも厳しいなあ。


 で、シグマとラムダには、私ずいぶんな思い入れがある。あ、友人ちのペットのそれじゃなくて、数学のほう。


 ラムダは一般的に物理系の定数「波長」を示すことが多い。私は若い頃に、「物質の振動数や波長」を取り扱っていたことがあって、結構トラウマ状態。だからできることなら生涯こいつは使いたくない、と思っている。一方のシグマ、これは数学Bあたりから良く使ってきた記号だが、不思議なことにこいつに対する拒絶反応は少ない。当時使っていた参考書が「シグマ・ベ○ト」って奴だったからかもしれない(爆)。



 前置きが長くなった。本日は大文字のシグマ(Σ)の話題を書きたい。小文字のシグマ(σ)についてはまた改めよう。

 
 シグマ、即ちギリシャ文字のSである。積分で使うインテグラル記号(∫、二重積分だったら∬、円積分だったら∮)も基本的にはSであるが、ここで使うシグマ(Σ)と同じように、「足し合わせ」を意味する。表計算ソフトでいうところの「組み込み関数SUM」と似ている。
 
 さて、大文字のΣは、等差数列、等比数列を学習した後に登場する単元ではないだろうか。よくシグマのことがわからなくなっちまう奴らから話を聞くと、「数列の和S」と「Σ」との関係がのっぴきならなくなくなっているようだ。


 例えば、
 初項a、公差dの等差数列の初項から第n項までの和SはS=(1/2)・n{2a+(n-1)d}
 初項a、公比r(ただしr≠1)の等比数列の初項から第n項までの和Sは S=a(1-r^n)/(1-r)
 である。


 ここまで習った後に、Σが登場。


 問題:1、1+2、1+2+3、・・・の第n項までの和を求めろ

と問われると SとΣがごっちゃになる、らしい。


(注:数式エディターを通せないので、Σの下と上のk=1とn、即ち読んだ時に「kは1からnまでの」に相当する部分、を省略する、以下同じ)


 1+2+3+・・・ ってのは、初項が1公差が1の等差数列の和であるからこの数列の第k項までの和はSk=(1/2)k(k+1)に違いない。しかも、この式の右辺は後述のΣkの一般形と同じなのだ。しかし、この問題で求める和というのは、S1+S2+S3+・・・+Sk+・・・の第n項までの和なんだから、(1/2)Σk(k+1)を求めなければいけない。紛らわしい。


 次の問題。

 Σ1=n
 Σk=(1/2)n(n+1)
 Σk^2=(1/6)n(n+1)(2n+1)
 Σk^3={(1/2)2(n+1)}^2等という公式があるが、
 ではΣ3^kをシグマを使わない形に変形しろ。


 出題された側は、「公式集を見ていいか?」と聞きたくなるはずで、その場合「見ても良い」と答えておくとGood。なぜならおそらく普通の「公式集」ではこの問題の直接的な解答は無いからである。


Σ3^kの意味を考えれば公式集にこいつが載っていない理由がわかるはずである。


 Σ3^k =3^1+3^2+3^3+・・・3^k+・・・3^n


 つまりこいつは、初項が3、公比が3の等比数列の和、即ちS=a(1-r^n)/(1-r)に代入したS=3(1-3^n)/(-2)と同じなのだ。だからこの場合は、ΣとSは同義なのだ。


 ということであるから、高校生諸君、私を捕まえて、「Σ3^kをシグマを使わない形にするにはどうするのですか」等という質問はしないように。


 ま、こういう「紛らわしくてどろどろとした関係」っていうのは数学じゃなくても面白いが。ではそういうことで。

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2006年02月06日 14時18分40秒

並木算と数列

テーマ:自然科学教育
 近所の「有名中学」の入試問題が新聞に出ていたので挑戦してみた。もしできない問題があったらどうしようかと思っていたが算数に関しては幸いなことに私は面目躍如だった(国語の結果については聞かないでね!)。

 私のように「生きる化石」と化している殆どペーパーライセンス的な教員資格しか持っていない人種には、入試問題は新鮮な驚きや発見を楽しめる領域である。仮にそれが中学や小学校の問題であっても。

 古いタイプの学習をした方には、並木算とか鶴亀算とかといった用語はご存じだと思う(あまり信用できないが、小6の娘が言うには、今の教科書にはこの用語は載っていない、らしい)。この中で今回は「並木算」を取り上げてみる。

 一般的な並木算というのはこんなタイプの問題である。
 

(1) 長さ100mの道路に10mおきに木を植える。木は何本必要か。
(2) 周の長さが100mの運動場のトラックに、10mおきに木を植える。木は何本必要か。
 

 答えは(1)が11本で(2)が10本である。つまり、スタート地点(あるいはゴール地点)の木をカウントに入れるか入れないか、と考えるのが並木算の面白さの一つである。

 新聞に出ていた「有名中学」の入試問題で気になった並木算はこんな感じの問題だった(数量とかはオリジナルの問題と変えてある)。



 長さが35cmのリボンがある。これを、糊しろ2cmで繋ぎ合わせて530cmのリボンにしたい。リボンは何本必要か。
 


 この問題が並木算かどうか、というのは判断が難しいと思うが、「糊しろ部分」がどの位置に来るのか考えたり、「リボン」の有効長(最初の1本は35cm、2本目以降は33cm)を考えると、並木算とすることが不可能でない。

 1本目の有効長35cmを530cmから控除した495cmを有効長33cmのリボンで構成すると15本必要。それに最初に控除した1本目を加えて、答えは16本必要。

 #もっとも、糊しろを考えずに、「530÷35」=15.1428571を切り上げて16本としても結果的には合っているが・・・。

 で、これって数Bの等差数列でも考えられるのよ。

 初項が35,公差が33の等差数列の項が530になるということは、等差数列の一般項anは(初項a、公差d、項数nとした時に和をSとすると)、

 an =a+d(n-1)

 から、530 = 35 + 33(n-1)
 をnについて解けば、n=16。方程式の解き方は、上記した「控除、除法、加法」のやり方と同じである。


 まさか小学校数列は教えないとは思うが、まあ考え方はそれだね、ということで、数列が嫌いな大学生の皆さんも一度小学生に戻って算数をやってみると良いかもよ。


 ところで、こんな問題が都内の有名小学校(噂ではK大学の系列らしい)で出題されたことがあるそうだが、読者の皆さんはお分かりだろうか・・・



 あるきまりですうじがならんでいます。□にはいるすうじはなんでしょうか。
 

 1・3・4・□・8・□・12
 


 ヒントは、TBSとテレ朝・・・。静岡の子はこの問題、絶対に解けないだろうなあ・・・チャンネル違うから。ではそういうことで。


 

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2006年01月19日 13時51分12秒

2の3乗は8

テーマ:自然科学教育

 タイトルがあまりにも当たり前なのは勘弁してね。また今回は上付き文字下付文字を多用しているので、対応していないブラウザ(特にケータイの多く)では表示が変になることお許し願う。


 さて、指数とか対数の性質を正式に学ぶのは数IIだろうか。


 しかしその概念はほかの科目でも取り扱う。たとえば、化学で当たり前に使う【pH】は水素イオンの濃度を対数で表現するし、物理などで出てくる【dB】なんかも同じような考えが要求される。もちろん、「累乗」の考え方は中学1年の数学だろうし、平方根(0.5乗)は中学3年のビッグイベントでもある。


 私のことを申し上げて恐縮だが、指数はともかくとして、対数の考え方が時々訳わからなくなることがある。たとえば、

 logC= b のとき a=C であるが、

この abc の位置関係とか順序、がコンフリクトしちゃうのだ。


 この間違いを防ぐため、私は、対数の計算をするとき必ず 2の3乗は8なんだ という呪文を唱える。


 2=8 両辺を2を底として対数にすると
 log = log
 左辺は 3×log2 と等しく すなわち 3である。つまり与式は、
 3=log
 と書き換えることができる。この、2と3と8の関係を、a b c に置き換えれば、上記の、
 logC= b のとき a=C である

 と同じ結果となるのだ。


 対数が苦手な方、こいつをおまじないで覚えておいても良いかもね。私はこれを知ってから、指数に関する苦手意識は無くなった(時々訳わからなくなるのは治っていないが…)。ではそういうことで。

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2006年01月17日 16時05分22秒

比の計算

テーマ:自然科学教育

 小6の娘が昨夜、こんな問題で悩んでいた。


 3/4 デシリットルのペンキで1.6mの壁が塗れます。では、4.0mの壁を塗るにはどれだけのペンキが必要でしょうか。


 娘は「比」を使って解こうとしていた。3/4は0.75だから、この問題を比で表現すると、


 0.75:1.6=□:4.0


 小学校では「内項の積は外項の積に等しい」即ちこの例題では0.75×4.0=1.6×□、を学習していない。これがわかれば、□=0.75×4.0÷1.6で答えが得られる。


 娘はどうやって考えたかというと、

 1.6が4.0になるためには、1.6を4.0÷1.6倍すればよい。だから0.75が□になるためには、0.75を4.0÷1.6倍すればよい、即ち答えは0.75×4.0÷1.6で良いことになる、と。


 合っている。なかなか鋭いじゃん、と褒めてあげたら、宿題で二つ以上の考え方を見つけて来いと言われた、ということであった。悩んでいる理由は、「別の考え方が思い浮かばない」ということなのだ。


 タイルみたいな■を並べたような絵を描いてもできるし、内項外項でやっつけても良いし方法はあると思うが、そこで娘が、『絵を描かなくてできる』+『中学の内容を使わずにできる』そんな裏技無い?と擦り寄ってきた。


 読者の方はお分かりだろうか、この手の「ペンキ問題」のどんなパターンでも使える、裏技を…。私は自分が小学生のときからこの方法を実践してきた。


 だから父親秘伝のこんな方法を娘に耳打ちした。


 まず問題に登場する数字の関係を全部替えてみる。


 3デシリットルのペンキで2mの壁が塗れます。では、6mの壁を塗るにはどれだけのペンキが必要でしょうか。


 これなら簡単でしょ、暗算でもできる。答えは(6÷2)×3ですよ。そこで、数字をもともとの対応する奴に置き換え戻すわけ。


 6→4.0
 2→1.6
 3→3/4→0.75


 そうすると求める式は


 4.0÷1.6×0.75

 つまり、演算順序を変えたとき上記の


 0.75×4.0÷1.6


 と同じ値となる。 


 いやぁ、やはり私のDNAを持つだけのことはある。速攻で理解してしまったぞ。算数の時間に発表するんだ、といきまいていた。みんな知っている方法だと思うんだけどなあ…。
 ではそういうことで。

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