2006年09月12日 22時00分27秒

イノベーションジャパン2006

テーマ:知財・産官学連携

 産学連携の仕事をしている以上避けて通れないものがある。先ずは6月の、いわゆる「京都会議」、そして今回のイノベーションジャパンである。


 http://expo.nikkeibp.co.jp/innovation/


 私の勤務先の大学はこの会議に店を出す。そんなわけで私は公務出張で現場張り付き。しかもこの8月まで勤めていた大学でもすぐ近くに出展しているからそちらにも顔を出さなければいけないような気もする。


 もっとも現職のほうで「公務出張」なので道義上元職のブースにたむろするのには勇気がいるが、そこはそこで、シラを切ったり覆面を被ったり(?)して誤魔化すしかない。


 そんなわけで、今回は例年の2倍忙しいような気がする。


 明日水曜日から3日間。有楽町駅界隈で急激に酸素濃度が薄くなったら、近くに私がいるかもしれません、要注意。突発オフ会歓迎。ではそういうことで。


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2006年08月22日 19時14分40秒

国際会議

テーマ:知財・産官学連携

 今朝出勤すると「お昼に会議。外国からお客さん。昼食出ます」とメッセージがあった。本学は本当にこういったことを急に設定する。でも暇なので(?)参加することにした。


 昼前の講義(何しろ最終講義である)が少し伸びてしまった関係で会議開始には遅刻したが、会議室に出向くと参加者がちょうど昼食に手をつけていた。室内を見渡すと皆さん上手に箸を使って食べている。すみません、遅れて、と挨拶をするとお客さんがた一斉に手を止めて立ち上がり名刺を持ってやってきた。


 おぉ、本学の名刺も今日が最後だ!


 そう感激しながらも、「客員助教授」の名刺と皆さんの名刺を交換することになった。


 読めない。いただいたのはハングルの名刺である。でも、「チョイといいます」「アンですよろしく」などと先方は日本語が上手。こちらも知っている限りの韓国語で応戦するが、余り通じない。


 会議の趣旨を良く把握していなかったが(ってそんな状態で会議に出るなよな!)、先方は韓国の国立順天大学のご一行様で、学内にいわゆる知的財産本部(韓国式には産学協働団というらしい)を作ろうとしていて日本の先進例を視察に来ている由。


 いや間違っても本学は先進では無いぞ!


 しかし会議に出て日韓のこの問題に関する考え方の違いが良くわかった。


 日本では「外部資金係」とか「研究協力係」とか産学連携の窓口がいっぱいあっておまけに知財本部などというインターフェースが存在している。韓国ではこういった業務は全て「協働団」が一元管理している。また、韓国の大学の先生方の特許は原則先生の管理(日本の国立大学法人では大学に権利が自動的に委譲される)ではあるがそれを民間に売った場合の税金は40%も取られるので、先生方が自発的に権利を「協働団」に譲渡し実施料の20%を団から受ける形(税金が安い)を取るのだそうだ。面白い仕組みである。私の知的財産本部での仕事は大学帰属の特許を民間移転することをやっているのだがなかなか移転先が見つからない。韓国ではまず先に先生が譲渡先を見つけてきて団に譲渡、という。つまりスキームも違う。


 なんだか本末転倒な話だが、韓国の先進例を聞いたら見習うことがいっぱいあるじゃないか!


 で、会議の後半はお決まりの愚痴の言い合い。韓国側では、「若者の首都依存が強すぎ、進学も就職もみんなソウルを目指す。順天大学は地方にあるので人材も集まらないし卒業後地元に人が残らないと」。日本でもちょっと前まで東京や大阪に人が集まったが今の学生は比較的地元志向だからという話をしたらうらやましがってくれた。


 それにしても韓国の先生方日本語がお上手である。帰り際、一番日本語が堪能先生にどちらで日本語を、と伺った。


 東京工業大学で化学を専攻し学位を得ました。


 なんだ、TITなら技術移転の先進であるぞ。本学に来なくても母校で全部わかるんじゃないの?と心の中で思った。で、「化学を専攻」が気になってさらに化学はマテリアルですかプロセスですかと細かいジャンルを伺った。


 バイオ系触媒です。


 あっちゃー!私と同じバックボーンじゃないか!驚いた。そのあとはお互いの専門に花が咲いてしまったのは言うまでもない。どこにどんな縁が転がっているかわからんなあと思った会議であった。


 技術移転関係の会議だから、と参加者に私を入れてくれた大学関係者にも感謝。本学のお勤め最終日(とはいえ、引き続き兼業で大学の籍は残るが)の良い経験だった。ではそういうことで。

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2006年05月28日 22時30分00秒

不正の無いことの立証責任

テーマ:知財・産官学連携

 お隣の国の「英雄視」されていた教授や日本の「最高の」最高学府の先生が「論文捏造」でその生命を終えた。ここしばらくは、まるで流行り病のようにあちこちで問題になっている。一昔前は「ゴッドハンド」と呼ばれた考古学者の例もあった。


 論文は研究者にとってとても大事な「成果」であって、それ自体あるいはそれが完成する過程の実験結果に不正(捏造や改ざん)があるというのはとんでもないことである。


 今般の報道によると「不正が疑われた研究者に対し、不正行為をしていないことを立証する責任を求め、立証されない限り政府の研究資金支援を打ち切る」旨、文部科学省の特別委員会が決めたそうだ。


 出典:日本経済新聞(Web版) http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060526AT1G2600L26052006.html


 記事中の『政府の研究資金支援』というのは、科学研究費補助金(いわゆる科研)だけではなく、そのほかの政府系団体(例えばNEDO、JST等)の補助金も該当すると思われる。


 まさしく「研究者生活」の終わりである。


 研究者を震撼させるのは「不正を疑われた場合、疑われた側に立証責任がある」ということである。情状ではなくて明確なエビデンスが求められるわけである。これは結構難しい話である。



 私は民間研にいたときから(あ、今も民間にも籍を置いている)、いわゆる「研究ノート」というものを付けていた。今は良い既製品があるから、参考までにどんなものか、を下にリンクを示しておく。


コクヨ http://www.kokuyo.co.jp/stationery/labnote/

日本技術貿易 http://www.ngb.co.jp/service/book/labo/about.html


 民間時代に使用していたきっかけは日米間の知的財産の取り扱いの違いからだった。、アメリカの特許制度は「先発明主義」、それ以外の日本を含む多くの国は「先出願主義」であるから、いくら日本で先に特許庁に「出願」していても「実はそれより前に発明が行われた」とアメリカ側に言われたら対抗しにくかったからである。そんなわけで、だったらこちらも一応、「出願」前にいつ「発明(発見)」したのかを明確にできる書類をアメリカの例に倣って整備したのだ。


 最近はこのいわゆる「研究ノート」を導入する大学が増えてきた。山口大学や東京工業大学がかなり先行しているようではあるが、私の勤務校でも昨年「大学として推奨する」という決定が出た。今後ますます導入する大学が増えるのではないだろうか。


 目下のところ、研究者が自分の研究の内容を後から時系列で客観的に証明する方法はコレしかないのである。つまり今回の文部科学省特別委員会の決定は、「政府系補助金を使うなら、研究ノートをちゃんと付けなさいね」ということとほぼ同義だろう。


 しかし、「不正が疑われたら、していないことを立証する責任がある」というのは凄い論理だなあ。「疑わしきは被疑者の利益に」という理屈は研究者にはあてはまらない、とうことになる。もっとも政府系の補助金(つまりは税金)を使って活動するのだから、それぐらいの厳格さは求められてしかるべきだが。


 私の場合、24時間怪しげ、真っ先に疑われる?。気をつけなきゃ。ではそういうことで。

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2005年11月28日 10時55分04秒

学会発表と特許法30条

テーマ:知財・産官学連携

 今朝、学会の行われる大学の正門前の喫茶店で食事をしていると、偶然、5年前に某合同プロジェクトで一緒に仕事をした同い年のK先生に遭遇した。5年の歳月は短いようで長く、お互い職名が「プチ出世」状態だった(苦笑)。給料はあまり変わっていないようだ(爆涙)。


 お互いの専攻は本線では全然違うところにあるのだが、枝葉の部分では共通項があり、今回のように「初参加の講演会だし、知り合いには誰にも会わないだろうから」と油断していると、『同じ思惑』の二人の出会いはありえる。久しぶりなのでもろもろ話に花が咲いて、大切な本番の講演開会に遅刻しそうになった。


 朝から走ってしまった(少し痩せたか?)。


 なぜ話に花が咲いたか、というと、特許法30条の解釈について、彼が変なことを言い出したからだ。


 今回の発表内容は特許が取れそうな気がするので、学会発表時の聴衆の反応を見て確信が持てたら、出願書類を書こうと思う。特許法30条の「新規性喪失の特例」規定で発表後六箇月以内に出せば良いのだよ。


 実は今回私も同じような思惑(発表内容に関連する事柄での特許取得希望)があり、今月の頭に大学のTLOに詰めて書類を書き、電子出願をしたのだ。なぜかというと私は今回の学会発表が特許法30条の適用が無い、ことを知っていたから。学会が終わってからはもちろんだが、事前のアブストラクト集の発行と同時に特許法上の「新規性」が喪失する、と。


 30条のいわゆる「例外規定」には例外があって、『特許庁が認めた学会(学術団体・学協会)等』以外での発表では適用されない。別の形で表現すると、「例外規定」が適用される例は少ない、いやいっそのこと「例外規定」は無い、と考えておくほうが精神衛生上良いかもしれない。特に外国特許を考えている場合はそもそも30条のこの項目は適用されないし。


 特許庁にも30条関係の問い合わせが多いらしく、ウエブページの「よくある質問」 に特集されている。


 K先生はもうアウトだ。既に15日付で出版されているアブストラクト集で、彼の研究は「公知」となっている。もうどうにもならない(彼は特許が取れないが、そのほかの誰もがこの件で特許を得られない)。


 朝から、「久しぶりに会った友人」を失意のどん底に陥れてしまった。でも笑いながら「良いことを教えてもらった、次回からはちゃんと出願してから発表するようにするよ」と彼の立ち直りもすこぶる早かった。そんな前向きなK先生が少しだけ眩しかった。


 彼に大切なことを言い忘れた。


 今、特許庁は、大学等発電子出願関連料金割引キャンペーン (←リンク先はPDFファイル)をしている。出願は計画的に!

 
 ではそういうことで。 

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2005年11月15日 11時11分47秒

「特許」を取得する

テーマ:知財・産官学連携

 企業にいたころから特許とか実用新案などいわゆる『知的財産権』にかかわってきたことから、本学に勤めてからもなぜかそういう関連の仕事を引き受けることが当たり前になっている。

 知的財産権とは、法律の体系で考えると下記のように分けられている。
 

※ケータイなど、一部のブラウザ端末では表示がずれます

知的財産権法

   

 

├─ 産業財産権法 ┬─ 特許法
  (旧・工業所有権法) ├─ 実用新案法
    ├─ 意匠法
    └─ 商標法
  ├─ 不正競争防止法  
  ├─ 著作権法    
  └─ 半導体集積回路の回路配置に関する法律
    種苗法    

 表のように、一口に知的財産権といってもその守備範囲は広いが、私の担当は主に特許法である。念のため私は弁理士ではない。少しだけ経験があって、弁理士法に抵触しない範囲で活動しているに過ぎない。


 かなり最近まで、「大学の研究成果」は『論文』として発表するものであった。大学教員の評価も主として『論文』で行ってきた。ここにきてその流れは、「大学の知的財産を保護し、有効に活用する」ことに変化してきた。大学発ベンチャーとして大学の研究者が起業することもあるし、技術を民間移転して産業界の発達に寄与しようという機運もある。そんな中で、大学の知的財産の取り扱いは脚光を浴びてきている。


 大学内のあちこちに『研究成果を特許化しましょう』という啓発ポスターが貼られている。最近「この研究も特許が取れるのかなあ」という連絡が学内のあちこちから入るようになった。新規性・進歩性・市場性などを勘案して、特許化(あるいは実案化等)できるかどうかの検討をする。それが学内での私の「もうひとつの」仕事である。


 工学部系に身をおいているので、私を含めて周りの人たちは「法律」に疎い。だからといいわけでもないが、気をつけていても『用語のミス』を平気でする。先般、大学に出入りしている弁理士の先生からお叱りを受けた。


 「特許をとる」というのは法律的に間違いだ!正しくは「特許権をとる」でなければならない!!


 訳わからんので理由を聞いてみた。


 特許、というのは、特許庁の行う行政処分の結果である。したがってそれを民間人が「とる」ことはできない。一般に「特許をとる」というのは権利である「特許権」をとることである。法律的に、「特許権を得る」という言い方でなければいけないので、鈴木センセはこれが仕事なんだから心がけてください、と。


 であるからにして、毎週行っている「特許相談」の窓口業務も、『特許権相談』に看板を書き換えなければいけないかな?読者の皆さんの大学ではいかが?知的財産部門はちゃんと仕事をしてる?ではそういうことで。

 

 

 

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2005年10月11日 13時36分29秒

守秘義務

テーマ:知財・産官学連携

 キャンパスに居(?)を構えて以降いろんな相談事を聞いてきた。今までは学生がごちゃごちゃ言ってくるだけだったが今日はついに私より先輩であるところの某先生が相談におみえになった。私は学内では知的財産関係とか産官学連携の仕事もしている(もちろん本職ではないが・・・)のでその辺りの見解を、ということで尋ねてこられたのだ。


 某先生開口一番、こう仰った。


 うちの学生が就職試験の面接の際に研究室の「企業秘密」をゲロしやがったらしい。


 何でも学生が受験した会社、その先生が共同研究をやっている企業の同業者。自由応募で先生の推薦状とかは不必要なので先生自身学生がその会社を受験することは承知していなかった、というと。だから、「学生のリクルート事情を把握していない先生が拙かったんじゃないでしょうかね」と申し上げたらもう頼まんとご立腹だった。私的には自業自得にしか思えんが・・・。


#その先生の席(ポスト)が空くと私の場合ちょっとだけ嬉しいが・・・。足の引っ張り合いをするほどレベルの高い大学でもないのでそこは穏便に(苦笑)。


 本学の教職員は職務規定の中に「守秘義務」の項目がある。どうでも良いことはどうでも良いが、大学の知的財産に関することは大学の許可なく口外無用なのである。会社組織で言えば、上司の悪口ぐらいは許されるが開発中の新製品の情報とか構築してきたデーターベースの内容等は知的財産になりうるのでいくら酒の席でも簡単に喋ってはいけない、というのと一緒だ。


 ただし、学生に「研究上の守秘義務」があるかどうか、というのは判断が難しい。


 たとえば学生は学費を払って知識を吸収しに学校に来るわけである。であるからにして吸収した知識は本来学生個人の財産であるはずだ、という意見がある。だから、それをどう利用しようが(就職試験でぺらぺら喋ろうが、その知見を元に新しい会社を作ろうが)勝手である、という論理だ。


 他方、大学は学生の払う学費の何倍もの金額を国や連携先の企業からの補助金・委託経理金で運営している一面もある。したがって研究して得られたものは本来国やスポンサー企業に帰属するべきである、という意見もある。だから、研究活動で得られた情報を軽軽しく外部で喋るな、という理論。ただし、上述のように教職員には職務規定で「喋るな」と規定されているから喋らないのだけれど、学生にはそのような規定が無い。


 この問題は非常に難しく、専門家でも意見が分かれるところだ。教職員に関しては守秘義務があるのは規定からも当然なので議論する余地は無いが、やはり学生の知りえた情報に関しては扱いが微妙なのだ。


 もちろん学生に守秘義務を課すことはある。たとえば企業と共同研究をやる際にスタッフとして従事する学生は間違いなく守秘義務の取り決めを課されるだろう。その場合は研究の成果において特許などを得た場合その権利が一部学生の懐に入るような契約とセットになるはずである。本学でも、特に博士課程の学生は、そういう契約をしている事例が多い。そんな学生に「どんな研究しているの?」と聴いても教えてくれない。冗談の好きな学生だったら「国家機密だから言えないよ!」とか「センセの頭じゃ理解できないので言わない」等と機転を利かせた対応でごまかしてくることもある。それが正解だろう。


 前にも書いたが、学生は「知識を吸収する」ために大学に来ているはずである。間違っても「通学途上にあるマージャン荘で面子が足りないからと先輩に拉致される」ため、とか「生協食堂で一日分の必要カロリーを安くゲットする」ため、とかあるいはまた、「昼間からブラブラできないので近所へのお体裁のためにとりあえず大学に来て時間をつぶす」ためであるはずが無い。だから学費を払って、場合によっては下宿までして、苦労して通ってくる。その知識を、大学の一方的な考えで取り上げるわけには行かないでしょ、というのが私の考え。だから就職活動などで外部に情報が漏れるような場合には守秘義務契約を結ぶとか学生にプロジェクトに参加させない、とか、そんな配慮をするべきではないのか、と言ったら生意気なのかな。


 教職員の守秘義務だってどこまで守られるか判らない。たとえば転職した場合。前の大学での実績は次の勤務先で当然のように引き継がれるはずだ。中には「ライフワーク」と称していろんな大学で同じような研究を渡り鳥のようにしてきた先生もいらっしゃる。前の大学の「運営交付金(いわゆる研究費)」で購入した書籍を平気で次の大学に持っていくことなんか先生方の間ではあたり前、ノートやメモ書きに至っては「脳みその一部」として持っていって当然の世界。であるからにして、就職試験に際して「君はどんな研究をしているの?10分ほどでプレゼンしてみてごらん」といわれて嬉々として「国家プロジェクト」に相当するかもしれないような秘密の塊を喋ってしまう学生をとやかく言えない、とも考えたくなる。


 ということで、現役研究者(大学の先生や学生さん)も多くお読みだと思うので、いろいろな研究機関の実情をコメントしていただければ幸いだと思う。皆さんのところではどういう規定があるのかしら。守秘義務規定に抵触しない程度に教えてください。
 ではそういうことで。

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2005年09月11日 16時54分47秒

911

テーマ:知財・産官学連携

 私はニューヨーク市内に二つの会社を持っている。一つは1995年設立、もう一つは今年の春に起業した。いずれもインターネット関連の小さな会社である。今回は、95年設立の、私以外の社員は4人の小さな会社に関連したことを書く。


 その前進の個人商店の設立は89年であるが、登記したのが95年。考えるまでも無くもう10年やっていることになる。直接的にはインターネット関連の商売をやっているが、日本では結構甘かった「知的財産権」の管理をアメリカの法律の下できちっとやっておきたかったことと、私の夢であるところの「老後のアメリカ移民」の足がかりとしてのことであった。


 2000年初頭、私は日本のある大学と共同で「防疫装置」を開発していた。大学が特許申請をしないというので権利が全部自分のところに来た。日本の他に、米国と欧州で特許申請をした。その窓口が、上記のニューヨークの小さな会社である。米国向け特許申請を書き上げてしばらくして、911のテロが起きた。


 ニューヨークの事務所はマンハッタンにある。WTCからは距離があるが、同じ「マンハッタン島」の一角である。マンハッタン島は大きな一つの岩でできている。しかもニューヨークは地震が少ない。したがって、WTCに飛行機が突っ込んだとき事務所は結構揺れたようで、現地からの第一報は「地震あり」とあったぐらいだ。島から外に出る交通が遮断される、という話があり、私は電話で現地従業員に「しばらく事務所を閉鎖するから対策した上で早く島から出ろ」と指示をした記憶がある。


 WTCには、金融機関など、弊社がお世話になっている事務所が数件入居しており、邦人の友人も多く勤務していた。そのほとんどがテロの犠牲になった。以来9月11日(日本時間では11日深夜からの24時間)は私にとって鎮魂慰霊の一日となる。


 その後米国で「ANTHRAX(たんそ菌)」の騒動が勃発した。郵便物は少しでも怪しい雰囲気のものは配達拒否。巻き添えで日本からの荷物なんかもなかなか届かない。連絡手段は「Fax」か「メール」、荷物の運搬は宅配が使えず「人間が人力で」ということになる。米国事務所の業務はかなり停滞した。


 そんなある日、我が家にアメリカから電話があった。しかも「通訳付き」の電話である。


 こちら米国○○省からおかけしています。ドクター鈴木はご在宅ですか。
 いえす、鈴木すぴーきんぐ。
 日本語で結構です。申請番号△△の特許の詳細につき確認をしたいが。
 は?特許庁ですか?
 いえ、○○省です。あなたの特許技術は軍事応用は可能ですか?
 想定外ですが・・・日本で開発したものですから一応民生用を視野に入れています。
 なら民生利用前提でお話します。装置を一台試験導入したいが、輸出可能か?
 はぁ、不可能ではありませんが、でもいきなり何ですか?どういう目的に使うのですか?スペック詳細がわからないと何とも。


 私の開発した防疫装置、話題のたんそ菌の対策に使いたいという。私の装置はたんそ菌も除菌できる。連邦政府の関係者は学会関係からその技術が特許出願された話を知り、申請書にあったニューヨークの事務所で尋ねて私の日本の自宅に電話してきたわけだ(それにしても時差は考えてくれなかった・・当時午前3時)。
 

 水中のたんそ菌には効くが郵便物など濡らしてはいけないものには対応できない、ということを伝えると、相手はかなり残念がっていた。


 私も残念だった。私の開発技術がアメリカで活用、しかもテロ対策の最前線で利用されようとしていたのだ。たんそ菌が水中に入ったらいつでも言って欲しい、と思った。


 数ヵ月後、別の装置(防疫装置ではなく検知装置らしい)が納入されたという報道があった、と、ニューヨーク事務所の連中が残念がって報告してくれたが、ANTHRAX問題も無事解決して米国は再び活気が戻ってきた。


 911にまつわる、ここだけの内緒の話である。
 ではそういうことで。

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2005年06月17日 10時42分48秒

特許庁:長期在外研究員制度

テーマ:知財・産官学連携

いつもトホホな話しか書いていないので、今日は少しまともに「お得?」な情報を書いてみようと思う。


最近はあちこちの大学が「知的財産管理」に力を入れ始めているのは周知のとおりだが、知的財産そのものを研究されている方も増えてきた。そういった研究者のうちの若手を国(特許庁)の費用負担で海外に長期(1年以上2年未満)派遣する、「長期在外研究員制度」がある。遊びに、ではなく研究しに行くわけだ。一種の国費留学。今年度分(18年度派遣)の募集が始まった。


応募資格の要件の抜粋としては、
・知的財産権に関連のある分野を研究する常勤の若手であって
・博士号取得者、またはそれに準ずる者で
・海外の活動に支障のない、語学力を持つ健康な者
である。ポイントは、「常勤研究者」でなければならない点だろうか(学生、ポスドク、委嘱研究員、非常勤講師、客員(助)教授をここで排除している。常勤ならば助手でも技術吏員でも可能)。私は、客員なので応募できない(それ以外の要件は一応満たしている、泣)。


赴任先の選定を含め、研究計画の策定などもあり、あぁそうですかと、関係者全員が今すぐ申請書が書けるわけでもない、かもしれない。


詳細はここを参照のこと。
http://www.iip.or.jp/fellow/choki/choki.html


一口に「知的財産権」と言っても、特許・実用新案・商標・著作権等と扱う領域は広範。しかも派遣制度が始まって5年目。過去の派遣者は当然のごとく社会科学系の先生方だ。そろそろ自然科学系の研究者から「当選者」が出ると良いのだが・・・。


もし私だったら「自然科学研究者から見る知的財産権」とかといった内容の研究計画を立てて応募したいところ。もっとも、そんないい加減なテーマでは採択されないと思うが。今の大学での研究テーマがそれなんだけど・・・(苦笑)。


こういうことをブログに書くと「国費留学のあり方論」、とか「公費の使途に関する議論」なんかが展開されることが予想されるがそれはそれで歓迎。知的所有権・知的財産権に関する議論も大歓迎。トホホネタも同時募集中(笑)。
ではそういうことで。


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2005年04月15日 11時55分24秒

北海道大学 博士課程の一部で「学費無料」!

テーマ:知財・産官学連携

国立大学法人北海道大学では、大学院博士課程の一部で年間54万円ほどの「学費」を事実上無料にする、らしい(出典報道はこちら)。

 

ただしこの措置は『社会人大学院生』は除外。なぜだ!

 

社会人は他に収入があるから、なのだろうか。それは間違いだ。学生でも超リッチなのはいるし社会人学生でも大学に通うことで収入が目減りしている例だってある。家族を抱えている率は社会人学生のほうが高いだろう。

 

私自身も40歳までの数年間社会人として某国立大学の大学院に通った。当時学費は年間45万円ほどだった記憶している。育ち盛りの子供もいたし、自分自身のエンゲル係数も高い。そういう中で進学を決心した以上、経済的なリスクだって当然計算に入れているが、やはりこんな馬鹿息子(←私のこと)に3年間で150万も投資をするのは確かに痛かった。

 

社会人学生にも門戸が広がることを願っている。

 

旧国立大学が国立大学法人という形で法人格を得てから、運営の仕方は各法人で個性が発揮できることになった。当然学費の問題もある程度の自由裁量が可能となった。北海道大学の取り組みでは、事実上無料にする学費分の源泉として「共同研究などによる企業からの資金」等外部資金が充てられる由。つまり、知的財産や産学連携からそれらがもたらされる。私も今お世話になっている国立大学法人では知的財産を専門に扱っているのだから、我が社(大学)でも成果を出して、学生の費用負担を減らすことができるように頑張っていきたい、と思ったりする。できるかなあ・・・(苦笑)。

 

ではそういうことで。

 

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2005年04月02日 09時41分35秒

国立大学法人の知的財産管理(その2)

テーマ:知財・産官学連携

日本の大学における研究成果の取扱いは「論文」「学会」に発表することで日の目を見た。従来の研究者の実績はこの「論文発表」等の質と量で評価されていた。その風潮はいまだに変わっていないが、このことは知的財産的な考えで非常に危険だ。


大学の研究成果を知財化するために避けて通れない問題として「特許」がある。特許法第29条によると特許を取得するためには当該発明が「特許出願時において新しいもの(以下、新規性がある)である」必要がある。特許を受けようとする発明が論文として掲載されたり学会講演などで発表されたりした場合、新規性を失い、特許を受けることができなくなるのが特許法の原則だ。もっともこれでは余りに研究者に対して酷なので、特許法第30条で新規性喪失の例外規定を設けている。


その規程の概要は下記の2点に集約できる。


1)特許法第30条第1項より要約: 新規性を失った日(論文や学会における発表の日)から6ヶ月以内に特許出願した場合
 注:学会発表の場合「特許庁長官指定の学術団体が開催する学会・研究会でなければならない」


2)特許法第30条第4項より要約: 出願の際に「特許法第30条の適用を受けたい」旨を明記し、出願から30日以内に例外規定適用を受けるに足るエビデンスの提出をする


さて、大学研究者に特許法第30条のお話を申し上げると必ず出るリアクションに「学会から6ヶ月以内に出願すれば良いのですね、まだ時間がありますからゆっくり準備しましょう」というのがある。これはできれば避けたい。というか、この考えは禁物である。


学会発表や掲載論文を読んで第三者がその内容で特許出願することは可能だ。例えば学会講演会の翌日、聴講者(B氏)が特許を出願し、それから5か月後に発表者(A氏)が特許法第30条適用を併記して出願したとする。この場合、まず後から申請したA氏の出願は「B氏の出願が先にある」ことを理由に拒否され、さらにB氏の出願は「学会発表による新規性の喪失」により拒否される。即ち誰も特許を得ることができなくなる。


学会発表や掲載論文を読んで、それとほんの僅かに違った特許を聴講者(C氏)によって出願されたらどうなるだろうか。後からA氏が上の例と同様に出願したとすると、この場合、C氏の出願が認められ、A氏の権利は拒絶されることがある。


この例のように、発表前に出願するのが大原則だ。実際に著者(鈴木)が社会人大学院生時代には、ライバル会社によって改良版特許を学会から2週間で提出されてしまい苦汁を飲んだ経験がある。以降学会発表は必ず出願の後に行なうことにしている。その経験が、鈴木を「知財防衛」の専門家にしたトリガーだったわけだが。



 

以下その3に続く。ではそういうことで。


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