◆DNA◇

たくさんの言葉よりも あなたの一言で 元気になれるの フシギ


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自分の事をわかってくれた
あなたの事がわかった
悪いところも認めて
受け止めて
受け入れて
それでも
私の事を必要だといってくれた
そんなあなたがなにより大切
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大理石の彫刻。
フェルメールの絵

(ここ、どこ??)
「・・・何してるの?」
(サイーダの言った事、ほんとだったんだ。)
リンは信じていたものの、唖然としていた。そして、後から聞き覚えのある声。
「ねぇ、君?何してるの?」
突然の訪問にも驚いた様子はなく、静かにラスク王子が聞いた。
(な、何してるって言われても・・・)
リン困惑振りを見て少し微笑みながら、質問を変える。
「ねぇ、何処から来たの?」
「・・・あっち・・。」
「あっちって・・・!ねぇ、ソレ、何??」

(ソレ??)

ラスクの指差す方を見る。
「脚じゃん。」
「足???しっぽじゃないの?」
そう、「会いたい」と願った時と同じ姿で彼女はいた。
海の中では生活しやすい姿であるが、陸に上がると邪魔になる、人魚の姿。
「しっぽ~~~(怒)どう見ても立派な脚じゃない!!」
「・・フ~~ン」
興味があるのか、興味がないのかわからない答え。
彼はそう言うと確かめるように脚を触った。
「きれいなウロコ・・・や、脚だね。思ったよりも柔らかいんだ。」
「!!ちょっと!やめっ」
不器用そうな手がゆっくりとリンの人魚のソレを触っていく。
「・・あっ・・」
誰かに触られる事なんてなかったリンは、今までに感じた事のない感覚に襲われた。
「??どうかした?」
「べ、別に!!」
「顔が真っ赤だよ??」
そう言われてもっと赤くなるのを感じる。
(あ~~なんだって言うのよ!)
まだ追求してくる彼の視線から逃れるように、目をそらした。
「もしかして、感じた??」
笑いを含みながらそう言われて、リンはさすがに恥ずかしさを感じた。
「触られた事ってなかったの?」
「どれもそんな事しないわよっ。」
「へぇ~、綺麗なのにね。」
その言葉にまた戸惑いを感じながらも、少し気持ちが落ち着いてきた。

会いたい気持ちとはうらはらに、会ってどうするんだという声が聞こえてきたのも確かだが、今こうして会えたことにリンは興奮していたのかもしれない。
もちろん、ラスクにとっても、もう一度会いたい人が突然現れ、触れようと思えば触れられる。
表情とは別に興奮している事は確かで、強固な理性が歯止めの役をしていた。
「あの時、君が僕を助けてくれたんだよね?」
「覚えてたんだ。」
「忘れないよ。あの歌もう一度唄って欲しいな。」
「へ、ヘンな事覚えてないでよ!」
恥ずかしさのせいかだんだんと体が乾いてきた。それは人魚である彼女にとっては致命的なことだ。
「ねぇ、大丈夫?尻尾の色が変わってきてるけど」
「・・・尻尾じゃないって・・・」
言い終わらない間にリンの瞳から彼の姿は消えていた。


冷たい・・
生き返る・・心地いい水の音、でもいつもの波の音とは違う。
水の感触にリンは気がついた。
「落ち着いた?」
黒目がちな瞳がジッと見つめている。慌てていたんだろう、彼の前髪が濡れていた。
だんだんとリンの記憶がよみがえり、ここがどこだか思い出したように脚を動かした。
その様子を見てほっとした様に、ズルズルとバスタブにもたれる。
「ほんとに心配したんだからね。」
彼がとても動揺している事に不思議さを感じながら、バスタブの中からお礼を告げた。
「ねぇ、名前、なんていうの?」
優しくつぶやく声に、まるで催眠術をかけられた様に素直になってしまうから不思議だ。
今まで考えていた事も、これからしなければいけない事も全て、どうでもいいものに思えてくる。

人間と人魚だなんてどうでもいい、世界に二人だけ・・・。

現実に戻されたのは、優しいキスだった。

「もっと、君の事が知りたいよ。」

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磯のにおいがする。
帰ってきたんだ。
待ちわびていたように、リンのそばに友人たちが集まってきた。
「体、大丈夫だった??」
「ひどい事されなかった???」
いろんな質問が飛び交う中、リンはまるで何事もなかったように歩き出す。
「うん。心配かけてごめんね。私、大丈夫だから!」
「ねぇ、ねぇ、魔女ってどんな感じだったの?」
「・・・・・。」
(この分だと、後何日間かは質問攻めかなぁ。トホホ・・。)


~♪諦めたくない  歩いていく
~いつもそこにある空のように♪~
「だいぶん歌いこんだんや。」
「!!」
背後から急に声をかけられた。トキ・・・か。
「そう?そう思う?もうね、魔女のヤツったら人魚使い荒くて、仕事ばっかだったのよ。で、歌でも歌ってなきゃやっていけなくて練習したの。」
「そうなんや。」
「うん!でもトキに言われるとなんかうれしい!本物じゃん!っ~感じがするぅ。」
テレからなのか、いつもよりもトキの機嫌をとっている。
トキは気づいたものの、まんざらではないようだ。
「・・。なぁ、なんかあった??」
「え??」
「海上に行った日から、リンの様子がおかしいからさ。」
「・・・。そ、それは・・・。ほら、あれよ。見つかりそうになって焦っていたからじゃない??」
「・・ならいいんだけど。」
今も違うと言いたかったトキだが、、これ以上は何も話さないと感じたのか、それ以上は聞かなかった。
さすが、トキ。するどいな・・。
たしかにあの時以前の私と、今の私。どこかが違ってる。

「ねぇ、トキ、めちゃくちゃ会いたい人っている???」
「?え??」
「会いたい人」
(突然何を言い出すのかと思えば。会いたい人??)
「う~~ん、いるかなぁ~。」
(会いたいやつにはもう、こうして会えてるし。お前以外に会いたいやつなんていない。)
じっっと見つめるリンを感じて、ふとわれに帰る。
「いないかな。」
「そっか」
「・・・なに?リンはいるんや。」
一瞬、目がきらっと光った。
(なんだ、リン??)
「・・・ん?聞いてみたかっただけ」
(なぁ、リン、それって!)
話しているリンの瞳の中には、今前に立っているトキではなく、違う誰かが・・・。
「リン!!」
「!?」
いたたまれなくて、トキはリンを抱きしめた。




触れたい。
触れたい。
感じたい。
そして、奪いたい。



どうしよもなく彼女に触れたい衝動にかられ、いや、彼女をメチャクチャにしたかったからなのか。
気がつくとトキはリンを抱きしめていた。
「なななななっ、なにするんだよ!!トキ!」
「・・ごめん、こんなことするつもりじゃ・・・。」
「わかった!わかったから、・・・・!!」
言葉を発する機能を奪うかのように、唇を奪っていく。ゆっくり、そして確実に口の中を犯していく。 
「リ・・ンッ・・」
唇から開放されると、耳元につぶやくようにトキの声が聞こえてくる。
リンはどうしようもない不安にかられながらも、それでも落ち着けと自分に暗示をかける。
「・・・。大丈夫??」
まだ息が荒いトキは答えられず、ギュッと目をつぶりながらも、うなずいた。
「・・・・ごめんな。」
「・・・うん。。」


会いたい。
会いたい、会いたい、会いたい、会いたい。

会いたい気持ちが溢れてくる瞳の中で、彼を思った。

「あの人に・・会いたい。」

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ゴウシュウヘソアキエビスガイこと、ゴウと共に緑のドームにいるソラのところへ急ぐリン。
「ねぇ、ヘソアキ君、ソラって言う人に会ったことあるの?」
「ヘソアキじゃないっ!」
反論しながらもソラついて説明をするゴウ。
死の海のサイーダよりも年は下らしいが、もうかれこれ500年は緑のドームにいるらしい。
海底魚達と一緒に緑種といわれる、海草を増やしていく仕事をしている。
「にやけたじじいだぜ」
そこまで言い終えた時、ゴウの横から声がした。
「・・。ゴウシュウヘソアキエビスガイ。」
「!うわっ!!じ、じ、・・・こ、こんにちは。」
そこには髪を後に結っている、見た目は30代。3メートルはゆうにある巨体。
(やけに大人しくなったじゃない、まさかこの人がソラ??でもジイさんって言ってたよね。ちょっと好みかも・・。)
「よう!久しぶりじゃないかい!」
「はいっソラさん」
(やっぱりこの人がソラ!)
ソラは巨体にもかかわらず、サッと行っては、サッと帰ってくる。
そして初めてリンに気がついたように、まじまじと見つめた。
「ねぇ、お前がリンかい??」
「は、はい。」
「例のものもって来てくれたかい?」
例のもの。。。黄色い小包をソラに手渡す。
「ありがとう、ありがとう。コレがなかったら、困るからなぁ。」
よっぽど嬉しいのか、汚い小包にもかかわらず、チュッとキスをする。
その余りの喜びように興味がわいてゴウにこっそり聞いてみたリンだったが、驚いて引いてしまった。
お礼として、緑に近い青のペンダントをもらったが、荷物の奥に突っ込んだ。
そして、そそくさと死の海へと帰り支度をする。
「なんだよ、もう帰るのかい?」
「はい。もう用事も済みましたし(ニッコリ)」
「そうかい。いつでも遊びに来ておくれよ」
もう少しゆっくりして行こうと言っていたゴウに睨みをきかせつつ、緑のドームを後にした。
「なんだよ、リン~あそこの貝スイカおいしいのになぁ~。食べたかったなぁ~」
「もう!そんなに言うんだったら一人で残ってなさいよ!ヘソアキ!!」
「なに起こってんだよ!」


秘密秘密のないしょ話・・・。
「ねぇ、アノ中身なんだったの??」
「あぁ、あれ?精力剤」
「!!」
こ、好みのタイプだったのにぃ~~~!!


「もう明日でおばばと別れるなんて、嫌だな。また退屈な日に逆戻りよ~。」
「俺はせいせいするぜ!!」
サイーダの近くでゴウが口を出す。
「なぁ~によ、ヘソアキ君、寂しいくせに~~」
「け~~~っ!!」
「まぁ。そういうな。またいつか会えるじゃろ。」
あんなに見ると嗚咽をしそうだった魔女の姿にも、すっかり親近感覚え、今では可愛いとさえ思ってしまう。

「ほれ、お前の餞別がわりじゃ、」
「あ、それ・・・・。」
丸い、やわらかい色の玉。
リンがソラのところまで行き、貰って来た玉。
「そうじゃ、これは不思議な玉でな、コレを握って会いたい者の姿を思い浮かべると、その者のところへ連れて行ってくれるといった代物じゃ。」
「そんなすごい玉だったんだ。」
(私すごい扱いしちゃったけど^^;)
その玉は初めに見たときよりも、濃い、藍色
(会いたい人。・・。)
ここに来てから、気がつくと頭の中にいた、人。
あの見つめていた瞳。
まだ生きているとわかったにもかかわらず、結果的には見捨ててしまったあいつ。
「きっと、会えるじゃろ、そいつにも。」
(それがお前の運命かもしれんの。)

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「なんや、なんでこんなところまで来たんや??」
ひしゃがれた声でそう聞かれるたび、何ともいえない匂いが漂ってくる。
髪はもう何年も洗っていないようで、髪というよりも太いシッポのようだ。顔はポチャッとしてどこに目があるのかわからない。

(魔女ってこんな顔なんだ・・・・。それにしてもひどい匂い!!)
「何でそんな事、話さないといけないのよ。」
「ひゃひゃひゃ・・・・。まぁ、いいがな。」
(・・もう、ほんとに人魚は海上に出たら行けないなんて、誰が決めたのよ。)
魔女が見つめている。小さい目は魚の目のようにも思える。
「・・誰が決めたのかは知らんが、人魚がココに来たのはもう150年ぶりかのぉ。」
「・・!!今・・・。」
「わしゃ魔女だからなぁ~。なんでもできる。」
ゲッッ!

その日からリンと魔女のおかしな共同生活が始まったのである。


1、部屋の掃除
2、海底魚の世話
3、話し相手
4、その他もろもろ
耳にすると老人介護のようにも聞こえるが、これらが今のリンの仕事

「ねぇ~、掃除なんて魔女なんだからパパッとできるんじゃなの?」
「ひひひ、そうじゃなぁ~」
「・・やっぱり・・。もう、じゃ、パパーっと・・・」
「ぶつぶつ言っとらんと、さっさと済ませろ。まだまだ仕事はあるでの。」
「はぁ・・・。」

怖いと噂されていた魔女が、人魚使いが悪いだけだとわかり、ほっとしたのもつかの間。
日ごろしない家事手伝いに悪戦苦闘する毎日である。

「おおい、リン、ちょっとコレを持って行ってくれんかの」
「?なに?」
リンに黄ばんだ小さい小包を手わたす。思ったよりも重い。
「緑のドームに「ソラ」というじいさんがいるからな、そいつにソレを渡しに行ってくれ。」
「また~。そんなの魔法でパパーっと・・・。」
「無駄口を言う暇があったら、はよー行け!」


緑のドームまで、約1日半かかる
リンはサイーダに渡された小包と、当面の食料、「もし、困った事が起きたら、コレに聞いてみい」と渡された巻貝を持って旅立った。
死の海を後にして、だんだんと海草が増えてきた。
「死の海」はその名の通り暗い黒い海で続いていたが、緑のドームは海水が澄んで日が海底まで届き海草が育っている。
「もうすぐかな??」
もう、かれこれ8時間以上泳ぎっぱなしだ。
ちょっと休憩する事にする。
ふと目にした白い生き物にリンは手を伸ばした。
これがいけなかった。

白いものは待っていたかのように、リンの手首に巻きつき、気づかなかった大きな洞穴へと引きずり込もうとする。
必死に抵抗するが、一度くっついたら二度と取れないかのように、剥がそうとするが無理だった。
そして、洞穴の中へ・・・・。

グゥウウウイイン!!!!

もうダメだと目を閉じかかった瞬間、すごい音をして白いものはリンの手を離れた。
「大丈夫か??」
そう聞いてきた声の主は、リンのすぐそば・・・。
「あんた、誰???」
「助けてやったんじゃね~か。礼はねぇーのかよ。(怒!)」
歳は10代前半、目も髪も肌も真っ黒な青年。一つ不思議なのは、体が貝から出てたこと。しかも、リンの頭の大きさくらいしかない。
(サイーダからもらった貝じゃない??)
「お前が飲み込まれたら、俺も危ないじゃないか!!」
「や、やっぱり、あんた、貝・・・」
「貝って言うな!俺様には”ゴウシュウヘソアキエビスガイ”っていう立派な名があるんだ!」
「?ごう??へそ??」
「ゴウシュウヘソアキエビスガイ!!!」
「はいはい。。ヘソアキくんね。ありがとう、助かったわ。」
「!!もう、絶対助けてやらねーからなっ!」
「そんな事言ってもいいの~~??サイーダに言いつけようかなぁ~」
ゴウは貝の中に入りかけて、恨めしそうに振り向く。
「てめ~~。覚えてろよっ」
ぶつぶつとまだいい足りない様子でいるゴウだが、以外にもサイーダには弱いらしく、リンの言うとおり目的地へと急いだ。

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あの日、帰ってからとりあえず大変だった。
海上での出来事は、彼女にいつもの冷静さを失わせていたらしく、一度もばれた事のない掟破りが見つかってしまった。
掟を破ると海底深い「死の海」に住んでいる魔女の元へ送られる事になっている。
リンもその「死の海」へと送られる事になった。

「リン・・・・だからあの時、歌の練習しろって、言ったのに・・。」
「もう、しょうがないじゃない。過去には戻れないし・・・」
「みんな心配してるんだよ?」
「わかってる・・・。ごめんね??」
サイは「あの時」を連発し、自分を責めてるようでもあった。

「なぁ、リン、こうなったのはお前の責任なんだぜ、これからはもっと自粛してくれよな。」
「アキラ、そこまで言う事ないよ。」
「何言ってんだよ、お前だってそう思うだろ!」
まぁまぁ・・と2人をなだめつつ、今度はもっと上手くやろうと決心する彼女。
そして、もう行こうとした時、背後から聞き覚えのある声。

「おい!」
「!何?トキまで見送りに来てくれたの?」
整えられた顔立ちが、少しだけ、いがむ。
「まで、ってなんや!今年がどんな年かわかってたん?」
「わかってるわよ!・・・わかってましたぁ~。」
愚痴愚痴言うと、そのほっぺたをギュッとつねってトキは言った。
「・・・・。早よ帰って来ぃ・・やっ!!」
「っっ!!・・・。言われなくても、わかってるわよ!バァ~~~か!」
リンは悪態をつきつつ、人魚の地を後にし、深い深い海へと沈んでいった。


「しょうがないね、リンは」
「ほんとバカだよな。」
「・・・。」
リンの行った先をジッと見つめていたトキに2人は声をかけるが、トキの想いはここにあらずのようだった。


「・・・・早よ、帰ってこいよ・・・。」

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それは突然やって来た。
もう少しで彼の国に着く予定だった、その日。
嵐は治まる事無く、大きな大きな船をも深い闇へと呑み込んでしまったのだ。
彼の名は「ラスク」一国の王子である。
父である王の頼みで隣国に行った帰りの出来事だった。
彼も当然の如く、深い闇の中へと呑み込まれ、必死に浮いていた木につかまった。
そしてそこで力尽きたのである。
 
そして、彼女と出会った。

・・・・あきらめたくない・・・・・

『・・・・・んっ・・・?なんだろう?・・』

・・・・・いつもそこにある空のように・・・・

『・・う・・た??』

 
決して上手いとはいえない歌声であったが、なにか心に響いてくる。
そんな歌声だった。

いったい誰が???

少しだけ雲もに隠れていた月がでてきた。歌声の主はそんな月明かりですらはっきりわかるほど・・・・・。
『綺麗だ。』

唄い終わるまで、綺麗な横顔を見つめる。
唄い終わり、目が・・・・・あった。

「・・・・。」
彼女は驚いたように、目を見開いている。
その瞳の中には、月と、たしかに僕がいた。

「いい歌、だね。」
何も言わなければ良かったのかもしれない。その声にははじかれたように、彼女は行ってしまった。
そして、後悔の念にとらわれながら、また深い眠りについた。


気がつくと見慣れた部屋。
  僕の部屋・・・・・だ。
あれから朝になり、入り江を通った人に発見されて、運ばれたらしい。
 それにしてもひどい嵐だった。僕以外に助かったものはいるだろうか?

「ラスク王子!」
ノックもなしの訪問。母だ。
「良かったわ!ほんとうに。もう・・・・もう、連絡を聞いたときにはダメかと・・・。」
「母上、ごしんぱいをおかけして、すいませんでした。」
「そんな事はいいのよ。無事に帰ってきたんですもの。」
涙ながらに喜ぶ母親の横にもう一人。
歳は十代。綺麗な長い髪の毛。今まで異性に興味が少なかった彼も、ハッとするほどの美少女。
「母上、こちらの方は??」
「あぁ!うっかりしていたわね。ごめんなさい。こちらはアス国の、」
「「ダリアです。ラスク王子、本当にご無事でなによりですわ。」
ダリア姫は上品な声でそう告げた。丁度アス国の訪問中だったらしい。
「ありがとうございます。お父様はお元気ですか??」
「ええ!今日はこちらに来られないとの事で、失礼ながら私が変わりに来させていただきました。」
活き活きとしたかわいい姫だと思いながら、昨日の歌声の人を思い出した。

綺麗とはこの人のことをいうのかと思うくらい、「きれい」だった。
もう一度、会いたい・・・・。
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やっぱり、今日も月はでてない・・・か。

リンはそう思いながら、本来なら掟やぶりではある、海面を漂っていた。

今日は嵐も少し峠を過ぎたような穏やかな流れとなっている。
そんな海面を漂う事は、イライラとした気持も流して行ってくれるようで、心が安らいだ。
そしていつもの場所へと向う。
久しぶりのその場所は、以前とは違い海藻や岩が悲しげに打ち上げられていた。
嵐のひどさを彷彿とさせる。
「ん??」
寂しいその場所に、何か潜んでいる感覚にとらわれた。
「・・・・。誰かいるの・・・???」

まさか、こんな嵐の時期に上がってくる人魚なんて私くらいだし・・・。

 少し入り江から遠くに・・・・イタ。

きっと乾くと柔らかそうな髪。
顔は・・・・残念ながらこっち側からは覗えそうにもない。
彼はうつぶせに浮いた木の上に倒れていたからである。
「・・・ねぇ?生きてるの???」
恐る恐るそう聞きながらそっと手を触ってみる。

  つめたい・・・。

どこから来たんだろう?リンが今まで見た事のない服を着ている。
少し身体をゆすって見る事にした。
ゆすった瞬間に、彼をかろうじて乗せていた木が動いて、彼の身体がもっと冷たい海へと落ちて行く・・・・・・

あぁ!!ヤバイ!!

あせって彼の腕をつかむ・・・。
『あ、この人、人間だ』
人魚とは違う2本の足をみながら、森はどうにか入り江へと運んで行った。

『やっぱり、死んでたのかな?』
『せっかく、こんな間近で人間を見れたのに、死んじゃってるんじゃなぁ~』
『嵐のせいかな??』

次々と出てくる疑問を頭に、まじまじと彼を見る。
さっき見えていなかった顔は、丹精に整っておりまっすぐに伸びた眉毛は、自己の強さをあらわしているようだ。
そして、何も語らない唇は、ほんの少しだけあいている。

ふとリンの頭に歌がうかんだ。

~♪諦めたくない  歩いていく
~いつもそこにある空のように♪~



気が付くといつのまにか唄っていたらしい。
唄い終わり、我に返ったとき、彼と目が合った。

「・・・・。」
「いい歌・・・だね。」
そうつぶやいた唇には、さっきまでの「死」の匂いは感じられないほど、艶やかで、赤かった。
リンは理由もなく恥ずかしくなり、何も言わずにその場から逃げ出していた。
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「・・・・・。なぁんて言うんだぜ?ほんと大丈夫なのかよって!」
あれからリンとわかれたサイは、アキラの家に寄り、さっきあった事をこと細かく伝えた。

「ふ~ん。まぁ、なんとかなるんじゃない?そんなサイが心配する事ないかもよ?」
長身・金髪の彼「アキラ」は激怒しているサイをなだめるようにそういうと、
大きな欠伸を1つ・・・。
「友達がいのないやつだな、アキラは!」

 なんだかんだいったって、リンのこと、心配してるんじゃん。
 ほんと、リンがうらやましいよ。
 俺のこともこんなに心配してくれるのかなぁ~?この人は・・・。

アキラの気持を知ってか知らずか、今度はアキラに対しても怒ってきた。

「アキラさ~前からも思ってたんだけど、この部屋、なんとかならないの?」
そう言われて、部屋の中を見渡す。
戸棚に入っているはずの服は、イスの上に高々とつまれ・・・・。10畳?はあるだろうという部屋は、あと1人入ったらいっぱいいっぱいであろう。


 う~ん、お世辞にも「きれい」とは言い難いな。

「まぁ~いいじゃん、こうして2人近づけるわけだし??」
そう言いながら、ほっぺにチュッ。
「ねっ♪」
もちろん、当然の如く怒りの鉄拳をくらうはめになるのだが。

「ば、バカな事してんじゃね~~(怒)」
「なんて言いながら照れてるくせに~~♪」
「~~アキラ~~!!」

まぁ、このくらいにしておくか。
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なんなのよ~~!」

さらさらストレート、シャープな顎のライン、人を見ぬくかのような瞳、そして自慢の長い脚・・・。
輝いたうろこが付いた綺麗な脚。
そう、彼女は、人魚なのである。

「なんで外に出ちゃいけないわけ??」
「しょうがないじゃん、今は・・・さ。」
こちらの少年はいかにも真面目。こうと思ったことは貫くタイプのようだ。
悪く言えば、妥協は許さないともいえるが。

「あ~~!!外に行きたい~~~!!」
「こういう時こそ、歌の練習でもすれば??」
「うぅうううう~~!!!」

さらっと色素の少ない髪をかきあげながら、サイをにらむ。

「君の好きなようにすればいいよ。でも後で泣いたって知らないからね。」

 ほんと、サイはまじめなんだから。
 そりゃ、少しは練習しなくちゃと思ってたけどさ~。
 はぁ~。なんにもする気にならないんだよね・・・。



ここは海の世界。

海の生きもの達が暮らしている。
その中でも一等珍しく美しい生き物が、人魚である。
姿は人間に似ているが、唯一違っているもの・・・
2本の足が魚のようになっている。
それをのぞけば、何ら変わりがないのだが。
人魚である彼らから見ると、人間の方が不思議な生き物なのかもしれない。


この2ヶ月余り、海は大荒れ
唯一の楽しみである、月光浴ができないため、彼女はイライラとしていた。
原因の理由としてもう1つ。
7月になると、「グローバル」という、人魚達がここぞとばかりに集まるお祭りが開催される。
約3ヶ月間のこのお祭りはもちろん森にとっても楽しみなのだが、今年は少し違っていた。
「グローバル」の前夜祭で彼女が抜擢され、歌を披露しなくてはならなくなったのだ。
本人はもとより、周りも驚いたのはいうまでもない。

彼女は決して歌が上手いと言えるものではないからだ。

サイが練習と言ったのも、こうした訳があった。
この祭は、いろいろな地域から集まってくる人魚たち、それぞれのお披露目の場である。
その前夜祭のソロはみんなあこがれているものなのだ。

たしか、去年はトキがしたんだよなぁ~~。

「トキ」はリンの昔からの友人の一人である。
オールマイティーになんでもそつなくこなし、去年もみごとにソロを唄いあげた。

 なんで今年は私なのよ~。

泣きそうになってくる気持を抑えながら、事の重大さに逃げ出したくなる
しかし、ここは責任感の強い彼女。そんな無責任な事はできるはずもない。

 はぁ~。練習しないとなぁ~。

重い気持と一緒に重い腰(っていいのか・・)をあげながら、いつもの場所へと向う彼女であった。
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