久しぶりの投稿になります



昨日、日本糖尿病学会近畿地方会が無事に終了しました

当院発表演題は以下の通り

「糖尿病患者に対する経口補水液OS-1の安全性についての検討」

熱中症を含む脱水予防対策の必要と言われるようになりましたが、
市販されているスポーツドリンクでは塩分に比し、糖質が多く含まれおり、糖尿病患者では飲用後の高血糖のリスクが伴います

実際に病弱時にスポーツ飲料の過飲により「ペットボトル症候群(ケトーシス)」で入院される患者もおられますが、大塚製薬が開発された「OS-1」はブドウ糖濃度を抑えた飲料であり、OS-1飲用後に著明な血糖上昇を来すことはありません

ところで、塩分補給になぜブドウ糖が必要となるかということですが、実は小腸の「SGLT1受容体のナトリウムブドウ糖共輸送」を利用しているからです

少し難しい話にはなりますが、ブドウ糖(糖質)とナトリウム(塩分)を同時に補給すれば、両者とも効率的に補給されるというしくみがあり、OS-1という飲料はそのしくみを上手に利用しているわけです

病気のときに食べる「お粥さん」を食べた経験を多くの方がお持ちだと思いますが、それは小腸のSGLT1作用を上手に利用しているわけです



先程のSGLT1受容体(小腸)でなくSGLT2受容体(腎)の作用を抑えた「選択的SGLT2阻害薬」が本年4月に発売され、一部の糖尿病患者さんには福音となっております

しかしながら、同時期に4製品が発売され、製薬会社間の競争が繰り広げられており、関西地区では関西電力病院の清野裕先生が中心となり、各社合同の講演会が発売直前に開催されました

糖尿病の世界では「ARB戦争」「DPP4阻害薬戦争」があり、常軌を逸脱した行動を取る製薬会社も散見されております

ARB薬(ディオバン・ブロプレス)では論文不正問題が新聞紙上を賑わせました。DPP4阻害薬でも残念ながら露骨な他社攻撃を行っていた製薬会社が2社あり、そのうちの1社からはエゴ丸出しの宣伝活動に協力をさせられたこともあり、甚だ迷惑でした(訪問禁止にしようかどうかも迷っておりました)

そのような経緯もあり、当院では基本的にARB薬およびDPP4阻害薬の(不当な)宣伝活動を自粛して頂くこととし、遵守できない製薬会社には訪問を禁止することにしています

そのような中、SGLT2阻害薬発売の半年前より、当院に定期的に訪問している製薬会社MRには過度の宣伝活動や露骨な宣伝活動の禁止を伝えていたつもりですが、露骨ではありませんでしたが、マイルドな他社攻撃をしていた会社が存在していたことは残念でした

「某薬は皮疹が出やすい」「某薬はSGLT2の選択性が低い」

商品の善し悪しを最終的に判断するのは消費者(医療界であれば、医師や患者さん)であり、販売者ではありません。そう言えば、昨年、新しいインスリンが発売されましたが、そのネガティブ宣伝をしていた会社もありました。



それにしても他社攻撃をすることは一般社会でも多々みられるようですね。インターネット上でおもしろい記事を見つけました

スタバが「ネガティブ広告」に反撃しない理由


マクドナルドの攻撃をスルーした、スタバの真意



iPhone6を攻撃した「サムスンモバイル」「米国LGモバイル」「ドイツ・ノキア」、日本の国会での与党野党間の揚げ足取り合戦などの例も挙げられている

マクドナルドに攻撃されたスターバックスのハワード・シュルツCEOは「わたしたちはなんの抗議もしなかった。しかし、わたしは激怒していた。『攻撃に出なければならない』と私は言った。『喧嘩するのではなく、積極的に自らを定義し、声をあげ、会社の個性を表現したい』」と語っている。興味のある方には是非とも読んで頂きたい記事でもあります



冒頭のOS-1の話に戻りますが、選択性の低いSGLT2阻害薬を用いた場合、OS-1の効果が相殺される可能性も否定できませんが、低いと言っても158倍ですので、臨床的には問題にならないと考えています

もちろん、真実は不明ですので来夏にはSGLT2阻害薬服用中の患者さんに協力して頂き、OS-1の有効性について調べてみたいと考えております

攻撃された製薬会社の名誉を守るとともに攻撃した製薬会社には猛省して頂くためにも是非とも調べてみたいと思います

ところで、露骨な他社攻撃をするのは欧米や東アジア(日本以外)に多いみたいですね(笑)