こんにちは

土曜担当の岩波です。

本日は映画の音声マルチチャンネルの事を、
少しお話し致します。

今現在、パソコンや
あらゆる家電製品を含めオーディオに関しては、
ステレオ(2ch)が一般的ですが、
今、映画館がマルチchの音声な事は、
今や誰でも知っていますね~、

5.1チャンネル、とか。


まずは、この5.1chは何を意味するか?
今更ですがお伝えすると、

5はL、C、R、LS、RS、の5chの意味で、
0.1chというのは
低音だけの100Hz以下の音
を扱うチャンネルで、
他のchより、1/10の領域しか使わないので、
0.1chという表現をしているんです。



これは一般的に知られているマルチチャンネルですが、
どんな効果があるか?

本格的に勉強するとかなり難しい事になりますので、
ここでは
簡単に分かり安く説明
致します。

そしてそれを知る事で、もっと映画館に足を運んだり、
特別な館での音はどこから出てるかな?
とかを気にして、
音でも映像を楽しんで頂けたら
と思っています。






こういう時代ですから、映画のDVDを
ノートパソコンで見る時代
でもあります。

映像は昔よりも、とんでも無くキレイな画像を
楽しめてますが、残念ながら音に関しては、
時代と共にドンドン悪い状況で、
聴かせられています!





もちろん、
飛行機の中で、あの最悪なヘッドフォンで、
映画を見ても、そこそこ楽しめます。

僕自身も機内で
『HACHI』で完全に涙しました
し、
『ツリー・オブ・ライフ』でも十分感動
しました。

そして、その後
『僕はこの映画は見た』と言い切ります。

しかし、

後にブルーレイの5.1chで見て、愕然とします。
こんなに素敵な音楽と効果音で織りなされていたんだ!

この映画の素晴らしさを充分楽しんで居なかった、
と反省させられます。




洋画は特にですが、
大きいスクリーンで久々見ると、やはり
『映画館で見ないと、画も音も
作り手の思いは充分伝わらないな~?』


と、つくづく思います。

TVで見ても劇場で見ても変わらない作品もありますが・・。


しかし、映画の1本1本が、
劇場でドカーンと気持ちよく見てもらう為
に、
音に関しても、
スタッフが一所懸命、時間をかけて
より映画が感動出来る様に、

精魂込めて作っております



是非、映像の中に入っている音を、
許される限り!
充分感じる事が出来る環境で、
観て聴いて頂きたいのが、僕の願いです。





それでは『今更聞けない5.1chサラウンド』

続けます。

まず、
『光学録音の歴史の話しから~』
と言っても、もう
フィルムの時代が終わろうとしている
のですから、ここでは

『5.1chのマルチ音声の音場』の事のみ説明します。

そして、
ご自宅のサラウンドと。
    スタジオのサラウンドと
         劇場のサラウンドは


微妙に役割も、呼び名も、異なるのですが、
この際一緒に説明します。







まずはスタジオ的にはこの図


が、推奨される音場ですが、
ご自宅にこんな正確にはセット出来ないし、
劇場の全席がそうか?というと、
まったくそうではありません。

これはあくまでスタジオではこうあるべき
という指標です。




ここではもう少し簡単な図で説明します。

まずは、ご自宅に5.1chセットを設置出来る方は、
まずこの形にセットしているでしょう。




そこで、この図を見ながら、
音が流れて来るのを想像してみて下さい。


音楽で言えば、
LとRに今までのカラオケが流れるとして下さい。
そしてセンターからは、歌手の生声が、そして
LS,RSからは歌やオケの残響が聞こえて来ます。

まさにそこは、コンサートホールです。


映画でも、
LとRからは異国の街の音、そしてセンターからは、
憧れのスターの素敵な生声が、そして後ろからは、
遠くの山から聞こえる鳥のさえずり

海外に出掛けてしまった様な空気感。
  

ステレオ(2ch)では絶対に体験出来ない世界
がそこにあります。



僕はこの5.1chの世界の虜になって、
15年程になりますが、それはそれは素晴らしい5.1chの
音楽や映画や予告編に出逢えたからであり、

その素晴らしい音に出逢わなければ、僕も今でも、
音楽も映画もステレオで充分じゃん!
と言っていたと思います。



映画館もこの5~6年でリニューアルし、
充分な音量が出せる館も出て来ました。

注意)5.1chの場合は、音量が出せないというのは、
単に音が小さいだけでは無く、全体のバランスも崩れるので、

制作者の意図する表現が、充分こちらに伝わらないのです。

充分な音量が体感出来る劇場を、選んで観る事を
おススめします!




ご自宅でも、
スクリーン&プロジェクターの流行の時期は過ぎ
大型TVの世界も3D時代の到来ですが、大型TV業界は、
伸び悩みで、各社頭を悩ませています。

『自宅に3DTVが居るのか?』って、
今でも僕も思いますが、


しかしこれもそうです。

仕事で素晴らしい映像に参加させて頂くと、
やっぱ『欲しい!』
純粋に思います。




映画『アバター』を日本の劇場で観て
『3Dは必要無いんじゃない?』
って言って、それからもう3Dを観ない人も居ますが、
あの時は日本人は誰も
本当の3Dを魅せてもらって無かったんです!

と、あまり書くと問題となります。





素晴らしい映画ソフトがドンドン増えている今、
ご自宅でもこんなに凄い3D映像が見れるなら、
音を2chで聴いていてはもったいない!

是非5.1chで楽しんで頂きたいです。

なぜなら、
画の素晴らしさを、より感動的に楽しむ為に、
音も5.1chマルチで作られているからです。

飛び出す事より、奥行きが凄い3Dは、
サラウンド無し普通の2chで観る方が、
むしろ不自然です。





で、今度は映画館

ご自宅の5.1chに比べて少し複雑に見える、
かもしれないですが、そんな事はありません、

映画館もほとんど同じです。

サラウンドのスピーカーが増えてますが、
お客さんが多い事から、
皆さんに音が行き渡る為に多いだけで、
LS(エルエス)レフトサラウンド=Surround-L  は
スピーカーが1個でも3個でも10個だろうが
音はモノ(1ch)です

ですから、

左側後ろの壁にかかった同じ大きさのSPは、
全部同じ音が鳴っていて総称して
LSスピーカーと言います。右も同じです。


そして、ご自宅やスタジオは大型ワイドTVを使いますが、
映画館ではスクリーンの後ろに
スピーカーが隠されています。

音を透過する事の出来る特殊なスクリーンです。


で、劇場では、
沢山のお客さんに出来る限り同じ環境
楽しいでもらいたいのですが~、それは不可能です。

やはり今も昔もべストポジションは真ん中です。


昔は新幹線の指定席みたいに
白い背もたれの布の席
が光り輝いて、
他全部満員なのに
指定席には誰も座って居ないという、
本当にナンセンスは時代が続きました

今や、完全指定や、完全入れ替え制がほとんどで、
比較的ペストポジションのエリアも、
広く設けているようで、劇場側も頑張っています。





5.1chにも、簡単に言うと2種類あり、


ドルビーさんの『Dolbyデジタル』


Digital Theater Systemsさんの
『DTSデジタル


記録方式も再生方式も違います。


音量音質ともに、DTSさんの方に軍配が上がり
DVDではドルビーの音声に追加さて、
DTSでの音の選択が出来る映画は、
『音に自信有り!』という事が言えます。


その代わりDVDでは、DTSはデータ量が多いため、
画に充分な容量を与える事が出来ず、
画がキレイに再現されないケースもあります。



それぞれに、過去のアナログ方式があり、
それも必ず今でも付随させて居ます。

映画館ではデジタル環境がトラブったら、
すぐアナログに即切り替える事が出来る為と、
デジタルの環境が無い劇場で上映する為です。


このアナログの方式は、
ドルビーさんは『Dolby-SR(エスアール)』と呼び、
DTSさんは『アナログDTS』



ご自宅が観るDVDでは、2chをマトリックス方式で見る,
ドルビープロロジックが、ほぼそれに近い形です。

サラウンドがLもRも同じモノで再現される、
4.1chという形式です。






そして次に、

ドルビーデジタルEX6.1chです。

お客さんから見ると真後ろにサラウンドのセンターを
1ch増やした6.1ch

1999年の

『スターウォーズのエピソード1』

世界で始めて導入された。

日本中の映画館が、確実に儲かる『SWエピソード1』を
上映したくてしょうがなく待ち望んでいたら、

ルーカスフィルム側が、
『今度のスターウォーズを上映出来るのは、
ドルビーデジタルEXがかかる館だけだよ!』


って言ったから、さあ大変!


日本中の映画館が劇場を改装し始めた。

ドルビープロセッサーの買い替え。
リアスピーカーの一部を分岐して、
サラウンドセンターが鳴る様に改装



当時、劇場としても大変な出資だったろう・・


その後、改装費を回収出来る程、儲かったか?
そのEX6.1chの効果を、我々一般人が理解し、求めたか?

というと、答えはNOだ、劇場用は多分このまま、
EXは消滅するのでは無いか?と言われている。


このサラウンドセンター
サラウンドバックと言われたり、
リアセンターとも言われた。





そして、
次に映画館で時々目にするのは、SDDS方式だ。

ソニー・ダイナミックデジタルサウンド

SONYピクチャーズさんの作品のみならず。
音を圧倒的な威力で観たければこれだ



しかし、記録にも再現にもお金がかかるし、

まず、上映出来る劇場が少ない為に、
邦画ではここに踏み込む映画はほとんど無い

スクリーンバックに5本のSPを持つ劇場
あまり多くは無い。


SDDS方式で無ければ、
いわゆる8chディスクリートならば、
会場は存在する。




例えば、
それは銀座のソニービルディング
SONY Aquarium だ。(元ソニープラザ)

2012版『沖縄美ら海水族館』
http://www.facebook.com/sonybuilding

200インチの高画質4K映像の三面マルチ
そしてもちろん、音が7.1ch
※)4K映像はフルHDの4倍以上の解像度


この大きさのジンベイザメやマンタ等の
素晴らしい映像に合わせた音楽


その7.1chのスタジオSPセット図がこちら


その迫力のスケールでお贈りする音楽の
7.1chトラックダウンを、

先日ディオスで、作業が行われた。



スピーカーセット(仮増設セッティング)



音楽ミキサーは、もちろん大野映彦

マルチchと言えば、この人

このブログでも、去年ご紹介してます。
http://ameblo.jp/dios-blog-diosujiko/day-20101225.html


そして作曲家は、吉川清之

TV&映画『臨場』やTV『遺留捜査』等を手掛ける
今現在、TV『警視庁捜査一課9係』の音楽で
徹夜の連続中の吉川氏の事も
http://ameblo.jp/dios-blog-diosujiko/day-20120204.html




完全にスピーカーを意識する事無く、
前方の面全体から出て来る様な音
そして限りなく円周状に包まれる音場

絶対に7.1chでしか味わえない世界です。




こういう会場を大型特殊映像館と言いますが、
1985年の筑波の科学万博でもブームになりました。

富士通館の『ユニバース』
サントリー館での『I-MAX
東芝館の『70mm/60コマ映像』

に、どれも度肝を抜かれました。

バブルが弾けて以降、独立して成功する
大型映像館はなかなか存在しない。



SONY Aquarium は7/16~9/9まで
2012版『沖縄美ら海水族館』
入場無料!





仕事上我々は今や、
ノートパソコン等で打ち合わせしますが、

出来る限り音量が出せる環境で、
打ち合わせをする事を望んでいます。



そんな事で、
先日遭遇してしまった、必殺アイテム
もう一度ここでご紹介します。

iPadやiPhoneでも良い音を。
http://ameblo.jp/dios-blog-diosujiko/day-20120527.html

小さい筐体だけど、音がシッカリ出ていて、
今僕が音作りをしている最終確認に使っています。




しつこい様ですが、


一般人が楽しめるソフトでも、
素晴らしい音が一杯詰まっている作品が沢山あります。

それを観る側、聴く側が
良い環境で再生されて居ないだけです。

許される限り良い環境を揃えて
画と共に音も隅の隅まで聴いて下さい

是非是非、よろしくお願いします。



では今週はこの辺で、

土曜担当の岩波でした。


中野坂上スタジオ と(株)ディオス
http://www.d-ios.com/

これからもよろしくお願いします。