$でじたけ日記


昭和45(1970)年11月25日…
当時、大人気だった作家で現在のマルチタレントのはしりでもある三島由紀夫が、市ヶ谷の自衛隊駐屯地において総監を人質にとり、自衛官に演説。憲法改正のためのクーデターを呼びかけた後、割腹自決した。世に言う三島事件である。

小学2年生だった私には、三島由紀夫が何者なのか、ましてや事件の意味することがわかるはずもなかったが、繰り返し流れる制服姿で演説をするニュース映像と「首を落として死んだ」というセンセーショナルな最期が、まるで棘のように突き刺さって離れなかった

「憂国忌」という追悼会が毎年催されていることは知っていた。
ただ、正直なところ、少し敷居が高いと感じていた。あるいは右翼の集まりではないかとも勘ぐっていたところもあるし、三島文学もそう読んでいるわけではなかった。

今年の春、「三島由紀夫の来た夏」の著者、横山郁代さんとお知り合いになれた。三島由紀夫が大好きだった下田のマドレーヌをぜひ食べてみたくて、横山さんの洋菓子店に足を運んだのがきっかけだった。

そして今年の「憂国忌」では、横山さんが講演をされるというので初めて行ってみることにした。

会場は永田町の星陵会館。
地下鉄、永田町駅を降りると「憂国忌」と書いた提灯を持ったスーツ姿の男性が案内に立っていた。

参加費は2,000円。学生は1,000円。主催している三島由紀夫研究会に入っていなくても、誰でも参加することができる。

ホールの入口には三島由紀夫氏と、共に自決した楯の会学生長、森田必勝氏の御位牌が置かれ、会場入りする人たちが次々と頭を下げていた。

$でじたけ日記

午後2時。時間に正確だった三島氏を見習うように定刻通りに会は始まった。

黙祷…。
続いて3人の講演者が演題に立った。横山さんは2番目だった。

正直、思ったほどの政治色もなかった。演題にもよるのだろうが、いわゆるセミナーに近い印象だ。

ただし、締めは参加者全員で「海ゆかば」の大合唱。これは決まりごとらしい。

横山さんに声をかけていただき、立食パーティー式の懇親会にも参加させてもらった。
よく見れば、テレビや新聞、雑誌などで顔を見たことがあるような評論家の先生も多数いる。話しによると自衛隊の関係者も大勢いるようだ。

お酒が入ってくると、みんなやや口が軽くなってくる。とてもメディアでは言えないようなストレートな意見も飛び出してきて興味深い。

しかし、みんな楽しそうだ。
帰りは「また来年」と言い合って別れる。差し詰め、三島由紀夫マニアのオフ会とでもいった感じだ。

はたして、棘はあいかわらず刺さっているように思えるが、棘の先を触ることに少しばかり快感を覚えていると言っては言いすぎだろうか。


$でじたけ日記


【本家・人生日々更新】毎晩午前0時更新
http://digitake.com/

【twitter】

http://twitter.com/digitakecom



Sugimoto Takeshi | でじたけのFacebook