ネット廃人は病気か?
テーマ:ゲーム 以前より、ゲーム好きな若者の間で暴力的な行動が見られやすいというデータから「ゲームは暴力を惹起する」という『ゲーム脳仮説』を提唱するトンデモ学者さんやマスコミの風潮がありましたが、海の向こうではより深いレベルでの議論が進んでいる模様。
というわけで、ちょっと前にニュースになっていた『ネット・ゲーム中毒は精神障害
』という提言に少なからず興味を引かれたので報告の原文
を読んでみました。内容を要約すると下記。
合衆国だけでなく日本やイギリス等全世界でビデオゲームが広まり数十億ドル産業にまで発展しているが、従来考えられてきたように15-25歳の若年男性がgamerの大部分を占める一方で、若年女性もMMORPG (massive multiplayer online role playing game)の普及に伴い増加している。その内一日2時間以上をゲームに費やす人をheavy gamerと定義される。
ゲームによる技術進歩が効率的な軍事演習や医学の技術発達につながるという利点がある一方、長時間に渡りゲームをすると、因果関係は不明なものの、てんかん発作(光刺激誘発性発作)、腱鞘炎、肥満、攻撃的な感情・認知・行動、社会性の低下を伴いやすい。
以上のような一般的背景があるが、更にネット中毒・ゲーム中毒についての考察を行う。
実生活に障害が出る程にネットやゲームにのめり込む者が散見されるが、これはgamerの9%が参加しているMMORPGに特によく見られる。実社会では孤独であったり対人関係で障害を抱えている場合に、却ってゲーム社会で成功体験を得ることが多い。その結果、病的賭博やアルコール依存症と同様な行動上の障害を起こすことがある。
対策としてはゲームにRatingを厳密に施すことによって成長発達段階にある青少年の手に行き渡らないようにするなど、業界が自主的な抑制策を打ち出したり、その危険性について啓蒙活動を行う。
あるいは公的な権力、具体的には法律の網をかぶせて規制したり、中毒に対して精神科的な診断・治療を施すことも必要である。
内容的には、ネット中毒・ゲーム中毒の危険性を指摘しその対策をまとめた総論なのですが、【病的賭博(pathological gambling)】や【アルコール依存症(alcohol dependence)】になぞらえて踏み込んだ議論を行っているところが興味深いところです。
病的賭博においては、たまに大勝ちした時の快感が忘れられずに更にお金をつぎ込むという、成功体験が更なる賭博行為のエスカレートにつながるという悪循環があるのですが、ゲーム中毒においても実社会で被っている仮面よりもゲーム社会の中で被っている仮面の方が世間体が良くなる(周りからの受けが良い)という成功報酬により行動が強化されている可能性があります。
また、アルコール依存症との対比では進行具合をcheckする際に用いられるCAGEスコアを見るとイメージが湧きやすいかもしれません。
1 あなたは今までに、自分の酒量を減らさなければいけないと感じたことがありますか?(Cut down)
2 あなたは今までに、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがありますか?(Annoyed by criticism)
3 あなたは今までに、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがありますか?(Guilty feeling)
4 あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?(Eye-opener)
お酒に関する部分をゲームに置き換えると以下のようでしょうか。
1 あなたは今までに、自分のゲーム時間を減らさなければいけないと感じたことがありますか?(Cut down)
2 あなたは今までに、周囲の人に自分のゲームのやり方について批判されて困ったことがありますか?(Annoyed by criticism)
3 あなたは今までに、自分のゲームの仕方についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがありますか?(Guilty feeling)
4 あなたは今までに、朝起きて何より先にオンラインゲームにログインしたことがありますか?(Eye-opener)
簡潔にまとめると「こんなに飲むなんて駄目だ。俺って駄目な奴だ。でも飲んじゃうよ!」というのがアルコール依存症のあるべき姿であり、「自分の意志の力で断ち切るか、しからずんば死か」というのが最終形態。
いずれにしても、ネット中毒・ゲーム中毒とは病態的に共通基盤がありそうだなぁというのは首肯けるところなので、応用した専門的な治療プログラムを開発すると奏功するかもしれません。
日本においてはまだネット中毒やゲーム中毒において問題と捉えて対策を施すほどには議論は深まっていないように思いますが、禁酒法という前例がある合衆国では『禁ゲーム法』が制定される日が来るかもしれませんし、その流れは日本にも押し寄せてくる可能性は低くはないと感じます。
…というわけでまた一つEC○をやらない理由が出来てしまいました(笑)。





