(個人的な)試しに、英文を和訳したかのような日本語で書いてみる。
今日は、「仕事と私、どっちが大切なの?」といういかにも有名なこの台詞について考えてみたい。
この台詞の話者は女性であるイメージが強いと思うが、私も口にしたことはないものの、心の中で思うことはある。逆に、今まで付き合った何人かの男性から、そのようなことを言われたこともある。
ちなみに、男性に「仕事と僕、どっちが大切なの?」と言われたとき、私の最初の回答はこうだった。
「仕事に決まってんじゃん」
本気でそう思ってたので、そう答えていた。この二人がその後どうなるのかは、推して知るべし。
数年後、別の人に同じことを聞かれたとき、過去の経験からの学びを活かしてこう答えた。
「どっちも大切だよ。でもそもそもその2つは同じ土俵で語られるべきじゃないと思う」
自分で言うのもなんだが、この言い回しは相手を余計傷つけるのでおすすめしない。
ただ皆さんの中にも、この趣旨で回答している人はけっこういるのではないか。
君も仕事も、どちらも大切なんだよ、でも仕事はどうしようもないから、理解してくれ。
私はしかし、少ない恋愛経験から、この回答は所詮「仕事に決まってんじゃん」に毛が生えたレベルで、まったく二人の問題を解決することにはならないことを学んだ。
仕事だから仕方がないことくらい、どんなカバでもわかる。というか、たいていの人は世間の常識として知っている。うまく説明さえすれば、子供だって理解できるだろう。
世の中に不可抗力はつきものなのだ。その問題は時代年齢地域のすべてを越えて、ただ事実として、歴然と常に、存在する。
「仕事なんだから」という言葉は、言い換えると、「君さえ我慢してくれれば解決するんだから、我慢しろ」という押し付けに過ぎない。相手が余計傷つくのは当然だ。
今の私は、なぜ「仕事と私、どっちが大切なの?」という「そもそも同じ土俵で語られるべきでない2択」を迫られるはめになるのか、理解できるようになった。
これは人間的に、ものすごく大きな進歩だと思っている。えっへん。
まずあなたは、「仕事と私/僕、どっちが大切なの?」という2択を迫られたときは、問題解決のために何か回答しようとする前に、そんな悲しいことを言わせてしまったことを反省すべきだ。
そう、その2つは、どちらも人生においては欠かすことのできないものであり、決して究極の選択として語られるべきでない。言った本人もそれくらいよくわかっている。
しかし、よくわかっているはずのことを今一度あなたに尋ねなければならなかったのは、自分が大切にされていないと不安に感じた、もしくは傷ついたからである。
ここで2つポイントがある。
1.相手はあなたのしたことに怒っているのではない。この不可避な状況に傷ついているのだ。
2.相手はあなたに謝罪を求めているわけではない。あなたの共感を求めているのだ。
そうは言っても、相手はぷんぷんしてるよ~と思うだろうが、傷ついたことをストレートに表現できずにぷんぷんアピールしているに過ぎない。
だから「仕事と私/僕、どっちが大切なの?」という2択を迫られたとき、もしくは、迫られそうな気配を察知したとき、もしくは相手が何やら怒っているときは、
1.相手が傷ついているのだと解釈してあげる
2.君が傷ついていることを理解しているよ、君が傷つくのは自分も不本意だし、自分も悲しいよ、と伝えてあげる
これで相手の怒りは収まる。
相手は、自分が傷ついたことを理解してもらえた、と安堵する。さっきまで感じていた「自分が大切にされているか」という不安は消え去り、あなたの言い分を聞くゆとりが生まれ、きっと、二人で解決策を考えることができるだろう。
良かった、自分は今までと変わらず大切にされている。
今回のことは自分が残念に思っているのと同様に、相手も残念に思ってくれている。
自分たちは気持ちが通じ合っている。安心だ。フゥ。解決。
仕事でクライアントとモメたときも同じことが言えると思う。
怒っているクライアントに対して、あなたはいきなり「そういう仕様なんで仕方ないんです」と説明するだろうか?火に油を注ぐ結果になるのは目に見えている。
または、クライアントの怒りを鎮めようとひたすら陳謝しているのに、いっこうに先方のテンションが下がらない経験をしたことはないだろうか。
怒っているから謝っているのに、「君は我々の立場を理解しているのかね?!」と言われてしまう。
クライアントは、あなたへの期待(それが一方的だったとしても)を裏切られたことで、傷ついている。あなたが最初にすべきなのは、あなた側の事情の説明ではなく、クライアントが傷ついたことを理解してあげることだ。
さぞ困らせてしまったことと思います。あなたの期待に添えず、申し訳なく思っています。自分も残念です・・・。
クライアントはきっと、自分の気持ちを受け止めてくれたあなたに、再度心を開いてくれるだろう。
あなた側の事情を説明するのはその次だ。
仕事でも私生活でも、不可避な事態は起こる。誰しも人生で、そういう経験を積んできている。
だから気持ちが通じ合っているという確信が持てれば、あなたの目の前の人はきちんと事情を理解をしてくれるだろう。
人は、信頼している相手にほど期待をしてしまい、知らず知らずのうちに強く共感を求めてしまう。だからこそ、意に沿わない結果になったときに傷つく可能性も高い。
その代わり、すれ違いをきっかけに再度お互いの気持ちを確かめ合えば、より強固な関係を築ける。
とはいえ、大前提として、相手に「こうあって欲しい」という勝手な願望を押し付けるのはNGですが。