義足女性アスリートのヌードカレンダー | かけがえのないゴルフ人生

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DGA(日本障害者ゴルフ協会)の事務局長をしています。お給料はなし、24時間のボランティアです。たくさんの素晴らしい障害者ゴルファーからもらう勇気と元気が活動の糧。障害者ゴルフの活動と日々見たこと感じたことを綴ります。

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ロンドンパラリンピック陸上競技の出場候補選手である中西麻那さんが自身のセミヌードカレンダーを作り売り出したのは3月中旬のことだった。

このニュースを知った時は大いに驚いたし、障害を臆せず見せて美しいヌード写真を発表する彼女の勇気を絶賛する気持ちで一杯だった。障害を隠したがる傾向が強かった日本で、しかも女性がこんな素晴らしいカレンダーを作るなんて少し前まで考えられなかったことだ。障害を持つアスリートの意識が随分変化したのだと思う。

すぐにでも記事にしたいな・・・と思ったのだけれど、正直なところ少し考え込んでしまった。麻那さんがカレンダーを作った背景を知って暗い気持ちになったからである。

麻那さんがこのカレンダーを作ったのはずばり、パラリンピックに出場するための資金を捻出するためだった。高校時代、ソフトテニスの選手としてならした麻那さん。仕事先の塗装店で崩れてきた鉄骨に足を挟まれ、右膝下から足を切断した。それでもスポーツが大好きで諦めきれなかったと言う彼女は障害者の陸上競技に挑戦。ジャパンパラリンピックなどに出場し、走り幅跳びでは日本記録も持っている。

この夏、ロンドンで開催のパラリンピックでは出場候補選手に選ばれて、アメリカで特訓中。しかし、資金が底をついてきたことからこのカレンダーを作って販売。資金を作ることを思い立ったと言う。

詳しくはこちらの記事を参照してください。

彼女がインタビューでも語っているように、障害者スポーツのトップアスリート達はパラリンや世界選手権に参加するための資金捻出に非常に苦労している。だいたい、健常者のスポーツに比較して障害者スポーツが恵まれていないのは、メダルの報奨金を比べたら一目瞭然なのだ。

オリンピック=金メダル300万円、銀メダル200万円 銅メダル100万円
パラリンピック=金メダル100万円、銀メダル70万円、銅メダル50万円

しかも、オリンピックのメダリストには所属する企業等からの報奨金もプラスされるので1億円くらいゲットした選手もいると聞く。でも、障害者アスリートには少しくらいのスポンサーはつくだろうが、高額の報奨金など期待できない。

だいいち、パラリンピックに参加するにもその予選である世界選手権に予算がなくていけないなどの話がたくさんあり、涙せずにはいられないのだ。

私の関わっている障害者ゴルフにしても、パラリンピックの種目ではないために世界大会に遠征する助成金が貰えなかったり、選手や役員は自腹を切って海外遠征に臨んでいるなどの苦労は絶えない。

だから、中西麻那さんのセミヌードカレンダーとパラリンへ出場するための資金作りという話を聞いたとき手放しでは喜べなかった。

彼女のカレンダーは大変いい作品だが、これを興味本位で見るだけで、障害者スポーツの窮状を何も考えない政治家やお役人がいるとしたら、ひっぱたいてやりたいと思うのだ。