丁稚飲酒帳-プライス裏のイタリア 徳さんを失礼しまして、千住の駅前通りを渡り、かの有名な(笑)大橋眼科を尻目に、ザ・プライスの先の小道を左手に入って行きましょう。

うどん屋さんやら喫茶店、中華屋さんに飲み屋さんと、千住はメイン通りを外れた小さな小路にもたくさんお店がありますねぇ。そんな中の一軒が今日の目的地、トラットリア・バール・イル・ポルトローネでございます。


こちら、かつて山梨県は北杜市長坂にございました、トラットリア・イル・ポルトローネ……弊ブログでも何度かご紹介しまして、ご存じの向きも多いことと思いますが、清春芸術村のほど近く山の中腹に構えられたお店で、甲斐駒ケ岳や遠く富士山の眺望を楽しみながら絶品イタリアンと美味しいワインを楽しめるお店でした…を開いておりましたseiroシェフが、北千住に構えたトラットリアバール。長坂ではご夫婦中心に、今は倅さんを中心に、文字通り気軽にワインを楽しみながら、食事も楽しめる、知っておくと人生が楽しくなる一軒です。


丁稚飲酒帳-ロゼからスタート お店を覗いてみますと、四席のメインカウンターの右端に、おーいたいた。

こんばんわ~と扉を開くと、「ようこそ、お久しぶり~」と右端にかけていた小柄な紳士が気さくに声をかけてくれます。

そう、今日は名古屋から上京されていた、名古屋の前田吟こと、さなPさんがこちらで飲まれるというので、お声をかけていただいたのです。


さなPさんとのご縁は、やっぱりjiromaruなのかな。名古屋にかつてあった名店のご常連で、何度もそちらにご案内いただきました。また、反対にあたしが立石八広あたりをご案内したこともありましたっけね。

でも、もっぱら東京でお会いするのは、こちら北千住でしたねぇ。


なんて、思い出話をスタートする前に、まずは乾杯しましょう。

さなさんが持ってるジョッキは湯気立ててますけど、それなんですか?とお尋ねするとホットワインとのこと。あ、以前いただきましたよ、甘すぎないホットワインで、バリスタの資格を持たれている倅さんお抱えのエスプレッソマシーンでつくるんでしたよね。んー、寒いからあとで行ってみようかな~なんて思いつつ、最初はロゼワインをいただきましょう。見た目も軽やかなルビー色が鮮やかで、口当たりも爽やかですね。ということで、かんぱーい♪
丁稚飲酒帳-豪華三点盛り いやいや、先ほどお話しましたけどポルトローネ自体は10月の花火の時にお邪魔しましたが、さなさんとお会いするのは、もう何年ぶりでしょう。

特にm蔵さんとはもう五年ほど前の芽だか屋さん以来のようですよ。


「芽だか、懐かしいなぁ」と、ちょっと北野広大チックなオーバーリアクションもさなPさんらしく、変わっていないですねぇ。


きちんと食べながら、飲まないとですからね。まずは前菜の三点盛りをいただきます。オムレツ、たこの溺れ煮、ブロッコリーの三種類。赤、黄、緑の三色がひき立て合って、お皿の上はキャンパスを地で行ってますね。料理は目でも楽しむもの。そして、見た目にまけない味わいの素晴らしさ。

オムレツの塩気、溺れ煮のガーリックの効いたトマトソースの味わいなんて、もうお酒がスイスイのどを通って行っちゃうんですよねぇ。セーブ、セーブ。


幸い今日は思い出話に花が咲いていますからね…あ、それも飲みすぎる要因か(笑)。

おなかを空かせたm蔵さんのために、早いですがピッツァもつまみながら飲みましょう。

マルゲリータが焼きあがるまでのお話は、あたしと腹黒屋さんが名古屋にお邪魔したのは何年前だっけ…ってな話から、あたしが大阪で親分と鉢合わせして、新幹線代が10円足りずに朝出勤できず、たまたま先ほどのjiromalにさなさんがシェフとゴンさんを案内されるのに乗っかったこともありましたね…なんて昔話をワイワイと。


話すと長くなるんですけどね、あれは何年前だろう…青春18キップを使いましてね、大阪飲み歩きに行ったんですよ。で、朝食に船場カリーをいただいて、船場のまちをふらふら歩いてたら、本当偶然に大阪の街角で向こうから歩いてくるjirocho親分とばったり。そのまま夜に平野町の江戸幸でしもちゃん達と、ホッピーガンガン。ムーンライトながらで帰るはずが、気付けば高槻(新快速で大阪の次の駅です(^-^;))。

もともと18切符と夜行で帰ってそのまま出勤する予定が、見事に瓦解。それでも朝新幹線を使って出勤しようと考えていたところが、持ち金が10円足りないという漫画のような話がありまして、で、前述のように18切符で名古屋まで足をのばしまして、無事、ご一献も果たして、翌日のながらで帰京、出勤したという故事があったんです。
あー、長かった(笑)。


丁稚飲酒帳-もっちもちマルゲリータ そないなアホ話をしているうちに焼きあがりましたよ、フワフワ生地のピッツアがね。
見てくださいな、このフワフワ厚手のピザ生地を。マルゲリータ1050円でございます。


この生地がもちもちして、ほんのり甘味があっててうまいんだ~。

トマトソースのかすかな酸味とモツァレラの塩気が生地の甘味を引き立てて、おつまみとしても秀逸ですぞ~。
丁稚飲酒帳-今日のヒット
なんてやってましたら、ワインが空きましてね。さなさん次はなにを行かれるのかなと思ったら →こちらのオーダーです。

なんだと思います?ジンのノンアルコールビール割りなんです。さなさん絶賛のこちら、それは試してみないとね。


「もうね、味はほとんどホッピーなんだわ。おいしいよ~」。讃岐出身、名古屋暮らしのさなPさん、食品営業のご商売を長く続けておいでで、本当に食べ物の進め方がお上手なんです。

さなさんに進められるとね、つい試してみたくなっちゃうんです。



丁稚飲酒帳-ライクあホッピー
さっそく、ノンアルの方をグラスに注ぎまして、ちょうど中お代りで二杯分取れるのも飲兵衛好きがいたしますね。

そして肝心の味わいは…ジンのきりっとしたアルコール感、ノンあるビールの方の香りなんでしょうか、鼻から抜ける香りは、まさにおっしゃる通りホッピーですよ。ただし、中身はジンですからね、アルコール度は相当なんで飲み口のやさしさにだまされないことが肝心だと、酔い潰れストのあたしは思いました(^-^;

いや、でも美味しくて飲んじゃって、ナカお代りのタイミングさなさんと合わせたら、m蔵さんに、「自分のペースで呑め言うとるやろがぁ」とどやされましたが(苦笑)。


ピザも食べて、ほろよいですがナカもオーダーしちゃったし、もう一品行きましょう。黒板一杯のメニューの中から、野菜のグラタンというのをお願いしましょう。
丁稚飲酒帳-絶品野菜のグラタン 今日ここに来たのは、久しぶりのさなさんとのご一献を楽しむというのと、もうひとつ当団体No.2であるところのシェフと忘年会の日程調整をばさせていただきまして、無事日程調整もできまして、ほっと一息。


さなさんとの積もるお話は、お仕事の方にシフトしましてね。営業先でのいい酒場のお話とかね。

今日の会に至ったのは、とあるさなさんの会社絡みの書き込みに端を発していましてね。そんなお話などさせていただきますと、また違う業界のあり方が垣間見られましてね、お酒が結ぶ異業種交流はなんとも楽しいのです。


なんて焼きあがってまいりましたよ、野菜のグラタン。どんなものが?…と想像を裏切るこの一品。ズッキーニのボートの上に、ホワイトソースとチーズが乗せられていて、カリッと焼き上げられています。あー、お洒落な絵だなあ。チーズの焼き目の香ばしい香りが鼻孔をくすぐりますよー。


さっそくフォークとナイフで切り分けましていだきますと、ズッキーニがとろりと甘くてね、上に乗ったチーズとソースの塩気がそれをまた引き立てて、絶妙ってのはこのことを言うんでしょうなあ。

三人でシェアして食べましたけど、これは一人一皿ぺろりと行けちゃいますね。


丁稚飲酒帳-ありがとう前田吟 グラタンもいただいて、気付けばあっと言う間に二時間が過ぎていました。時間も九時半過ぎ、そろそろヘムちゃんのお風呂の時間ですということで、お会計をお願いしましたら、遠くからわざわざお運びのさなさんにご馳走になってしまいました。

んー、ではでは今度都内出張の時は、あたしのホームグラウンドでご馳走しますからね~。


本当に久々で、でも話は尽きず、しばらく会っていないくてどんな話をすればいいんだろう…なんて心配は無用でしたね。会っていない時間の長さは壁にはならず、あの頃に戻れてしまう仲間がいるというのは、なんとも嬉しい限りです。


三色国旗を背景にスター吟ちゃんと並んでパチリ。

久々の平日呑み、そしてしばらくぶりの仲間との時間、実に楽しい時間をありがとうございました。またやりましょう♪


ちなみにポルトローネ、例年並みに31日まで営業されるそうです。年始は4日からですよ~。


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丁稚飲酒帳-本日のお品書きいつ以来だろう…という感じで、平日の北千住を徘徊してきましたよ。

目指したのは、見た目も豪華に額装されたメニューのこちらのお店。北千住路地裏の名店、徳多和良さんです。


飲み屋ひしめく北千住においても、名店の誉れ高いこちら、実際最近は土曜の口明けでお邪魔することはあっても、平日に足を延ばしてお邪魔したのはいつ以来だろう…今年一度夏休みを利用して、やまちゃんとあった時を除けば、平日にお邪魔するのはもう年単位のご無沙汰かもしれません。


25人ほどは立ち飲める店内はいつも満席。

今日も実は入れるという確証のないままに、あわよくばという思いで前を通りかかったところ、平日六時半の店前に行列なし。これは行けるかも…と思って、思いきって店内に入ってみると、社長の方から「片づけるから、ちょっと待ってて」と。

どうやらちょうどいいタイミングでお邪魔したようですぞ。

丁稚飲酒帳-蕪とがんもの含め煮 ほどなくして、入口右手L時の短辺端の方に立つことができました。

すぐに社長がオーダーを取りに来てくれます。あたしはいつもの抹茶割、m蔵さんはウーロン茶に、ヘムちゃんは自前の麦茶で乾杯♪


人気の店内ですから、腰を落ち着けてではなくチャチャッと三品ほどをオーダーして、抹茶を味わっておりますと、ほどなく出てまいりましたのは一品目、蕪とがんもの含め煮。

上品なお出汁でトロリと炊きあげられた蕪の柔らかさは絶品。しかも、これが煮崩れてないのが不思議なのよね。そこは大将の腕の冴えなのは間違いありません。ヘムちゃん、蕪をバクバク食べてましたからね。

またお汁をすったがんもが旨いんだわな~。

さらに添えられた芥子がまた只者じゃない。芥子を袖につける選手権でならしたあたしとしては、この芥子でおでんをいただきたい~って感じです。ピリッとした強い辛味が、すっと引いて香りが残るというのでしょうか、まさに目が覚めるような味わいでした。

丁稚飲酒帳-ヒラメの鯛酒盗合え そして、二品目はお刺身系から、ヒラメの鯛酒盗和えをいただきましたよ。

薄桃色の酒盗に和えられたヒラメのコリコリとした歯ごたえ、それを包む鯛の酒盗の程よい塩気、これは日本酒行きたくなっちゃいますが、抹茶割でもいけまっせ~。

いやー、これごはんの上に乗っけて、熱いほうじ茶でもかけまわしたら、サラサラいくらでも行けるでしょうねぇ。


なんてやってましたら、大将自らご挨拶に来ていただきました。ヘムちゃんの何番目かのおじいちゃんという位置づけですからね。いつも可愛がっていただいております。

前回千住にお邪魔したのは二か月前の足立の花火の時でしたが、この日は花火がメインでお店にお邪魔できず。四か月ぶりくらいになるのでしょうか。


丁稚飲酒帳-ヘム芋煮 先日よりもおしゃべり上手になったヘムちゃんに「おー、よく喋るね」と目を細めていただきました。実際問題、成長具合を徳さんご一家に報告に来ているのが、最近の訪問の目的の一つですからね。本当、家族ぐるみで見守っていただける徳さん、あたしにとってのもう一つの家族も同然、実にありがたいお店です。


ヘムちゃん用に里芋の炊いたのまでいただきまして、これまたヘムちゃんパクパクとね。やわらかく炊きあげられた里芋は、しっかりと味が染みて、ねっとりとした舌触りと相まって、大人も食べたくなっちゃいますよー。実際、一人一つずつって感じでいただきましたが(^-^;

丁稚飲酒帳-太っちょいわし さてさて、どん尻に控えしは、いわしの塩焼き。このいわしがまたただものじゃない。

見てくださいこのぷっくらしたおなか。このボリューム感は見た目だけじゃないですよ。ほっくりした身に、パリッと焼きあげられた皮目の塩気、これまたお酒を進ませるんだなぁ。


ほろ苦いワタの部分には、ヘムちゃんの食べかけのレモンを軽く絞ってね。

え、なに?またレモンをよこせ?…はいはい、どうもヘムちゃん、レモンは酒場でいただくものだという意識が強いらしく、本やらテレビやらでレモンを見ると「パパちょうだい」と言うのが通例となっております。


ともかくも、ワタの苦味をまとった肉厚のイワシの身が美味しくないはずがないです。これもちびちびやりながら日本酒のみたいあてですね。さすがの徳さん、まさに酒肴のオンパレードです。そうしている間にも、甘エビのかき揚げが山になり、銀鱈のみりん焼き、なめろうと続々と品切れになっていきます。んー、さすがの人気店。


さて、変わらず満席状態の店内、たいらげたところでお暇しましょう。抹茶を二杯に三品いただいて、本日のお会計は1900円ほど。

40分ほどの滞在でしたが、社長、大将、ヒサエさん、忙しい合間をぬってほんの一言二言交わす言葉が温かいんですよね。また、ヘムちゃんの成長ぶりを見てやってくださいね。

今日もご馳走様でした♪


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 田端駅に降り立って、初恋屋のしまっている土曜日。目指すは田端新町、神谷酒場。

 今日は神谷酒場の閉店日です。

 最後の日ですから相当混むだろうと思いつつも、席につけなくともおかみさんのご様子をうかがいたいということで、田端駅着は午後4時。少しはやめのお邪魔です。呑み助の考えることはみな同じ、僕たちがお店の前に着くと、既に何人かのお客さんがお待ちです。あ、歩く僕たちの横を自転車で通り過ぎていったのは、マキさんですね。最終日だけあってカメラだけでなく、ビデオカメラ回してる人がいるよ…って後で聞いたら、テレビ朝日の取材だったそうです。

 通行の邪魔にならないように、プラタナスの木の下でm蔵さんと話しこみつつ、周りの様子をうかがいながら、あの人は同類だろう、この人は通行人だろうと品定め…我ながら趣味悪いなぁ(^^; 

最後の開店  やがて開店時刻の四時半を過ぎること五分ほど、ガラスの隙間からおかみさんがつけ場から顔を出すと、常連のみなさんが脇の入り口から中に入られます。そして、見事なチームワークで開店準備をさっと終えて、縄のれんを出すのを手伝われます。

 この人数ならなんとか入れそうかなということで、お邪魔すること決定~。お店の前でお待ちになられていた、以前からこちらにお邪魔するとよくお顔を見かけた年配の男性のお隣、角から二番目の席に腰をかけます。

 このカウンターに触れられるのも今日が最後かと思うと、やはり思うものがありますねぇ。まあ、湿っぽいことは、あとで考えましょう。


 まずはお兄さんが炭酸機の蓋を開けて、その中に氷を砕いて入れています。なるほど、そういう仕組みだったんだぁ。あの機械にもたくさんお世話になりましたね。
炭酸機御苦労様  僕らの注文、最後はふたりで白をいただきます。シュコシュコ、おかみさんが炭酸を注ぐ姿を目に焼き付けておこうっと。

 やっぱり最後の日、おかみさんもお兄さんもてんてこまいです。お隣の方が頼まれたチーズをもって、おかみさんが小上がりの方に行ってしまいます。三人で「こっち、こっち」とアピール。「あら、お恥ずかしい」とおかみさん、本当にかわいらしい、素直な方ですね。お隣の方も受け取りながら苦笑い。僕らにも「はやめに注文した方がいいですよ」と水を向けてくれます。

 それでは、火をつかわないメニューで定番きゅうりもみと、最後にこちらでは食べていなかったマグロのブツをお願いします。



マグロブツ  この会話をきっかけに、三人で話の輪が咲いていきます。昨日、一昨日は付いていなかったテレビのオリンピック中継も会話の種になりますね。がんばれ、タワラちゃん。後ほどおお名前をお聞きしましたら、お隣の方はやはり常連のy澤さんとおっしゃられて、三年ほど前にこの田端に越してこられたのだそうです。以来、こちらが居場所となって…と、一昨日も違う人から聞いたな、こういう話。僕自身もこの田端での居場所はここでしたからね。やっぱり人の居つく場所なんですね。


 来週からどこに行こうかと思って探していたら、いい店を見つけましたよ…なんてご紹介してくれて、最後の最後の日に、こうして新しい知り合いができるのも、また神谷酒場の導きでしょうか。三人でお話しましたが、このお店の真骨頂はやはり混雑ではなく、柔らかくゆったりした時間の中、おかみさんを交えて見知らぬ人同士が店全体で会話ができることにあったんだろうなぁと思います。


シロ この静かな空気と一体感とのあるお店は、なかなかありません。一体感があるとわいがやになるのが普通なのに、こちらではそれでもなお、静かに時間が過ぎていきましたから…やはり積み重なった歴史とおかみさんの人柄ですかね。

y澤さん、焼き鳥屋さん絶対行きますね、ちょうどタイミングの合う頃合を見計らって。


 さて、三つ目、最後のシロを空けて、お会計をお願いします。お会計が終わったところで、おかみさんに本を一冊お渡しします。以前におかみさんとゆっくりお話した時に、「ハーブのお料理なんかなさる?わたし、興味はあるんだけどハーブの使い方がわからなくて」と仰っておられたので、この日錦糸町の本屋さんを何軒かはしごして、使いやすそうな本をお持ちしたわけです。

 おかみさん、その時のやりとりを覚えておられて、「あら、まあ」と喜んでくれます。あの笑顔、嬉しかったなぁ。「ありがとうございます、お二人もお元気で」と送ってくれるおかみさんに頭を下げて、お店をあとにしましょう。


 今日で神谷酒場は幕を閉じますが、それはまたおかみさん、お兄さんにとっては、また新しい一日のはじまりです。これからも元気に過ごしてください、そしていつかまた街角でご挨拶ができたら素敵なことです。

 その日まで、さようなら神谷酒場。






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昭和の名店の灯がまた消える。

以前から囁かれていた神谷酒場の閉店の日取りが決まった。平成2089日である。


 神谷酒場やっと時間のとれた7月終りの木曜日、八時過ぎの電車に乗って目指すは新三河島。

ここから明治通りを歩いて向かうのが、いつもの神谷詣でのコース。閉店の情報が瞬く間に広まったのか、鍵の手形のカウンターは元より、小上がり、そして普段は荷物置き場になっている入り口左手の机まで満席。

小一時間、時間をつぶして再度訪ねてみても席を立つ雰囲気はなし。挨拶だけでもと、縄のれんをくぐって顔を出すと、即座におかみさんの前の席のご夫婦が「お勘定して」と腰を上げてくれました。ありがとうございますと挨拶をしながら、譲り合いの気持ちを大切にできる心の余裕が持ちたいものと思いました。


籐編みの四角い椅子に腰を下ろすと、おかみさんがいつものほんわかした雰囲気で、「いつもの時間と違うのね」と声をかけてくれます。最近、もっぱら週末のごたごたのあと、四時半の口開けで入ることが多かったですからね。


シロ 注文は、いつもの白ハイボール。…はじめてこちらを訪れた時に、たまたま隣に座られた、神谷酒場で最も若い常連さん(とはいえ50代かな)、マキさんに教えてもらったのがこの符丁。ここでは名物の電気ブランハイボールを「赤」、そして通常の焼酎ハイボールを「白」と呼ぶのです。これは、グラスの中の色もそうでしょうが、おかみさんが机に引いていく、チョークの色の別でもあると思います。


今日はもう炭酸機の仕込み分ははけてしまったようで、丁寧に計った焼酎入りの中ジョッキにおかみさんが花月の瓶から静かに炭酸を注いでくれます。


炭酸サーバー まずは一口、ここのボールもやさしい味なんですよね。レモンが一枚浮いただけの、ドライハイボールのはずが、なぜかやさしい…それは、おかみさんやお兄さんの人柄、そしてこの酒場のもつ雰囲気が醸し出すものなのでしょうか。そんな気分にさせてくれます。


黒板メニューの中から、あては胡瓜もみをお願いします。いつもはおかみさんがお客さんの仕切りを、厨房の中をお兄さんが仕切られるのですが、最後の一週間だからでしょうか、普段見ない影が厨房の中にあります。後ほど、のれんの隙間から顔を出されたのを拝見すると、おかみさんにそっくり。妹さんがお手伝いに入ってくれていたんですね。


きゅうりもみ 「新聞に出ちゃったのよ」と、東京新聞をおかみさんが差し出してくれます。自分は、その記事をネットで拝見したのですが、「以前は小さいコラムだったんだけど…」と最終面を見ると紙面の1/3近くの大判で神谷酒場閉店の記事が出ています。「写真も載っちゃって、はずかしいわぁ」といつものおっとりした雰囲気で笑うおかみさん。でも、少しお疲れも見えますね。隣の席のお客さんが「口開けからこの調子なの?」と尋ねると、「そうなの、座る暇もないわ、今日はお給仕専門」とおかみさん。以前から、お店に来ると「七月一杯くらいかしら」とおかみさんが話されていましたが、新聞の影響力はやはり大きいようで。


と、厨房のベルがチリン。僕らの胡瓜もみがあがったようです。夏の初めにいただいてから、来るたびにお願いしている胡瓜もみ。塩もみした胡瓜にナマリがふた切れほど、これにおかみさんが手ずから回してくれるお酢としょう油を混ぜ合わせて食べると、お酢の不思議な甘みと酸味が夏の暑さを忘れさせてくれます。このお酢、甘酢ではないのですがほんのり甘味を感じるんですね。




アカ 白が空いたところで、味が分かるうちに「赤」をもらっておきましょうか。最初に来たときに味わって以来、3、4回はお願いしたことがあるのですが、僕にとっては強いらしく基本的には白で通すのが定番…だもので、おかみさんから「大丈夫、飲んだことありましたっけ?」と声をかけてくれます。「ええ、3,4回はお願いしていますけど、味がわかるうちに是非味わっておきたいんです」と、お願いしました。

余談ですけど、おかみさんは誰にでも丁寧な姿勢で、僕たちこんな若造にまで丁寧な言葉遣いで接してくれます。そして、雰囲気のやわらかさ…こんな風に年を重ねていきたいと、接する度に思う方の一人です。もちろん、丸好のおかみさんだったら、「あんた、飲めるのかい?」くらいの感じで豪快にガハハハ笑ってくれるのもまた人柄で、どちらも敬愛するおかみさんです。


お願いした赤は、やはりパンチがキツい。鼻を抜ける電気ブラン独特の香りとも相まって、度数も少し高いんですかね。回りそうな気がしてきます。僕にはやはり優しいボールが合っているようです。

75年の積み重ねの中で磨り減ったカウンターの感触を楽しみつつ、おかみさんばかりでなく、隣に座ったお客さんとのお話も楽しめるのが酒場の楽しさ。まったりとした時間を味わいながら、はんぺんを追加でお願いします。さすがに10時を回れば顔を出す方もなく、やっとおかみさんが僕らの前に腰を降ろされます。


お店が閉まるその前に、僕たちには是非とも報告にあがらなければならないことがありました。それは、結婚式のこと。式で使うスライドに、日ごろお世話になっている幾つかのお店の写真を使わせてもらいたいなぁということで、事情をお話して一緒に写真を撮っていただいていたのでした。

その時のお話を気にかけていただいており、おかみさんの方から「もう来月あたりかしら?」と声をかけてくれました。「もう済みまして、今日はその報告にきたんです」と言うと、あら、そうとうれしそうに目を細めてくれます。

 
冬日可愛  忙しさの合間にこのタイミングしかないということで、プリントアウトしてお持ちしたゴワス君撮影の写真をご覧に入れました。丁寧にアルバムを繰りながら「(僕たち二人が)あら、よく似てらっしゃる。よく言われるでしょ」と上品に笑ってくれるおかみさん。衣装のお色は…なんて話しに一頻り花が咲きました。すると、「ちょっと待っていて」と奥の部屋から袱紗に包まれた長方形の品物をお持ちになりました。

「8月かと思っていたから、先週からご用意していたのよ」と包みをお渡しいただいて、カウンター向こうのご注文を取りに行かれます。そっと袱紗を解いてみると、竹製の吊るし物で「冬日可愛」…冬の日差しは愛すべきものと、おだやかな心根を例えた漢詩…まさにおかみさんを表したようなお言葉が彫り込んであります。

 「お二人にぴったりと思って」と恐縮なお言葉。正直、胸が熱くなりました。週末に多くの人に見守られていることを実感し、そして今ここでも出会いの素晴らしさを知る…ああ、本当に大衆酒場に通っていてよかったと。


 新聞記事によれば、お子様のおいででないおかみさん。もしお子さんがいらしたら、僕たちが同じ位の年恰好にあたるのかもしれないなあと、勝手ながら思い返していました。もしかしたらそんなことも含めて、温かい眼差しでいつも見守っていてくれたのかもしれないと。
温かい空間  相方のもらした「おなじみになれたお店が閉まってしまうのは、寂しいね」という言葉は同じ思い。でも、これまでたくさん頑張っていただいたお二人にゆっくりしてほしいという気持ちも真実。だって、貼り紙にもあるように、このお店を閉めることを一番残念に思っているのはお二人に違いないのだから。

せめて、お店が閉まるその日まで、おかみさんたちの記憶の一ページに残れるような、そんな存在でありたいと思いました。

残された一週間、あと何回、足を運べるかはわかりません。また、多くの来訪を望むお客さんもおいでの中で、お店に入れるかもわかりません。でも、今日十分にお話をしました。そして、温かい気持ちも伝わりました。それで十分じゃないですか…本当に。ありがとう、お母さん。


神谷酒場  平成2089日閉店














赤羽の藤棚丸鍵水産をあとに、赤羽一番街を縦貫してめざすは線路沿い。
赤羽駅から川口方面に歩いていくと、歩道の上に藤棚が。見事な紫色ですね。
今年は天神さんに二回足を運びましたが、最初は少し早く二回目は盛り過ぎで、タイムリーな藤がここで見られるとは嬉しいですね。
藤棚の向こうには、煤けた壁が歴史を物語る建物が、大きな看板にめいっぱい大書された米山の文字。赤羽北の関所
そう、ここが赤羽のもつの名店、米山でございます。
はじめてそれと知らずに探し当てた時は、この店構えにもの凄く惹かれて、でもこれって何屋さんだろう?と頭をひねったものでした。


確か開店時間が15分とか45分とか、半端な時間だったよなぁという曖昧な記憶を頼りに、遅れてはなるまいと店の前にはせ参じたのは45分。ん、まだ空いてない…けど、年配のご夫婦がもう待っているふうだなぁ。
とりあえず、並びだすまではとあたりの質屋のウィンドウをのぞいたり、道向こうのお寺を拝みにいったりとあたりをうろちょろ。
六時前に若者二人連れがお店の前に立ちました。ん、そろそろ並びますかねとお一人さんのあと、四番目に並びます。すると、先ほどのご夫婦がその次に。聞けば、鳩ヶ谷からお越しになったとのことで、普段は八起の常連さんなんだそうですが、米山は初チャレンジとのことです。「ご主人怖いんだって~?」と不安がるご夫婦に、そんなことないと思いますよとお返しして、大常連熊さんや親分に及ぶべくもないですが、いくつか食べたことのあるものお話をぽつぽつしているうちに、噂をすれば影、あの歩き方は親分だよねと、親分、熊さん、紫の字さんのご一行がご到着です。
このお三方のあとも、さらに列は続き、開店時刻には店内は一杯+お三方はテラス席という満席状態。あらら、相変わらずすごい人気だね。

シャリッピー
L字カウンターの付け根部分、焼き台の前に腰掛けて、注文は当然シャリシャリのホッピーから参ります。
いつものマルっと頭にタオル巻きの大将が一升瓶を棒で突きながら、しゃりしゃりに凍った焼酎をグラスに注いでくれます。グラスの半ばまで入ったシャーベット。その様子を眺めるだに、いつも長旅の起点はここからだったよなぁと、近い過去を振り返ります。新逗子に行ったり、金沢八景から金沢文庫まで歩いたり、今日は気をつけなきゃと、いつものように心しながらホッピーを注ぎます。そして一口、濃いねぇ、どうも。そしてうまいねぇ、どうも。


さて、おかみさんが僕達の後ろ、焼き台に立たれたところで、食べ物は何にしましょうかね。

お隣のお二人さん、先ほどの僕のお話のとおりに半焼きのレバ、ハツとオーダーされてますね、恐縮してしまいます。襖や梁に貼り出された短冊を眺めまわして、ふと目に留まったのが、やっぱり半焼きメニュー。こちらの名物、おかみさんの腕の冴えですからね、やっぱり外せませんよね半焼きは。ところが、今回見つけた半焼きは様子が違う、曰く「半焼きレバニラ」?串焼きじゃないんですねぇ、これ行きましょ~!


一通りの注文を鉛筆で書き終えて、大将に渡します。
半焼きレバニラ

焼き台のおかあさんにこれまたいつものように、「おい、半焼きでレバ15本、ハツ12本」…って、すごい量だね、相変わらず。そして、おいって呼びかけがまた二人ならではの掛け合いだねぇ。僕らの頭上越しに丼の受け渡しのやり取りが何度かあって…焼けた串は、対象が出した丼に入れられお母さんから渡されます。それがお客に配られるって寸法。一しきりのタイミングで、「おい、レバニラ」と差し出した丼にレバ串が三本か四本くらい入ってたんじゃないかな?

見ていると、丼の中で串を外して、それを置くの焼き台スペースにもって行きます。そして、まもなくフライパンから立ち上る炎。そして、あっという間に出てきたこちら。これが、半焼きレバニラです。
一口口にすれば、うまい!濃厚なタレもよければ、それに負けないレバもすごい。そして、何よりレバがレアなのが素晴らしい!これは、最近レバニラづいてるけど、随一だわ~。この逸品で幸せ気分でしょう~。ほくほくです。


スタミナといふ

続いて、焼きあがるのはスタミナ。半焼きがこの店の看板であるとすれば、もう一つの看板といえるのが、このスタミナ。

実は、m蔵さん=つくねマニヤにこのスタミナを食べさせたくて、赤羽まで足を運んだのです。かつて評したのが、「日本一スパイシーなつくね」。焼き上がり、熱々のところを口にすると、胡椒を中心にしたスパイスの香りと、豚肉の旨味が口の中一杯に広がります。その状態で、黒ホッピーをぐいっ!…これが米山だっ!と一人いいねいいねとつぶやいてしまいます。

お隣の御夫婦もm蔵さんも気にいられた様子。よかったわ。しかし、これ、ホッピーにあわせるアテとしては、最上じゃないですかね?これだけでハナから締めまで通したい気になっちゃいますよ。


半焼きタン気づくと空のグラスをカウンターに、黒ホッピーをいただきます。

棒で突くシャリシャリとして音が耳に心地よく、そして渡されたホッピーをグラスの中に注ぐ時にグラスが囁くようにシャリっと啼く…風情ですねぇ。いい心持です。

表の皆さんも心地よく夜風にあたっているようです、お、熊さんが大将の間を見て次の一品をオーダーするようですよ。なに、「半焼きのタン?」タンも半焼きにできるんか~!そらそうだよね、こちらの仕入れのレベルだったらむしろ当然か。

失礼して真似させていただきますよ~。こちらも二本お願いします!ほどなく出てくる、この二本。ニンニクとネギを添えられて、こちらをまぶしていただきます。うーむ、うなっちゃうねぇ。ハツよりもなお肉の旨味があって、噛み締めるほどに肉汁があふれる噛み応え。いい一品をありがとうございます、熊さん。


たまねぎあへ
 お肉続きですから、口の中を改めるためのおしんこ。これがまた、美味しい。まるまる出てくる蕪の酸味が舌を新しくしてくれます。さて、いつの間にかホッピーも四杯目(笑)…まあ、いろいろあったのさね。

 〆の一品はたまねぎあへですね。大将、たまねぎあへは、何とあへるんですか?と初心者質問。「おぅ、かしらだよ!」と気さくに答えてくれるのが嬉しいです。しかし、怖いって噂はどこから出たのやら?無作法して怒られることはありますけど、それにしたって怖い怒り方じゃないと思うんだけどなぁ…。ま、感じ方は人それぞれということで、最後の一品をいただきましょうか。

焼き上げられたカシラ塩と、玉ねぎを皿の上で軽く混ぜ合わせて、爽やかでいてこくがあるって、どこかのビールのコマーシャルフレーズかって位に、フレッシュ感と旨味が両立している一皿です。うーん、これもまたいいなぁ。

 しばらく来なかった北の関、やっぱりいいお店はあるもんですね。また折をみてお邪魔しますね。

どうも、大将、お母さん、ご馳走様でした。表のお三方に挨拶をして、駅まで帰る帰り道、駅を越えて赤提灯にすいこまれたのは、赤羽の魔力にも似て…。


でも、無事にお花茶屋から歩いて帰り着きましたので、あしからず(苦笑)。


赤羽一番街 連休後半初日でごわす。
28日にボスのお誕生会があった際、あるスジから連休後半は赤羽米山は営業しているという情報が入りました。ありがたや、酒場ネットワーク。米山も久しくお邪魔していないし、これは行くしかないね!

池袋でサンシャインに上って我が家を探すという馬鹿企画を経て…みつかりませんでした(笑)…赤羽にたどり着いたのは午後五時過ぎ。

米山は六時過ぎ開店なんですが、それまでどこで過ごすかというと、当然赤羽一番街~。
立飲みいこいも考えたんですけど、今日ははんぺん大好きm蔵さんと御一緒ですので、是非この店へと思った次第。
原色系の提灯のさがるテント居酒屋とか、昭和なごりの金物屋やブティックなどが並ぶアーケードの奥の奥。途中の古本屋さんに散達の結構古めのバックナンバーがある~とひっかかりながら、たどり着いた先は、おでんの種物屋さん。
赤羽にその名も高き丸鍵水産でございます。



おでん鍋 丸鍵カウンター

こちら、正面はおでんの種物屋さんなんですが、角をまがると、ふつふつと煮込まれているおでん鍋を前に、缶ビールやワンカップを引っ掛けるお父さん方がぎっしりの立飲み処になっているのです。
カウンターに立っておでんを物色していると、常連さんが奥のお母さんに「○○ちゃん、お客さんだよ」と声をかけてくれます。んー、下町商店街テイストですねぇ。

おでん盛り さてオーダーは、目的物のはんぺんとじゃがいも、つみれにすじはありますか?以前に昼酒にお邪魔した折、残念ながらすじはまだ仕込み中で食べられなかった評判メニューなのです。
スタミナとかちくわとか、他の練り物も行きたかったのですが、このあとに米山が控えていることもあって、ぐっと我慢の子でありました。飲み物は端麗にしましょうかね。
しめて850円…安っ(笑)…を手渡して、おしるたっぷりのおでん皿と缶ビールを受け取ります。


カウンターは混み合いそうだから、テーブルの方に移動しましょうかね。六人も立てばぎっしりのカウンターと、十人くらいで囲めるテーブルが右と左に二脚ずつあつらえてあるのです。
プルタブを起こして乾杯~。缶ビールでも一口目は美味しいですねぇ。まずはじゃがいもから一口、ほっくりとした芋の甘味と、中までしみこんだおでんの出汁がよく合います。ずしっとおなかに来るボリューム感もありがたいですね。
続いては、お母さんが七味を振ってくれたすじをいただきましょうか。とろとろですね~。口の中に入れるとほどけるようです。ゼラチンが舌にまとわる感じがまたいいですね。
つくねは硬いかなと思っていたら、これもほどけるよう。小ぶりだけれど、魚の旨味がぎっしりです。ん~、缶ビールがガンガン進んじゃうよ。



すじ さて、最後にメインディッシュ、行ってみましょうか~!
内閣総理大臣賞だかなんだかをいただいた丸鍵の数あるおでん種の中でも、看板商品です。
これがまた本当に美味しいんです。なにがいいってまずはその舌触り、きめの細かいこと絹の如しです。
そして、口の中で淡雪のように消えていく、口解けの良さ。これは丁稚的には、本当に日本一の解けかただと思うんですよね。味わいの方も、白身魚の甘さが出汁の旨味とマッチして上品なお菓子のようです。
m蔵さんもほくほく顔、美味しいもの食べられてよかったですね。


この辛子がまたいいんだよね、ツーンと鼻に抜ける辛味がたまらない。最後に残ったお汁に辛子を溶きこんでと。一気にあおって、ぷはー、ごちそう様!
勢いがついたところで、さっきの散達買いに行くぞ~。

最近、閉店付いてる丁稚です。あんまり縁起良くないか(苦笑)。
ミーハー根性でしてね、古き良き居酒屋が幕を閉じると聞けば、その前に空気の一欠片なりと胸にしまいたいと思ってしまうのです。
今日はそんな話。


先日の晩、山谷の番組がやってましてね、おお、丸千葉の裏通りとか、見知ったスーパーだとかを見ながら楽しんでいたのですが、山谷あたりはともかくも、南千住の駅前は大きく変貌しています。南口には大きな商業施設ができましたし、タワー型のマンションが林立。なかには僕の大学の先輩が住んでたりもしますが。その中で、北口駅前は昔ながらの佇まいを残した渋いエリア。路地にも小さい赤提灯が何軒も、細い通りを抜ければコツ通り商店街。いい雰囲気なんですよね。けれど、再開発の手はやはりその空間にも及ぶのですね。それ自体が悪いことではもちろんないけれど。


北口駅前の一隅に、ひっそりと小さい酒場があります。名を鶯酒場。
鶯酒場正面

駅前の再開発に伴って二十何階建ての駅ビルが建つのだそうです。そのため一時移転をするということで、2月15日が今の建物の最後の営業だという情報が耳に入りました。ならば、行くしかありますまい。日は水曜日、終業のベル(鳴らないけど)とともに決然と席を立ち、そそくさと駅に向かいます。向かうは千住大橋駅。まだ、ときわに行けてないよ~、もう温かくなっちゃったよ~、花冷えの頃に…と謎の私信を織り交ぜて(苦笑)。
大橋とだけ刻まれた鉄橋。がっしりした作りがいいですね。建造物マニヤではないのだけれど、通るたびに惹かれるものを感じます。

千住大橋から南千住までは、徒歩15分ほど。駅前の金太郎寿司、路地裏のもつ焼きカミヤ、この中華屋さんもよさそうだな。土地土地にいろいろなお店があって、人々が息づいているんだという当たり前のことを気づかされます。だから、自分の住む土地を大切にしないといけないんでしょうね。最近、もっぱら地回り、家ごはんが多いんですけどね。閑話休題。

そんな一隅にお店はあります。大きな暖簾の紺地に染め抜く「鶯酒場」の三文字。



ホイス 失礼しますと入店すれば、変形コの字のカウンター。入って右手奥が長く伸びる、Jの字型というのが正しいかしら。

右手奥に腰掛けます。

まずはと悩むこともなくオーダーするのは、名物ホイス。程なくして注がれ出てくる中ジョッキ。一口口にすれば、下町のボールに似たあまやかさとともに最後に感じる微かな苦味。このほろ苦さがホイスの特徴でしょうか。
この味は…一人グラスを傾けながら、ふと初めてこの酒場を訪れた、あの日を思い返します。あれは徳多和liveの日。叔父貴とu先生との引き合わせ、僕と叔父貴は三軒目、程よく飲んで、響くviviさんの澄んだ唄声。yagoさんの演奏に乗って、わっくんと二人踊った夏の日。


時が止まったようなこの静かな空間。一人思い出に浸ったり、思考の海を漂うには最適の場所です。

でも、あてもほしいよね(苦笑)。ということで、遠めの木札に目をやります。

入り口近くのお父さんが食べてたレバ刺しもいいけど、最近もつずいてますから今日はもつは控えなね。
おでんも美味しそうだなあ。「単品おでん時価」ってのは洒落が効いてますね。


手羽煮 そんな中で目に入ったのは、鳥手羽の甘辛煮。
オーダーするとレンジでチン。ん?と警戒したものの一口含めば、ほろっとほぐれる身の柔らかさ。これはもとの仕込みが相当大変でしょうね。こっくりしつつもさっぱりとした甘味もほどよい感じです。思わず両手でむしゃぶりついてしまいました。


斜向かい、といってもカウンターが長い分、かなり遠いけど、に座った兄さんが、文庫本を片手にビールを飲み始める。壁のオーダーをみながら、つまみは何にしようかと考えていると、おもむろに兄さん。「はんぺんください」。
ちょうど、僕の席の前が調理台。注文が入ると、マスターが冷蔵庫からはんぺんを取り出します。これがまた厚い。うおっ、美味しそう。しかもこんがりと色づくと益々食欲をそそります。これは行くしかないでしょう。お願いします。


はんぺん
ほどなくして焼きあがるはんぺん。なにもつけずに手づかみでがぶりとやれば、練り物の甘みとふわふわした柔らかさがホイスの微かな苦味によくマッチしますね。

さらに引き続き、こまいのオーダーが入ります。どんなのだろう…はんぺんをぱくつきながら興味津々…焼き上がり、でかっ!。
しかも脇に添えられたマヨがこってり型で美味しそう。と、それも兄さんの前に運ばれていくのですが、それを横目に「こまい、僕もください」。

こまい
少しばかりの間が空いて、「こまいは、半分ならあるの」とやさしい笑顔のお父さん。たぶん、断ろうかどうしようか迷われたんでしょうね。その一言とはにかんだ笑顔に人柄がにじみ出ます。御髪が少し薄くなられているけど、童顔の色艶はよく。このお店の雰囲気にいかにも調和した姿は、大人を感じさせます。

半分てのは一尾ってことね。でも、かまいませんがな~。

焼き上がりまでのしばしの時間を待つ。見れば、僕の正面、向こう側のカウンターの内側でお母さんが舟を漕いでいる。七十代とお見受けしましたが、年輪の刻まれたお顔。それはマスターの雰囲気同様、艶を放つカウンターにも似て、このお店の静かな雰囲気に調和して。ああ、そうか、マスターもお母さんもいて、この鶯酒場なんですね。当たり前のことを失念していました。
さあ、こまいちゃんが焼きあがってきましたよ。おお、肉厚。適度な塩気がいいですね。一尾でも、あてとしては十分ですよ。唯一残念だったのはマヨが添えられていなかったこと、ん~、あれは一言添えた方がよかったのか、残念。


赤い提灯、風にゆられて
さて、程よくよいも回ったところで…ホイスもおかわりしたし(苦笑)、静かな時間も堪能できたし、ここらでおいとましましょうか。

お勘定をお願いすると、目の前の珈琲ゼリーのカップに入ったチップを数えます。このやり方もレトロですね。しめてお会計は1500円ほど。


ということで、鶯酒場仮店舗営業は3月2日からです…記憶が確かならば。
どうか新しいお店も、静かな店内でおかあさんが舟をこげるような、そんなゆっくりした空間でありますように…。

ホイル焼き外観
 島といえば、島大輔。ツッパることが男のたったひとつの勲章と歌い上げた、今では一大コメディアン、かつては超獣戦隊の一俳優…ではなくて、それは山鳥だっちゅうねん。島大介ね、あの緑色の人ですよ、往年の宇宙戦艦ヤマトフリークの皆さん。え、ヤマト知らない?そうでしょうねぇ、調べたら完結編から26年も経ってるのね。ともかく、ワープといえば島さんなの(断定)

 ワープ理論が現実になる日は来るんでしょうか。宇宙を四次元的に折り紙したり、進行方向の空間を圧縮する分、後背の空間を超膨張させたり、いろんな手をつくして時間と空間を飛び越える交通手段ですが、本当にあったらいいなと思いますよね。ふと掲示板を見るとおいしそうな絵が載っていて、僕もカウンターに座っていた~い、でも現実は千葉の片田舎~(T-T)というときとか。だって、都内まで一時間かかるんですもの(苦笑)ゲソホイル内観
 さて、月曜日。月曜日と言えば田端でしょう。本日はご友人の卑弥呼さんのお誕生日。お祝い会をささやかに開こうというシェフにお誘いいただいきました。会場は主役のご希望を踏まえて田端初恋屋さん。僕自身もご無沙汰だから楽しみ楽しみ。

 時間ちょっと前に着いたら、店内は満席満タン。予約の電話は入れておいたから、それまででもというお客さんも入っているんですね。ネクタイ族が楽しそうに杯を交わしています。さすがは下町の社交場。

 様子を見ていると、定刻に親分ご登場。じゃ、入りますかとおかみさんに顔を出したら、予想通りに予約席につかれていたお客さんと入れ替わりに、店内に入れていただきます。最初は二人で乾杯の予行演習を。

 僕自身の近況、遅れてしまった親分へのご挨拶、おっとこ前Hさんやらとかげさんやら最近の知り合いの話などなど、ビールをはさんでつもる話を交わしていると、少し赤い顔のシェフがご登場、池袋でホッピーをやっつけてきたそうです。では、主役は少し遅れるそうですから、何品かいれますかねぇ。

 お刺身はあとで盛りあわせてもらうとして、まずはホイル焼きをもらいましょうか、時節もので牡蠣と茸のホイル焼きなんておいしそうじゃないですか。げその方ももらいましょうかね。それに、ここに来たらと親分と目配せ。やっぱりまぐろのかま焼きでしょう~。ちなみにかま「煮」もありますよ。定番かま焼


 出てきたお魚型の鉄板の上にしっかりつつまれたホイルちゃん。固形燃料に火をつけて、としているうちに美女ご登場~。本日の主役、卑弥呼さんです。迷わずにようこそと、シェフと僕のメール案内をあわせてたどり着けたそうです。キーワードは「大きなスロープ」です、初めての方は大きなスロープを目印に探してみてください~。

 ということで、改めまして乾杯!おめでとうございます!ワインとカステラというアンバランスなプレゼントでしたが…事前の打ち合わせしなかったので(苦笑)…喜んでいただけたようで何よりです。では、食べよう!飲もう!

 ちょうどホイル焼きも湯気が出て頃合のようですよ。ホイルを開くと、ふわっとごろの香りが立ち上ります。手前はげそホイルだったのね、まずは一箸。げそが柔らかくて、絡んだわたが素晴らしい!苦味は強くなく、口の中をさわやかにしてくれます。親分と二人目を交わして、ごろが濃すぎないのがいいねぇとにんまり。ではではかきの方はと、こちらは茸の香りがいいですねぇ、出汁が少し甘めなんですね。これもまたいいなぁ。


 そして、かまのご登場。当然、卑弥呼さんは目を白黒。さ、お初の方にはクイズです。これでいくらだと思いますかぁ?スーパーで買っても、500円とかするから焼き代もかかるし…としばし思案顔。でもディスカウントして600円くらい…ブブー。正解は280円なんだな、これが。本当、通っている僕らとしても信じられない価格です。しかも、脂もジューシィな身がたんまり付いているんだもの。幸せ幸せ。

 お酒は初恋屋ボトルに切り替えてと。このあと、美女もう一方らーさんがお越しになったのですが、それまでの時間で三人でボトルが空いて、さらにもう一本…思えば、これがすべての始まりだったのです。


 そんな述懐は無視して、満を持しての刺身の盛り合わせちゃん。タイミングよろしく、らーさんもご登場!角皿にぎっしりとお魚が、そして今日のごはんは、なんとさんま寿司になってるじゃあありませんか!少しだけごはんを食べて、酔いが回らないようにしてくださいね、という大将の親心。でも、もう遅かった(苦笑)…いや、さんまの甘みも味わえて、極上だったのですよ。つぶも甘くて、トロもとろけて、だから加速しちゃったっていうか…ねえ。


〆のうどん
 〆の一品はみんなが大好き稲庭うどん。つるつるの絹のようにすべらかな口当たり。かみしめれば小麦の美味しさがつけ汁の旨みと渾然となって、のど越しも最高。つるつるつるつる、いくらでも入っちゃいます。事実、春先に座敷で十人程度の小宴会をしたそのときには、みんなでむさぼりお代わりまでして、店中のうどんを食べつくしたという我々ですから(苦笑)

 いやあ、本当に満腹満足。お会計もものすごくやさしくて…ああ、ここで今日が終わっていれば! 


 ここから、もう一つの物語が始まります。いや、みなさんの予想通りですが(苦笑)…。

刺盛

九月の最後のお話です。遅く来た夏休み。午後からお休みをいただきました。

さて、どこに行こうかな。ひさしぶりにあのまちに足を向けますか。
京成電鉄どんどこどんどこ、日暮里で山手線に乗り換えてずんずんずかずか、うっかり
田端で乗り換え忘れて大塚まで行って引き返し…まだ、飲んでないのに(T-T。
ということで、京浜東北線で四駅。来ましたよ、東京の北の関所、赤羽。


時刻は午後二時過ぎ。少し出遅れましたかね。赤羽は、都下でも貴重な朝酒スポット。
ということで、ランチ代わりに足を向けたのは、北口左手のピンク街。パチンコ屋の角を
曲がって、おお、この時間から赤提灯が煌々と灯っています。ikoi それはそうですよね、朝
の七時からやっていてくれるのですから。
赤羽巡り一軒目は、立ち飲みいこいです。


こんにちはとのれんをくぐると、目の前に先輩方がずらりと取り囲むコの字のカウンター。カウンター左手の中ほど、惣菜メニューのよく見える位置に滑り込みます。
「はい、おにいちゃんいらっしゃい、何にする?」親父さんの元気な塩辛声が響きます。
まずはチューハイと、目の前に並んだ茶色い高峰、うの花をいただきます。
「あい、ありがとうね、290円になります」やすいね、どうも…ボールが180円にうの花は110円だもの。うの花に限りません、まぐろブツや煮込みなどの基本メニューは110円、もつ焼き、豚バラなどの串焼きメニューは220円というシンプルな構成が潔く。

290 では、一人乾杯、中ジョッキをぐびりと煽ります。んー、すっきりドライハイ。
いいねぃぃね、お休み気分が盛り上がってきます。さてと、卯の花は…と、これまた僕好みのするお味だなあ。甘くしっとりと煮込まれたおからが、口にほどけて行きます。ああ、幸せなお味。
コの字のカウンターの奥のテーブル席では、サラリーマン四人が会議中。お店の中では違和感感じなかったけど、いまにして思えばいいのか、この時間から(笑)?
向かって左側の厨房では女性陣が串うちしたり、大なべを回したり、しこみの真っ最中。
そしてお父さんが元気でよく動く。キビキビと足元の灰皿を片付けたり…宇ち多、100円ショップなどと同じく、吸殻と灰は足元へのスタイルになんです…、割り箸の補充をしたり。そのさなかにお客さんからの注文を受けて、カウンターの中に戻ってはお皿を出して…そして精算されるお客さんに、ありがとう、また来てねと声をかける。清清しさを感じました。

カウンターに並んでる大皿に、とろとろに煮込まれたナスの煮付けがありまして、これは行くしかないでしょう。おなすください、「あ、なす味噌ね」。なす味噌なんだね、これ。nasu


とろとろのなすの上にはゴマがパラりと。まずは一口…あま~、そしてうま~。こういう田舎風というのでしょうかね、強い味付け大好きなんですよ、あたし。これでごはんがあったら、相当進むなぁ…なんて考えてしまうのは某党派の面目躍如。
この味付けだと、サトイモの煮っ転がしもいいんじゃないですか…んー、濃茶色の色味がすばらしい。一口かじれば表面に味がしみて、中身は比較的白いまま。このバランスがいいんでしょうか、塩辛いばかりじゃなくて、お芋の味わいが秋を感じさせますね。


sora んー、もう一杯行きたいところだけど、飲酒六杯制限の中、昼から二杯はいかんでしょう。
と泣く泣く我慢の子でありました。ハイボール一杯に三皿で530円の豪勢なランチになりました。ここはセンベロ(千円でベロベロになること、なれる店の意)どころか、500ベロができますねぇ。ほてった頬に、お父さんの「ありがとう、また来てね」の声も心地よく。



見上げればピンク街にも高い空

後ろの卓に二人組と一人客、僕らの脇に後から来たお二人、と九時になりましたけど、
いつになく落ち着いた店内。知り合いが入ってこないのも珍しいな。残ったH本さんと
K口夫妻や親分とのお話をお聞きしながら、大将とゆっくりお話のできる時間の幸せ。
いい呑み助講座、社長と工場長の夫婦円満講座…はや飯、その先は言っちゃダメ!
みたいなね(笑)、いやあ、しかしマ○ダさん、そう捉えましたか、勇み足勇み足(謎)。
願いを現実に…ゆっくりゆっくり、これからこれから。


jappa


おとなりの〆はじゃっぱ汁ですか。この湯気の具合がたまりませんね。美味しそうだな、
脇からH本さんの「美味しかったですよ」の声、この香り、行っちゃいましょう!
うわ、すごいな、骨が舌ですりつぶせるくらいに柔らかい。朝二時間煮て、夕方からこと
ことやってるとこんなになるんだ。そして、この鱈の出汁120%の汁が旨い、温まる~。
皮目のゼラチンもぷるぷるで、んー冬の食べ物ですね、ほんとに美味しかった~。同じ
く〆に鯛麺をオーダーされるH本さん。いいですねえ、体も心も温まる、そんな喜びを味
わった一晩でした。


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ちなみに帰り道に二人でワインを一本空けたのはヒ・ミ・ソ(笑)。wine
やっぱり共通の友人の話題は欠かせません、西の友、浜田さん、渋谷のお嬢さん…
そうそうしもちゃんの縁でH本さんとお会いできたんでしたよね。あれはしゃもきちか、
叔父貴の送別会でしたっけ?あ、ゴンちゃんだ!そこからはじまって、春で会ったり、
類会があったり、秋元屋でつぶれたり(笑)、下町探検したり、いろいろなところでお会
いしましたね…そういえばまだホッピー飲みにモアナ行ってないッスな、今度ご一緒
しましょう!

おかげさまで、今朝は昼前までは近年にない二日酔い、電車の中で堪え切れるかっ!
と緊張感にあふれる通勤時間…これもまた幸せの代償かな。キムチにハムサラダ、
美味しかったです~。気づけば11時、雪がちらつく前に帰りましょうか。
ちなみに今宵は乗り越しなし、あなたの声が聞こえたから…え、その声はSーさん(笑)?
「今夜はどこまで、どこまで、どこまで…」リフレインが叫んでるぅ~!


また一人、近所に飲み仲間の増えた夜でした。


ね、落ち、なかったでしょ(笑)?