人と人をつなぐミュージカル指揮者
テーマ:ミュージカル・演劇東宝のミュージカルを中心に指揮をとっている塩田明弘さん
、
『ミュージカルを
100倍楽しむ方法』
と題して
ミュージカル指揮者の奮闘ぶりを語る会がありました。
ときおり関西弁が混じり、ユーモアたっぷりのお話、
普段はオーケストラピットの隠れていても、
ひとたび舞台に立てば指揮者が主役です。
指揮者は、クラシックのオーケストラを指揮するコンサート指揮者と、
オペラやミュージカルの演奏を指揮する劇場指揮者に分かれます。
コンサート指揮者は、コンクールで優勝するとオーケストラの指揮を
することができ、そこで評判を獲得していきます。
一方、劇場指揮者は下積みの時間がとても長い仕事です。
下積みの期間を副指揮者、本番の演奏を指揮する人を正指揮者といいます。
ミュージカルの稽古はだいたい2ヶ月、
歌稽古、立ち稽古、芝居の稽古と続きます。
副指揮者の最初の仕事は、ピアノを弾いてソリストの歌稽古を担当すること。
これを2年くらいやるそうです。
次に稽古場で指揮をします。
正指揮者は、たいてい別の公演の指揮をしているので、
稽古の最初に2~3回指揮をしていなくなってしまうのです。
副指揮者は、正指揮者のふりを完全にマスターして、
正指揮者のコピーとして稽古を行います。
本番前に正指揮者が戻ってくるのですが、
1ヶ月以上たっているので、最初にふった指揮とは違うことが多いそうです。
すると、役者はこれまでと違う指揮だといい、
指揮者は、役者が自分の指揮の通りに歌わないと言い出す始末。
でも、役者と指揮者が喧嘩しては、いい作品になりません。
この2人をなだめるのが、副指揮者の重要な役割の一つです。
本番でも副指揮者は大忙しです。
舞台そでで役者に出の指示を出します。
ところが、キューを出してすぐ出て行く役者もいれば、
おもむろに髪を直してからやっと出て行く人もいます。
役者の癖を覚えて、適確にキューを出さなくてはなりません。
大道具を運んだり、音楽に合わせて舞台の上から雪を降らせたりもします。
実は、本番中に指揮をふることもあります。
遠くから歌が聞こえてくるようなシーンでは、
舞台裏で数人のオーケストラと合唱隊が演奏しますが、
その指揮をやります。
舞台裏は電灯がなく真っ暗。
会場の電気を落としてみましたが、当然のことながら指揮棒は見えません。
そこで登場するのがペンライト。
赤いセロファンをまいてふります。
普通にふると光が流れてしまって、なんだかよくわかりません。
点をうつようにふるのがポイントだそうです。
モニターで正指揮者を見ながらふりますが、
正指揮者と同じテンポでふると、離れているので
客席にいると、遅れて聞こえてしまいます。
ですから、正指揮者より0.2秒速くふるのがポイントです。
雑用係のような副指揮者、月給もかなり少ないのですが、
正指揮者になるまで普通15年かかります。
そこを塩田さんは11年でクリアしました。
ところが、この副指揮者の経験が、正指揮者になってから役に立ちます。
役者の調子をいちはやく見極め、
調子が悪そうだと感じたら、ちょっとテンポを遅くしてみます。
場面転換でトラブルがあったりすると、
演奏を続けながら、電話で舞台監督と打ち合わせて、
次の対策を考えオーケストラに指示を出します。
舞台裏を全てわかっているからできる業ですね。
こんなふうに悪戦苦闘するのも、
観に来てくれたお客さんに、
また劇場に来たいと思ってもらうため。
そして、ミュージカルファンをもっともっと増やしたいから。
指揮者は、舞台に集う人たちをつないでいるのですね。
塩田さんは、日本のミュージカルのレベルをもっと上げるために、
感動した舞台だったらスタンディングオベーション、
いまひとつだと思ったら拍手もしない、
それぐらいの観かたをしてほしいと言っていました。
ミュージカルでは、あたりまえですが舞台の上しか観ていませんでした。
でも、塩田さんの話を聞くと、オーケストラピットの中の
悪戦苦闘ぶりも観てみたくなります。
塩田さんの野望は、ブロードウエイで指揮をすること、
是非、実現させてほしいと思います。








1 ■下積みね・
もともと劇というのは忍耐心がないとできないように感じてます。
よほど好きでないと続かないね・・