アニメ版「ダイヤモンドは砕けない」第34話を観ました。

7月15日もいよいよ佳境。今回は露伴と三人目の敵との戦い、そして最終決戦の発端となる事件が描かれます。

 

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『背中を見せない男』と『正体を見せない男』

 

仗助達がエニグマの少年との戦いを制した頃、岸辺露伴邸では三体目の敵が露伴を襲撃していた。以前火事で半焼した露伴邸の修繕にやって来た建築士・乙雅三は実は写真の親父が生み出したスタンド使いで、そうとは知らず彼を招き入れた露伴は乙のスタンド「チープ・トリック」にとりつかれてしまう。次々に本体を渡り歩いては背中に貼りつき、饒舌さを活かして相手を精神的に追い詰めるチープ・トリックに露伴は早くも苦戦。何とかしてチープ・トリックを倒そうと策を練るのだが…。

そして同じ頃、衝動を抑えられず再び殺人に手を染めた吉良吉影は、その様子を川尻浩作の息子・早人に見られてしまう!

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アニメ版第4部もついに佳境です。まさかここまで来るとは思いませんでした。

第3クールのOPにもだいぶ慣れてきました。いやあ、見れば見る程曲も映像もカッコいいですね。特に、第2クールのOP映像でキラークイーンに壊されていた「ハートと碇のロゴ」が第3クールのOP映像ではクレイジー・ダイヤモンドによって修復されるというカットは物語全体の流れを表しているようで、この映像の中で一番好きなカットです。

そういえば、あるお方のブログ記事で知ったのですが、映像内に第5部へ続く演出があるそうです。良し、今度検証してみよう。

 

「7月15日」の敵・最後の一人は本体を次々に渡り歩くチープ・トリック。アクション要素があったスーパーフライ戦・エニグマ戦とは異なり、チープ・トリック戦は完全に頭脳戦一色。狡猾に相手を陥れようとするチープ・トリックとそれに対抗する露伴とのハラハラするせめぎ合いが描かれました。

縮んで小さなミイラのようになってしまった乙の遺体や背後から延々囁き続けるチープ・トリックなどかなり怖い描写もありましたが、背中を見せまいと乙と同じ行動を取る羽目になった露伴の様子がホラー描写と落差が大きすぎて何ともおかしかったです(本当は笑えるような事態じゃないんですけどネ)。

康一に助けを求めるも背中に貼りついたチープ・トリックを見せられないという事情のせいで信じてもらえずあわや孤立無援の露伴でしたが、負けず嫌いの彼はこんなことで折れる男じゃアない。ヘブンズ・ドアーの力も活かしつつ、チープ・トリックにとことんまで対抗します。更に一度は去って行った康一君も戻ってきてくれて一気に盛り上がりました!

反面、露伴が精神的に追い込まれる部分では色替え演出で不気味さ・怖さ・不安を煽るような色使いやテクスチャーが用いられ、見ているこっちがゾクリとする場面になっていました。狂乱したように見える露伴の声も雰囲気満点でビクッとなりました。

最後は「振り向いてはいけない小道」を利用し、何とか勝利! 写真も燃やされずに済み、一件落着です。そしてこの後、露伴先生はその場に現れた鈴美の助言で川尻早人と同じ姓を持つ男性――吉良吉影がなり代わっている「川尻浩作」の存在に気付きます…。

そういえば、原作では康一が去った後にチープ・トリックがひと悶着起こす場面があるんですが、アニメではカットされていましたね。ここ面白くて好きだったんですけども。

ちなみにチープ・トリックの声は前回予想した通り乙を演じた石井真さんの一人二役でした。あの饒舌でイヤミったらしいチープ・トリックの声を見事に演じきってくださいましたね。出来ればカットされたいたずら電話の場面も見て見たかったというのが本音ですが…。

 

後半は「ぼくのパパはパパじゃない」。これ原作では朝の出来事だとばかり思いこんでいましたが、アニメでは夕方の出来事なのね。いや、その方が自然か。

吉良が悟と美那子の家に乗り込んでいって悟を殺害する場面は三方向からドン!ドン!ドン!と映す迫力と緊迫感ある映像になっていました。悟を爆破した後普通に素通りする、あの何ともインパクトのあるカットもしっかり再現されていましたね。

美那子の怯え方も「質問を質問で返すなぁーっ!」の名台詞もバッチリ。特に美那子の怯える声は雰囲気があって聞いているこっちまでビクビクしてしまったくらいです。「質問を質問で~」のセリフは第4部に出てくる台詞の中でも一、二を争うインパクトのある名台詞ですが、吉良の狂気がよく表れたセリフでもあるんですよね。淡々と殺人をこなしていく吉良は本当怖い。

そうしていつもと同じように殺人をこなし、被害者の左手を手に入れた吉良でしたが、その様子を後をつけてきた早人が目撃! 今の父親が本物ではないと確信した早人は家へ逃げ帰りますが、彼に尾行された上犯行現場を録画されていたと気付いた吉良もまた目撃者・早人を消さんと動き始めます。

アニメ版では、この後承太郎が早人と入れ替わりに美那子と彼氏が住んでいた団地の部屋を訪れて部屋の中を調べるという場面が追加されていました。前回の行方不明者リストを受け取った部分と合わせて、ここで承太郎と早人との間に接点ができるのですね。

第3部メインテーマのアレンジ版が流れていたのも印象的でした。この場面は刑事ドラマのワンシーンのようで雰囲気がありましたね。

その後、水滴が落ちると同時に場面転換というのも第1部の冒頭シーンを思い起こさせる演出した。

 

クライマックス、風呂場での早人と吉良の対峙も緊迫感がありました。吉良が本性を現して早人を追い詰める部分も、キラークイーンが現れるおどろおどろしい描写もインパクト大。キラークイーンが目を開く描写も禍々しさがありました。

しかし早人も負けてはいませんでした。彼が「ずっとお前の様子をビデオに撮って監視していた、そのビデオは自分しか知らない場所に隠してある」と告げて反撃に出たことから形勢は一気に逆転! ここからは「犯人と目撃者の対峙」というサスペンス・ミステリーのお約束の展開から「スタンドを持たない一般人が大切な人を守るために強力なスタンド使いに立ち向かう」という「ジョジョ」でも屈指の熱い展開へとシフトしていきます。

この時の早人の姿がどことなく第6部のエンポリオを彷彿とさせるのもまた燃えるポイントの一つ。それまで怯えていた早人が強い意志を持った目で吉良を見据え「ママにも手は出させない!」と宣言する所は一番盛り上がる部分です。普通の少年だった彼が母を守ると決意を固めたことでこんなにも強く敵に立ち向かえるようになったという「成長」に、見ているこちらはただ驚かされるばかり。それと同時に「これなら…!」と希望がかすかに見えもします。

しかし、この後事態は早人や吉良も全く予想していなかった方向へと進むことに。果たしてどうなる…!?

 

次回は「アナザーワン・バイツァダスト その1」。第4部の物語もついに佳境です!

ここからアナザーワン・バイツァダストのエピソードを前後編でやって、その後前後編で最終決戦とエピローグを描くという構成になるようですね。バイツァダストの「あの能力」をアニメでどんな風に表現してくれるかがとても楽しみです。

アニメも残すところあとわずか、このまま最後まで一気に突っ走りましょう!

 

 

《原作との相違点》

①前半部「チープ・トリック」…康一が帰った後露伴が耳栓をして居眠りし、その間にチープ・トリックがいたずら電話をかけまくるという場面がカットされて直接外出の場面へ繋がる。

②後半部「ぼくのパパはパパじゃない」…早人が美那子殺害の現場を目撃して逃げた後、承太郎が入れ替わりに美那子たちのいた部屋を訪れる場面が追加されている(33話でSPW財団から家出人リストを受け取った場面と繋がる)。